聖夜・・・咲斗と響
・・・カラン 咲斗は迎えに来ると言っていた時間から1時間ほど遅くなってしまって、電気が消えた店内の扉を、慌てて押し開けた。 「お疲れ」 そこにはカウンターの中のみ薄暗い明かりをつけた小城が立っていた。どうやらこちらも大繁盛で、まだ片づけが最後までは終わっていないらしい。そのカウンターに、つっぷすように響が座っていた。 「ちょっと客に飲まされてね」 響の様子を、小城は肩をすくめて解説した。どうも浮かれて強引になった客を、うまくかわせなかったらしい。 「迷惑かけた?」 「いや」 「悪かったね」 小城は笑って首を振ったが、咲斗は少し肩をすくめて謝罪の言葉を口にした。 店員が酒に飲まれるなど、店には迷惑な話だ。勧められる酒をうまくかわして客に飲ませなくてはいけないのに。店員が潰されたらただでさえ忙しい店が、さらに大変になってしまう。 それでもそのすやすやと眠る寝顔が何よりも愛しいと思えて、そっとその頬に指先を伸ばした。触れた頬はお酒の所為か、少しあたたかかった。 「タクシー?」 「ああ、下まで運ぶ」 咲斗はそういうと、抱えようと響の腕を取った。その動きに、響がんっ、と声も洩らして薄目を開ける。 「あれ?起きちゃった?」 その声に響は目をパチパチとしばだたせて。 「ん・・・、咲斗、さん?」 まだ少し寝ぼけた、舌足らずな声を出す。 「うん。迎えに来たんだ。遅くなってごめんね」 「ううん、ごめっ、起きる・・・」 まだ寝ぼけた調子でそれでも響は自分で身体を起こし立ち上がった。が、少しふらついて、伸ばされた咲斗の腕に支えられる。 「大丈夫?」 「んー・・・あ、由岐人さんは?」 「剛が迎えに来たよ」 「そーなんだ」 響は少し嬉しそうに笑った。つい今しがたまでカウンターの隅で飲んでいて、迎えにいくとは聞いていたが、ちゃんと会えて一緒に帰れらたらしく、嬉しくなった。そんな響の笑顔に、咲斗も溶けるくらいに甘い顔で笑う。 「さ、行くよ」 「うん。あ、小城さんお疲れ様でした」 響はぺこりと頭を下げる。その仕草は、やっぱりまだだいぶ酔っているようだ。 「お疲れ。気をつけてね」 「はーい」 どうみても頭の半分はまだ寝ているらしい響に、小城はくすくす笑って咲斗に目線だけで合図をした。咲斗とも小さく頷いて、来たときと同様にカランと音を立てて出て行った。後には小城が一人取り残され、また静寂が戻る。 あんなに溺愛してて大丈夫かね、なんて小城はちょっと思って笑ってしまうけれど。自分もそうなのかもしれないと思い返して、浮かべた笑みが思わず苦笑に変わった。 後30分もすればもう一度扉の音が鳴って、愛しい人が顔を覗かせる。それまでに片付けてしまおうと、小城は再び視線を手元のグラスへと戻した。 ・・・・ 「どこ、ここ?」 タクシーの緩やかな振動にまたうとうとし始めていた響は、起こされて目を覚ましてみると、見慣れぬ風景が目の前に広がっていた。 「ホテル。さ、降りて」 「ホテル?へ?」 「いいから、ほら早く」 全然正気に戻っていないらしい響に説明するのが面倒なのか、咲斗は強引に響をタクシーから降ろして。フロントで鍵を受け取って響の腕を引いて、20階へと向かった。 その間、わけのわからない響はされるがままという状態。 「ここ?」 「うん」 なんだか普通のホテルよりちょっと豪華な扉を開けると、ホテルとは思えない広めの玄関。 「・・・ホテル?」 「そうだよ。クリスマスだからね、たまにはいいでしょ?」 床はふかふかの絨毯が敷き詰められていて、なんだか靴なんかいらない感じ。響は家でのいつものように、入り口で靴を脱いでぺたぺたと歩いていく。 