ほんの少し、ザンザスが目覚めた時の捏造有り。宜しければどうぞ
. クソ忌々しい感情なんて本当に俺には煩わしくて 共に過ごした時間が長くなるほど無意味だと思っていた感情に縛られる。 共に過ごした時間の分だけ、奴のいない時間はどうしようもないくらい。 早く帰ってきやがれ。 早く、早く。 8年前ならばまだこんな風に思うこともなかった。 8年前ならば…いや、思っていたかも知れない。 所詮自分は時を止めてしまっているのだ。変わっているわけがない。 彼奴のことは出会った時からもう既に、だ。 なのに彼奴はどんどん変わっていく。 目覚めた時最初に見たものは、すっかり鬱陶しい長さになった髪。 奴は俺を包み込むように抱きかかえるようにしながら、ボスと呼んだ。 ザンザス、でも御曹司、でもなく。 涙は流していなかった、けれど。 心は泣いていた、と思う。 単なる直感。ただ小刻みに震えて苦しそうな顔で笑ったから。 勝手にした誓いを彼は守ってずっと髪を伸ばして伸ばしてただ自分を 待って飼い殺されながら鮫はそれでも止まらずに進んで進んで進んで 8年は長くて、あまりにも短かった。 8年は長くて、あまりに切なかった。 ついて行くと言ったのにも関わらず彼は前を走っているのだ。 俺を見ているが全然見ちゃいねぇ。いつだってそう、いつ、だって 一人で勝手に抱えて 一人で勝手に解決して 一人で一人で一人で 俺の入る隙間など そんな表情知らなかったくせに そんな複雑な顔なんて こんな顔を見るくらいなら、見るくらいなら 勝手な自分。何もかも全て自分に彼が着いてきたからで この表情もこの傷だらけの体も心も俺のせいなのに。 「くそ…」 どうして嫌なことばかり頭を巡るのか。 だから一人でいるのは気に食わない。 早く、早く帰ってこい。 俺は立ち上がり扉を開けた。 何の扉なのか、何処の扉なのか?そんなことはどうでもよくて。 ただ、目前には 追い求めていた銀糸。 ---- スクアーロがひたすらに求めているのも大好きなのですが ザンスクにしては珍しい感じで、ザンザスがスクアーロをものすごく 求めて、スクアーロがいないとろくに生活できないのも、萌えます(笑 というわけで、長期任務でいない鮫を待ち望むボス 『銀は闇に憧れて、朱は月を染めんとす (はたしてどちらが追っているやら)』 執筆 07/07/01 UP 07/07/19