「圭・・・何してるん?」
 学校が終わって、帰ろうとするとなんと正門前に圭がいた。しかも、ママチャリに乗って。いや、そんな姿でもかっこいいのはかっこいいねんけど・・・・・
「足、大丈夫でした?」
「あ、おう」
 なんで、ママチャリ後部座席に座布団が設置されてるんやろー。・・・考えたないなぁ。
「さ、乗ってください。迎えに来たんですから」
 ・・・・・やっぱり・・・・・
 俺は自分の予感が外れなかった事に、肩をがっくりと落とした。
「けいぃ・・・、それちょっと恥ずかしいねんけど」
「何言ってるんですか。――――アキ様、今日は学校で何もなかったですか?」
「え、あ、はい」
 だからなんでアキが慌てるねんな。俺ががっくり脱力していると、アキが俺の腕をひっぱって小声で耳打ちしていた。
「様つけられちゃったぁー」
 あ、そこに慌てててんな。
「圭?」
 そこへ冬木もやってきた。さすがの冬木も驚いて目を見開いている。そらそうやわなぁ・・・
「譲くん、こんにちは」
「圭、何してるの?」
 ほら見ろ、絶対みんなそういう反応やって。スーツ姿の男前のお兄ちゃんがママチャリに座布団つけて正門で立ってるなんて、絶対怪しいちゅうねん。
「ナツ様のお迎え。なんだか足を怪我してしまわれたので、歩かせるわけにはいきませんからね」
「・・・散々歩いた後やねんけど」
 俺がため息まじりに、ちっちゃい声でボソっと言うと。
「何か言いましたか?」
 う・・その笑顔マジ怖いって!!
 そんな俺らの横を、続々と帰宅していく生徒が何事かとじろじろと見ているのに気付いた。まじーよ!!
「と、とにかく俺帰るわ」
 明日は絶対色々言われるんやろなぁって事を、十二分に覚悟してるが。それでも早くこの場を立ち去りたくって俺は圭の後ろに乗り込んだ。
「お尻痛くないですか?」
「へ、へーきやからっ」
 早く出てくれ!!
 横座りしている俺は、とにかく恥かしくって顔が熱くなっていくのがもうはっきりと自覚できる。まじもーめちゃめちゃ恥ずかしい。
「ちゃんと掴まってくださいよ」
 後ろで自分の鞄をぎゅって抱きしめて座ってた俺から、圭は鞄取り上げてそれを前の籠に放り込んでしまってから俺の腕を掴む。
「圭?」
「ほら、ちゃんとして」
 それを自分の腰を引き寄せてきて。俺は横すわりに圭の腰にしがみつく、まるで女子高生のようなスタイルになってしまった。
 まじで恥ずかしいって!!
 俺は恥ずかしさのあまり、頬を引きつらせてみてくるアキの顔も、呆然と見つめてくる冬木の視線にも耐えられなくって、圭の背中に顔を埋めた。
「それでは、アキ様、譲くん、また明日」
 なーんでか全然わからへんけど、上機嫌風に見える圭は、明るい声で挨拶して軽快にペダルを漕ぎ出した。
 鼻歌でも歌い出しそうなんですけど・・・
 俺はといえばアキが返事を返したのか、冬木が挨拶をしたのかなんて全然聞こえなくて、もうただただ真っ赤になって圭にしがみついていた。








「もー明日学校いけねー!!」
 俺は帰ってくるなり、圭に怒鳴ってやった。だってめちゃめちゃ恥ずかしかったんやで。一体明日はどんな顔していけばいいのか。
 それなのに、圭はさらに俺をかかえあげて部屋まで運んだ。もちろん俺は抵抗してんけど、そんなん抑え込まれてまうし。
「何言ってるんです、ナツが悪いんでしょ」
 俺をちょっと乱暴にベッドに落として、さっきまでの笑顔はどこへやったのか、圭が怖い顔で俺を見下ろした。
「だから、これは俺の所為ちゃうやん」
「下駄箱に靴がなかった話も聞いてませんよ」
「う・・・それは――――でもそんなん、だって別に」
 ちょっと嫌な感じはしたけど、たいした事ちゃうんかなって思ってんもん。
「それでも、話して欲しかったんです」
 圭はそういいながら俺の制服のボタンに手をかけた。
「圭?」
「昨日から結構怒ってるんです。知ってます?」
「・・・ごめん」
 圭は俺の制服の上着を脱がしていって、ハンガーにかけた。
「違いますよ」
「え?」
「ナツに怒ってるんじゃありません」
 今度は圭はネクタイに手をかけて、朝自分が締めたそれをゆっくりと解いていった。その仕草が少し色っぽい感じがする。
 立ち上がってそれもジャケットと一緒にハンガーにかける。
「・・・じゃぁ」
 ――――誰に怒ってる?