「うわぁ〜〜〜凄い!」 室内へと通じる扉を開けて中へ入ると、一面の窓が開けて東京の夜景が一望できた。 「きれー!!」 響はぱたぱたと窓際に近づいて、ペタっとその窓に張り付いた。室内は程よく暖められていて、寒さも感じない。窓は一点の曇りもなく、まるでそこに窓ガラスがはめ込まれていないかのように夜空を感じた。ベランダもないので、本当に足元からの夜空。 「気に入った?」 「うんっ。凄い!!」 今年のクリスマスはここで一緒に祝おうと半年も前から予約していたセミ・スィートの部屋。あの男の事で色々あって、無駄になるかもと思っていただけに、こうやってここで一緒に祝えて響の笑顔が見られて、咲斗は本当に良かったと思った。 「シャンパンも用意したんだけど?」 咲斗はそういうと、テーブルに置かれていたシャンパンを取り上げた。それも事前にホテル側に頼んでいたもので、銘柄も指定していた通り。よく冷えていた。 そのシャンパンとグラスを手にとって、窓辺へと近づいた。 「飲むっ」 響が嬉しそうに笑うと、咲斗はくすくすと笑顔を漏らす。 「大丈夫?だいぶ酔ってるみたいだけど」 「大丈夫っ!」 咲斗は強気の響の言葉に肩をすくめながらも、窓際にたたずむ響の足元にボトルを置いて、グラスを二つとも響に渡す。 「あ、開けてみる?」 そのまま自分でシャンパンを開けるつもりだった咲斗なのだが、ふと思って響に尋ねてみると、響はぶんぶんと首を横に振った。 「栓飛ばして、なんか割りそうだからいい」 その仕草がかわいくて、やっぱり咲斗は笑ってしまう。そしてフキンで覆いながら手馴れた仕草でポンといい音をさせて栓を抜いた。そして、サッっとフキンをはずすと響の持つグラスにシャンパンを注ぐ。それは本当に流れるように手際が良く、さすが、というべきなのだろうが。 「――――何?」 さっきまで上機嫌だったはずの響の顔が、なんだかちょっと怒ってるように見えて、咲斗は驚いて声を発した。何かまずい事をしてしまったのだろうかと、途端に内心焦りだす。 「・・・別に」 別にといいながら、その顔は全然別にという言葉を物語っていない。眉間に少し皺がよっている。 「別にって顔じゃないよ?」 咲斗は苦笑を浮かべて軽く言っては見るものの、内心はもうドキドキしていた。 「うー・・・ただ・・・手馴れてるなぁーって思って」 拗ねた物言いが、最高にかわいかった。 響は、きっと今までたくさんの女の人にお酒をついで、咲斗がそんな笑顔を見せたのかも、と思うだけで嫉妬心がむくむくと沸いてくるのだ。だから結構真剣に拗ねていたのだけれど、そんな子供っぽい嫉妬心が怒った顔の原因なのだとわかった咲斗は、逆に嬉しそうに笑った。 「響?」 「なにぃ」 ちょっとふてくされた顔で上目遣いに響は咲斗を見る。 「好き」 「っ」 ボンっと音がしそうなくらいの勢いで、響の顔が赤らんだ。だって咲斗の言葉はいきなりの不意打ちで、満面の笑みの咲斗の顔が、この上なく甘く優しかったから。 拗ねてたことも一瞬で忘れてしまう。 「こんなに俺を幸せな気持ちにさせてくれたのは、響だけだよ」 本当に。過去の事を、響ならきっと受け入れてくれると信じていた。信じていたけれど、不安だったのも事実。知らなかったとはいえ、異母兄弟と関係を持って、しかもそれも愛じゃなかった。両親をあんな形で亡くして、由岐人にとっても良い兄でいてあげることも出来なかった不甲斐ない、格好悪い自分。 そんな、出来れば隠して消してしまいたい過去を、響だから。響にだけは受け入れて欲しくて。 それが叶ったのだとわかった瞬間はどうしようもなく嬉しかった。