吉良吉影

吉良吉影といわれて、分かる人、分からない人がいると思う。
吉良吉影は漫画の登場人物。
『ジョジョの奇妙な冒険』の悪役。
『ジョジョの奇妙な冒険』自体、評価は3つに分かれる。

1.好き
2.嫌い
3.知らない

多分、国民の過半数は3だと思う。ネットでは好印象の漫画だが、それでも嫌いな人はいるはず。みんなが認知していてかつ好きなものなんてお金以外この世に存在しないから。
知らない人が読んでも、差しさわりがないように吉良吉影について説明したいが、わたしが吉良吉影を知らない人の立場にたつことは不可能なので、もし説明を聞いても分からない場合は申し訳ない。

吉良吉影は『ジョジョの奇妙な冒険』という、週刊少年ジャンプに長いこと連載されていた漫画の、第4部のラスボス。
この漫画は一部ごとに主人公と舞台が変わり、各部ごとにラスボスがいる。そのラスボスは完全な悪で、主人公は正義。いまどきの漫画じゃ珍しい勧善懲悪の話だ。
敵は吸血鬼など人間を超越した能力を持っており、主人公たちもまた特殊な能力を持っている。
そんな中、吉良吉影は不思議な敵キャラだった。
職業はサラリーマン。裕福な家庭で、両親が年をとってからできた1人息子なので、かわいがられて育つ。性格は、平穏を好む。毎日決められた時間に起きて、決められた時間に出社し、そつなく仕事をこなし、家に帰ると決まった時間に就寝する。目立たない、平凡な一般市民である。
彼のモットーは、ストレスや敵に阻まれることなく『平穏に暮らすこと』。
そんな彼がなぜ悪役なのかというと、彼には人を殺さないと解消されない性癖があり、それを可能にする強い能力があったから。
その性癖のおかげで、彼は平穏に暮らすことができるのだ。
この漫画を読んでいた当時は、単純に適役の吉良吉影がにくかったし、早く倒して欲しかった。
だけど、今になって吉良吉影を理解できる。

誰だって平穏に暮らしたい。
だけど、誰だって人には言えない暗い面を持っている。 吉良吉影の、表面上つくろっていた生活は、わたしの理想だ。
だけど、だからといって関係のない人を巻き込んではいけない。いや、実際巻き込んでしまっている人は多いし、巻き込まれている被害者はもっと多い。

この漫画は、少年漫画だ。
しかし、もしかして当時の少年たちが大人になったときのために、書かれたものなのかもしれない。
もし、取り返しのつかない何かをしたい衝動に駆られたとき、吉良吉影の顔が浮かんでくるように。

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