RainyWizrd-虹夢-

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(1)迷い子

長い雨の中びしょぬれになって
雨宿りの場所を探した

比較的雨の少ない森の中を走ってても
徐々に雨が体力を奪っていく

使われていない小屋を見つけ
そこでやっと軽く雨宿り

持ってきたライターで火をたいて服を乾かし
迷ったときようの地図を代わりの服がわりにしてみた

少しあたたかくなったとこで外を見てみると
雨がますます強くなっていた

しばらくして濡れた身体や服が乾いてきたので
火をそのままに身体を横にしてみた

(2)一夜明けて

気が付いたら一夜明けていた
火は消えていたがまだ暖かい空気が部屋の中にあった

やっと帰れるかな・・・
そう思い外を見た

鳥のなきごえがきこえ
雨上がりのすっきりした晴れ模様だった

地図を燃やしてしまって
帰りの道が分からなくなってしまいました

道標にと木に巻いた赤いハンカチも
昨日の雨と一緒に流されてしまいました

ぐぅ〜
ふと気付くとおなかがなっていました

ついついリュックの中をあけたけど
なにも食べ物は入ってません

はぁ〜
すがすがしい朝がため息の朝に

よっこらしょっと
だれもいないのについつい口に手をあててしまう

とりあえず私は食料を探しに
森の中へと入っていった

(3)小屋のそと

昨日の雨の所為か路面はぬるぬるでした
滑らないようにゆっくりゆっくり足を踏み出す

少し歩き切り株を発見
そこで一息

耳を済ませるとシャァ〜っと水の音
水浴びもいいかもしれない

私は水の方向に走ろうとした
ビチャッっと大きい音

つい路面を忘れて走ったものだから
転んでしまいました

あぁ〜ぁ
お気に入りの服だったのに・・・

っと泥んこの服を見て私はふと気付く
これもあの方に買ってもらったんだっけ。

忘れようと思っていたことが
ふと頭によぎってしまう

これ以上世話になるのもって抜け出してきたのに
ダメな私

改めて私は水の音の方へ
今度は慎重に歩いていったのでした

(4)転機

小さな水の音が近づくにつれ大きくなった
水場の近くまでくるとざぁ〜っと大きな音になっていた

葉の間からの強い日差しに
ついついふらっとなってしまいます

滝?
そこは河原に滝という画家さんの絵のような光景でした

あまりにきれいな景色に
つい緊張が解けふふっと微笑んでいた

景色に見惚れた後は
おもいっきり川に飛び込む

ばっしゃんという音と水しぶきの色が
景色にのなかに解けていった

服を着たままだったことも忘れ、
水浴びに夢中になってしまいました

しかし時間が経って
水浴びの気分が終わりに近づくと

たった一人であるときの虚しさが
じんわりと私のこころを浸食していった

あの方の名前を叫ぶが
ただ虚しく響くだけでした

(5)闇

私の心が小さくなるにつれ
天気はまた悪くなっていった

いままできれいだった水も
何か濁ってくるかのようであった

べとり・・・
足を動かすと何かが絡み付いてくる

私は急いで水から抜け出し後ろを見ると
大量の黒い蟲が湧き私の方へと迫ってきていた

きゃぁ〜っというより
ぎゃぁ〜っと言う悲鳴の方が正しいかもしれない

私は大声を上げたが相手は蟲
私の嫌悪を理解してもらえる筈は無かった

寧ろその声を楽しむかのように近づいてくる
どろりどろりとゆっくりと・・・

もうなりふりかまわない感じで
私は小屋へと走った

来た時はちょっとの時間だったのに
小屋に近づくまでがとてつもなく長く感じられた

1日?1週間?1年?どれだけ走ったのでしょう
目印を頼りに小屋探すが見つからない・・・

その間にも後ろから蟲の大群が迫ってきていた
もう夢なら覚めて欲しいです

でも森の中をはしる私の足の痛みが
これが真実であると刻み付けていた

(6)逃げ道

やっと小屋を見つけ
私はドアノブに手をかけた

がちゃっがちゃがちゃ
どんどんどん

必死にあけようとするけど
ドアは開かない

かさっかさかさ
後ろから迫る黒い塊

逃げ道を探そうとまわりを見渡すと
ただ一つの道が残っていた

罠かもしれないってコトは
頭の中には無かった

ただ、その残された道に
私は逃げる

しばらく逃げると
何も見えなくなった

もう、何処へ行っていいのかもわからず
私は途方にくれていた

(7)洞窟

アナタハワタシヲ・・・

朝がくればとまた長い時間考え込み
確かめようともおもったが果てしなく時間がかかりそう

わくわく感も一時期あったのに今はただ
怖いという思いだけ

もしかしたら誰かが示唆して私を追い込んだのかな?
追いかけてくる蟲も作り物だったりして?

いざ一息ついてみると
色々と余計な考えが浮かんでくる

しかし、そこに立ち止まることが許される時間も
終わりが来てしまった

べちぃべちょと聞きたくも無い音が
足音となってせまってくる

ふとあたりを見渡すと
洞窟。

入ると危険な感じがするけど
もう逃げ道はそこしかなかった

私は吸い込まれるようにして
洞窟へと入っていった

(8)洞窟ノナカ

洞窟は暗く
私は新聞紙と布で作った簡単なたいまつに火をつけた

ぴちゃぴちゃと歩くごとに
私の足音がただ響く

ふと気が付くと
後ろからはもう迫ってくるものはなかった

ただ
洞窟の外に通じる光が消えていたのでした

私が閉じ込められたことに気づき戻ろうとするが
後ろから迫っていたあの存在を思い出すと思いとどまってしまう

とにかく休みたかった
もう。歩きたくはなかった

そう願う私の思いもむなしく
私は後ろの恐怖のために歩かざるをえなかった

ふと、カツリと足にあたり私はそれを拾い上げる
それは何かのペンダントだった

私はたいまつの火でよく見てみる・・・
そしてそれは紅く黒かった

私は思わずペンダントを落とし
口を抑えその場で嘔吐した

もう出すものもなく
がたがた震えだしたそのとき

前から何かが歩いてきた・・・
カエセ・・・

異形とも取れる猿の化け物が目の前に
そして後ろにもいつのまにかいた

私はその場にしゃがみこみ
化け物の顔を見ないように落ちたペンダントを差し出した

(9)終

ペンダントがわたった瞬間
私は気絶させられてた

そして生暖かい空気と下半身の違和感に
目を覚ました

私の目の前にはあのお方が立っていた
虎羽(コウ)様・・・

私はつい呟くが私の口からは声は出ず
そして虎羽様からも返事はなかった

先ほどの違和感を確かめるために
私は足を動かした

動かない・・・

そして足に付着してるゼリー状のものに気づいた

なに・・・これ・・・

よく見ると目の前の虎羽様も
カプセルの中にゼリー状のもので固まっていた

私の方もカプセルに包まれてるらしく
私はカプセルをたたいた

だしてよ!!

しかし、ただその叫びは空しく響いた

どれくらい叫んだのだろうか

足に付着しているゼリー状のものの位置が高くなっていた

私は叫び疲れると何もできないまま

ただ終わりの時を待つしかなかった