それこそもう、飛び上がりたいくらいに。 「俺も」 「・・・え?」 だから、今はもう信じられないくらいに幸せなのに。 「俺も咲斗さんだけだからねっ」 響はもっともっと咲斗に幸せをくれる。それこそもう、どうしていいのかわからなくなるくらい。 咲斗はもう胸一杯にうれしくてうれしくて、愛しくてどうしようもなくて。響がシャンパンの注がれたグラスを持っているのも忘れて思いっきり抱きしめてしまった。 「うわっ!!」 「あ・・・」 カチャッっとグラスが触れ合う音がして、しまったと咲斗が身体を離したときには遅かった。グラスは割れなかったものの、中に入っていたシャンパンはこぼれて響の衣服をしっかり濡らしていた。 「ごめん」 「もうっ」 バツの悪そうな咲斗に、響はくすくす笑いながら怒った顔を作ってみて。着ていたスウェットパーカーに手をかけた。ジップをおろして脱ぎ去ってみると、中のTシャツも少し濡れていた。 「ん〜どうしよ・・・」 着替えはないのだ。 「脱いじゃえば?」 「え?」 「暖房効いてるし、寒くないよ」 咲斗はそういうと、自分の着ていたジャケットも脱ぎ捨てて、響のTシャツに手をかけると強引に脱がせてしまった。そしてそのTシャツを放り投げる。 「咲斗さんっ」 いきなり上半身裸にさせられた響が慌てると、咲斗はそのまま響を窓に押し付けて、濡れた胸をペロリと舐めた。 「ひゃっ」 「うん、ちょっとシャンパンの味がする」 咲斗はそういうと再び響の胸に舌を這わしていった。 「だめだっってば。ちょっ、咲斗さん!?」 響は慌てて身をよじった。こんなこうこうと明かりに付いた室内で、しかもカーテンにも閉ざされていない状態でこんな事。恥ずかしくて仕方がない。 「んっ」 それなのに咲斗は、さらに舌が響の胸を舐めて、色づいた胸に歯を立てる。歯を立てたまた舌でクッと潰してやると、響の背中が窓から少し浮いた。 「響はココ、弱いよね」 ――――口に挟みながらしゃべるなぁっ。 響の言葉にならない抗議は咲斗には伝わる事はなく、響は頭をぱさぱさ振ることであらわして見るけれど、それも咲斗には全然通じなかった。 それどころか今度はもう片方の突起を唇に含まれて、舌先で転がされた。 「はぁ・・・っ」 咲斗はしっかりと響の腰を抱えて。響は自由になった両手でなんとか咲斗を引き剥がそうとするが、酒の所為で元からちょっと力が入らなくなっている響の力では、どうする事も出来なかった。 いつのまにか、はいていたデニムパンツのボタンも外されて、下ろされたジッパーの隙間から咲斗の指が滑り込んできた。 「濡れてる」 からかうように言うと、指先で先端をぬるりとなぞる。 「やぁ、・・・っ」 直接的な刺激に、たまらず響の腰がビクリと跳ねる。足がふらついて、足元に置かれたグラスをカチャリと音をさせて蹴ってしまった。 「あ・・・」 幸い中はすっかり空になっていたので、絨毯にこぼす事はなかったが、その横に置かれたボトルが咲斗の目に留まった。 「そういえば、まだ一口も飲んでないよね?」 「う、うんっ」 もしかしてここでの行為はこれで終われるかな?と響がちょっと期待して元気よく頷いた。 けれど、咲斗は当然やめるつもりはないわけで。おもむろに腕を伸ばしてボトルを取り上げると、ラッパ飲みに口をつけた。 「咲斗さんっ――――んんっ、・・っ」 何?と思った瞬間、響の唇を咲斗がふさいで。その喉にシャンパンが流れ込んできた。 「ゲホッ・・・、ゲホ・・・」 いきなりだったので響は少しむせて、飲みきれなかったジャンパンがまた口の端から零れ落ちた。それを、咲斗が唇と舌で追う。