おとおいの宴


チリンチリン、チリンチリン……。

「はあっ、はあっ……」

足元も見えない暗い道を僕は走っていた。
かすかに照らす月明かりを頼りに懸命に足を運ばせる。

チリチリン、リリン。

息づかいと共にいくつもの鈴の音が聴こえる。
それも僕の身体からだ。手首、胸、腰、足首、至るところに鈴の付いた輪がつけられていた。
これではわずかに身じろぎしただけで静寂に鈴の音が響き渡り、自分の居場所が知られてしまう。
居場所を知られる? 誰に?
僕は誰かから逃げているのだろうか?


「あっ、いたわ! こっち、こっち!」

浮かんだ疑問は明確な答えが現れて、すっ飛んでしまった。
林とも呼べない並木道の反対側から、女性が走ってきている。
その女性の声に反応するように、周囲から別の人間の気配が次々と近づいてくる。
すでに僕は囲まれていた。長いこと走っていたのか、足の筋肉も限界に達していた。

逃げたとしても身体にくっついている鈴のせいで、逃走方向はたちまち知られてしまう。
それにもう僕は半ば観念していた。
これから自分にふりかかる事に、精神的に準備することの方が重要だった。


「余興の鬼ごっこは、もうおしまいのようですね。でも、これからが本番なんですよ。 
 私たちと朝まで楽しんでくださいね」

巫女服を着た女性が、1歩踏み出してきて言った。僕の周りは女性たちが二重三重に囲んでいる。
どの女性もみな、若くて整った顔立ちをした美人揃いだった。
さらに白く薄い和服を着ており、汗を吸ったそれは肌を透けさせて、若々しい胸の膨らみやお尻の丸みを強調させている。


「まずは……そうですね、全員と『挨拶』をしてもらうことにいたしましょう」

巫女は僕に近づくと腰を抱きしめて密着してくる。そしてすぐに唇をあわせ、舌を差し込んできた。


「んっ、ちゅ……んふ……はぁ」

彼女の手の平が僕の背中やわき腹で円を描くように撫でさする。
目の前では吐息や唾液を僕に送りながら、笑って視線を向ける顔がある。
だんだんと気分が昂ぶり、身体は官能に支配されていった。


「2人だけの世界にはまるのって、失礼だよ。他にもこんなに女性がいるのに」

すぐ背後で聞こえた声に、僕は我にかえった。
しかも気づくと僕の身体に何人もの女性が手をのばしている。
彼女たちは我先にと僕の服を脱がし、足先からうなじまでを柔らかな手で撫でたり、舌で舐めてきた。


「んん……私だけが独占するのも悪いですからね、他の人も楽しみませんと」

巫女は名残惜しそうにキスをやめて離れ、すぐに別の女性と位置を交換する。
すでにその女性は着物を脱いで全裸だった。
倒れこむように抱きしめられ、女性の豊かな胸が押し付けられてつぶされる。

上着も脱がされていた僕と彼女の乳首同士がこすれあい、快感とひきかえに勃ってきた。
背後からも女性の裸体がくっついてくる。
唇とうなじにキスをされ、胸と背中は乳房で挟まれ、脚には4本の太ももが絡みつく。


「そのトランクス、脱いじゃおうか? そんなに濡れていたら、冷たいでしょ」

彼女の言葉どおり、下着はペニスから次々と噴き出す我慢汁でベトベトになっていた。
前後の女性が協力してトランクスを引き下げて足から抜いていく。
すぐさま前にいる女性がペニスに手をのばして亀頭の部分を手の平で包み込むように握った。

後ろからも手がのびてきて、アナルや会陰、玉袋までを下から突き上げるようにさすった。
女体にサンドイッチされて身動きができない僕は、彼女たちの与える快感のままに喘ぎ、
射精のみに向かって腰を突き上げる。


「イキたいの? 私たちの身体にかけたいのね?」

僕はこくこくと頷きながら、ペニスに与えられる快感のみに意識を奪われていく。


「ふふふ、大人しくなって可愛い。それじゃあ、たくさん、射精してね」

さらに何人もの女性が僕の身体にくっつき、全身を舐めまわしてきた。
特にペニスとアナルの周辺には5人の舌と手が這い、彼女たちの笑いと喘ぎ声が僕の脳内をしびれさせる。

それを感じた僕はついに快感が頂点に達する。
噴水のようにあふれ出る精液は、瞬く間に女性たちの身体に付着する。

彼女たちはその精液を奪い争い、自らの股間に塗ったり口に含んだりしていた。
射精がおさまっても、刺激を与えられ続けた僕のペニスは、まだ萎えない。

群がっている女性はさらに精液を求めて、愛撫を続けている。
ペニスは何人もの手によって擦られ、舐められ、膣に入れられて締め付けられ、脚に挟まれ、何度も射精をしていた。

「この宴はまだ始まったばかりです。あなたが××まで、ずぅっと、ですよ」

少し離れた場所にいた巫女が何事かを言ったようだった。

「ですが、もしかしたらまだ、始まっていないのかもしれませんね」



ガタッ……ブォー……。

「んっ……」

車内の窓から漏れる光と、タイヤが段差を踏んだ振動により、僕は目覚めた。
昨日の正午に乗った高速バスに揺られて20時間、ようやく目的地に近づいてきた。

 僕の家はそれなりに由緒ある神社の宮司を務めている。
僕自身はまだ父の下で修行している見習いだった。

今回こうして遠方の地に向かっているのは、とある神社の手伝いのためである。
その神社のある村で毎年行われているという祭りを仕切りたいのだが、宮司が亡くなり、人手が足りない。

