独占欲とか、そんなものは
いらない、いらないのに
ただ傍で、あなたを見られたら
それで
よかったの、に


「またな、いつでも待ってるぜ」

屈託のない笑顔、彼の特徴であり俺のなかをあたたかくするもの。

ふと、もう帰るんだと実感して、長い間会えないかも、と感じて
ふわふわした雲のような夢心地は、あっという間に消えてしまった。
離れたくないな。

もっと誰もいないところであなたをみることができたなら、なんて贅沢だけど
あなたを思うから、つい
独占欲なんて自分とは無縁の感情だなんて思ってたわけじゃないけど
醜い感情に支配はされたくなかった

だけどいまはどうだろう
嫌な自分が垣間見えてくるしい
はじめは見てるだけで、幸せだった
時々話せたら嬉しかった
それだけだったのに


「ディーノさん、」

ぽつり呟いたら沈黙が流れる。
ちょっと気まずい。

「なぁ」

そう思った時、一言

「寂しいな」


「え?」
「いや、その…どうにもなんないから言わなかったけど!
……やっぱり本音を言えば、もう少し」

二人で居たかったな…


最後は聞き取りにくいほどに消え入りそうな声で
「勝手だろ?」との問いには思いっきり首を振った。


なんだ、自分だけじゃ、なかった

そう思ったら、嫌だと思うもやもやなんて吹っ飛んでしまって

「俺も」

そう思って、くるしかったんです


一瞬目を丸くしたディーノさんは
なんだ、俺だけじゃなかったのか。なんて言う。


「本当、同じですね」


目があうとお互い耐えきれずに
一緒に吹き出して
一緒に笑った





















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『ちょっとしたことに不安になって、些細なことに喜んで』

執筆 07/12/17 UP 07/12/17