首筋を舐め上げて、所々強く吸い上げれば、転々と赤い印が残る。 それを咲斗は三度繰り返した。もともと酒に酔っていた響は、それだけでもう膝ががくがくしてくる。咲斗はすっかり力の抜けた響の身体を楽々と反転させて、窓ガラスに押し付けた。デニムパンツも下着ごと一気に引き下ろす。 「やっ・・・、咲斗さんっ!」 目の前に夜景が広がって、響は恥ずかしさにまだ抵抗を続けようとしたのだが、咲斗に片手で抑えられて、空いた片手で咲斗はシャンパンボトルを再び手に取ると、あらわになった響の腰からお尻にシャンパンをかけた。 「ひゃぁっ」 その冷たい感触に響が声をあげる。咲斗は、そんな声を嬉しそうに聴いて、今度は膝をついて腰のくぼみやお尻を舐めていった。 「咲斗さんっ」 「おいしい」 くすっと咲斗は笑って言うと、さらに舌を這わせながらまた時折きつく吸い上げて、またいくつもの赤い印を残していく。 一転の曇りもなかった窓ガラスに、響の涙とよだれと、堪えきれない雫が行く筋も跡を作っている。 すると咲斗は響の尻に手をかけて割り開いた。 「いやっ!!」 途端に響は羞恥に真っ赤に染まった顔をするが、暴れる気力が既になくなっている。立っているのが精一杯なのだ。さらに、その尻を咲斗が軽く歯を立てて噛み付かれて、なすすべもなく背中を震わした。 咲斗は開いた尻にもシャンパンをたらす。 「あぁ・・・っ、・ぁぁ・・っ」 その感触に、響が背中をそらして震える。膝ががくがくして、立っているのもつらいらしく、窓ガラスに爪を立ててしがみついて、腰を咲斗に支えられるようにして、なんとか立っていた。 「響、外から丸見えだね?」 「あっ!・・・いやぁっ」 お酒と快感にぼーっとなっていた響が、咲斗のその言葉に我に返って、目の前の夜空に目を移した。眼前に広がる夜空、夜景。まるでその中に浮かんでいるような擬似感。そしてそこに向かって全裸をさらしている自分の姿。 「さきと、さんっ!」 「んー?」 急激に響はいたたまれなくなって、みじろごうとすると、咲斗がその舌を響の蕾にあてがった。 「ひぃっ、いや・・・・やだっ、ああっ!」 そんなところをこんな明るい室内で見られてるだけでも恥ずかしくてどうしようもないのに、そんなところを舐められるなんて、もうどうしていいのかわからない。必死で暴れようとするのに、下半身は咲斗にしっかり押さえ込まれていて、膝がガクガクしている状態では響はなすすべもない。気持ちは焦るのに、身体はほとんど動けなかった。 すると咲斗の舌がさらに舐めてきて、奥をうかがうように進入してこようとする。 「ああぁぁ・・・、ひっ、ぁぁぁ・・・・・」 さらに指も添えられえ、中に入ってきた。 「ああっ、・・・ふ、ぅん・・・っ」 中をゆっくりかき回されて、指を折り曲げられて広げられて。咲斗の唾液が中に入ってくると、堪らずに響の膝がガクっと折れた。 「響、しっかり立って」 「もう、むりぃ・・・・」 「だーめ。もうちょっとだからしっかり立って」 そういうとまた尻に軽く歯を立ててやる。それも刺激になるのか、勃ちあがった響自身がまたピクっと震えた。とろとろと雫はとめどなく流れ落ちて、窓ガラスに行く筋もの跡が残っていく。 咲斗はそんな様子を嬉しそうにくすくすと笑って、残り少ないシャンパンで指を濡らすと、2本いきなり響の中に入れた。 「あああ――・・・・っ」 中でばらばらと動かして、わざと感じるところを掠めていく。何度も何度も繰り返していくと、響の口からはひっきりなしに嬌声が漏れて、先端はどろどろになっていく。 「あ・・・、咲斗、さん」 「何?」 