呟き日記 6月


アキ兄ちゃんといっしょ

「アキにいちゃんのおちゃのませて」

「ハルちゃんも水筒持ってるやろ?」

「アキにいちゃんのおちゃのほうがおいしいもん」

「ふ〜ん?おんなじお茶やのに…」

闘牛

稲嶺智晴

試合前、選手同士がドッカンドッカン肩と肩をぶつけてるのをよく見る。
きっと試合で生じる激しいコンタクトの衝撃を身体に馴染ませてるんやな。
有働はよく第一列
(背番号1〜3番)の先輩にスクラムの練習台にされてる。
その姿はまるで闘牛。
いまから闘いに出る意気込みを感じられて、試合前の選手を見てると、こちらも興奮する。



赤ちゃん相撲

有働雄哉

今日、ものっそい衝撃的な出来事があった。
いきなり校長室に呼ばれて何事かと思ったら、なんと有名な相撲部屋からスカウトが来てた!!
この年齢にしてこの体格ちゅうことと、試合中のタックルに惚れたとのことで。
担任として同席してる先生の肩が震えてる。きっと笑いを堪えてるに違いない・・・・。
とにかく、スカウトの人にはラグビーへの想いを熱く語って丁寧に断った。
でも、オレがお相撲さんて・・・・どうなん、それって・・・・。

実は昔、地元の「赤ちゃん相撲」に出場させられたことがある。
誰よりも泣きに泣いて、「泣きの横綱」を獲得したらしい。
そのとき、ゲストで来てた力士が、
「この子は手足が大きいから、大きな子に育ちますよ」
と太鼓判を押したらしい。・・・・オレ犬とちゃうねんから。


ハルちゃん争奪戦



稲嶺智晴

オレが赤子の頃の写真を見ると、女の子みたいな格好させられて、
しかも兄貴二人に引っ張られまくってるのばっかりや。
妹やと信じて疑わへんかった二人は、つねに争奪戦が行われてたらしい。
「ハルちゃんがボクに向かって笑った」
「さっきボクに二回も笑ってくれたもんね!」
「ハルちゃんを離せ」
「そっちこそ離せ」
そうやって二人の兄貴に家中引き摺りまわされ、しまいには雑巾みたいになってたと、いまだに母親が笑って聞かせる。


下駄

有働雄哉

カランカランと廊下から音がして、それはだんだん大きくなり、教室の前でとまったと思たら、
ガラッ
「はよ〜っス!」
って、先生やった。
今日の先生のいでたちは、派手な和柄のアロハシャツとジーンズに・・・・下駄・・・・。
昨日、雪駄で堅物国語教師にこっぴどくやられたとこやのに、次の日にはさっそく下駄て先生・・・・。
それって音が鳴るだけ余計にタチが悪いと思う。だいたいどこで仕入れてくるんや。
まったく先生は一人にさせたらロクなことしてへんな。
「稲っち、また怒られるで」
後ろからクスクス笑い声が聞こえた。
皆のヒソヒソ話に気がつかずに淡々とホームルームを進める先生。
ホンマに天然なんはわかってるけど、ここまできたら、わざと堅物国語教師の神経を逆撫でしてるんやないかと疑ってしまう。
・・・いや、おもろいけど。

ああ、今日の休み時間もみれるんや。
真面目堅物国語教師VS不真面目天然歴史教師(横でオロオロ体育教師)図が。
いよいよ学校の名物になってきた対決やなぁ。
・・・いや、おもろいけど。