「お前って理解不能−」
「はぁ?」

何いってやがんだぁ、もうちょっとこっちにわかるように言いやがれぇ
口の悪い此奴は、そうやって言い返してきた。

でも本当にわかんない、お前って存在が。
なんで俺を乱すの、鮫のくせに、俺王子なのに
ぐるぐるする気持ち、いやだよ。

苦しいたすけてって、いつだって求めてて
そんなの此奴は気付かなくて
何で苦しいのか
わかんない、わかんないよ

「…。」
「ベル…?」

う゛ぉぃ…、なん、だぁ…?

困ったような、顔に声音に
それでも不器用に此奴は優しくて、それがわかるから
頬を伝ったのは温かい、血じゃないこれはなんだろう?

「す、く…あーろ」
「…ベル、泣くなぁ」

わかってるから、多分、自惚れじゃなきゃ、お前のことは

ぎゅっと抱き締める腕が、俺には、心地よすぎた。
ねぇもしかしてずっと気付いてたの、こんな俺に?
不思議と嫌な気分は、なくなっていく。

すきなんだ、そう、すき。
この銀色の、ぜんぶ。髪も目も抱き締める腕もぜんぶ。
こればっかりは壊したいんじゃなくて、つかまえてたい。

服の裾を、きゅっと掴んだら
穏やかな顔してもう少し、抱き締める力が強くなった。


「すくあーろ、すくあ、ろ…スクアーロ」

きえないで、側にいて
あぁやっとわかった、これは不安とみにくいみにくい嫉妬心。
俺だけに、縛られていてよ、おねがいだから。


「ベル、俺はなぁ、ベル」

俺が呼ぶのと同じように、何回も、名前を呼んで

「好きだぜぇ、お前が、お前だけ」

なぁ、ベル
愛してるっていったら笑うかぁ?


「スクアーロ、」

なんだか、悔しかったから
似合わねー、と言ってやった。

笑いながら、またぽろり、また温かい、あぁ泣いてる?


「嬉しいなんていってやんねー。だって俺王子だもん」

口に出すのは素直じゃない、それでも此奴はくすりと笑って


「愛してるぜぇ、王子様」


俺の心を見透かしたように

もう一度、愛を紡いだ。





















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ボスとスクがいるのとかみちゃって悲しくなっちゃったベル、的な

『その、しょうがないなって呆れたような顔がどうしようもなく愛しいから、
天の邪鬼なことをいって困らせてみたくなるのは内緒』

執筆 07/08/29 UP 07/10/29