「・・・なんか、熱い・・・」 咲斗の指が出入りするところがなんとも熱くなってきたのだ。それは咲斗の指についたシャンパンの所為なんおだが、響にはその原因がわからなくて、苦しげに何度もぱさぱさと頭を振った。 「熱いんだ?じゃぁー冷やさないとね」 咲斗は意地悪くそういうと、もうほとんど中にも入っていないシャンパンボトルと手にした。入れられた2本の指でグッと蕾を押し広げて、そこに直接シャンパンボトルの口をつける。そして、グッと傾けた。ほとんど中身はなく、だいぶぬるくなったとはいえ、いきなり中に液体が入ってきて。 「ひぃぃっ、・・・ああ・・・ぁぁあ・・・・んんっ、あああ!」 奥までちょろちょろと流れ込んでくる感覚に、響は背中を大きくそらせて、とがった胸を窓ガラスに押し付けた。そして、ずるずると窓に胸をこするようにしながら上体が崩れ落ちた。 咲斗に抱えられた腰だけを高く突き出す格好で、四つんばいに近い格好になる。 「熱いの、少しは冷めた?」 そんな響に咲斗は嬉しそうに笑って、また響の中をぐちゅぐちゅとかき回しだした。既に指は3本になっている。 「熱い・・・あついよぉ・・・・っ」 中は当然冷めるどころか、どんどん熱くなっていく。雫はひっきりなしに零れ落ちて、ドクドクと脈打って既に限界を訴えていた。 「さ、きと・・・さん」 そんな事はとっくに知っているはずの咲斗なのに、一向に前に触れる気配も入れる気配もさせなくて。響は感じすぎてつらくなっている体をくねらせる。 もうちょっとなのに、イケないつらさがもどかしくて苦しい。 「もうっ・・・、もういれてぇ・・・っ」 そしてとうとう我慢できなくなった響は、咲斗にねだる声をあげる。もう今にもイキそうなのに、もうちょっとでイケないのだ。それは咲斗が上手く加減しているからなのだが、快感と酒で意識はすでの朦朧としている響にはそんな事考える余裕もない。 ただもう中に入れて欲しくて。咲斗を感じて、イキたいっということしか考えられない。 「欲しい?」 「ほしぃ・・・」 絨毯にペタリと頬をつけた状態の響は、その涎で絨毯にシミができていく。さらに下も、ひっきりなしに雫が落ちるので、そこも絨毯にシミを作っている。 すっかり全裸にされた響とは対照的に咲斗は少し着崩れただけで、まだシャツもパンツも着たままだ。 けれど、咲斗とて限界はきていた。 「いれてぇ・・・・」 少し舌たらずになった言葉と上気した頬、濡れた瞳に見つめられて、それが最後の一押し。咲斗は急いで前をくつろいで、自身のものを取り出すと、それは十分にいきり立っていた。 それを響はぼーっと見ていた。 ――――あれが、入るんだ・・・すごい・・・・ 「いくよ?」 押し付けられるだけでも圧迫感がある。 それが中にグっと入ってきた。 「ああああぁぁぁ・・・・っ!」 中の熱さがすごかった。咲斗はわざと響の感じると事を擦り上げて一気に奥まで押し込んだ。 「ああああああぁぁぁぁぁぁ――――・・・・っ!」 その衝撃にぎゅっと中が締まったと思ったら、響の背中がぐったりと崩れた。 「あ、イっちゃった?」 散々じらされていた響は、入ってくる衝撃と快感に、我慢する事が出来ずにイってしまったらしい。 「あ・・・、ご、めんなさい・・・」 響は真っ赤になってちょっと視線を下げる。でも、全身気持ちよくて、骨がくにゃくにゃになったような感覚に、自分の意思で身体を動かす事が出来ないらしい。 「なんで謝るの?それだけ、良かったんでしょ?」 「ん・・・」 「響はココがイイもんね?」 咲斗はそういうと、まだグッタリしている身体を震えさせるために、大きく腰を引いて、響の感じるところを再び擦り上げた。 