そこで亡くなった宮司の家族が全国各地のつてを頼ってきたのだという。
知らせを聞いた僕は、その助っ人に名乗り出ることにした。

他所の神社で修行することで宮司としての自分を磨きたかったし、
民俗学的な興味もはたらいて、全国の祭りを肌で体験してもみたかったからだ。

 ゆらゆらと蛇行して山道をのぼっていたバスが、直線に走り始める。
カーテンを開けて外を見ると、すでに盆地の中に入っていた。

盆地の底にいくつかの家の屋根と、温泉のような湯煙が見える。
あれが目的地の、『鈴音村』だった。

 村の入り口にあるバス停でおりると、長い時間すわっていた緊張を解くために背伸びをした。
かすかに感じる硫黄の臭い。やはり温泉が湧いているようだった。

バッグの中からこの村の地図を取り出す。
今回の手伝いを申し出た際に、向こうの神社から送られたものだった。

人の住む地域はごく狭いようで、端から端まで歩いても30分ほどのようだ。
神社のある場所は、村のバス停から中心をはさんで反対側にある。

僕は気楽な旅行者になったような気分で、村の中へと歩いていった。
いくつかの家の横を通り過ぎていくと、たびたび若い主婦のような女性に会った。

なかにはまだ高校を卒業したばかりのような人もいる。
このような場所で高齢化が進んでいないのは、ちょっと奇妙に思えた。

花嫁募集の企画でもあったのだろうか。
男性の村人はまったくみかけない。どこか別の場所へ農業や林業などで働きに行っているのだろうか。

 家の多い場所から少し離れ、なだらかな坂を昇り、数十の石段の上に、目的地の神社はあった。
やや小さめの鳥居と、かなり年代が経っているであろう古い造りの本殿。

壁はところどころ動物が空けたような穴が無数にある。屋根も傷んで雨漏りがあるようだ。
一目見て財政的にもかなり苦しい神社であることがわかった。

しかし周囲の地面にはゴミや落ち葉も見当たらない。
細々としながらも最低限の管理をしていることがみてとれた。

神社の人が住んでいる母屋はあるのだろうか。
本殿の左右を見回してみたが、敷地は意外と狭かった。

神社を囲むように雑木林が広がっていて、とても人が住んでいるとは思えない。
特に本殿のすぐ後ろから伸びている木は、屋根を悠々と越す高さと広がりをもっていた。

きっと御神木なのだろう。本殿の裏手にあるのは珍しいな。
僕はその神木を見ようと裏手に回ってみた。

雑木林の陰に入ると、日も当たらずに少し薄暗い。
だが神木の傍に、紅白の巫女装束を着た女性がいることは明確に認識できた。
挨拶をしようと近づく。


「あ、こんにちは。この神社の方ですか?」

「えっ? そうですよ。あっ、もしかして今回のお祭りの、手伝いをしてくれるという……」

黒い髪を伸ばした巫女の女性が、控えめな声で言った。
まだ20歳前後だろうか。肌もつやが良く、かなり端麗な顔立ちをしていた。


「そうです、そうです。まだ宮司としては修行中ですが、よろしくお願いします」

「はい。私は宮森沙希(みやもりさき)といいます。こちらこそ、よろしくお頼み申し上げます」

「ところで、神社の他の人はどこに?」

僕がそう聞くと、

「えっと、この村にいるのは私だけです」

「え、村の外に行っているということかな?」

「いえ、そうではなく、この神社のことは今、私が仕切っているのです……
 父は去年に亡くなりましたし、母も起き上がって動ける身体でないので……」

沙希さんはうなだれたように下を向いた。
悪いこと聞いちゃったなあ……宮司が亡くなったことを、すでに僕は知っていたはずなのに。


「だ、大丈夫、大丈夫! こう見えても力仕事なら得意だから。何でも頼んでいいよ」

空元気を出して言った僕に、

「はいっ、ありがとうございます」

沙希さんは微笑みをかえしてくれたのだった。


「この御神木、ずいぶん大きいよね」

とりあえず最初の仕事は、この神木の周りの掃除だった。
とはいえ、普段から綺麗にしているようなので、さして労力はかからない。

「そうですね。本殿もできる前からずっとあるのですから」

どこか眩しそうに神木を見上げる沙希さん。

「この神木は、昔この村に住んでいた鬼を閉じ込めているらしいのです」

何やら逸話やおとぎ話のようなものがありそうだった。

「へえ?」

「もともと、この村は鬼や盗賊が拠点にしていたそうです。
 ときおり山を下りては食料を略奪し、女性を誘拐していました。
 これを知った土地の守り神が、たくさんの下僕をつかい、
 鬼や盗賊をこの神社に追い詰めて、神木に封印したということです」

「はー、面白い話だね。実はけっこう、そういう民俗にも興味があるんだ」

「あくまで、人の口で語り継いだことですから。
 元の話とどこが変化しているかわかりませんよ。
 でもこの木は、今も昔も変わらずにここにあるんです」


沙希さんは神木に近づき、幹に手をあてる。

「この木には、面白い所があるんですよ。こっちに来てみてください」

そういうと彼女は、神木の裏に回りこむ。
大人が手をつないで囲んでも、5人はいないと一回りできそうもない巨木は、

女性1人の姿を隠すことが容易だ。
僕も巨大な神木の裏に行くと、沙希さんは木の幹を指さしていた。

ちょうど大人のおへそ程度の高さの所に、長く出っぱった部分がある。
幹のコブというには長く、枝というには太かった。

お土産屋に売っている大きめのコケシぐらいだろうか。


「ふふ、面白い形をしていますよね。触ってみてください」

「これは、いったい?」

促されて幹から突き出た部分に手を当ててみる。
巨木の表皮にありがちなカサカサした感触は全く無く、むしろ若々しい滑らかさがある。

コブの芯はとても固いはずなのに、ちょっと指で押すだけでへこむような柔らかさもそなえている。
これはまるで……この状況で説明するのが恥ずかしいが、まるでペニスのようだった。

