| ■『八神家の作戦会議』 2007.10.16 |
――ユーノに対し八神家からの刺客が送り込まれる前の頃。 辺りは夜闇で包まれ、ご近所からは夕食時だと分かる匂いが漂う中、ここ八神家ではこれからの事について作戦会議が行われようとしていた。 はやて:「シグナム〜、何処や〜?ちょっと話があるんやけど〜?」 シグナム:「何でしょうか、主はやて?」 はやて:「ほら、今度からユーノ君とこ行くやろ?せやからちょっと作戦会議や♪」 シグナム:「は、はぁ……。しかし、私は……」 はやて:「もしかしてシグナム、参加しないつもりなん?」 シグナム:「お言葉ですが、今回の件は私にはあまり関係はないような気がするのですが……」 名前だけならはやての口から何度も耳にした事はあるが、それだけの関係。 そんな希薄な関係の自分が作戦に参加することを彼女は違和感を感じていた。 はやて:「関係めちゃあるよー。これは一種の家族でのイベントみたいなもんや。家族の一人も欠員は許されへん!」 しかし、主であるはやてはそんな答えは即座に却下する。 彼女にとっては、家族揃って執り行うイベントのようなもので、全員揃っていないと意味を成さないらしい。 シグナム:「そ、そう言われましても……」 はやて:「何や?もしかして自分に自信があらへんの?それやったら気にせんでええ。シグナムには……ほら、この立派な胸があるやないか♪」 シグナム:「あ、主はやてっ……ど、どこを触って!!」 シグナムが気乗りしない理由にピンと来たはやては、後ろから思い切り乳房を鷲掴みにする。 手先をうねうねと慣れた手付きで動かし、みるみる内にシグナムの表情は羞恥心から赤く染まってしまった。 はやて:「ふふ〜ん♪ちょっと触っただけで照れちゃって〜。何や、感じたんか?」 シグナム:「や、止めて下さい……!それではただのスケベオヤジかと……」 はやて:「なんや、ノリが悪いなぁ。まぁ、とにかくシグナムにはそのSランクの胸があるんや。それでユーノ君に八神家の素晴らしさをちょっとでも教えてきて欲しいんよ」 ――八神家の素晴らしさをユーノに伝え、興味を持ってもらい、そしていずれは彼と一緒に…… これがはやての目論見である。 その夢を実現する為には、刺客を差し向ける順序は慎重に決めなくてはならない。 色々と考えた結果、やっぱり男は胸だろうという事でシグナムに白羽の矢が立ったのだ。 シグナム:「し、しかし主はやてはともかく、私はそのユーノという男には別に興味など……」 はやて:「別に?今、【別に興味なんかないんやからねっ!】って言おうとしたん?なんやシグナム、ツンデレキャラでユーノ君を攻める気なんやーw」 シグナム:「は?い、いえ、そういうわけでは……」 はやて:「確かに最近はそういうのが好きな男の子も多いみたいやからな。でも流行ってるからってそれで攻めるのは安易かもしれへんよ〜?ユーノ君がツンデレ好きとは限らへんし」 はやて:「でもユーノ君、そういうのが好きやったらどないしよ〜……。あたしとしてはボケ、ツッコミが出来るカップルが理想的なんやけどなぁ……♪」 シグナム:「あ、主はやて……」 はやて:「あ、あぁ、ごめんごめんー。ちょっと思考が飛びすぎてしもうてたわ」 シグナム:「やはり、どうしてもやらなければダメなのですね……」 はやては、一人でよく突っ走ってしまう事が多く、特に彼女の思考が一つの事に占められている場合がほとんどだった。 今回も、それだけユーノの事で頭の中が一杯なのだろうとシグナムは、彼女なりに感じ取れた。 はやて:「もちのロンや♪シグナムこそあたしに逆らったらどうなるか分かってるやろ?」 シグナム:「は、はい……」 シグナムの脳裏に以前、はやての命に……というよりはワガママを聞かなかった時に与えられた罰が鮮明に甦ってくる。 その時は晩飯抜き→お風呂場での裸のスキンシップというコンボを喰らわされてしまったのである。 空腹の中で全身を弄られるのは、言い知れぬ感覚だった事が今でも身体に残っている。 はやて:「そうと決まったら早速作戦会議や♪リイン〜?リインはおる〜?」 リインフォース:「お呼びでしょうか、我が主?」 はやて:「リインにも今度の事での作戦会議に参加してもらおう思ってなー」 リインフォース:「あぁ、例の件ですか……」 はやて:「そっ、アレやアレ♪丁度シグナム掴まえて色々話しとったんよー」 シグナム:「半ば強制的にですが……」 はやて:「もー、細かいこと気にせんとー。そんなんやったら八神家の一員は務まらへんよ」 リインフォース:「それでどのように当日は決行する事になったのでしょう?」 はやて:「んー、そやなー……」 そう尋ねられ、はやては視線をリインフォースへと移し、何やら想いを巡らせ始める。 リインフォース:「何か思う事でも……?」 はやて:「ん、思ったらリインもSランクの胸持ってるんやったなー思うてな。よし決めた!こうしよ。二人ともあたしが言う通りの格好しい、ええ?」 シグナム:「は、はぁ……」 リインフォース:「了解です」 はやて:「ええか?こうやって前屈みになってやな……そんでもって両腕で胸を寄せて谷間を強調するんや。