「ああぁ・・・はっ、だめぇ・・・・っ」 響の声があがる。 「まだ、・・ああっ!」 イったばかりで敏感になっている響が、腰を揺らして声を上げる。咲斗はその声に気をよくしたのか、腰に手を添えて、何度も何度も打ち付けていく。 「やぁ・・・、あああ・・・・、っ・・・」 ぎりぎりまで引いて打ち付けて。すると響も腰を回してくる。さっきイったばかりの響自身も、すっかりもう勃ち上がって硬さを取り戻してきている。 咲斗はそこにも指を絡めて、先端をくちゅくちゅっといじる。 「ひぃぃ・・・いい、ああ・・・も、もうだめぇ・・」 「だめ?」 咲斗はさらに手のひらでしごいていくと、響の背中がビクビクと揺れていく。 「さわったら、・・・・変に、ぁぁぁ・・・っちゃう・・・・っ」 さっきイったばかりなのに、またイキそうになっている自分を、響はなんとか堪えようとしているのだが、それも長くは続きそうになかった。 「変になっていいよ」 咲斗はそういうと、響の顔を無理矢理窓ガラスに向ける。 「ねぇ、誰かが見てるかもね?」 こんな時間なので、そういう可能性はかなり低いのだがゼロではない。それを意識したのか、響がぎゅっと締め付けてきた。 「響、そんなエロい顔見せていいの?」 「やだぁっ」 響はそういいながら窓ガラスに手をあてる。少しでも自分の顔を隠そうとしているのだろうか。 そんな響に咲斗はさらに奥を打ちつけた。 「あああぁぁ・・・・っ」 カリっと先端に爪を当てる。 「ひぃっ、あああ、・・・・んっ、さき、とさんっ・・・」 「んー?」 「もうっ・・・、っ」 「イク?」 咲斗は今度はわざと浅めに刺して、入り口付近で抜き差しを繰り返すと、じれた響がもっと強い快感を得ようと腰を揺らしてきた。 「さきとさんっ」 響は無理に首を回して咲斗を見上げる。そこには、快感に濡れた咲斗の瞳があって、その瞳と目が合っただけで響のものが、ズクっと疼いた。 「あ・・・」 咲斗のものも中で一段と重量を増した気がした。 「ったく、その顔は犯罪だよ・・・」 「え?」 小さく咲斗が呟くと、遠慮無しに響の中を激しく出入りしだした。 「あああ・・・・、っ、ぁぁぁぁ」 遠慮なく奥まで何度も突き上げて、響は崩れるように揺すられるままになっていく。中が熱くて焼け死んでしまいそうな感覚に襲われる。 「いいっ、・・・っあああああ!!」 咲斗の、前に絡められていた指も一層激しくなっていく。一気に追い上げられる快感に、響は視界が白くもやがかかってぼやけてきそうになる、その瞬間。 「あああああああぁぁぁぁぁ――――・・・・・・・っ」 響は背中を大きくしならせて、押し寄せた強すぎる快感に窓ガラスにキィっと爪を立てて喉を大きくさらして。イッた瞬間に中に咲斗の精を感じた。 そして登りつめた先から、ふっと落ちていく感覚。 響の意識が、落ちていった。 ・・・・・ ふと腕の中で何かが動く感触に、咲斗はそろそろと目を開けた。 すると、腕の中でぐっすりと眠る響の姿が目に飛び込んできた。バイクの事故の怪我もすっかり消えて、すべすべの柔らかそうな頬。 どうやら動いたと思ったのは、響が少し身じろいだのかもしれない。ふと見ると、寝癖が付いてそうな後ろ髪。変な風に跳ねているから、思わず笑ってしまう。長いまつげがかわいくて、規則正しい吐息になにより安心する。 外はもうだいぶ明るいらしい。カーテンの隙間から明るい日差しが漏れていた。 結局昨夜はあのまま響はどうしたって起きなかった。確かに目一杯仕事してお酒飲んで、さらに飲まされてのセックスでは、ドロップアウトしてしまうの仕方がない。