「逃げられると思うなよ?」後
「ストップ」 「へ?」 イキナリな言葉になんなんやろ?と、不用意な振り返りざま。 「えっ!?」 身体を抱きかかえられて、運ばれて、あっという間にベッドに押し倒された。 「圭!?」 何この状況!? 「誰も買いに行けなんて言ってませんよ」 「だって!」 じゃぁどうしろ言うねん!用意せーって言うたやん。つーかなんで笑顔やねん。 「チョコレートなら家にあります」 「は?」 圭の言う事がわけわからん。 たぶん思いっきり俺はそういう顔してたんやろなぁ。そんな俺の目の前に圭が取り出したのは、夕方スーパーで買ったチューブ入りのチョコレート。 それとこの今の状況と、バレンタインと何の関係があるんや? 「それ、おいしく食べる良い方法があるって・・・・・・」 「はい」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!! 「いやや!!」 俺はその時になってようやく圭の意図がわかった。あーなんで俺はこんなにアホなんやーっ。そ、それ、俺に塗るとかそういう話やってんや!ってかそんなん絶対嫌やって。 俺はまじで嫌で、逃げようと暴れだした。 「おとなしくして」 「いややって!」 そんなん大人しくしてらるかー!言うねん。 俺は押さえ込まれる前になんとか逃げ出そうと、仰向けだった体制を逆転させて、這うように圭の下から逃げようとした。 その手を後ろから掴まれて後ろ手にまとめられて。 「圭!?」 そのまま圭は俺が脱ぎ捨てたパジャマをいつの間に手にしていて、それで俺の腕を一括りにしてしまう。そしてひっくり返されて、抵抗が出来なくなった俺からパンツを一気に引きずり下ろした。 「圭っ」 「逃げられると思ってるんですか?」 俺を見下ろした圭は、不敵な笑みを浮かべていた。衣服がまだ乱れていないのが、どうしようもなくむかつく。 「手!解け」 「だめです」 「圭!!」 「これから、このチョコレートで綺麗に飾ってあげます。バレンタイン仕様にね」 圭はそういうと、チューブの蓋をはずして俺の乳首に押し付ける。 「ふっ・・・」 その無機質で冷たい感覚に身体がビクっと震えて、俺は思わずすがる様に圭を見上げた。助けて欲しい。 「しっかり飾って、食べてあげます」 笑顔で宣言するその圭のなんとも言えない顔に、こんなピンチな状態のはずやのに、俺のアソコがドクってしたんがわかる。 何されるんやろうっていう怖さと、期待? 「大体、ポッキーなんかで済まそうとするナツが悪いんですよ」 「え!?って、・・・圭なんでそれっ」 圭の言葉に俺は誤魔化すとかそんなん考えるより前に、素直に驚きを表してしもた。だって、バレてるなんてそんな思ってもみーへんかったから。 「そんなの見ていればわかります。板チョコの前で百面相して53分粘ったあげくに、ポッキーなんて」 「!!」 ――――あかん、この言葉に俺は完全ノックアウトや ・・・・・ 頑張って抵抗した甲斐も無く、俺は圭の手によってチョコまみれにされてしまった。胸から腹、そしてあろう事か勃ち上がったのにもチョコで飾り立てられて、ラッピングが必要ですね、って言葉とともに根元にはキツくリボンが巻きつけてある。 「ふっ・・・、やぁっ」 圭は今俺の腹を舐め上げている。その舌からのなんとも言えない刺激に声は自然とあがってしまう。 「おいしいですよ」 腹につけられたチョコを舐め終わったらしい圭の言葉に、俺は自分の顔が熱くなるんを感じた。 「けいっ」 頼むから、そういう事言わんくていいからっ。