悪平等(ノットイコール)

安心院なじみ(あじむ なじみ)

箱庭学園創設者にしてフラスコ計画の立案者。7932兆1354億4152万3222個の異常性と4925兆9165億2611万643個の過負荷、合わせて1京2858兆519億6763万3865個のスキルを持つ[注1]。自称「平等なだけの人外」。一人称は「僕」。3年前にはめだかや球磨川と同じ箱舟中学校に在籍しており、球磨川が中学で生徒会長だった時の副会長。ただし、めだか・善吉・阿久根の3人は中学時代の彼女のことを記憶していない。自分の事を「安心院(あじむ)」と呼ぶ人間に対しては「僕のことは親しみを込めて安心院(あんしんいん)さんと呼びなさい」と促す。
球磨川が最後に恋した女性(正確に言えば球磨川はその後財部を好きになった)。魅力的過ぎる人格と容姿を理由に彼に顔を剥がされており、その一件はめだかが乱神モードを発動するきっかけにもなっている。3年前に球磨川の「却本作り」によって封印(正確には球磨川レベルの過負荷にされていた)され、「大嘘憑き」により存在を「なかったこと」にされてからは関係人物の夢の中にのみ現れ、生徒会戦挙でめだかが球磨川の心を救った後には、却本作りによる封印が弱まったのを契機に箱庭学園に転入した。球磨川が改心すればするほど、幸せになればなるほど彼女を縛る螺子は外れていく。
飄々とした態度の裏では「人間は平等にカス」と捉え、幸せも不幸も全て平等に無価値だという論理観「悪平等(ノットイコール)」を標榜する。次世代育成プログラムの参加者5名を含む7億人の悪平等(ぼく)を従え、圧倒的な力を持つものの、主人公体質のめだかには勝てないと考えており、直接戦わずして目的を達成すべく善吉を誑かし、フラスコ計画で善吉を「主人公」に仕立て上げめだかとの対立を企む。なお、端末の共通要素は「過剰な個性」のみ。
選挙後、万能の存在であるが故か「シミュレーテッドリアリティ」を抱えていることが判明する(そのため、「この世界がもしも『週刊少年ジャンプ』に連載されている漫画だったら」と仮定して物事を話すことが多く「主人公」「ラスボス」「最終回」「アニメ化」など、漫画に例えることが多い)。彼女の行動原理は「『できない』ことを探す」だと明らかとなり、フラスコ計画の「完全なる人間作り」も「できそうもないことだから取り組んでいただけ」であった。計画の本来の目的も「(計画が)失敗すること」で、彼女自身ができないことができないということを確認してこの世が現実だということを認識したかっただけだった。善吉がめだかに圧勝したことでフラスコ計画の完成も見えてしまったことから『できない』ことも無くなって自殺しようとしたが、めだかによって制止された上に今後も自殺を徹底的に邪魔すると宣言され、さらにその上めだかによって一年十三組に在籍させられることとなった。新たに死ぬことが『できない』ようになって涙を流しながら安心した結果、球磨川曰く彼女自身が自身の心に施していた「却本作り」の最後の螺子が外れ、封印によって変色していた髪の色も元の黒に戻った。
封印が完全に解けたため、1京のスキルを惜しげもなく使い、同系統のスキルを100個立て続けに発動して相手を瞬殺するという戦法をとるようになった。この完全版安心院さんは通称「完全院さん」と呼ばれ、めだかですら「何一つ悪いことしてないけど土下座する」と恐れるほどである。
不知火半袖に借りを返すためにめだか達と共に不知火の里を訪れる。そこで自身が5千年前に初めて勝てなかった人間、獅子目言彦に遭遇。5千年前の時点で、既に1京を超えるスキルを所持していたにもかかわらず、1億回以上獅子目に敗北している(言彦からのダメージは不可逆なので、全て無傷で済ませていた模様)。めだか達を逃がすために銃系スキルを使って獅子目と対峙するが死亡してしまう。

