「う゛お゛ぉい!」

いつからか…出会ったときからすでにだったか言っていた口癖を、
途方もない回数言ってきただろう口癖を口にして、
彼はこちらに不満を伝えてくる。

それは自分が殴ったからであるのだが、
スクアーロの声に一瞥しただけで自身は何も答えなかった。



繰り返し繰り返し、毎日何度も、
顔を合わせれば必ずと言っていいほど行われる行為。

これはスクアーロに対してだけの特別な行動といえばそうであろう。
しかし相手にとってみれば好ましくない特別であろうことは…
わかってはいる。

ただ伝える術を持ち合わせていない自分は、行動で伝えるにも上手くできずに
突然すぎる唐突すぎることになってしまって、その憤りが暴力として彼に向く。




あぁそれでも愛しているのだ、彼のことは。
どうにもできないほど。

おかしいと思うなら思え、笑いたければ笑うがいい。
狂言のように滑稽だとは承知の上。


どれだけ縛りつけても、恐怖のような感情に苛まれて、
周りからしてみれば暴君、そんな自分が
このような想いに囚われていると知れたら、どう思われるのだろう。

あまり興味はないが、驚愕に堪えないのではないだろうか。



「…スクアーロ。」
「…っ…なんだよ。」

静かに名前を呼べば、納得のいかない様子だが近づいてくるスクアーロ。

不満は向けても結局は、本当に拒絶したり逃げたりはしないあたり、
自分が思う以上に彼は自分のことをわかっているのかもしれない。



彼が縮めた距離をおもむろに、さらに縮める。
後退りすることもなく、スクアーロはじっとこちらを見ている。

その目を避けずにいたが、見つめ合うというほどに甘くはなく。


頭を掴んで、引っ張って
上を向かせて
苦痛で僅かに歪む彼に触れた。




「っ…ンぅ…」

突然の行為に荒ぐ吐息が耳に響くが、不快ではない。
全て飲み込むように口内を支配し、そして離す。
何を思いしたのかと問われれば不明確、衝動が襲ったとしか答えようがない。

そんな様子に気付いているのか否か、
「気はすんだかぁ?ボス。」なんてスクアーロは言ってきて。


黙っていれば、微笑まれた。
久しぶりにみた顔のような気がする。
相手を挑発するような笑みならば頻繁に見ていたが。

まぁそれも、自分のせいといえばそうで、仕方のないことなのかもしれない。




「なら、よかったぜぇ。」

無言を肯定ととったらしく、静かな呟き。

それを聞いて
微笑みを真っ直ぐみて


改めて感じたのは、狂おしいまでの愛しさ。スクアーロに対しての、情愛。

自分は狂っているのかもしれない。

けれどそれでもいいと、そう思えた。










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ザンザスがちと優しめかも知れない、ザンスク。
愛してるんだけど、抱いたりすることしかできなくて
言うことがなかなかできなくて
始めは戸惑っていたけど、段々とスクは理解していく感じ好きだなと。

どこかできちんと繋がってる、二人。言葉はあまり使わない?などと。
でも時々はお互い不安になってるといいな(笑)

少し文体が違うのですが、気付いて頂けたなら嬉しいです。
だらだらと一文を長くするの好きです。遠回し表現とか。


『不器用だけど愛して。』

執筆 06/10/26 UP 06/11/01