■キャラ設定
#八神はやて
ユーノとの偶然の出会いにより、彼に好意を持つようになる。
普段は明るくノリが良い性格であるが、好意を持つ異性の前ではその性格も控えめなものとなってしまう。
本編と違い足に病を患っておらず、非常に健康体。

#ユーノ・スクライア
前作同様、”淫獣の因子”の影響で周りが羨むようなフラグを立て放題?
■『あのコとの出会い』 2008.1.22

はやて:「あったあった、この本を探してたんよ〜♪」

――ここは海鳴市にある某図書館。
目当ての本を探しに来館していた一人の少女の姿がそこにあった。
彼女の名は八神はやて――茶色がかった髪の色と短めに整った髪に黄色と赤の髪留めをしているのが特徴的な女の子である。

はやて:「んしょっ……と、届かへん……!もうちょっとやのに」

目当ての本が置かれている棚の高さは、はやてにとってギリギリの高さだった。
普通こういう人の為に何かしら台のようなものがあるものだが、周囲にそのような物は見当たらない。
仕方なくはやては懸命に爪先立ちをして、手を伸ばそうとしていたのだが……。

はやて:「もっ……ちょっと……!」

本の下部を何度も何度も指先で引っ張り出すようにし、ようやく自分の手に取れるという所まできた瞬間だった。
最後の力を振り絞り、一気に本を指先で引き抜くはやて。
しかし、それと同時に隣にあった他の本諸々までも棚から顔を半分以上出してしまっていたのだ。
戻そうと思っても時既に遅し。
無茶した結果だと言わんばかりに棚から本が地面目掛けて落ちていく。

はやて:「えっ、うそっ!?ひゃぁあっ!!」

予期せぬ出来事にはやては驚きに満ちた悲鳴を上げながら床に尻餅をついてしまった。
もちろん床に落ちてしまったのは彼女だけではない。
手に取ろうとした本の横一列の半数も道連れだった。

はやて:「あ、痛たた……。え、えらい数の本も一緒に落っこちたんやなぁ……」

床に散らばった本を見て苦笑いを浮かべるはやて。
そんなどこかのギャグ漫画でありそうな演出をまさか自分自身で演出してしまうとは思っていなかった。

はやて:「あかん、そんな笑ってる場合やない。早く元に戻さんと」

悲鳴を聞き付けて誰かがやって来るかと思われたが、そんな気配もない。
隅にある本棚という事もあり、人目に付いていないというのが原因なのかもしれない。

はやて:「(誰も気付いてへんのかな?ま、まぁこんな大事になってるのを誰かに見られるのは恥ずかしいからええんやけど……)」

そんな事を考えながらはやては、地面に無残に散らばってしまった本達を慌てて揃えていく。
閉じたまま落ちたもの、開いたまま落ちたもの様々である。
それらを一つ一つ丁寧に手元に揃えていくが、重要な事を忘れていた。

はやて:「そうや、台が無いんやった……。探してこんと」

懸命に手を伸ばせばやっと届くほどの高さの棚に一冊一冊を元に戻していくのは結構な労力を必要とする。
それでも頑張れば強引に直す事は可能なのだろうが、きちんと元に戻したいという気持ちがはやての中では強かったのだ。
そんな中……

ユーノ:「あの〜……大丈夫ですか?」

はやて:「えっ?」

顔を声が聞こえた方向へ見上げると、そこには一人の男の子の姿があった。
はやての悲鳴に気付いた者は居ないかと思われたが、どうやら彼は気になって様子を見に来てくれたらしい。
彼の名はユーノ・スクライア――女性と見間違えてしまいそうな可愛らしい顔立ちが特徴的な男の子である。
彼もまたはやてと同様に探し物の本があって来館していた。

ユーノ:「さっき悲鳴みたいな声が聞こえたから気になったんですけど……どうかしました?」

はやて:「え、えと、本を取ろうと思ったら、隣のも一緒に落っことしてしまって……あはは」

ユーノ:「あぁ、なるほど。でも結構ありますね……僕も手伝いますよ」

はやて:「えっ、あ……」

ユーノ:「うーん、ちょっと届かないな……。台持ってきますね」

突然の申し出にはっきりと答えられないまま、ユーノに手伝いをお願いする事となってしまった。
正確には答える間が無かったと言うべきだろうか。
ユーノは”手伝いますよ”と言うや否や、即座に台を探しに行ってしまっていたのだ。

ユーノ:「よっ……と。それじゃ僕が棚に直しますから、本を渡してもらえますか?」

はやて:「あ、はい……!」

ユーノに促され、一冊一冊を彼へ手渡していく。
二人での流れ作業でやれば早いもので、あっという間に棚に出来ていた空白が埋められていった。
しかも丁寧な事にそれらをアイウエオ順に並べるなどし、元よりも分かりやすいような配置にしていったのである。