1京分の1のスキル

欲視力(パラサイトシーイング)

他人の視界を覗くスキル。他人の見ている世界を見ることで、他人が何をどんな風に考えているのかも見ることが出来る。生徒会戦挙庶務戦で視力を失った善吉に貸し与えられていたが、その後、半袖のスキルで別のスキルへと作り変えられた。

手のひら孵し(ハンドレッド・ガントレット)

事象の卵細胞化、つまり因果を逆流させるスキル。球磨川の過負荷「大嘘憑き」の元となった。後に「却本作り」と引き換えにこのスキルのみが安心院に返却される。その後、球磨川に遺産として贈られる。

口写し(リップサービス)

口移しでスキルの授受(回収・返却)を行うスキル。

指折り確認(カウントアップ)

スキルを数えるスキル。1京のスキルの中で安心院がもっとも重宝している。

腑罪証明(アリバイブロック)

好きな時に好きな場所にいることが出来るスキル。現実世界はもちろん天国・地獄・他人の夢の中でも自由に移動可能。安心院が好んで使うスキルの1つ。

死延足(デッドロック)

永遠に生きることが出来るスキル。このスキルにより宇宙の誕生前から存在しているらしく、『できない』ことを探し続けた結果、第百回生徒会選挙日の時点で3兆4021億9382万2311年287日の歳月を生きたと発言している。

無効脛(ライフゼロ)

スキルを無効化するスキル。

手の舞足の踏むところを知らず(スタンディングオベーション)

スキルの部分無効化のスキル。善吉に貸出中の「欲視力」が自分に対して通じないよう工作した際に使用した。

身気楼(ミラージュブナイル)

相手の認識をいじって自分を任意の人間だと錯覚させるスキル。

五本の病爪(ファイブフォーカス)

爪で引っかいた相手の病気を操るスキル。操れる病気はただの風邪・貧血から癌・心臓病など様々。発病させるだけでなく病気を治すことも出来る。病を操るスキルであるが、治す分には切り傷・打撲・骨折なども応用で治すことができる。現在は赤青黄に貸し与えている。

口区間(ドア・トゥ・ドア)

キスした相手の意識を強制的に「夢の世界」へ送ることができるスキル。

逆転掌訴(ギブアップダウン)

天井に張り付くスキル。あまり使い道がないらしい。

刀剣系スキル×100

刀を精製するスキル「見囮刀(ソードルックス)」や、影を切るスキル「闘影の尻尾切り(シャドウアウト)」や、肉を切らずに骨を断つスキル「裁人の手技(ボーントゥビーミート)」など、刀剣に関するスキル群。

格闘系スキル×100

防御不可能のスキル「たどたどしい拳(ビギナーズハードラック)」や、利き腕交換のスキル「両手に花(ダブルフラワー)」や、間合把握のスキル「末端距離走(ベリーショートレンジ)」など、格闘や肉体に関するスキル群。

魔法系スキル×100

火を司るスキル「間違いなく放火(エキシビションマッチ)」や、水を司るスキル「水肢体(ウォーターボディスラム)」や、雷を司るスキル「千脚万雷(ボルトレッグ)」など、森羅万象を司るスキル群。

精神系スキル×100

骨抜きのスキル「動物のいない農場(ボンレスファーム)」や、罪業妄想のスキル「きみと罰(シャドウアウト)」や、既視感のスキル「見覚えがある海(オーシャンデジャヴュー)」など、精神攻撃に関するスキル群。

生物系スキル×100

怪獣になるスキル「獣軟な姿勢(ストライクビースト)」や、爪を伸ばすスキル「異爪棚(グロテスククローゼット)」や、狩猟本能増大のスキル「猛獣我利(猛獣狩り)」など、生物に関するスキル群。