容易に連想できるので、とても口にしにくい。
僕はすぐに手を離して、所在なげにぶらぶらさせた。


「不思議な部分ですよね。この神木が落とした葉や枝を使って香料も作れるんですよ」

「香料、ですか。どんな香りになるんですか」


話題が変な方向になりそうだったので、僕はその香料について興味ありげに聞いた。

「これなんですが……嗅いでみますか?」

沙希さんは巫女服の袖の下から小さなビンを取り出した。
かすかに赤い色をした液体が入っている。

僕はビンを受け取り、キャップを緩めて匂いを嗅いだ。
ほとんど匂いはしなかった。だが微かに樹液のような甘ったるい香りがする。

……。……。

……っと、そのとき、視界がぐらっとした。

なんだかまるで、水の中に沈んでいるような感覚がする。
それでいて気分がとても晴れ晴れとしていた。


「どうですか? もっと嗅いでみてもいいですよ」

言葉に甘えてキャップを完全に開け、鼻をつけるようにしてから深呼吸をする。
スーッと僕の中に豊かな香りが吸い込まれていった。

今度は空の上に浮かんでいるような気分だ。

「気に入ったのなら、飲んでみるのもいいかもしれません。美味しいですよ」


飲む? ああ、たしかにこれは美味そうだ。

僕はビンに口をつけ、1滴も垂らさないように飲みほした。
清涼飲料水のように一気に喉を潤していく。

「いかがですか? なんだか力が湧いてくる気がしませんか?」

そう言われてみると、身体の内奥から活力がみなぎってくるようだった。
特に下半身が妙に熱い。全身の血液が集まってくる感じがする。

「こういうのが、欲しくなってきましたよね」

巫女装束の着物をはだけていく沙希さん。
下はブラジャーを付けておらず、張りのある乳房がすぐに顔を出した。

それを見た僕はたまらなくなって彼女を抱き寄せ、吸い込まれるように胸の谷間に顔を埋めてしまう。
右手で乳房をつかむと、心地よい弾力を返して変形する。

手を離すとすぐにもとの形にぷるんと戻る。
もう一方の乳首を咥え、口の中をすぼめて搾るように吸った。

彼女は頭を撫で、さらに胸に押し付けるようにしてくれる。


「ココがどうなっているのか、見せてくださいね」

不意に僕のペニスがズボンの上からさすられ、思わず腰を引いてしまう。
器用にジッパーが外され、ズボンと下着をまとめて脱がされた。

「とても元気ですね。良いことですよ」

愛でるような表情で、沙希さんは僕のペニスを撫で、軽く握り締める。
僕は腰を反らせてもっと触ってほしいという意志表示をした。

それに応えるように彼女は僕の前にしゃがみ込み、片手で竿を握りもう片方は亀頭に手の平を押し当てた。
そのまま両手を回すように動かされると、彼女の滑らかな手の感触がペニス全体に行き渡る。

我慢汁が溢れ出るとさらにヌルヌル感が増して、早く強い刺激にもいっそうの快感を与えてくれるのだった。


「いい匂いがしてきました。精液がのぼってきているのですね。遠慮せずに放出しましょうか」

ペニスを握り、そのまま彼女の胸へと導かれる。
亀頭の先にある尿道口や裏スジが、彼女の乳首と擦れていく。

その光景を見るとさらに射精感が近づいてきた。


「も、もう出ちゃいそうです。沙希さんの手の中に、胸に、射精してしまいそうで……」

「構いませんよ、さあ、もっと気持ちよくなってくださいね」

優しく微笑みかけてくる彼女を見ると、ふわぁっと意識が浮かびそうになった。
そしてすぐにペニスが震えて精子を噴出する。

彼女の手や胸に何回も精液を飛ばしていく。
射精中も柔らかな手が亀頭を擦りつづけ、僕はさらに一段上の高みへと昇らされていった。



……。……。

「……あれ?」

なんだか頭がぼうっとしていた。
気がつくと僕は、ビンをもったままじっとしている。

「どうしましたか? その匂い、お気に召しませんでしたか」

「ああ、いえ、そうじゃありませんよ。すみません、なんだか呆けてしまって」

慌てて僕は手にもっていたビンを沙希さんに返した。
彼女はそれをすぐに袖の下に入れる。

「あ、そろそろお祭りのことについてお話をしないといけませんね」

沙希さんは、いま思いついたように言った。

「本殿の中に入りましょうか」

「え、ええ……」

沙希さんの後について本殿へ向かおうとする。
そのとき、突風が吹いた。頭上でざわざわと枝が揺れて葉がこすれあう。

だが神木の幹は揺れることなく、雄大に存在していた。



「どうぞ、上がってください」

「お邪魔します」

本殿の戸を横に引いて開放させた沙希さんは、履物をそろえて入った後に僕を促した。
僕も靴をそろえて中に入る。本殿の中も外観を裏切らない光景だった。

ささくれ立った畳に、変色した柱。神前の飾りも朽ちる寸前のようだ。
だが掃除をしているおかげで、清潔感だけは失われていなかった。


「あちらで話しましょうか」

正面に向かって右側に、座布団と卓が置かれていた。
その片端に僕は腰を下ろす。対面に沙希さんも座った。

「それでですね、明日の夕方から行う『おとおい祭』のことですが、
 内容や趣旨については、ご存知ですよね?」


おとおい祭り、この村が古くから続けてきた年間行事といっていい。
一年の厄除けと安泰を祈るために行うものだ。

「最初の方は、この本殿のなかで村の子供たちが舞いと笛を吹いたり、
 私が祝詞をとなえるということになっています」

「そのとき僕は何を?」

「あなたは私の隣で控えていてほしいのです。ですが、何も動作があるわけではありません。
 じっと、私や子供たちの動きを見守っていてくれればよいのです」

「隣で、ですか。わかりました」

「何もなさらないのは、かえって辛いでしょうが、よろしくお願い致します。
 ですが、もしかしたら、その後の方があなたには大変かもしれません」

「はあ……」

「本殿の中での神事が終わると、外に出るのですが、
 すでにその頃には、村人が神社の中に集まっていると思います」

「そこで何をするのですか?」

「まあ、簡単にいえば鬼ごっこですね」

それを聞いた僕は拍子抜けしてしまった。

「え、鬼ごっこ?」

「あなたの身体に鈴をいくつかつけまして、村の中に逃げ込んでもらうのです。
 村人はしばらくしたら、あなたを捕まえるために追いかけます。
 あなたを捕まえた人は、今年の幸福を得るというわけです」