ん、しょっ……」 そう言いながらはやては、自らの身体で説明を行おうとするが…… はやて:「まぁ、あたしには到底出来ないポーズなんやけどな……あはははー」 いくら胸を寄せようとしてもそれだけの大きさに満たない自身のプロポーションに肩を落としてしまうのだった。 リインフォース:「ご安心ください。主の代わりに我々が無事成し遂げてみせます」 シグナム:「そ、そうです!きっと我々が……って私も入っているのだったな……」 はやて:「うん、ありがとなー二人とも。それじゃあ、早速言った通りにやってみて?」 リインフォース:「これで宜しいのでしょうか?」 はやてが実践した通りの動作に忠実に従い、再現してみせるリインフォース。 シグナム:「ま、前屈みになって……両腕で寄せるように……」 一方のシグナムは、ポーズを取ることへ躊躇いがあるのか、ぶつぶつと動作の手順をうわ言のように繰り返していた。 はやて:「そー、そー!ええ感じや♪あとは最後の決め台詞の【だっちゅーねん】を言えば完璧やな♪」 シグナム:「い、今なんと……?」 躊躇うシグナムへ追い討ちをかける一言。 どうやらポーズだけではなく決め台詞まで用意されているらしい。 よもや、そのような台詞まであるとは思いもしなかったシグナムは耳を疑ってしまった。 はやて:「ん、決め台詞の事?」 シグナム:「は、はい。もしかしてこの体勢のままで……?」 はやて:「そやよー。正確には【だっ】でポーズを取り始めて【ねん】で谷間強調したら文句なしやな♪」 シグナム:「ポーズを取るだけではダメなのですか?その台詞からしてもあまり必要性を感じないのですが……」 はやて:「その台詞があるからこそ締まるんよー。一人やったら別にいいんやけど、リインも丁度いるしな♪」 シグナム:「(だ、だっちゅー……ねん……。主の命とはいえ、恥ずかし過ぎてあまりやりたくないのだが……。せめてリインフォースも拒絶の意を示してくれれば……)」 他人どころか身内の前でもやってしまうと赤っ恥確定な設定に少し眩暈を覚えてしまう。 ――二人でやる事に必要性があるのならば、リインフォースも難色を示せば少しは希望が見えるはず。 そう思うシグナムであったが…… リインフォース:「だっ……ちゅーねん。これでよろしいですか?」 はやて:「おぉー、完璧やリイン♪今のタイミング忘れちゃあかんよー?」 シグナムのそんな想いは一瞬にして脆くも崩れ去ってしまうのだった。 注文通りの完璧な動きにはやては、すっかりご満悦である。 シグナム:「(早!というか何の躊躇いもなくこなしてしまうとは……)」 はやて:「次はシグナムの番なー?」 いよいよシグナムがポーズを取る番が来てしまった。 すっかり気を良くしたはやてからは、期待の眼差しが注がれている。 シグナム:「う……。(何も考えてはいけない……。このような事で平常心を保てないという事は、まだまだ自分が未熟であるという証拠……!)」 はやて:「どしたん?うんうん唸って……」 シグナム:「い、いえ……!(それに今回の件も私がまだ未熟だという事を気付かせる為の試練なのかもしれない……。むしろ主に感謝しなくては……!)」 そうやってシグナムは、今回の件の事は全て、己の未熟さを思い知らせる為に行われたものなのだと、頭の中で必死に言い聞かせる。 すうっと息を大きく吸い込み、静かに目を閉じるシグナム。 それは、何かしら大事な場面になると必ずと言っていいほど行う動作だ。 やがて、彼女の頭からは雑念が消え、騎士として必要不可欠な何事にも動じない平常心を取り戻すことが出来た。 シグナム:「だっ……ちゅーねん。これで結構ですか、主はやて?」 はやて:「うん、バッチリやー!タイミングもリインと一緒で完璧やったし、すぐにでも使えるなー♪」 躊躇いが全く見られない滑らかな動きで、はやての要望通りの動きをこなすシグナム。 これには、はやて本人からも申し分なしというお墨付きが貰えた。 シグナム:「良かった……ふぅっ……」 たったあれだけのポーズなのに、実戦以上の緊張感から解放され、思わず安堵の声を漏らす。 しかし、そんな安堵も束の間、はやてから信じられないような言葉がまたしても発せられるのだった。 はやて:「あ、言うの忘れてたけど、ポーズやる時は下着姿でやるからなー」 シグナム:「し、下着っ!?」 はやて:「普通の服だとあんまし谷間、強調できへんやろ?だから下着でな♪リインは白でシグナムは黒って事で決定や」 ――谷間が見えないから下着で。 それほどまでにこのポーズは谷間が重要なポイントらしい。 しかも、はやてプロデューサーの脳内では二人の下着の色の割り当てまで決定してしまってるようだ。 リインフォース:「私は白……ですか。承知しました」 シグナム:「(こ、これも私への試練なのですか……主はやて……?)」 はやて:「それじゃ、早速本番のつもりでやってみよか?二人とも服脱いで脱いでー♪」 はやての口から飛び出した新たな条件に、放心状態になってしまうシグナム。 片や、それでも心を揺らがすこと無く、はやての命に従うリインフォース。 そんな対照的な二人の思いとは関係なしに、夜遅くまで作戦会議は続けられるのだった……。 ![]() ヴィータ:「晩ご飯まだー?」 ザフィーラ:「くぅーん……」 >>Topに戻る |