聞きたいことは本当は、いっぱいあったんだ。
なんで、あの時、とか。
今までどういう経緯で、とか。

俺のことはもう、どうでもいいのか、
なんて女々しいような質問とか…。
あの時のセリフは嘘?なんて本当、情けないようなものも


全部、全部

はっきりときっぱりと聞いてしまって
すっきりしたいなんて自分勝手なこと。

思ってたんだ。
絶対聞こうって、思ってた。

そして今はもう戻れないのか、って。
お前の心はあっちにあるのか、って。

わかりきったことも、

全部、全部

聞こうって、思ってたのに。




「聞けるわけ、ねーよ…。」

かろうじて、助けて。
かろうじて、助けて。
かろうじて、助けて。

もっとも俺の力ではなかったけれど
(そう俺でなく俺の部下の、お陰)
もっとも俺の力ではなかったけれど
(迷わず飛び込めたならどんなに)


あぁ重傷の彼。
ぼろぼろの彼。
助からない?
そんなの信じない。
そんなの信じない。

周りなんて全てシャットダウン。
周りが見えない俺を許して。
駄目な、ボスで、ごめん。
けれど本当に本当に

そんなくらい。
なくすのが怖かった。
なにをしても。
生きて、と、願った。




「…生きてんのかぁ、俺は。」

何故助けた、と言わんばかり、の、君。
生きてて欲しかった。
俺のために、生きてて欲しかったの。
なんて言ったら、怒る?

けれど聡明な君はすぐに気付くね。
生きていたら少しでもあの人の役に立てると
今度こそは、今度こそは助けたいって
重い身体を
ひきず、って
出て行こうと。
あぁ、あぁ。
そうまでして想う人よ。
どうして俺の方はみてくれないのかなぁ。
どうしてその想いは彼処にあるのかなぁ。

君の幸せを願って
今まで来た、のに
それでもこんな風
に想ってしまう俺
を許して、ほしい



「行かせろぉ。」
「い、やだ。だって、んな…重傷、で…。」
「それでも。」

俺は行かないわけには、行かない、なんて。
そんな強い思い。
一度でも俺に向けてくれたのかな
だったら少しは、嬉しいのに、な


そしてツナ達の戦いへ向かった時は
スクアーロをぐるぐると拘束して
その身には銃口が向けられ、
それでも彼は気丈で。

どうしてこんな風に違わなければならないのかと
そう、思った。
けれど俺は立場を忘れることなどできない。
捨てることもできない。

だから、せめて


ひっそりと。

平気なふりをして

君を想う。

それくらいは、

それくらいは

今

その少しの自由だけ

許して。
















----
助けた直後辺りの。


『てめぇが聞こうと思ってること、わかってるのになぁ…
答えないで、聞かれないのを良いことに。俺は…狡い。』

執筆 07/02/21 UP 07/03/06