「なるほど……しかし、村の中を走って逃げまわるのか」

「大変だと思いますが、無理はしないでくださいね。
 どこか物陰にひそんでいてもいいのですから。
 そして適当なところで誰かにつかまったら、戻ってきてください」

「ええ、わかりました」

一通りのことを話し終えると、何やら外で人の声が聞こえてきた。
元気で旺盛な声の持ち主が数人、この中へと近づいてくる。

「こんにちはーー」

「今日もよろしくおねがいしまぁす!」

現れたのはまだ小学生くらいの少女たちだった。

「はい、こんにちは。今日が最後の練習ですので、怪我をしないようにしましょうね。
 ……この子たちが、明日の神事で舞と笛をしてくれるんですよ」

子供たちに挨拶をした沙希さんが、小声で僕に説明してくれる。
舞と笛を担当してくれるという少女たちは、奥にあるタンスから子供用の着物をもってきていた。

そして僕が見ている前で服を脱ぎ、下着姿になってから着物をひろげている。
なかには胸が膨らみかけている子もいた。鮮やかなピンク色の乳首と乳輪。

脂肪のついていないほっそりとしたお腹やふともも。
ショーツの股布に走る細い1本の縦スジ。

可憐な肌をおしげもなくさらして少女たちは嬉々として着物のしわを伸ばしていた。


「……あっ」

じっと少女たちを凝視していたことを自覚した僕は、慌てて目を逸らした。
沙希さんの方を見ると隣から消えており、神前で道具のチェックをしていた。

「僕もここで、彼女たちの練習を見ていていいですか?」

「もちろんです。今日は明日のリハーサルも兼ねていますので、私の隣で見てください」

沙希さんのいうとおりだった。僕もすでに、神事を見る側でなく、主催する側だったのだ。
うわつきそうだった気持ちを引き締め、明日の祭の成功のために練習に臨まないと。


……。……。

「ありがとございましたーー。さようなら、沙希先生」

「はい、さようなら。今日は早めに寝てくださいね」

1時間ぐらいの練習を終えて、子供たちは帰っていった。
今まで練習してきた子たちの舞の動作や笛の演奏技術は、すでに熟練した形になっていた。
たった1時間で足が痺れかけた僕とは大違いかもしれない……。