「ナツにこんな怪我させるなんて、許せない」
 小さく呟いて、圭は今度は俺のシャツのボタンに手をかけた。
「け、い」
 少しあらわになった肌に圭がキスしてきた。
「だめ・・・」
 俺は圭に肩に手をかけて、押し戻そうとすると、圭が顔を上げて俺を見つめてきた。
「何故です?」
「汗、くさいよ」
 しかも、なんでいきなりこんな・・・?
「ナツの匂いしかしませんよ」
 ふわりと圭は笑って、またキスをしてきて、俺の肌はどんどんあらわになっていく。するりと肩を滑らせて、シャツが完全に脱がされる。
「制服って、そそると思ってましたけど、ああやって学校で見るとより一層そそられますね」
「っ、圭!?」
 あの場面でそんな想像をしていたのかと、俺は思いっきり顔に朱が走って真っ赤になる。圭は絶対むっつりスケベや!
「愛してます」
「えっ・・・何、急に」
「言いたかったんです。いけません?」
 見つめてくる視線にいつもドキドキしてしまう。それだけで、見えない糸にとらわれて逃げられなくなっていく気がする。
「ううん、俺も好きっ」
 ふと伸びてきた腕に俺は身体を投げ入れて、ぎゅっと抱きしめてもらうと、ふわりと身体が中に浮くような感覚に襲われて。
「・・・え」
 目を開けると、天井が見えた。どうやらベッドに寝かされ――――押し倒されてしまったらしい。
「け、いぃ」
「なんです?」
 くすくすといたづらっぽく圭が笑ってる。
 その圭はまだ服をちゃんと着てるから、くやしくなって俺はそのスーツのジャケットに手をかけて脱がせてしまう。
 さらにシャツにも手をかけようとして、圭にその手をさえぎられた。
「だめですよ、まだ仕事があるんですから」
「じゃーこの状況はなに?」
「それはナツが悪いんです。私を誘うから」
「はぁー?」
 圭の理不尽な物言いに俺はわざと顔を渋らせてやると、圭のキスが落ちてきた。軽いキスの後に、深く入り込んでくる舌を俺は受け止める。
 舌を絡めあって離れていくと、今度は首筋に圭の舌を感じる。ゆっくりとなめられていく感覚に肌があわ立って、圭の腕に軽く爪をたてる。
 鎖骨にまでたどりついて、軽く吸い上げられる。
「アカンって」
 明日は体育があるのに。
「じゃぁ、わからないように痕をつけましょうか」
 そういうと、舌はもっと下がっていって、最初から色づいている部分にたどりついた。ゆっくり舌を這わされて、吸い上げられると、ぷくりと先がとがってしまう。
「ふぅ・・・っ、・・・」
 片方だけでは満足できないらしく、両方を吸い上げられて、俺のかみ締めた口からは耐え切れない吐息がこぼれだしてる。
 まだ脱がされていない制服の下で、俺のモノが少し固くなっていってるのもわかる。それは圭にも十分伝わっているらしく、身体をずらす時にわざと掠めていく。
「・・っ、はぁ・・ぁ・・・」
 ゆっくりボタンをはずされて、下着ごと引き下ろされて外気にさらされたそこは、すでに先が濡れていた。
「ああっ・・・・っ」
 圭の指が絡まって、ゆっくりしごかれる。
 俺はたまらなくって、掴んだ圭の腕に一層力をこめていく。濡れた音がするのも、めちゃくちゃ恥ずかしい。
 その俺の先走りで十分に濡れた指を、圭はするっと滑らして奥に当てられた。
「けい・・・、けぃ」
 入り口でさまよわせている指が、俺は早く欲しくなって、自ら方膝を立てる。
 そんな俺の仕草に圭はクスリと笑顔をもらして。
「あっ!・・・あぁぁ、・・っ」
 指が中に入り込んできた。俺はそれをぎゅーっと力を入れて食い締めてしまう。その強さを思い知らせるみたいに、指を中で揺すられて。
「っ!ああ・・・ん、んん・・・・」
 さらに食い締めてしまう。そんな俺の反応を楽しむみたいに圭は中で指を動かしてきて、快感に頭をぱさぱさゆらしていると、いつの間にか指は2本に増やされている。
 中を広げるみたいに2本の指で広げられて、外気にされる感覚に、俺は圭の腕だけじゃなくて、シーツにも爪をたてる。
「ナツ・・・」
 その間も、俺のからは耐えることなんて出来ない雫がたらたらとこぼれている。その先端を、ちょっと舌で舐められて。俺の身体はかっこ悪いくらいにビクって震える。
「ふぅ、っ・・・あん、・・・けいぃ・・・」
 俺はもう全然我慢なんか出来へん。ちょっとうるんだ瞳で、ぼやけてしまう圭を見つめた。なんか、ちゃんとシャツを着込んだままに、俺の脚の間から顔が見えるのって、――――最低にエロい・・・
