―――君はいつもそうだ。
…「いつも」っていつよ?
―――自分の失敗を他人のせいにする
…あなたが「今」私の何を知っているというの?
そんなのって悔しいじゃない。
私はあなたのこの1年を全く知らないっていうのに…
そんなの、完璧な私は絶対に許せないんだから。
「メイ」
警視庁捜査一課前の廊下にそう呼ぶ声が響いたのは、弁護士・成歩堂達が手がかりを求めて去っていってからどれくらいたった頃だろう。
それほど広くもない廊下の、壁にもたれるようにして、御剣は立っていた。
冥は一瞥すらくれずにその眼前を過ぎ去る。
その足は心なしか、速い。
「…相変わらずだな」
先ほども耳にしたニュアンス。
冥は足を止め、振り返りもせずに言い放つ。
「…死人に口無し」
「?」
ピシィッッッ!!
乾いた音が響く。
「もとい、死人に鞭無し……鞭を振るう価値すら、あなたにはないわ」
「…………」
軽蔑と呆れの入り混じった声で続ける。
「『検事・御剣怜侍は死んだ』んだもの…ね」
瞬間、冥の眼前に影が被さる。
「!?」
驚いている暇もなく今度は全身ごと後ろに引きずり寄せられ、そして。
「な…!」
後頭部にふわりと柔らかい布地の触れる感触。
冥の細い体はすっぽりと、御剣の右腕と胸の中に収まっていた。
「ば、馬鹿!? 何考えて…!」
小さく抵抗する冥を苦もなく片手で抱きすくめ、空いたているもう片方の手でその髪を、頬を、見えるパーツの全てを、そこに確かににある事を確認するかのように撫で付ける。
それは冥に、懐かしさと歯がゆさと憎さと…様々な要素の入り交じった感情を思い起こさせた。
「……もう……」
御剣の左手が冥の唇に触れた時、その震えはかすかでもしかし確かなものだった。
「二度と……死なないで…」
「……約束はできないが」
あまりに無責任。
あまりに無神経。
冥はまたぎゅっとその手の鞭を握り締めた。
しかしすぐにその力を緩める。
…………と。
がしっ!!!!
「…………!!」
突然の衝撃に御剣の目が見開かれ、そしてその手が緩む。
隙を逃さず、冥は手の中から抜け出すとくるりと向き直った。
「……ほんと、鞭に頼る気も起こらないくらいの馬鹿だわ……!」
「………!」
御剣は怒りに震える冥の顔を見ることもできず、腹を押さえている。
…相手が18歳の少女とはいえ、その肘鉄をまともに腹に喰らえばそりゃ痛いに決まっている。
「私をあなたの知ってる狩魔冥だと思わないでほしいわね」
―――だってそうでしょ?
「狩魔の人間は常に完璧であり続けるの」
―――あなたしか知らないあなたの1年は、私しか知らない私の1年であるということ。
「完璧っていうのは『継続』じゃないわ。……『進化』よ?」
―――これでようやく fifty-fifty じゃない? 日本語で言うなら「とんとん」、でいいのかしら。
「……あなたには難しいかもしれないわね」
――――――だからお願い。「今」の私を見て。
「……そうだな」
御剣は未だ腹を押さえつつ、それでもようやく顔をあげる。
「楽しみにしているよ……明日の君の法廷を」
「……そうしなさい」
あなたの貧困な想像なんて、はるかに凌いでみせるから。
[END]
脳みそ溶けた勢いで書いてみました。
マジでこのような話の更新予定は、3時間ほど前までなかったはずなのですが。
今度こそ甘い雰囲気に持って…行こうとした途中でバケツごとひっくり返した
そんなSSです。いつも通り突っ込み所も多そうな感じです。
それ以前に正直、書いてて90年代のドラマみたいでお尻が痒くなってしましまいたが。
どこで止まってるの、私の脳みそ…。
そして恐ろしいほどに格好悪いよ、自分の書くみっちゃん…
カッコイイみっちゃん好きな方は、精神上良くないので回れ右で。
土下座だけなら何万回でもするんで(直るかどうかはまた別で)。
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