「さて、私たちも帰りましょうか。あなたの泊まる所にも案内します」

そういえば、この神社には母屋はなく寝る場所はなさそうだった。
まさかこの本殿に布団をしくわけにもいかないしな。

「宿まで気を使ってもらい、ありがとうございます」

「ふふ、当たり前ですよ。遠くから来てもらっているのですから」

沙希さんが表情を緩ませて笑っていた。
なんというか、他人行儀なものを感じさせない態度だった。

「行きましょうか」

僕と沙希さんは並んで本殿から出たのだった。
すでに日が沈みかけている。外灯もまばらなこの村では、暗くなるのもあっという間だ。

神社を後にして階段をおりていく。明日の夜には、この付近に村人が集まっているのだろうか。
全員といっても、100人ぐらいだろう。


「来てくれた人が、あなたで良かったです。きっと明日は素晴らしいお祭になります」

不意に沙希さんはそんなことを言った。
薄暗い黄昏時に見る彼女の顔が、手の届く距離にいるのになんだか遠くに見えた。

「今晩、お泊りしていただく所には、温泉もありますから、きっとゆっくりできると思いますよ」

また話題を変えて、前方を指し示した。
夕日を浴びた煙がたちのぼっている大きな家が見えていた。


「さあ、着きました」

今夜の寝床となる家の前につくと、沙希さんは何もいわずに玄関を開ける。
彼女の自宅なのだろうか。周りの民家よりも一回り大きい家だった。

旅館というよりも、民宿といった趣である。

「……どうしました?」

「い、いえ。お邪魔します」

僕も家の敷居をまたいで入る。中はかなり広々としていた。
床の板も綺麗で、階段や廊下の先にいくつかの部屋がありそうだった。

タッタッタッ……。

そのとき、右手の廊下から近づいてくる足音がきこえてくる。

「あっ、沙希お姉ちゃん。これが、例の人だね」

現れたのは、小柄な少女である。髪を頭の左右に縛り、垂れた目元が愛くるしい。
浴衣のような服を着ていた。

「失礼ですよ、明梨。お客様なんですから」

「ごめんごめん。えーと、葛城明梨(かつらぎあかり)です。よろしく、お兄さん」

自己紹介をした少女は、舌を出して笑いながら、ぺこりとお辞儀をしている。
葛城、だと沙希さんとは苗字が違うな。でもお姉ちゃんと呼んでいる。親戚だろうか。

「こっちも、よろしく。今晩はお世話になるよ」

「明梨、彼の部屋に案内してあげてね。私は準備をしておくから」

「はーい。じゃ、お兄さん。行こっか」

沙希さんは勝手知ったる家のごとく、玄関からまっすぐ奥へ去っていった。
見送ろうとする僕の服の袖を、明梨ちゃんは引っ張る。

「なになに? もしかして、お姉ちゃんのこと、好きになっちゃった?」

子悪魔のような笑みを見せて質問をしてくる。

「はは、そうなってもおかしくないかもな。沙希さんは綺麗な人だから」

僕は余裕ぶってこたえた。内心は沙希さんの綺麗な横顔などを思い出していたが。

「お姉ちゃんはモテるよ〜? あたしなんてどうかな。お兄さん、結構あたしの好みだよ」

「え、うーんと……」

どう答えたものか考えていると、明梨ちゃんは吹き出して笑った。

「そんなに真剣に考えるなんて。お兄さんって、真面目なんだね」

どうやら冗談のようだった。見事に手玉にとられてしまったようだ。
明梨ちゃんに案内されて、廊下の突き当たりの部屋に通される。

六畳間の和室だった。押入れに床の間、お茶を飲める卓もある。

「今夜はここで寝てね。怖かったら、一緒に寝てあげてもいいよ」

明梨ちゃんは口を開くとつい冗談が出る性質らしい。

「ありがたく使わせてもらうよ」

着替えの入った荷物を部屋に置いて、ひと心地つく。
明梨ちゃんがお茶を入れてくれていた。

「ここは温泉が湧いているから、ゆっくり入ってくるといいよ」

「へえ、すごいね。そうさせてもらおうかな」

「いまはお姉ちゃんが夕食を作っていると思うから、その間に入ってしまえば?」

沙希さんがさっき言っていた準備とは夕食のことだったのか。

「明梨ちゃんは作らなくていいの?」

僕がそう聞くと、

「あはは、あたしが作るよりも、お姉ちゃんの方が上手だし、ねえ?」

目を泳がせてこたえた。料理は苦手か……。

「だったらお言葉に甘えて、温泉に入らせてもらうか。えーと、どこ?」

「この部屋を出て、玄関に向かってまっすぐ進めば突き当たりだよ。
 それじゃ、どーぞ、ごゆっくり」

とてとてと小刻みに動きながら、明梨ちゃんは部屋を出て行った。
なんだか、明るい子だな。そういえば、この家は沙希さんと明梨ちゃんしかいないのだろうか?

年配の大人はあらわれなかったな。
うーむ、どこかに外出しているのかもしれない。

考え込むのをやめ、僕は洗面用具や下着を取り出し、温泉に入ることにした。



「おー、これはすごい」

浴場に入った僕は思わず感嘆した。
石畳の床と木枠で造られた浴槽。そこに勢いよく注ぎ込んでいる温泉。

そんなに広大というわけではなかったが、1人なら十分に手足を伸ばせる広さだった。
打ち湯を十分にして、温泉に足をつける。

少し熱かったが、その方が効能がありそうな気がした。
この後は沙希さんのつくった料理だというし、手伝いに来た僕の方が逆に接待されている。

こんな厚遇でいいのだろうか。

ガラッ……。

そのとき急に浴場の戸がひらいた。
誰かが入ってきたのかと見ると、


「お兄さん、お背中流しますー」

なんと明梨ちゃんだった。Tシャツにスパッツという薄着だ。
対する僕は裸でお湯の中にいる。

「べ、別にいいよ。自分で洗えるから」

僕はすでにのぼせたような顔をしていたかもしれない。

「そんな気づかいはナシ。断るんだったら、あたしも一緒に入ろうかな〜」

とんでもないことを明梨ちゃんは言い出して、服を脱ぐ素振りを見せる。
彼女は僕と入ることに抵抗がないのだろうか。

「ささ、遠慮せずにこっちに座ってよ」

お風呂場用のイスをもってきて自分の前においている。
観念した僕は、タオルで下半身を隠しながら、しぶしぶイスに腰掛けた。

「ふふ、じゃあじっとしててね」

明梨ちゃんは僕の背中にお湯をかけた後、石鹸を染みこませたタオルでこすってきた。
最初は押すように洗っていたが、そのうち撫でるように力加減を調節してくる。

さらにタオルをもっていない方の手は、そのまま背中やわき腹を触り、
まるで愛撫するかのようにくすぐってくる。

「かゆいところはありますか〜?」

「い、いや無いよ」

「ホントですか〜? この辺とか、かゆそうですけど」

さわさわと首筋や脇の下までも触ってくる。
その妖しい手つきに僕の肌はぞわぞわと震えた。

「ちょっと、そのまま待ってね」

急に彼女は手をとめた。後ろからもぞもぞとしているような気配。


バサッ、バサッと僕の足元に何かが落ちてくる。
それは彼女が着ているはずのTシャツとスパッツ、そして白い下着だった。
ということは、つまり。


「きゃはっ、おに〜さん」

背中にピタッと張り付いてきたのは、柔らかくてスベスベとした少女の肌だった。
両手が首に回り、背中には膨らみかけの胸がおしつけられている。

「ちょ、ちょっと! 何を!」

「えへへ、だって、背中がとっても魅力的だったから。
 抱きつきたくなっちゃった」

「それは裸になる理由になってないよ!」

「お兄さんだって、こっちの方がイイでしょ」

「と、とにかく離れて」

「や〜だよ」

離れるどころかさらに拘束はきつくなる。
彼女の両足が僕の腰にまわり、石鹸が両方の身体についてすべりをよくしている。

さらに白い手がのびてきて、僕の乳首を手の平でつつみ、さらに股間へと近づいていた。


「ねえ、これな〜に?」

「うっ」

ついにペニスを握られた僕は、腰を引いて快感を逃がそうとする。
だが張り付いた明梨ちゃんの身体がそれを許さなかった。

「嬉しいな。あたしの裸で、お兄さんのおちんちん、膨らんだね。
 このおちんちん、どうして欲しい?」

いまの明梨ちゃんの雰囲気は、いたずらっぽい子供ではなかった。
性の知識と技術をもちながらも、男をもてあそぶ淫婦のようだ。

「ねえねえ、どうして欲しいか言ってくれないと、あたしのやりたいように、ヤッちゃうよ?」

すでに彼女の指は僕の亀頭を握り、先の尿道や裏筋をぐりぐりとなぞっている。

それだけでペニスはますます膨らみ、ときおりピクッとするのだった。


「も、もっとそこを触ってほしい」

明梨ちゃんの手技に我慢しきれず、僕は欲望を素直に述べた。

「触って欲しいって、どこかな〜? ここかな〜?」

「うっ……」

竿がギュッと握り締められ、その力で亀頭の方へとすべっていく。
ちゅぽんと明梨の手筒が抜けるたびに何回も握られ、ペニスの先に精液がどんどん送り込まれる。

「ここじゃないんですかぁ〜? じゃあ、こっちはどうかな」

彼女の小さな手がペニスの根元を通って玉袋や会陰部に到達する。
指の腹でつつつー、と撫でられるとゾクゾクする気持ちよさがあった。

「あはは、あたしが指を動かすとお兄さんの身体もピクッて跳ねてるよ」

「明梨ちゃんの手が……うますぎるんだよ」

「ありがとっ。だったら、あたしの手でもっと感じよっか」

背後から抱きついている明梨ちゃんの両手が、僕の股間に回される。
泡だった乳首を僕の背中で積極的にコリコリさせ、

両手はいただきますを言うように平行にペニスを挟んでいる。
動き出した手は単純な往復運動ではなく、左右の手で異なる動き方をしていた。

片手で亀頭を手の平にあてて撫でるかと思うと、急に手筒が竿の表面で回転を始めたりする。
決して予測できずに慣れることもない愛撫に、ペニスはカウパーを出してますます膨れていく。


