また、夏が来た。
ナギにこの呪いを掛けられてから、学園から出られなくなった私にとって、季節の
動きはこの学園の中で完結していた。
チャチャゼロとさまざまな国を巡っていたあの頃が、とても遠い昔のように思える。
この国は飽きない。
季節毎に色々な行事が行われ、季節の移り変わりを人々に感じさせる。
普通なら学園の中にいる私にとって、それらの行事は全く関係ないものになるはずだった。
しかし、この学園は学園都市の名が示すとおり、一つの都市の様相をていしている。
学園の敷地内で盛大に祭りが行われるのだ。
それでも長い間ここで過ごしている私にとって、それはもうつまらないものだった。
確かに最初の頃はそれなりに楽しめたが、年々つまらなく感じ始めた。
さまざまな土地を巡って、その土地の祭りを楽しむからいいのだ。
毎年繰り返される同じような祭りに私は飽きていたのだ。
今年、私の従者が増えた。
今、ちょうど私の隣にいる『絡繰茶々丸』がそうだ。
私達は私の家の二階から花火を見ている。
私は椅子を引っ張り出して座っている。
茶々丸はそんな私の横で、テーブルの上のグラスにビールをついでいる。
飽きたといっても、やはり日本の祭りを味わうのならビールに限る。
なぜ飽きた花火を見ているのか、というと、完成したばかりの茶々丸に外のこと
を教えるためだ。
最初は普通に教えていたが、その時に祭りのが出たのだ。
最初は乗り気でなかった私も、久しぶりの祭りということでだんだんと気分が乗っ
てきた。
チャチャゼロは動けず自分で酒が飲めないので、私の頭の上でふて寝している。
「あ」
茶々丸が声を漏らした。
「始まったな」
私は茶々丸が声を漏らした原因を眺めながら呟いた。
夜空を彩る炎の幻。
夜空に大輪の花々が咲き誇っていた。
「きれいです」
「そうか」
茶々丸の言葉に相づちを打ちながら、まんざらでもない自分がいることに気が付いた。
「ご主人様、顔が笑ってるぜ」
「うるさい、寝てたんじゃないのか」
チャチャゼロの言った通り、私の顔は笑っているのだろう。
花火は例年と変わっていない。
ならば、私が笑みを浮かべているのは、茶々丸という新しい従者が増えたからだろう。
たった一人だけ、それだけのことでここまで気分が楽しくなる。
ナギにこの身を封じられてから、それなりの月日をすごした。
これからも長い月日をすごすことになるだろう私の、新たなる従者。
共に孤独を分け合うだろう、新しき家族のために。
この夏の夜の一幕を、私は家族と共にしばらくの間楽しむことにした。
いかがだったでしょうか?エヴァファミリーと言いつつ、ほとんどエヴァの一人語
りです。すいません。初めて書く二次ですが、気に入っていただけたら幸いです。