思ってなかった
こんなにも穏やかな日々


「スクアーロさんって料理上手いんですね…。」
手際よく包丁を動かす手は慣れたもので、
少々粗くはあるものの気にならない。

黙ってみていた綱吉は、意外だという思いと感心とが交じった声音で呟いた。
それを敏感に感じ取ったスクアーロは、う゛お゛ぉぃと一言。
なんだぁ?俺が上手かったら悪いのかぁ!?
とは続けなかったものの、一言が全てを物語っていた。


「だって、似合いませんもん。」
「っ…。はっきり言ってんじゃねぇ。」

どきっぱり。

あっけらかんとした綱吉は、
もう一度、話しながらも止まらない動きを見る。
見惚れてしまうほど流れるような



「どうしてそんなに上手になったんですか?」

「んなこと、どうでもいいだろうがぁ…!」
「ヴァリアーって家政婦さんみたいな人がいるんだと思ってました。」
「…俺が作ってたんだと思ってんのかぁ…!?」


決めつけるな、と言われあれ?違うんですか?なんて
それは勿論是であって、スクアーロは意地を張ってみただけだ。

事実スクアーロはこき使われていた。
無論給仕係はいるのだけれど。面白半分に。


あぁイヤなもんみた、とそんな風に
あまり遠くはない過去を思いだし複雑な顔。


「気まぐれなんか起こさなかったらよかったかぁ…?」

作り始めたことについてスクアーロは軽く後悔した。
だけれどそばには、幸せそうな笑顔があって。


(しょーがねぇ、奴だなぁ。)
(こんな顔、されたら。)

途中でやめるわけにはいかねぇじゃねぇかよぉ。



嘘みたいにそれは穏やかな日だった。













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スクツナ。ご友人に触発されて…!

『気まぐれなんだろうけれど、これからも
時々してくれないかなぁなんて、これは我が侭になるのかな。』

執筆 07/02/04 UP 07/02/16