ある日携帯にショートメールが来ました。すぐに番号に折り返してくれとのこと。
そのころ学生で、登録制のアルバイトをしていたので、知らない番号だけど一応かけてみることに。
出たのは怪しいお兄さん。一応事情を説明すると、あちらから折り返すとのこと。
数分後電話があったので出てみると、先ほどとは違う更に怪しいお兄さんの声。
「私○○会社のものですが、半年前ご利用された××チャンネルの御料金の支払いがまだのようなので電話お電話しました」
きたきたきた。これが今話題の架空請求ってやつですか。
とりあえずパソコンを開いて、黙って電話を切り、先ほどショートメールに載っていた番号と、今かかってきた番号をメモ。
するとまたすぐ電話がなりました。お兄さん、ちょっと怒ってる模様。
「何で切るんですか」
「なんか電波が悪いみたいで」
インターネットに接続。ダイヤルアップは遅い。グーグルで検索をかけたところ携帯電話の番号は両方とも出てきませんでした。
「先ほどよく聞こえなかったので、もう一度会社名とお名前お願いします」
お兄さんの声はちょっといらいらしつつも律儀に名乗りを上げます。そしてわたしの名前を聞いてくる。
「え?何でわたしの名前知らないんですか?」
「一応確認のため」
「電話番号を知っているのに名前を知らないのっておかしいですよね、この番号どうやって知ったんですか」
会社名を検索すると出てきました。危ない会社一覧に。バイトは5時から。まだ2時間あるし暇だし、ちょっと付き合うか。
「調査の依頼を××チャンネルからされたんです。そちらが半年前利用して支払いが遅れている分と調査量5万円お支払いお願いします」
「すみません、わたし多分違いますが」
「違うって言いましたか?こっちには記録が残ってるんだ」
「でもわたしのほうには残ってません」
「残ってるんですよ、あなたそれ以上言うと偽証罪ですよ、今の会話録音してるんですからね」
「そんなに言うなら使ったのかもしれませんね」
「さっき使ってないって言ったのに、今は使ったって、言ってること違いませんか?詐欺罪ですよ」
「そんな半年前の案件をいきなり振られてちゃんと証言できるほうがおかしくないですか?わたしは使った記憶はないし、使う理由もありません。でも、もし使ってるという確たる証拠があるのならば、そちらの会社にお伺いするので、見せてください」
そこで、検索した結果出てきた住所を読み上げると、再び切れだすお兄さん。
「何を言ってるんだ!今の会話録音してて、これだけで詐欺罪になるだろうが」
「それは詐欺でなく錯誤じゃないんですか?ならば取り消し可能だと思うんですが?」
などと適当な法律知識を振りかざすと、押し黙るお兄さん。
「じゃあ、さっき使ってないって言う部分はテープからカットしますので、払ってください・・・今カットしましたので、安心してください」
ずいぶんハイテクな録音機を使ってるんですね。
「請求書があれば払うんですけどね」
「じゃあ、お宅の家まで請求書を持って集金に行きます」
来ました。お宅の家ま伺います。営業やってるとわかるけど、これって結構効果ありますよね。行くってだけで、実際行かなくても、スムーズに話がまとまります。
「いや、知らない人にこられても迷惑だし」
「じゃあ、あなたの実家にお伺いします」
「実家誰もいませんが」
実家とか、リアリティのある話を持ち出してきました。わたしが一人暮らしだということを張ったんでしょうが、実家住まいの人にとってもおばあちゃんの家など『実家』は存在します。そして、こられると迷惑です。
「来ないでください」
「いや、行きます」
「確たる証拠と請求書を送っていただいて、そちらの会社の口座番号を指定いただければ振り込みます」
「何言ってんだ、お前みたいなやつに会社の口座番号なんて大切な情報を教えられるわけがないだろう」
「話になりません、もう約束があるので切らせていただきます、そちらの会社の住所は分かっているので、今回の会話の録音テープを持ってお伺いします、いつならよろしいですか?」
「ななっあqswでfrtgyふじこlp;@」
そこでバイトの時間なので、電話は一方的に切りました。
折り返しかかってこなかったので、向こうも切りたかったようです。
まあ、口座番号教えない時点で、かなり相手にされてないんだろうとは思ってましたが。
それ以来、架空請求の電話がかかった繰ることはなく。お兄さんのことは営業をしていくうえでとても勉強になりました。
それにしても、女でもそういうターゲットになるんですね。
あと、実際のお兄さんの話の内容は、こんなに紳士的じゃなかったです。