ラスボス系スキル×100

神になるスキル「過身様ごっこ(スペックオーバー)」や、悪魔になるスキル「飽くまで遊び(タイアードプレイ)」や、答を知るスキル「模範記憶(マニュアルメモリ)」など、漫画のボスキャラが使いそうなスキル群。

実力勝負(アンスキルド)

スキルを使わないスキル。3分間限定で、自身のスキルを全面無効化・全面禁止するスキル。遺産として球磨川に贈られる。

銃火器系スキル×100

銃火器精製のスキル「失敗ばかりの銃作り(ガンスミステイク)」や、早抜きのスキル「名門構え(ファーストクラスガンマン)」や、早撃ちのスキル「控え目にも止まらない(ムービングショット)」など、銃火器に関するスキル群。

弾爪の麗人(レディギタリスト)

弾丸補充のスキル。銃火器系スキルの1つ。拳銃に触れなくても弾丸に触れなくても弾込めをできるスキル。水槽学園にて球磨川と安心院ゲームを行うため、メッセンジャー役の鉄砲撃に貸し与えられていた。不知火知不編では、すでに回収済み。

忍者系スキル×50

分身のスキル「心分身(ニーズペーパー)」や、巻物のスキル「早巻きながら(コラテラルスロット)」や、苦無のスキル「ほろ苦い無情(ビターミゼラブル)」など、忍者に関するスキル群。

主人公系スキル×50

友情のスキル「超越同衆(フレンドシップマージン)」や、努力のスキル「疾風努闘(スピーディペイン)」や、勝利のスキル「多勝の宴(アベタイザーパーティ)」など、週刊少年ジャンプの主人公のような主人公補正のスキル群。

ばきゅん。

星破壊ビームのスキル。ビーム系スキル。このスキルにより、球磨川の中の「敗北の星」が消し飛んだ。

予言系スキル(名称不明)

予言するスキル。1京のスキルの中には売るほどあるスキルだが、本人曰く「先の楽しみがなくなってしまう」という理由であまり使用したくないスキルである。

酸素を操るスキル(名称不明)

酸素(正確には酸素分子)を操るスキル。

スキルを名付けるスキル(名称不明)

スキルの名称を作るスキル。

注釈

1, 7932兆1354億4152万3225個の異常性と4925兆9165億2611万642個の過負荷、合わせて1京2858兆519億6763万3867個のスキルとなっており、人吉への「欲視力」の貸出、球磨川からの「手のひら孵し」の返却等もあり、現在でもスキルが増加し続けている。

立ち位置は終焉の使者。
ある人物に自らの記憶と人格・スキル群を移植し自身が何らかの要因で活動不能に陥った場合に覚醒するよう仕向けていたが、諦めざるを得なくなった模様。

不知火 半纏(しらぬい はんてん)

安心院と共に転校してきた悪平等のうちの一人。背中に≠の書かれた制服を着ており、基本的に読者に背を向けて立っているため、顔は常に見えない。安心院と行動を共にしている事が多いが、基本的に背を向けているだけで特に行動を起こすことはしない。安心院曰く「ただそこにいるだけの人外」。安心院と出会ったのは約150年前。彼の正体は安心院なじみの影武者。悪平等を名乗っているのも安心院なじみが悪平等だったからそれに倣っただけ。安心院よりも自分の方が先に死ぬ公算が高かったため、自分の役目を引き継ぐ「バックアップ」を作った。その一部が派生して「不知火の里」が生まれた。
安心院なじみの死後、反転し「反転院さん」として「表の六人」を引き連れ不知火の里にめだか達の救出に現れる。
彼のスキルは「スキルを作るスキル」。フラスコ計画の権化のようなスキルであり、テーマそのものが矛盾したり破綻していない限り、基本的にはどんなスキルでも無制限で作り出すことができる。安心院の1京のスキルの内、100個近くはこのスキルにより作られている。本人曰く、安心院なじみの影であるための手段でしかない。なお、スキル名は「必要ない」とのことで存在しない。

立ち位置は開闢の使者。