それでなくてもこんな、腕を縛られて胸を突き出して、チョコまみれの姿で気持ちよくなってる自分がもの凄い恥ずかしいねん。 「ナツ?」 圭の呼びかけるような声に、恐る恐る開けた瞳の先には不敵に笑う圭の顔があった。口のはしに付いたチョコをペロリと舐める仕草が、なんかエロい。 「ココはもっとおいそうですね?」 その言葉に、えって思った瞬間、圭は俺のチョコまみれのモノを指でつついてきた。根元を縛る真っ赤なリボンが最高にいやらしい。 圭の指が裏側をつーっと擦り上げてきて、ぎゅっ握られた。 「あふっ・・・、んん」 足を大きく開かされ、指の代わりにソコに圭の舌を感じて俺は再び目をぎゅっと閉じた。 舌がチョコを舐め上げるように上下して、時折押し付けられる唇。先を口に含まれて、舌で叩くように動かされたかと思うと、吸い上げられる快感。 それでなくても、胸やら腹への刺激だけで元気に勃ち上がってんのに、圭のそんな舌技に俺のモノが堪えられるはずが無い。 「け、いっ・・・、・・・もう・・・っ」 解いて。イカせて。 俺の今のこの切実な願いは、圭には届かないっていうか無視される。 「ああっ」 圭の指はリボンではなく、奥へと滑り込んできた。唾液なんか、我慢できずにこぼした雫なんか、それともチョコなんか全然わからんねんけど、何かで濡れた指先が押し当てられるんを感じる。 「けい・・・、圭・・・っ」 入り口をさする様に動く指にすら感じて奥が疼いて、そこがヒクヒクしてしまうんを自分でも感じてんのに。 「そんなに欲しいですか?」 笑いすら含んだ圭の声がむかつく。いちいち聞くなっちゅうねん! 圭は指を中には入れてくれへん。入り口だけで遊ばれて嬲られて、もどかしい快感が身体ん中に広がっていく。 「腰、揺れてますよ」 「・・・っるさい・・・、ぁあ・・・、ああっ・・・」 抗議してやろうと口を開いたのに、全部言う前にその指が中に入ってきて、文句は喘ぎ声に変わってまう。 「はぁっ、・・・っ・・・ああぁぁっ」 悔しいけど、待ち望んだものを自分がぎゅうぎゅう締め付けてるんがわかる。圭はそれを楽しむみたいに中を掻き回して、さらに指が増やされる。 「ひぃ・・・っ、ぃい・・・・・・」 なんか束縛された手が自由にならないのが怖いのか、認めたないけど刺激になってるんか、些細な仕草全てに感じてしまう気がする。声も、全然我慢できへん。 「ああっ・・・!」 中をかき回されながら、圭の口がまた俺のを咥えた。 もうやだ、吸うなって。 縛られて出口が無いのに吸われると、暴れる快感の波に腰をめちゃくちゃに振ってしまいそうになって、神経がソコ一点に集中してしまう。 「やぁ・・・っ!」 中を掻き回していた2本の指が一気に引き抜かれて、思わず追いかけるように腰が揺れてまう。 「良さそうですね」 「ふぁ・・・っ、け、いぃ・・・・・・」 クスって圭が笑った気がした。 でも確かめようかと目を開ける前に、熱い感触を感じて、圭がそのまま一気に奥まで入ってきた。 「くっ、あああぁぁぁ――――・・・・・・・・・っ!」 思わず怯む腰を抱えて戻されて。 ぎゅっと閉じた瞳からは、生理的な涙が零れ落ちる。そのまぶたに圭の唇の感触がした。うっすら目を開けると、圭はやっぱりクスって笑って、頬や首筋にキスを落としてくる。 「腕、ほどいてーや・・・」 もう痛い。それに、圭をぎゅーって抱きしめたいねん。 「ああ、そうでした」 圭はちょっと慌てたみたいに俺の腕を解放してくれた。少し痛んだ腕を取り上げて、その手首や甲にもたくさんキスしてくる。 