「あ、もう、出るかもしれない」

彼女の手がペニスを握るたびに快感が高まっていくのを感じる。
射精の準備はとっくに終わっていて、あとは最高点のところで射精するだけだった。

「ふーん、もう出ちゃうんだね。だったら……」

急に彼女は手を止め、僕の身体からも離れる。

「え、ちょ、ちょっと」

射精寸前で急におあずけをくらうことになった。
ペニスの内側で妙なうずきがあって仕方がなかった。

明梨ちゃんは手コキをやめると、僕の前にまわっていた。
腰を下ろして脚をひらき、明梨ちゃんは膝を立てている。

すでに全裸で、僕に擦りつけていた乳首もうっすらと赤く染まって膨らんでいる。
そして毛のうすいアソコの部分も、隠さずに見せ付けていた。

「ね、お兄さん。射精したいんだよね? なら、ココに出してみよっか」

太もものつけ根に置いた両手を、左右にくいっと引っ張る。

割り広げられたのは、明梨ちゃんの小陰唇だった。

色素の沈着もない、綺麗なサーモンピンク。



「そ、そこに、出す……」

「そうだよ。あたしのおマンコに入れてね、ぎゅっと締め付けたら、きっと気持ちイイと思うよ。

 ほら、この中だよ。よく確かめてみて」

彼女の股間にある楕円の形をした薄い肉が左右対称に開いていた。
指でつまんでみると驚くほどに柔らかく、伸縮性もある。

さらに中心の方はすぼまっていて、まるで呼吸しているように穴がぱくぱくしていた。
その中から透明な粘っこい液体が出てきている。ここが明梨ちゃんの膣だった。


「やぁん、そこよ。おちんちんが入るのは」

「入れるよ……本当に」

「うん、いいよ。でも、あたしも気持ちよくなるからね」

明梨ちゃんと身体を向かい合って寄せ合い、座ったまま脚をからめる。
まだ肉付きの薄い太ももがスベスベだった。

股間同士を近づけて、ペニスを膣の周囲にあてがう。

「はやくぅ、焦らすのはダメだよぉ」

押し込もうと腰を突き出した僕と、強引に挿入しようと明梨ちゃんが乗ってきたのが同時だった。
ずぶりと一気にペニスが突き刺さってしまう。

「うわっ!」

押し返すような締め付けも、明梨ちゃんが体重をかけたおかげですんなり侵入していく。
その代わりに狭い膣道がペニスを容赦なく締めて摩擦を起こす。

強い圧迫感なのに、熱く弾力をもってうねる肉だった。
その肉がペニスの先から根元までの表面全体を覆っているのだ。

もともと限界に近かったペニスに、強烈な快感が与えられる。


「どうかな。あたしの膣中に入れた感触はいかがですかー?」

明梨ちゃんの問いにこたえることはできなかった。


ビュルル……。

「ああ……もう」

「きゃはっ、すぐに出しちゃったね。そんなにあたしの膣中ってよかったんだ」

動いてもいないのに、挿入したときに反り返った膣壁の肉ヒダが、元に戻ろうと蠢いている。

締め付けられた状態でそんな刺激を与えられては、とても我慢できなかった。


「お兄さんは射精したけどー、あたしはまだ気持ちよくなっていないから、このまま動くね」

「え……」

まだ射精したばかりで敏感な僕のペニスが入ったまま、明梨ちゃんが腰を振り始める。
座ってお尻をつけた体勢のまま、快感に悶えた僕は彼女の肩の上にもたれかかる。

座位のままでは激しいピストンができないので、明梨ちゃんはお尻をキュッとひきしめることで、
膣圧の強さを高めていた。

そのまま腰を左右に振ったり回すことで、ペニスをお腹の中でかき回していく。


「ふ、んん……はぁ、ちょっと気持ちイイかな。あたしはねー、ここら辺を擦られると感じるんだよ」

明梨ちゃんがペニスを半分引き抜くと腰を反らせ、膣に入ってから中ほどの部分を亀頭で圧迫させている。

どうやらこの辺にGスポットがあるようだった。
積極的にグリグリとそこにペニスの先を押し付けている。

僕の方でも膣中で動かされるたびに快感を与えられていた。


「また、さっきみたいに大きくなってきたね」

彼女の言うとおり、射精直後は半勃ちだったペニスもすっかりギンギンに張ってきている。
結合部が最も強く締め付けられ、ペニスが抜けないように、さらに血液が逃げないようにもなっていた。

「うっ、また、出そうになってきたかも」

快感の波が大きくなり、射精の予兆が訪れていた。

「あたしも……んん……もうちょっとで、イケそうだよ……。
 だから、もっと激しく動くからね。んーーっ」

返事をする暇も無く、明梨ちゃんの唇が僕の顔にくっついてきた。
彼女の舌が僕の唇表面を舐め、口をこじあけるように突いてくる。

その誘惑に負けて僕も舌を出すと、彼女は弄ぶように引っ込めてしまい、僕の舌を吸い込んでしまった。
唇に挟まれた舌が上下から舐められ、歯で軽く噛まれ、温かい唾液を乗せられる。