咲斗もものすごく眠たくなって、簡単に身体をきれいにして、響を抱え込んで眠ってしまった。 そしてこの今の状況。咲斗は最高に幸せな気分に浸っていた。 「きょう?」 しっかり寝ている響に、咲斗が小声で名前を呼んでみる。どうやら寝顔を眺めているのに飽きたらしい。けれど、当然そんな小さな声では響は目覚めたりしない。 咲斗はそっと動いて、響の頬に指を滑らす。やっぱり思ってた通りすべすべで、柔らかくて、あったかい。その肌触りが気持ちよくて何度もすりすりしてると、響のまつげが少し揺れた。 ――――あ、起こしたかな・・・? 起こしちゃって申し訳ないような、うれしいような。そんな気分で咲斗は響を見つめる。 しかし響のまつげは揺れるだけで、そのまぶたはまだ開かない。 「・・・きょう?」 大人気なく咲斗が再び呼んでみると、さっきちよりもまつげが揺れて、ゆっくりゆっくりまぶたが開いた。大きな瞳が、まだ少しトロンとした状態で、ぱちぱちと瞬きをして、少しずつ目線が上げられた。 「おはよう」 やっと咲斗の顔にたどりついたその瞳に向けて、咲斗は嬉しそうに微笑んだ。 「おはよぉ・・・」 まだ眠そうな声を響があげて、再び瞬きをした。そしてちゃんと咲斗を見て。 「あれ・・・?」 「なに?」 響はしばらく考えるように咲斗を見つめた。しばらくの沈黙のあと、顔が真っ赤に染まっていった。どうやら昨夜の事を思い出していったらしい。耳まで真っ赤になっている。 「おれ、気―失っちゃった?」 「うん」 「あ・・・ごめん」 響は、酒を飲まされて。窓際に押し付けられて、後からされて。そこらへんくらいまでは明確に覚えているのだが、その後はなんだかかなりぐちゃぐちゃで。溶けて身体がなくなるんじゃないかと思うくらいに気持ちよくて、ふわふわして。身体がぐにゃっと歪んだようになって。 ――――うわぁー・・・めちゃめちゃ恥ずかしいよぉっ 真っ赤になって眉を寄せている響の顔がなんともかわいくて、咲斗はじっと見つめていた。胸が締め付けられるくらいに愛しくなってくる。この溢れすぎる想いを、伝えることの出来る言葉なんてこの世に存在しないと思う。 「ねぇ・・・今、何時?」 「さぁ、何時かなぁ」 正確にはわからないが、たぶん昼ごろだろう。 「ずっと起きてたの?」 「ううん、さっき目が覚めて、響の寝顔をしばらく見つめてたよ」 「そーなんだ・・・」 響はやっぱり恥ずかしそうにしている。どうやら寝顔を見られたのが、恥ずかしいらしい。お酒と涙の所為で、少しまぶたが腫れぼったくなっている。そんな顔も可愛いと咲斗は思うのだが、響は嫌らしい。 「もう、起きる?」 目をちょっとでもマシにしようとしているのか、ゴシゴシこすってみている響に咲斗が聞くと、響はコクンと頷いた。 「うん、起きる」 「じゃぁ、一緒にゆっくりお風呂入って、ランチ食べて。ケーキ買って帰ろうか?」 その提案に響がパッと顔を輝かせて。 「うんっ」 すっごく嬉しそうに笑って、元気良く頷いた。 なんでもないクリスマスを、今からあの2人のマンションへ帰って、2人っきりでゆっくり過ごそう。 クリスマスプレゼントはちゃんと買ってある。 咲斗はペアの指輪を買ってこっそり部屋に隠してある。名前を入れて、愛を込めて。 響は咲斗のための、オリジナルカクテルを作った。名前は0318(ゼロサンイチハチ)。初めてマンションの部屋で、咲斗に会った日をそのまま名前にした。 特別な想い。特別な出会い。特別な日。それを何かに残したくて。 そんな二つの交換会は、きっと今日の夕方から二人のマンションの部屋で始まる。それはこの上なく甘いクリスマス聖夜2幕の始り・・・ end |