スクアーロは未だに髪を切らない。
スクアーロは未だ髪を伸ばしてる。

ザンザスが、負けたその時のまま。
時を止めるかのようにただ、ただ。

同じ長さに、切りそろえる。
長くなったな、と感じたら、
少し切って、綺麗に揃えて、

それを見ていて俺は、辛い。



「ねぇ、スクアーロさん。」
「あ゛ぁ゛?何だぁ?」

「…なんでも無いけど」
「はぁあ?ワケわかんねーぞぉ!」


聞こうと思う、のに
俺はずっと聞けなくて
それはまだまだ俺が
ダメツナだってことなのかな。

紛れもなく、この人がついていっていた男を倒したのは俺で
紛れもなく、俺はこの人の憧れてた人の邪魔をしていた奴で

それでも
好きだと言ってくれる
それを
俺は疑ってなんかいない


ただ、まだやっぱり
思いがあるんだろうと、思うと…

悲しく、て

これは嫉妬なんだろうな
嫌だけど、消えない思いは



「…しけた面ぁしてんじゃねぇ」

スクアーロの隣。俯いている俺に向かって呟く彼。
こういう、言い方のときは
言動はどうあれ、心配してくれていて
スクアーロ自身が悲しく感じたりしている時だ。


「何で、んな態度してんのかは、しらねぇけどなぁ。」

ただ、聞く俺は
何も言えないままで


「俺はてめぇが、好きなんだぞぉ。」



一言に顔を紅潮させてしまった。

「す、くあーろ…さん、」

ちらり横目で隣を見ると、彼も赤くて。
思わず、微笑んだ。
心底、嬉しかった。
なんでこう、いつも欲しい言葉をくれるのか、彼は。
不器用ながらに言ってくれるそれが、俺は、すごく好きで。大好きで。


「嬉しいです。」

素直に口にした。

「ばっ…!…は、ははっ…」

そしたらなぜだか笑い声。
…初めて見た気がする。こんなスクアーロさん。

馬鹿と言いかけて(多分、予想ではそうだと思う。)
一瞬止まり、笑い出す、この人は


「てめぇはホントに、率直だなぁ!」

そういってまた、笑い続ける。


その姿があんまり、いつもとかけ離れていて
けれどなんだかとても綺麗だったから
俺は、笑われた恥ずかしさも重なり
また赤くなってしまって
からかわないで下さい!なんて言うのが、精一杯だった。


それでは、そういいながらも
ずっと頬が緩んでいたのは

この人と居る幸せを感じたからかもしれない。

新しい面にいちいち驚いて、全部素敵に見えてしまう自分と
そんな自分を知ってか否か愛してくれる彼と

今は敵同士ではなく居られるから。


ふと感じた不安や悲しさなんて
もう吹っ飛んでいた。
















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この間スクツナかいた時から温めていたネタ。
髪切らないすっきゅを気にするツナ。

ツナスクに思えなくもなくてどうしよう…!とりあえず、スクツナです。
始め試しにスクアーロと呼び捨てにさせてみたら
ツナ獄かいた後だからか攻め攻めしくなって驚きました(笑)


『もしも貴方がずっと髪を伸ばしていても、
貴方の言葉に、すべて委ねたいと思った。』

執筆 07/03/03 UP 07/03/03