なぁザンザス、
守るから、俺が守ってやるから、ザンザス、ザンザス


同じ事ばかり
それしか言えないかのように
なぁなんでてめぇは
なんで、

そして俺は
どうして、
この腕をふりほどかずに
この口を、閉じさせないでいるのか

殴るのは、簡単だろう?
いつもの、ことだろう?
此奴はきっといつものように、いつもの


「……っ、ザンザス」
「……。」
「どうしてだぁ?なんでだぁ?」
「……。」
「”これ”をどうにか、表せたらいいのに、ザンザス、なぁ」
「……。」
「好きとか愛してるとかそんなんじゃねぇんだ」

もっと違う、もっと深い、
どんな言葉で言えば伝わるんだ、どうすればいい


此奴は首を振りながら、違う、これでもない、と
なんとも泣きそうな顔で

こんな奴は見たことがない。
いや、一度だけあるかもしれない。

てめぇは何を伝えようとしてるんだ
俺は何を感じたいんだ
悟っているようで
まったく悟ることが出来ない


「俺はあんたを、縛りたくねぇけど」
「あぁ?」
「ひとつのぞんで、いいなら。
こんな、もどかしいこれを、俺には、伝える術がねぇ、から」


どうか今まで通りにあんたはあんたの好きなように、
俺を縛るなり突き放すなりしてくれ


「…はっ…」

可笑しな願いだと、俺は笑おうとしたのに
上手く出ない声は掠れて
乾いた息だけ、外気に触れた。


「スクアーロ、」

見上げた此奴に触れたのは、
熱が溶け合ってもしかしたら、
何かわかるかもしれないなんて、そんな。














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スクアーロはザンザスを縛ることが嫌いだと思います。
自分が縛られるのは全く構わないけれど
ザンザスを自分が縛ってしまうのは避けようとしてる。
そして、だから好きとか愛してるとか簡単な言葉は言わない、言えない。

そんなもどかしさを出したくて、名前をひたすら呼んでるスクです。
この二人に言葉はあまりいらないというか
言葉にしたら、するだけ安っぽくなる気がして。
でも名前すら無しになると、私にはとても表現できないので←力不足…
こんな形に仕上がりました。

タイトルについては、あえての左手です。


『振り下ろす切っ先は何処へ?』

執筆 07/10/01 UP 07/10/03