「はぁっ……ぅ゛、…ふ…」
「…。」
「い゛、ぁあっ!は、…ぁ」


薄暗い室内の蜜事は、誰も知らないが誰もが知っていた。

自ずとそういった関係であることは感じ取ることができるし、
取り立てて隠そうともしていなかったため段々と皆理解していったが、
もちろん二人が自ら露見させることはないし、
確かめようとする者もいないため真偽のほどは定かではない。

故に誰もが知り誰もが知らない関係。
本当のところ、とか実際どうなのか、と周りは踏み込めないでいた。

しかし二人―こと暗殺部隊ヴァリアーのボスとスクアーロは
確かにそういった関係であり、今が初めてなんてことはもちろんない。
今まで幾度もこういった行為ならしてきていた。



―舌を絡めて、愛撫して。


行為一つ一つそれは相手を支配するかのような征服欲に溢れたものだけれど、
片方は若干否定しながらもそれを甘んじて受け入れる辺り嫌ではないのだろう。

もしかするともしかしたならば、
実は貪るような支配者の方こそ捕われた被害者なのかもしれない。
溺れて抜け出せずに、藻掻くことすらできないままにいるのかもしれない。

だがこれも真偽のほどはわからなかった。
これは本人達ですら判らないだろう話だった。




ザンザスはスクアーロに目を向ける。(睨んだ、と言った方が正しいかもしれない)
今はその秘め事から半日ほど経った時間帯。

スクアーロはザンザスをみて目を見開いてから、ずっと逸らしたままできちんと見ないでいた。
彼はそれが気に食わず、睨むようにしたのだ。
とはいっても何故そんな反応をしたか
なんてザンザスにはわかりきったことで、楽しんでもいたのだけれど。

「昨日のことでも思い出したか」
「な…、う゛お゛ぉい!」

絶句して、怒鳴る。
そんな様子に、なんてかわいらしい反応だろう、だなんて、
キャラが違い過ぎるこの想いは絶対にだすまいと誓う男が一人。



―正面の銀を引っ張って。


長髪の男は漆黒の方へ倒れ込んだ。
黒は上手く支えて、且またぐっと引き寄せて、痛いと嘆く口を、覆う、ように。


静かな室内、響くのはただ吐息。
誰も知らない二人の蜜事。
誰も立ち入れない二人の領域。













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「みつごと」は秘密の「密」と蜂蜜の「蜜」をかけた造語です。

甘くて秘密の関係(秘密でもないけれど!)そんなザンスク。
裏といいきれないまた微妙なラインの話…。
とりあえずスク絵茶で萌えを下さったお二人に差し上げます(笑)


『互いに雁字搦め』

UP 07/06/30