遅れてきたバレンタイン


カリム:「大丈夫ですよ、食べ易い様に暖めておきましたから♪」

ユーノ:「あ、あはは……ありがとうございます」

手渡された箱の包装用紙からは人肌によるものと思われる温もりが手の平に伝わってくる。
――も、もしかして今までずっと胸元に入れてたのかなぁ……?
教会での職務中も周りに感付かれない様に努力するカリムの姿を思わず想像してしまった。
そんな彼女の事を思うと申し訳ない気持ちと同時に、何だかこそばゆい気持ちも湧き上がってくる。

カリム:「え、えっと……今度お会いする時に良ければ味の感想とか聞かせて貰えます?」

ユーノ:「あ、はいっ!もちろんですよ、帰ってから美味しく頂きますから」

カリム:「初めて男性の為に作ったものですから、あんまり期待はしないで下さいね?」

ユーノ:「そ、そんな!僕なんかの為に作って貰えるなんて、逆に食べるのが勿体無いくらいですよ!」

――は、初めて男性にってほ、本当に!?
カリムほどの美人な女性ならば、これまでに一度くらいは異性にチョコを贈っていてもおかしくはない。
にも関わらず、その”初めて”はユーノが受け取る事となってしまった。
仕事でのお付き合いは確かにあったが、まさか自分がそんな立場になってしまうとは……。
これも【淫獣の因子】クオリティなのかもしれない。

カリム:「それでは今日はこれで失礼しますね。また後日お会いした時にでも……♪」

その後、自室に持ち帰り、いざカリムの愛が詰まったチョコを召し上がろうとするも、中身は半分溶けてしまっていた事は言うまでも無い。
わざわざ胸元にまで入れていたのはユーノを喜ばす為だったのか、それとも失敗を誤魔化す為だったのか?
それはカリム本人にしか分からない……。
因みに、なのはさんに発見されてスターライトブレイカー(別名:嫉妬砲)でチョコごと撃ち抜かれた……というのはまた別のお話である。