「ん? ふふ……んーー、んふ」

目の前の顔がいたずらがばれた子供のように笑い、僕を見つめている。
その表情に見蕩れてしまい、恍惚とした気分になっていく。

ふっ、と身体の力が抜けたように思えた。
だけどそれは、僕の身体が倒されたからだった。

後頭部と背中に手を回した彼女が、僕を押し倒している。
キスを続けたまま倒れていた。今度は僕の口の中に明梨ちゃんの舌が入り込んできた。

騎乗位でつながることになった僕のペニスは、膣に深々と飲み込まれている。


「んふふー、うごくよー」

彼女は自分の快感を優先して動いていた。
ペニスを抜く直前まで腰を引き、それから一気に体重をかけて奥まで落とす。

高速でこのような責めを受けられては、僕の限界はすぐに訪れてしまった。
だけど射精をすることができないでいる。

根元をしっかりと握った彼女の手が、射精を封じていた。
腰を振る動きは止まることなく、快感がどんどん高まっていく。


「うああっ! い、イカせて! 出したいのに、もう、十分に気持ちよすぎるのに!」

「だーめ、あたしがイクときに射精させてあげるからね」

臨界点をこえても射精は許されなかった。
ギチギチに膨れ上がったペニスの周りを、柔らかい肉の筒で覆われて擦られ続ける。


「んんっ、ああっ、もうちょっと。あと少しで、あたしも、やんっ……イクから、楽しんでね」

可愛い顔をして僕の上で喘いでいる彼女が、おそろしいことを言っていた。

僕はもう気が狂ってどうかなりそうなのを抑え、彼女が早くイクことを願った。
ときおりズンと腰を突き上げてなるべく早くイカせる手助けをしたが、

余計に僕の身体に快感を蓄積させることになっていた。


「はぁっ……イク、あたし、イクから……おにいさんも、イッていいよ」

そう言うとようやくペニスの根元を握っていた手を解放してくれた。

だが異常な程の快感に慣らされたペニスは、すぐに射精ができない。

「んっ、ふっ……あっ、や、やあああん!」

その内に明梨ちゃんが絶頂に達して、膣の蠕動が激しくなった。
熱いほどに煮えたぎったペニスがついに精液を放出しはじめる。

トローっと出ていく精子と共に快感が急激に薄れていく。
しばらくすると、イッて脱力した明梨ちゃんが僕の上に倒れこむ。

ようやく射精して弛緩しきった僕も、手足を投げ出して激しく呼吸するしかなかった。




結局その後は、明梨ちゃんと一緒に温泉に入り、『疲れた』身体をほぐしたのだった。

「気持ち良かったよね、お兄さん。あたしも良かったよ。じゃね、湯冷めしちゃダメだからね」

温泉に入った後に着替えを終えた明梨ちゃんは、元気そうな様子で脱衣所を出ていった。
僕とセックスをしたことに対して、何の気兼ねもない様子だった。

反対に僕は少し自己嫌悪に陥っている。
あんな年下の少女としてしまったのだ。しかも膣出しである。

ほとんど彼女の方から求めてきたとはいえ、流されて僕もやる気になったのは事実だ。
身体がどこかおかしくなっているのかもしれない。

少し女体が触れただけで、どうしようもない程に興奮して性欲が収まらなくなっていた。
ここに来る前は女性にあまり縁がなくて、溜まっていたとはいえ……。

自らの為した行動に恥ずかしさを感じながら、僕は部屋に戻ったのだった。



沙希さんが作ったという夕食はとても美味しく、気落ちしていた精神も昂ぶるほどだった。

精のつく食材ばかりで、長旅や女性との接触による疲労にも効果があったのかもしれない。
明日の祭にそなえ、僕は早めに布団を敷き、眠りについた。



……。……。


「お兄さん、お兄さん。起きてください」

ゆさゆさと布団が揺れている。


「んん……あ、明梨ちゃん?」

目が覚めるとすでに太陽が高く上がっているようだった。
窓から射す光がまぶしい。

「そうそう、あたしだよ。そろそろ起きないとお祭りに間に合わないって」

まだぼんやりとした意識のまま僕は布団から起き上がる。

「いま、何時ぐらいかな?」

「さっき正午を過ぎたところかな」

それを聞いて僕は一気に目が覚めた。

「正午!? もう昼だって!」

なんとまずいことをしてしまったのか。
祭り当日だというのに、寝坊してしまうなんて。

「あ、別に寝坊でもなんでもないよ。
 お姉ちゃんは、昼過ぎに神社に来てもらえばいい、って言ってたから」

「え、そうなの?」

「本格的に始まるのは夕方だから、集まるのも午後3時くらいなんだって。
 朝は誰もいないよ」

「そっか。良かったあ」

ほっと息をなでおろす。

「ふふ、昨日はよっぽど疲れたんだね」

僕を疲れさせた本人が言っているし……。

「でもゆっくりしてられないな。沙希さんはもう神社に行っているんでしょ。僕も行こう」

「その前に、ご飯を食べなきゃ。元気でないよ」

それもそうだと思った僕は、言葉に甘えて朝昼あわせた食事をすませることにした。

神社に着くと、昨日とは一変していた。

殺風景ともいえた境内が、旗や垂れ幕などの飾り付けがされており、人もちらほら見える。

僕は開けっ放しになっている本殿の中を覗いた。


「あ、来られましたか」

すぐに沙希さんに見つかった。今日の巫女服は袖や裾の部分に模様のある刺繍が入っていて煌びやかだ。

「遅れて申し訳ありません」

「いいえ、まだ早いほうですよ。神事が始まるまで余裕がありますから」

「何か手伝うことはありますか」

「ええと、特には……あ、でしたら中で彼女たちの相手をしてもらえますか。
 早めに着替えたのですけど、暇を持て余しているようで。
 あの格好で外に出られても困りますし」


彼女たちというと……僕は奥に眼をやった。
どうやら昨日会った舞や笛を担当する少女たちのことだった。

「いいですよ。話し相手でよければ」

「お願いします。私はちょっと席を外しますので」

僕が本殿に上がると、入れ違いに沙希さんは出て行った。
さて、僕は少女たちの相手をしないとな。

待機している少女たちも、それぞれに色彩豊かに着飾っていた。
そんな少女たちが舞い、奏でる姿はとても可愛らしくおもえる。

話すことといえば、今日の祭のことや村での生活のこと。
毎日、教師の運転する車で山向こうの学校まで行っているらしい。

僕からは自分の住んでいた神社のことや、都会の生活のことを話した。

「お待たせしました。もうすぐ、始めますよ」

30分程経っただろうか、沙希さんが戻ってきた。

そして気づいたらいつのまにか外の境内には、多くの人が集まっている。
沙希さんや少女たちは定められた場所に移動していた。僕も彼女の隣に座る。

ついに、神事が始まろうとしていた。



本殿の戸が閉められ、窓に幕がひかれる。一気に中が薄暗くなった。
最初に始まったのは、やわらかい笛の音。続いて沙希さんが鈴の付いた棒を振って笛に重ねる。

屋内の左右からは流れるような動きで2人の少女が中央に歩み、交差しあう。
沙希さんが立ち上がり、舞う少女の間をぬけて神前に進む。

僕は言われたとおり、じっとしていた。
やがて礼式を済ませた彼女は再び僕の隣に戻ってくる。

その手には杯があり、お神酒が注がれていた。
すると沙希さんは杯を僕に差し出してくる。

(受け取って、飲むんですか……?)