はやて:「(あ……ちゃんと名前順に並べてくれてるんや。几帳面なんやなぁ……)」

ユーノ:「よし、これで大丈夫かな。他に足りてないものとかあります?」

はやて:「あ、いえ……これで大丈夫やと思います」

ユーノ:「なら良かった。あっ……」

はやて:「?」

何かを見つけたような表情をするとユーノは、はやての肩に付いていた埃を手で軽く払った。

はやて:「そ、そんな……そこまでしなくてもええんですけど……!」

突然の事に顔を赤面させながら、しどろもどろに対応するはやて。
真剣な表情で肩に手を置かれ、少しドキッとしてしまった。
しかし、そんな彼女の気持ちは露知らず、ユーノは他にも汚れていないか、くまなく視線を彼女の全身へと注がせていく。

はやて:「あ、あぅぅっ……そんなジロジロ見んといて下さい〜……!」

ユーノ:「あ、ゴメン!な、何か気になっちゃって……」

恥ずかしさを覚えるはやての反応に気付いたユーノは慌てて謝罪の意を口にする。
下手したらセクハラとでも捉えられかねない状況であった事を今更ながら気付いてしまった。

はやて:「そ、それよりも……ほんまにありがとうございました」

ユーノ:「あ、こちらこそ……迷惑じゃなかったかな?」

困っている人を見過ごせない優しい性格という事もあり、やたらとお節介を焼いてしまう事があったユーノはそう心配そうに尋ね返してきた。

はやて:「迷惑やなんてとんでもないです!私一人やったらこんな早く終わらなかったやろうし……」

ユーノ:「そっか、それなら良かった……。それにしても、君って何か独特な喋り方をするんだね?」

はやて:「えっ?あぁ……私ちょっと関西弁が混じってるんですよ。この辺りじゃ皆標準語やから珍しいんやと思います……」

ユーノ:「そうかぁ、道理で何か微妙な違和感を感じたんだ」

はやて:「気にさせてしまったんでしたらすいませんー……」

ユーノ:「あ、うぅん!そんな悪い風に気にしてた訳じゃないから。寧ろ可愛いなぁって」

はやて:「えっ、か、可愛い……?」

この地域では浮いて見えるかもしれない自身の喋り方に申し訳無さそうな表情をするはやて。
しかし、ユーノはそう悪い風には捉えておらず、寧ろ可愛いと言うのだ。
これにははやても目を丸くして驚いてしまった。

ユーノ:「何だろ、その関西弁でだと可愛さが増すって言うのかな……うーん、上手く言えないや、あはは」

はやて:「そ、そうですか……?可愛いなんて、そんな言われた事なんて一度も……」

ユーノ:「そうなの?聞き慣れてる人とそうじゃない人とではやっぱり違うものなのかなぁ」

元々この世界の住人ではないユーノにとっては、はやての関西弁での喋りはとても新鮮なものに感じ取れた。
もちろんミッドチルダの方にも訛りのようなものはあるが、それとは違う性質のようである。
それ故に話し振りから愛らしさというものがユーノには伝わってきたのだろう。

そんな風にして何気ない会話を続けている二人だったが……

なのは:「ユーノくーん、もうすぐ帰るよー?」

入り口の方からユーノを呼ぶ女の子の声が響き渡る。
そこには彼と同い年と思われる二人の女の子の姿があった。
一人は先程ユーノの名を呼んだ元気で快活そうな女の子――高町なのは。
もう一方は、対照的に優しい笑顔だけをユーノへと向ける女の子――フェイト・テスタッロサである。

ユーノ:「あ、うん今行くよー!えっと、せっかく話してたのにゴメンね。僕行かなくちゃ」

はやて:「うん、気にせんといて」

ユーノ:「それじゃあ……また会えるかどうか分からないけど、元気でね?」

はやて:「うん、そっちも……」

ユーノ:「うん、それじゃっ」

簡単な言葉で別れを告げあう二人。
はやては少し名残惜しいようなそんな気持ちを感じながらユーノを見送るのだった。
それからしばらくして……。

はやて:「あ……!そういえば自己紹介できへんかった……」

あれから10分近く経とうとしているにも関わらずボーっと立ち尽くしていたはやては、急に思い出したかのようにそう声を上げる。
――別れ際に勇気を出して言えばよかったなぁ……
今更思ってもどうにもならない後悔の念で頭が一杯になってしまった。

はやて:「でも、確か”ユーノくん”って……。そんな名前なんかな……?」

思い出してみると、先程女の子がそう彼に向かって呼んでいた気がする。

はやて:「でもユーノくんの名前だけ分かったって意味ないやん……。私の事も知ってもらわんとなぁ……」

自分だけが相手の名前を知っているだけではあまり意味は無い。
いつか再会したとしてもユーノの方がはやての事を憶えているとは限らないからだ。
そう考えれば考えるほど、やはり自己紹介しておくべきだったと思わずにはいられない。

はやて:「はぁ……ユーノくん。また会えるんかなぁ……?」

見ず知らずの自分に優しくしてくれたユーノの事を想いながらそう呟くはやて。
そんな彼女の頬はほんのりと赤く染まっていた……。
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