「欲しい?」
 つやっぽい声がめっちゃくる。
「・・しぃ」
 小さく呟くと、圭はいつの間に取り出したのか自分のモノをぐっと押し付けてきて。あ・・・って思った瞬間には、もうその切っ先が中に入り込んで来ていた。
「あ・・っ、あああ―――、っ・・・・」
 腰に圭の手が添えられて、ぐっと抱えなおされた。それと同時に、さらにぐっと奥へも入ってきて。ゆっくりと動き出した圭に、内側から侵食されていく気がしてくる。
「んっ、ひっ・・・、ああ、あああっ」
 いったんギリギリまで引き出して、また最奥へと突き上げてくる。その動きに合わせるように嬌声が上がって、身体も引きづられる。
 感じるところを激しく擦りあげられる快感に、全身が熱くなって、だんだんわけがわからなくなってしまう。
「ナツ?」
 揺すられるままになっている俺の名前を、圭がそっと呼んでくる。俺は、閉じていた瞳をこじあけて圭をみると、圭がちょっと心配そうに俺を見下ろしてた。
 それを見ると、もうめちゃくちゃ好きーって気持ちがどんどん沸いてきまって。俺は圭の顔に手を伸ばした。ちょっと頬に触って、ニーッって笑った。
「もっと・・・」
 もっと圭でいっぱいにして欲しい。俺の全部は圭のもんで、圭の全部は俺のもんやから。
「望むままに」
 少し擦れた圭の声が、めちゃめちゃ色っぽい。
「ああっ!・・・っ、んん、け・・いぃ・・・っ」
 圭の動きが激しくなった。深くえぐってくるみたいに来て。俺の頭は快感と陶酔が入り混じって、もう真っ白に染まっていく。
 大きく腰を揺すられて、固く勃ち上がったものも切なく揺れて。俺は無意識にそこへ手を伸ばすと、圭がクスリと笑いを漏らしての手を取られて、シーツの上に縫い付けられた。
「やだぁっ」
 直接の快感を奪われて、俺の腰がビクンと跳ねた。
「後ろだけでイケるでしょ」
 圭は意地悪くそういうと、一層激しく腰を突き上げてきた。大きく揺するようにされて、思わず自分でも圭に腰を押し付けてしまう。
 淫らに腰をふる事を止められなくなって、快感に全身が犯されていく。
「け、いぃ・・・、もう・・っ」
 だんだんと霞んでいく頭で、思わず口走ってしまう。
「限界?」
 なんだかうれしそうな圭の声に、俺は深く考える事もできへんくって、がくがくと首を縦に振った。もう、イクことしか頭の中になくなる。
「いいよ」
 圭の声が耳のそばで聞こえたって思った瞬間、乳首にカリっと歯を立てられて、突然の痛みと快感に背中が大きく反り返った。
「ああぁぁ・・・っ、ああああぁぁぁ」
 そして激しく突き上げてきた。中がどんどん熱くなって、仕上げとばかりにイイところを強く擦り上げられて、その熱に身体が溶けるような錯覚に襲われた時。
「あああ・・・・っ、ああああぁぁぁぁぁぁ――――っ!!」
 俺は白濁を飛び散らかした。
 ぎゅっと締め付けた奥に、圭もイッたのを感じる。
「・・・ふ、はぁ・・・・」
 身体がぶるっと震えて、全身の力が抜けていく。
 俺は快感から抜け出せなくて、うつろな瞳を圭に向ける。
「・・・あ・・・・」
 圭が着込んでいたシャツに、べったりと俺が放ったもんが付いてた。
「あーあ、着替えないといけませんねぇ」
 圭がわざとらしくため息混じりに言うのが、むかついた。だって、そんなん、しゃぁーないやん。
 俺は頭の上の方にあった枕になんとか手を伸ばして、圭に投げつけてやった。学校から帰ってきて、いきなり押し倒したんはそっちやろ。
 でも、全然力がなくて、投げた枕はヘロヘロ。すっと受け止めて投げ返された。ムカツク。
 圭は手早くシャツを脱ぎ捨てると、俺の部屋にこっそり置いてある着替えを着こんで。
「さて、夕飯の用意をしてきますね。シャワー浴びるなら、声かけてくださいね」
 圭はそういうと何気ない顔をして身支度を整えて、俺に笑顔を向けて悠々と出て行った。取り残された俺は、まだしばらくは動く気になれない身体をベッドの上に投げ出して。

 その後そのままうたた寝をしてしまい。なんだか、ほわほわしたいい夢を見ていたような気がするんやけど、起きた瞬間に見た圭の顔ですっかり飛んでいってしまった。

 それは、夕飯前に様子を見に来た圭に、また風邪をひく気ですか!!と、すっごい怖い顔で怒られたから。







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