軋むのは、ずるり、擦れる音、ベッド、落ちる服に、鎖が鳴る。 繋がれた俺は逃げられず、されるがまま。なのは、 それほど拒絶しているわけでもないから。 なのだけれど、束縛は、増すばかり。 「…っんなに、縛んなぁ…!」 繋いでる、くせに。 (なんで布でまで。) ぐるぐる、と。そして食い込むほどにキツく。 (痛ぇ…。) 精神的にも少し怖く。 「てめぇが、逃げると面倒だ。」 そんなの。 (俺が逃げねぇなんて、お前が一番知ってる、だろぉ?) 不器用な彼の悲しみなのか、これは。 服に手をかけて。脱がされたのは少し前だ。 中途半端にずり落ちたコートと露出した肌。 治ってそうたたない傷跡に、口付けを落とされれば漏れる自らの吐息、僅かな声。 嗚呼、慣れているはずの情事もなんだかいつもとは違って。 相手は貪るように、自分はといえばぎこちなく受け入れるのは (少し久しぶり、だからか。) (それとも何か他に…。) かわらないものといえば自分の相手への想いくらいで。 それは深く繋ぐ恋情であり自らもまた彼を貪るように愛そうか。 この身果てても尚強く。 今夜いくら果てようともひたすらに欲求に応じて、 求められる姿で鳴いてみせよう。それはただ一人お前の、ために。 「二度とあんな風に」 「消えそうになんじゃねぇ。」 その呟きには、置いてなんていかねぇ、と答えた。 お前の最期をみて俺は消えようと、決めた。 そして終わりにはエレジーを紡ごう。 自らの切っ先は一人のものに。 この世のアイロニーを呪いながら、レクイエムの中隣に眠る。 何処まででも共に逝こう。 これは偏に愛故。お前が望むならば。 「愛してる。」 「あぁ。」 「俺はお前が求める限り、」 (お前の、モンだぁ。) (誰のでもねぇ。) 自分の、でもなく。 存在理由はまさしく、君で。 室内に響くのはただただ、水音と、嬌声。 幾度重ねたかこの肢体。 銀の鎖と手錠は何重にも、紅の銃器に巻かれ捕われる。 ---- スクアーロ復活祝いとして執筆した文章です。 たいした物ではないですが、企画の方に投稿させて頂きます。 復活本当におめでとう…!スクアーロ…! 『ギシリギシリ、束縛も愛故に。』 執筆 07/02/05 UP 07/02/06