2007/2/3

有働


ラインアウトが苦手や。
FW第2列(ロック)より身長が高いから、
いつの間にかジャンパーにされているんやけど、
使いものにならへんぐらい酷い。
しかも大抵相手チームのジャンパーより高いのに、
どうしてもボールが取れへん。

持ち上げられて視界がイッキに高くなると
ボールの競り合いどころではなくて、心の中で
「うわわわわわ・・・・・・!」
と叫んでる。
完全にビビッてて、いかにして着地するか
ばかり考えてるから、ボールが取れへんのや。

・・・・どうやらオレは高所恐怖症っぽい。
元々、遊園地も好きとちゃうしな。

「あの、フワッと持ち上げられるの気持ちいいやろなぁ」
って先生が言うから
「先生、遊園地の乗り物好き?」
って聞いたら
「うん、めっちゃ好き!」
と力一杯答えられた。
171センチの先生とラインアウト競り合っても
オレ、負けそう・・・・。
2007/2/4

高所恐怖症・カナヅチ有働


ああ・・・・地面はええなぁ。
空中も水中も人間の本来いるべき場所やない。
やっぱり地面に踏ん張って生きていかんと、うん。
2007/2/5

有働


「あっ、ゆうちゃんの顔に泥がついてる」

姉ちゃんはハンカチで拭こうとするけど、オレは顔をそむけた。
そんな態度をとっても
「大丈夫?どっか怪我してへん?」
と心配そうに背中の泥を払う姉ちゃんに、
オレは腹立ちと罪悪感で複雑な気持ちになる。

オレは小さい頃から姉ちゃんたちの言うことをよく聞く「いい子」で
疑問を全く感じひんまま、なんでもかんでも従ってきた。

それが、ラグビーをはじめて、男だけの世界を知ってから
試合の後とかに姉ちゃんがメンバーの前でいちいちオレに構うのが嫌で、
はじめて姉ちゃんを疎ましく、恥ずかしく感じた。
オレもう高学年やのに、皆の前で子供扱いせんといてほしい。

いつも口うるさく、でも優しい姉ちゃんたちを疎ましく思うのは
悪いと感じながら、でも放っておいてほしい気持ちの方が大きい。

このやるせない怒りと、切なさは一体なんやろう。
2007/2/7

有働


思いっきり、ガッと脚を広げて挿入すると
先生は苦しそうにオレの腰を押し返そうとするけど
片手を前にやると、
「ア・・・・」
と可愛い声を出して抵抗をやめる。

100パーセント、男や。
2007/2/8

稲嶺


「オレもっと接点に強くなりたいし、体重上げたいんやけど
 必死で食っても、なかなか体重って増えへんもんやなぁ」
現在96キロの有働がため息をついた。
「そら、毎日そんだけ運動してたらな」
「牛乳にプロテインとバナナと生卵を入れて飲んでるんやけどなぁ」
「・・・・・・・」

パツンパツンの筋肉で均整のとれた体をしているけど、
あとちょっとで100キロの恋人や。
一人前のラガーマンとして100キロは越えたいらしい。

・・・・ガンバレヨ・・・・・。
2007/2/9

伊賀(有働の後輩)


「さっすが元サッカー部!キックうまいな〜!」

ゆうちゃん先輩は、いつも褒めてくれる。
そうやって心から感心してくれるから嬉しくなって
どんどん練習して、どんどん自信をつけ
試合ではほとんどオレが蹴ることになった。

「オレ、キックとラインアウトはアカンからな〜」
とゆうちゃん先輩は言うけど、練習のときに
たまにふざけて蹴る、どんな難しい角度の
コンバージョンキックでも、はずすのをみたことがない。
(ラインアウトはほんまにアカンけど・・・・)
2007/2/13

女子高生


「あ!見えた見えた!グランドにいるいる!」
伏水高校の塀に登って叫んだ。
「ほんま!?うちもうちも〜!」
皆スカートのまま、登ってくる。

バレンタインの当日、うちら女子高生があまりに
たむろするから、放課後、校門が閉められた。
これでは、せっかく手作りしたチョコレートを渡せへん。

でもうちらは負けへんで!
「せ〜のッ!」
「有働く〜ん!!!」
塀の上から皆で声を揃えると、グランドで練習してる
有働くんが振り向いた。

うちらの姿に驚いてボールを落した有働くんに
「受けとって〜!!!」
いっせいにチョコレートを投げる。

誰よりも、有働くんの近くに届きますように!
2007/2/20

稲嶺


「お互い髪を濡らして大学行くのって、ちょっと情緒があるね」

講義の時間がせまっているから慌ててシャワーをあびたのに
教授がまたオレのカラダに火をつけながら囁いた。
2007/2/27

有働少年


ただ体を動かしていても物足りんかった。
もっと激しい何かを求めていた。