稲嶺
カラダの中がじんわりあたたかくなる
なんか地味に嬉しい
有働
「そんな男らしく生まれ育って、有働なんか
男としてのコンプレックスいっこもないんやろ！」
先生がたまにこう言うて唇をとがらす。
（よっぽど可愛い外見がコンプレックスなんやな）
でも、そんなことはない。
オレも一丁前にコンプレックスぐらいある。
声や。
枯れてるのは諦めた。これはもう仕方がないと思ってる。
ただ、大きい声をあげようものなら、たいてい語尾が裏返る。
男の裏返り声ほど情けないものはない。
先生はたまにオレの言葉の語尾が裏返るのを聞いて
「クッ」
と笑うんや。
悪気がないのはわかってるけど、何気にショックを受けてるオレ。
好きな人に、こんな情けない声を聞かれたくない。
意識しすぎて言葉数が減ると、
「なんで何も話さへんねや〜！」
としばかれるしなぁ・・・・・。
繊細なオトコゴコロをわかってほしい。
絵チャ
稲嶺
有働が取材を受けた雑誌（主に女子供が読むようなヤツ）
なんかみてると
「お前どこの誰やねん」
的な偽有働雄哉が載ってる。たいていがそうや。
別にＣＧでいじってるわけやないけど
（有働は１６歳のくせににきびひとつない）
雰囲気がまったく違うんや。
プロのカメラマンってすごいなと思う。
こういう有働が好きなわけやないけど、女子供が読む雑誌を
死ぬる思いでコソコソレジまで持って行って切腹したい気持ちで購入し、
有働の部分だけ切り抜いて、ソッとプロレス雑誌にはさんでる
女々しいオレにウンザリしてる。
あほか、オレ。あほか、オレ。（二回言うた！）
稲嶺
精液を飲んだら、
しばらく精液が喉にからんでいるような感じがする。
一人のときも喉に有働を感じれるのはいいけど、
数時間、下手したら数日喉に違和感があるし、
なによりそんな状態で有働の前で授業するのは・・・・。
精液飲むのはやっぱり控えよっと。
稲嶺
１８まで全く経験がなく、超奥手ではあったけど、
二人の兄のおかげで自慰をおぼえたのは早かった。
有働なんか中学に入ってから知ったっていうから、
ついこの前やんか！！
（夢精はあったみたいやけど、意味わかってへんかったらしい）
早熟で経験が早いわりには（ていうても１６やけど）
当時のオレより純粋かも？！
有働
先生の肌は白くて、白すぎて、
冬になると痛々しくみえる。
すべてが繊細で壊れてしまいそうやけど
よく観察してるとバリバリになった唇の皮を
モグモグしてたりする。
有働
「有働も参加するか？」
「あほか！こいつ勝つに決まってるやんか！参加させんな！」
女系家族に生まれ育って、男子校や男子寮の男ばかりの生活に
はじめはオノノキつつやっと慣れ、高いキンキン声で小言を
言われることのないこの環境に今ではヒジョーに満足してるけど、
どうしてもどうしてもどうしても慣れへんことがある・・・・。
風呂場での「男の名誉と誇りをかけた精子の飛距離戦」や。
勝ったキングオブ精子は敗北者に
好きなジュースをおごってもらえるルール。
これを寮の伝統のように、毎晩先輩らがやるんやけど、
スッポンポンの男数人が一列に並んで股間をこする図は
さすがのオレも開いた口がふさがらへん。
先輩らはこれに男の名誉と誇りをかけて真剣にやってるから、
まだまだオトコの世界は奥深いな、と思う。
稲嶺
セックスのとき、耳元で有働のかすれた荒い息を聞くと興奮する。
そんなにオレに欲情してくれてるんや・・・と。
有働
門限が過ぎて寮から出れへんなると余計先生にあいたくなる。
なんでオレは学生で未成年で自由に外にも出れへんのや。
先生、いま何してる？
ドリーミン高橋もうすぐ三十路
男同士のセックスって、どんなんやろう。
稲嶺先生は、か弱いから
女の子のときよりも数倍優しくしてあげたい。
・・・・けど、
あの可憐な顔がどんな風に苦痛にゆがむのか見たいから
ワザと乱暴にもしてみたい。
どっちにせよ、現実でも
稲嶺先生とセックスがしたいのや！！！！！！！
有働
部活中に、しょっちゅう怪我をするし
もう怪我は勲章みたいなもんやけど、
なんとしてでも右手だけは死守する。
右手が負傷でもしたら、死活問題やからや！
オレ宛にメールが来た！
「前略 雄哉くん
たまには左手と親密度を深めるのも新鮮でいいかもしれません。」
・・・・・・左手・・・かぁ・・・・。
そういえば前に先生がベットでオレのをいじくりながら
「左手ですると他人にしてもらってるみたいでちょっと興奮するで」
って言うてたけど、オレ不器用やからなぁ・・・・。
稲嶺智晴スケッチ
稲嶺先生
「宿題忘れました」
年相応にテヘッと可愛らしく笑う恋人に朝から説教するオレ。
こんなことで、オレらの将来ダイジョーブですか、雄哉くん。
稲嶺
寒かったら有働に近づく。
若くて新陳代謝が激しい彼からはいつも熱が放たれていて、
なんとなくあたたかく感じる。
稲嶺
綱引きは有働一人で数人分の力を出しダントツ一位。
リレーははじめ５位やったのにバトンがアンカーの有働に
渡った途端、惚れ惚れするようなごぼう抜きで一位となり、
オレのクラスは総合優勝した。
有働の活躍の勝利で、そんな彼にクラス全員感動し
感謝の気持ちを込めて、放課後にグラウンドで
クラス内パン食い競争大会を開いた。
有働は喜んでパンに食いつき、
夕日を背に皆で子犬みたいに走って、じゃれて、
そんな青春してる彼らを眩しく感じながら、
オレは職員室の窓から見つめてた。
2005/10/31
稲嶺
冬はラグビーシーズンで有働がとくにカッコヨクみえる季節やから
恋人としては嬉しいけど、連日試合や合宿で
会える日が極端に減るから、ちょっといややったり。
有働
冬になると試合や合宿でほとんどの休日がつぶれるから
なかなか先生と（二人きりで）ゆっくり会えへんなる。
「先生、オレと会えへんなるのさみしい？」
って聞いてみたら
「ぜんっぜん！いっぱい本読めるし、一日ずっと
ゴロゴロして過ごせるから、むしろ楽しい」
と本当に清々しい表情で言うからオレはガックシうなだれた。
あ〜あ・・・。
