「俺は、お前を」 その言葉で、止まる。 「いってくんねぇの?」 「るせぇぞぉ。んな恥ずかしいこと」 言わなくてもわかるだろう。言わなくてもいいだろう。 どちらともの意味だ。 「でも聞きてーのー」 「てめぇは馬鹿か。」 「違うけど!でもうん、馬鹿でもいい。」 スクアーロが好きっていってくれるなら、なんて、どれだけ甘い野郎だ。 わかってんならいーだろぉがぁと言ってみるが、 そんな問題でもねぇんだよ、と返される。 どこの女だと内心突っ込むが、それを読んだかのように、 「お前今、女々しいとか思っただろ。」と少々不機嫌な様子で言われた。 む、として睨まれるが、恐くもなんともない。 本気では睨んでないというだけかもしれない。 だがしかし、本気で睨まれたとしても恐くはないだろうと思うのは、 日常のへなちょこさと自分や人への甘さを知っているからだろうか。 「別にいつもいってほしーわけじゃねぇよ。たまには聞きたいだけー」 「う゛お゛ぉい!それでも女々しいだろぉがぁ。」 「意地張っていわねーお前も女々しいだろ!」 確かにそれもそうかもしれない。なんで意地はってるんだ自分。 とはいっても好きだなんて この雰囲気、状況、タイミングで言えるかよ、恥ずかしすぎる。 そう思ったら何も言えないままの沈黙が続くことになり、なんだか気まずかった。 そうなるとさらに言えなくて、どうにも悪循環だ。 それならば先程の時点で、止めずに言っておけばよかった。 後悔してももう遅いけれど、後悔する。 目を反らし俯く自分。 じっと見据える相手。 これじゃ浮気を追求されてるみたいじゃねぇかぁ!う゛ぉい! 「あーあ、俺だったら」 呆れたように(なんで呆れられなきゃなんないんだコイツに)ディーノは切り出した。 「何十回でも何百回でもいってやるのに。」 その言葉に呆気にとられ、かつなんだか胸が高鳴った。 高揚を覚えるのは嬉しいからか。 なんだかんだいって本当に俺はコイツに惚れてるんだなと思う。 こんな何気なくいっただろうセリフに感情が動くなんて。信じられない事実だ。 まぁ実際に起こっているのだから信じないわけにはいかないが。 「好きだぜ、スクアーロ。」 そう言うディーノは笑顔で、見てる側が呆れそうなくらい真っすぐな、 にかっとした明るい笑顔で、思わず「はんっ」と自嘲の笑みを浮かべてしまった。 そして一呼吸の後、無防備なその人物にキスを落として 「俺は、てめぇのこと」 嫌いじゃねぇぞぉ。 無意識に呟いていた言葉は、素直な言葉ではなかったけれど。 ---- スクディスク。スクディ目指したのに読み返すと、 あれ?ディスク?いつも通り?みたいな感じで、ちょ、どうしよう(笑) スクとディーノさんはどっちが攻めでも行けると思われます。 というか、私は行けます!(笑 どっちも受のタイプとして大好きなタイプ…! 甘めかもしれない。というかどっちもお互いを大好きだ。こういうの好きです。 とか言いつつ、切ないのも好きで片思いとかかいちゃうんですけどね…! ちなみに、さらっとディーノさんが好きと言うか、 恥ずかしがってスクが突っ込む展開にいくかで悩んで、 長くなりそうだったのでこちらにしました。 好きという辺りから違う別バージョンは、希望があれば(笑) 『素直になれない自分と、素直すぎるくらい率直な彼と』 執筆 06/11/11 UP 06/12/08