呟き日記 9月


四年後のオレへ


9月!

世界ではラグビーのワールドカップが開催されているけど、
オレは相変わらず残暑の厳しいここ京都のグランドを走ってる。

将来ジャパンに選ばれて、ワールドカップで世界の選手とぶつかってみたい。
…オレのプレイはまだまだなんはわかってる。
でも次のワールドカップでは二十歳、きっと大学生。

四年後のオレに聞きたい。

二十歳のオレの実力は、どうですか。
オレはもっと強くなってますか。
先生を包みこめるぐらい、中身も大人になってますか。



※ジャパン=ラグビー日本代表



遠足

          

稲嶺智晴

マイペースに歩くから、遠足ではよく集団から離れて迷子になった。
幼いオレの、予測のつかへん行動はよく先生を困らせけど、それがいまや遠足の引率をする「先生」や。
今年の遠足、有働らをどこに連れて行こかなぁ!




お月見



有働雄哉

今日は仲秋の名月。
オレはいつも7時頃まで練習やし、寮の門限は9時。
二時間しかないけど、月見をしようと先生を無理やり誘った。

先生の手をひいて鴨川(伏見やから結構下流)へ降りる。
ちょうどええ感じでススキ越しに満月!
やっぱりここはキスの一発でも!とつないだ手に力をこめたら
「甘いのは嫌いやし団子は食えんで、酒や、酒!酒はないんか」
雰囲気ぶち壊しで先生はぼやいた。




伏MI稲荷大社(千本鳥居)



有働雄哉


毎朝夕、伏見稲荷大社を抜けて、稲荷山頂上までジョギングする。
このコースはうちの高校の運動部や近くの警察学校の生徒がよく利用する。

稲荷山に登るには、よくドラマなんかで登場する迷宮のような千本鳥居をくぐり抜けんとあかん。
朝靄の中や黄昏時、いつもその数に圧倒されて、すこし不気味に思う。
イッキに駆け抜けて、蝋燭の火に浮かび上がる狐を見ィひんようにさらに登っていくと
昭和初期っぽい風情の残る茶屋が数件あって、その先が頂上。
歩いて登ったら30分ぐらいの距離をひたすら駆け登る。
頂上ではさらに階段ダッシュ三本、腕立て、腹筋・・・・・。

稲荷山の頂上からは京都市の南部が一望できる。
登るまでは不気味で怖いけど、その風景がすごく好きやから、
先生と一緒に見たいと誘ったら
「んな朝早よぉから、登山できっか!健康オタク!」
とキレられた。
部屋の端にはオレがあげたダンベルに埃がかぶって転がってる・・・・。
(8月日記参照)



授業中



有働雄哉

夏休みが終わって、いよいよ新学期や。
勉強は好きやないけど、毎日確実に先生に会えるからすごく嬉しい。

でもホームルームでも授業中も先生はほとんどオレを見てくれへん。
涼しい顔で淡々と授業を進める。
悔しいから何度かノートに「好きや!」とか「今晩行く」とか書いて先生にチラチラ見せた。
その時は無視を決めてた先生も、後で顔どころか耳まで真っ赤にしながらカンカンに怒って
「黒板からノートに写す以外は、教科書だけを見て一切顔を上げるな!上げたら教科書10ページ読ます刑!」
とわけのわからん法律をつくった。

今日もオレはひたすら下を向きながら、よく通る先生の声を聞いている。