「うわ・・・」 まじまじ見た自分の身体に俺は思わずびっくりした。そこらじゅうチョコの残骸でどろどろのベトベトやん。圭の身体にもチョコ付いてるし。 「後で一緒にお風呂入りましょうね」 「んっ、俺・・・もう入ったのに・・・、あんっ」 ちょっと上げてみた抗議の声に、乳首を摘まれた。 「あぁ・・・、やぁっ」 グイっと押潰されてはまた摘まれる。それでなくても俺の身体は感じ過ぎてて変やのに、さらにじわりと快感の波が広がっていく。 「こそこそと先に入って、寝てしまおうとか考えるからですよ」 「!!」 圭の言葉に一瞬浮かんだ背が、ドスっとベッドに落ちた。 そこもバレてるんやん・・・。全然アカンやん、俺・・・・・・ 「ばかですねぇ」 「はぁ!?」 バカってなんやねん。 「ナツの事で、私がわからない事があると思ってるんですか?」 ・・・・・・それ、どういう意味や??ポッキーの事といい何でも知ってるって・・・ストーカーやん!? って、そんなん考えている間に圭が俺の脚を抱えなおした。 「あっ!ああ―――・・・、んん・・・っ、ぁぁあああ」 圭がいきなり動き出して、その熱を奥にまで感じさせられた。ゆっくりとした動きから、少しずつ激しくなって追い上げてくる圭。 グッと打ちつけられて、背筋をなにかが這いあがってくる。 「けい・・・っ!・・・・・・あああっ、っねがい・・・・・・」 快感が渦の様に波打って押し寄せてきて、身体は既に一杯一杯で、我慢の限界を超えてく。リボンを解いてイカせて欲しい。 願うのはそれだけなのに、さらにイイところにぐりぐりと押し付けて、圭が擦り上げていく。 「やあっ、・・・・あか、んって・・・・・・、けいぃ」 もうマジ限界。自分が淫らに腰を振って圭にすがっているのも、全然無意識。もう、わけがわからんくて、頭ん中はめちゃくちゃ。 ただ追い上げられる感覚と、快感が背中を這い上がってきて脳まで犯されていく気分。抜けるギリまで引き抜かれて、一気に奥まで叩きつけられて、限界まで上り詰めている。 「やぁぁ――――っ、もう、イカせてぇ・・・・・・っ」 内臓も何もかもが全部ぐちゃぐちゃになってしまう、瞬間。快感に目の前が白くなっていく。無我夢中ですがった圭の身体に、爪をたてた。 「ナツ、好きです」 圭の、快感に犯された様な声が、届いた瞬間。 「ああぁぁ・・・、んっ、イ、ああああぁぁぁぁ―――――っ」 俺は、いつの間にか解かれたリボンによって、やっと熱いモノを吐き出した。 あまりの快感に、一瞬意識が混濁して、圭のキスに意識が戻された。 「ナツ?」 まだ視界がぼやけて、俺は焦点を合わせようと目をパチパチさせてから圭を見上げた。 ああ、やっぱめっちゃかっこいい。 ちょっと心配そうで、汗に濡れた、色っぽい顔。 俺は、自由になった両手を伸ばして圭の頭を挟んで。 「ナツ?」 「・・・俺も。俺もめっちゃ好き」 ほんまにめっちゃ好き。なんでこんなに好きなんかとかもうよーわからんくなるくらい、好きやで。 「あ?」 まだ中にある圭がなんか、ビクってした。なんでいきなり? 「・・・明日学校行けなくなってもしりませんよ?」 「へ?」 圭の言葉の意味がわからんと、首を傾げてその先を聞こうと開いた口に、圭の舌が荒々しく入ってきた。深く舌を突き刺してきて、俺の舌を根元から絡め取った圭。キツく吸われて、軽く歯を立てられて、俺は中の圭を思わず締め付けた。 ようわからんけど、圭が熱くなってくれるんは嬉しいし、俺も一回なんかじゃ物足りないから。 熱いキスに、自然と腰が揺れて、俺は圭の腰を脚を絡めた。 |