何が悪い01 (本文サンプル・書き下ろし分・えろ)


※ネット上で見やすいように装丁を改変しています。
※実際の冊子の装丁は、A5サイズ本 / 25行×28文字の2段組となります。

 

「明日の、朝メシ……」
 セカイの体の下で、ぼんやりそんなことを呟いた。
 事後の気だるさに負けて、もう何も考えたくない。それでも、明朝の食事に、食べるものがないことに気づいた。
 パンは切れていたし、米も炊いていない。
 ちゃんと準備して、朝ご飯、食べさせたげたい。
「あ?」
 シツの体に唇を寄せながら、セカイが怪訝な表情になる。
「朝メシ……」
 身じろぐと、下肢に違和感を感じた。
 まだ、腹の中にセカイがいた。終わったはずなのに、妙に主張している。呼吸するだけで、重苦しい。
 三回も出したくせに、この上、まだセカイのことを考え続けろと言うのか……。
 何百回とこんなことをしているが、いつまで経っても戸惑う。している最中とその前後、自分が自分じゃないみたいになって、有り得ない言葉を口走り、男相手に股を開いて、ペニスを突っ込まれて射精する。
 それも、到底、人間らしからぬ抱き方をされて、涎を垂らして悦んでいる。
 そして、我に返って、死にたくなる。
「明日が……何?」
「……っ、あさ、め……ン、ぁ」
 乳首を噛まれて、胸の奥がきゅうとなる。
 歯を立てるものだから、皮が破けて、ぷくりと赤い玉が浮かんだ。
「せ、ぁ……ぃた、い」
「こんなに大っきくしてるくせに?」
 べろり。舌の上で転がされる。
 唾液に朱色がまじったそれを、わざわざシツの目玉すれすれまで持ってきて、見せつける。
「血、でてる……」
「舐めろ」
「……っ」
 目を閉じて、恐る恐る、セカイの舌を舐めた。
 キスは当然のこと、自分から舌を絡めるなんてことは、滅多にしない。
 ぴちゃ、ちゅ。突き出した舌先で唾液を掬う。アイスを舐めるように、隅々まで、余す所なく。
「目ぇ開けろ」
「……っ、ふ」
「開けろつってんやろが」
「ひっ、ぁ」
 目蓋を持ち上げて、強制的に開かされる。
「閉じんな、開けろ。舐めろ。飲み込め」
「……えぁ、あ」
 萎縮した舌を噛まれて、引き摺り出される。
 抉じ開けられた両目から涙が流れて、舌を噛まれた口から涎が漏れて、泣きの入ったせいで鼻水がずるずる。痛い、苦しい、辛い、もうやだ。
 こんなに苦しんでいるのに、セカイはなんでそんなに嬉しそうなんだ。
「飲め」
「ん……っ、ぐ」
 こくん。
 血の混じった唾液を飲み込んだ。
「いい子」
 飛びっきりの優しい声で褒めてくれる。
「あっ……!? ぅ、あ、っああッ!?」
「いい子にはご褒美」
「ひぃ、ぃ……ぁ、も、むり、ぃっ」
 腹の中にいたセカイが、動き始める。
 油断していた。今日はもう終わりだと思っていた。
「せぁ、ぃ……も、おなか、いらい」
「無理」
「や、もう……きょ、できひん……」
「俺がやるっつったらやれ」
「……うしろ、痛ぃい」
 いっぱい擦られて、後ろがじんじんする。
 筋肉が引き攣れて、背筋まで痛む。
 シツが顔を歪めれば歪めるほど、セカイはどんどん大きくなる。想像もつかないくらいアヌスが拡がった。
 その体積に押し出されて、胎内の精液が、ぶちゅ、と外に噴き出す。
「ふっは、すげ、何これ? 漏らしすぎ……ぶちゅぶちゅ言ってる」
「あっ、ぁあ、ああぁ……ッ!」
 好き勝手に動かれる。
 恥ずかしい音が、ひっきりなしに鼓膜を打つ。
「ぃ、だぃ、なか、いたいぃっ……」
 悲鳴を上げて、セカイの背中に爪を立てた。
 もうやだ、と訴えてしがみついても、止めてくれない。
「……でさぁ、シツ」
「ぃ、ひっ……ぃぁあっ」
「朝メシがなんやって?」
「はひっ……ぃあぁ?」
 朝メシ? 
 朝メシってなんだ?
 今、この状況でなんでそんな話が出てくるっ!?
「な、シツ……お前はさ、メシの心配なんかせんでええねん」
「何、言って……痛いっ、も、動いたら、やや、ぁ……っ」
「俺のことだけ考えとけ。メシは俺が用意したる」
「……抜くの、や、抜いたら、……ゆっくり……してっ」
「俺のザーメンだけ食ってればいいのに」
 そうしたら、シツからはセカイのにおいしかしなくなる。
 どこもかしこも、セカイのザーメンまみれ。
「大丈夫、たまにはザーメンぶっかけた人間様のメシも食わせたるからな?」
「ゃ、あ……っ」
「いや、やなくて、ありがとうございます」
「ぅ、ぅぅう」
「ほら、ありがとうございます、は?」
「……ぁ、ぃあ、ろ……ご、ぁいまうぅう……」
「よくできました」
 抱き締めて、頬ずりする。
 いっぱい頭を撫でて、キスの雨を降らして、ゆっくり動いてやる。そうしたら、頭の悪い顔でシツが笑う。
「ふへ、ぇ……?」
「そうそう、お前はそうやって俺に愛されとったらえぇの。メシも、風呂も、排泄も、ぜぇんぶ俺が面倒見たるからな?」
 可愛い可愛いシツ。
 泣きじゃくって、涎と鼻水と精液でぐちゃぐちゃの顔が、果てしなく不細工で可愛い。
 大好き。
「愛してる」
「せぁぃい」
 腕を伸ばせば、セカイはちゃんと抱き締めてくれる。
 キスをして、頭を撫でて、頬を寄せ合って、足を絡めて、一緒に寝てくれる。
 でも、そのキスをする唇で暴言を吐き、頭を撫でる手をシツの中に挿れ、甘く囁く口で頬を齧り、足でペニスを踏みつけ、抱き締める腕で、朝から晩までシツを抱えて離さない。
 愛してくれている。
 シツは、痛くて苦しいセックスが大好き。
 セカイのことはもっと好き。愛している。毎日が幸せ。目が醒めて、目を閉じるその瞬間まで、いつもセカイが自分の視界の中にいることが、嬉しい。
 いつも、自分からセカイのにおいがする。
 同居を始めて三ヶ月目で、既にこの状態。
 二人暮らしは初めてで、まだちょっとぎくしゃくしている場面もあるのに、えろだけが立派で百戦錬磨だという不思議な生活。昼の生活と夜の生活の熟練度バランスが、あからさまに反比例している。
 だからなのか……。
「ふはっ……」
 中に出されながら、笑った。
 たまに、頭がおかしくなりそうになる。
 
 俺、ちゃんと人間?
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・

 以下、同人誌のみの公開です。



2011/10/03 何が悪い01 (本文サンプル・書き下ろし分・えろ) 公開