リハーサルではなかったことに僕は戸惑い、目と口パクだけで問い掛けた。

沙希さんはわずかに首を縦にふる。

僕は杯を受け取り、しずかにそれを口元へ運び、唇をつける。
やや黄色がかった白い液体が、僕の喉元を通り過ぎていった。

杯をかえすと、彼女はまたも神前へ。


シャン……シャン……。

……。……。

鈴の音が聞こえてきた。

舞い踊る少女たち、笛の音、鈴の音。

視界が揺れる……酔ってしまったのか、そんな強い酒じゃなかったはず……。

服を脱ぐ少女たち、フエノネ、スズノネ。

身体が熱く、頭がしびれていく。

裸体、近づく、僕の傍。

血液の集中した肉棒が、うずきだす。

フエノネ、スズノネ、果実ノ裸。

欲しいのは、目の前おどる、女体の秘部。

僕の意識が浮いていた。裸になった少女たちが僕を誘う。

2人の少女が立ったまま抱きしめあい、小さな胸をこつんこつんと突付きながら丸いお尻を突き出して振る。

表情が緩んでおり、ときおり僕に向けてくる笑顔が、こっちに混ざれと訴えている。

追い討ちをかけるように、もう1人の少女が僕の前に歩み寄る。


(一緒に、楽しもう?)


上目遣いで見つめ、ゆっくりと手を伸ばして僕の首筋に触れる。

するりと衣服が剥がれて僕の上半身は裸になる。

手を引かれ、抱き合う2人の少女の元へ。彼女たちはレズ行為をやめて僕の身体に密着する。

あっという間に押し倒され、下着をぬがされて裸になる。

少女が僕の顔面に乗ってくる。まだ無毛の割れ目を僕の鼻先におしつけ、グリグリと腰を動かす。

口の中に尿と汗と別の分泌物が混じった液体が入ってくる。

少女の割れ目の中に舌を入れて動かすと、さらに液体の量が増えた。

(もっと、もっと舐めて)

突然、下半身に強い快感が走る。2人の少女が身体の左右にへばりついている。

4本の手がペニスの竿と玉袋を包み込み、2枚の舌で亀頭を舐め回していた。

ピチャピチャと唾液の音を弾ませながら、ペニスを追い詰めていく。

仰向けになって動けない自分にできることは、舌を動かして少女を悦ばすことだけだった。



(そろそろ、出るよね)

(もう、イク……イキます)

少女のクリトリスをくわえて吸引すると、彼女の太ももにがっちりと顔をはさまれた。
そのまま少女はピクピクとふるえて、僕の口の中に大量の液体を放出する。

同時に僕のペニスも限界を迎え、2人の少女の顔に射精したのだった。

(まだ、射精が足りないかな……?)

(わたしも、イカせてほしい)

顔射をもらった少女は精液をぬぐう間もなく僕の股間にまたがり、
幼い陰唇にペニスを当てて押し付けた。

射精してもなお勃起の収まらないペニスは、準備万端に濡れた膣にむかえられる。
きつい締め付けと、ペニスに密着して離さない膣中は、

快楽を求めて腰を上下に動かす少女によって、さらに凶暴になっていた。
往復するたびに肉同士が擦れる。ペニスはいっときも休むことなく少女の膣中に弄ばれていた。

さっきまで顔面に乗っていた少女はすでに降りて、挿入していない少女と一緒に僕の口を犯している。
強引に出された舌を2人の少女の唇によってはさまれ、口はだらしなく開いて唾液をこぼす。

声質の違う喘ぎを耳元で聞かされると、ますます脳内が快楽に溺れていった。
少女の唾液を注がれ、歯の内側まで丹念に舐められる。

その間に挿入している少女の動きはますます激しく、技巧的になっていた。
膣の中を回転させるように腰を動かしたり、亀頭だけを挿入したまま締めたりと僕を責め高めていく。

再びすぐに限界が訪れた。目をつぶってペニスと口に与えられる快感だけにこだわった。
少女の膣深くにペニスを入れられたときに、精液を発射する。

精液の熱さが亀頭にまで伝わっていた。
子宮近くの膣壁はごちそうが注がれたことに歓喜するかのように蠢いていた。

性欲は収まる気配がなく、ペニスの肉欲もとどまるところを知らない。
入れかわり立ちかわり、僕は少女たちの身体に射精したのだった。

シャンシャンという鈴の音をどこか遠くに聞きながら。



……。……。

「……さん。……さん、どうしましたか?」

気づくと不安そうに見つめる沙希さんの顔が間近にあった。
たしか、神事が始まってしばらくして、お神酒を飲んで……。

「うわっ、え、えっと……」

「大丈夫ですか? 少しお酒が強すぎたようですね」

「お酒?」

「立てますか? この後の事に差し支えがなければいいのですが」

この後は、そうだ。僕が村の中を逃げ回るんだっけ。

おとおい祭のメインともいうべき催しだ。


「大丈夫ですよ、全然。ほら、この通り立てますし、走ることだってできます」

僕は勢いよく立ち上がり、不調がないことを示す。

「そう、ですか。大事がなくてよかったです。

 ですが、前にも言いましたように、無理はなさらないでくださいね」

「はい、胸に刻んでおきますから」

心配そうにみる沙希さんの前で、弱音を見せるわけにはいかない気持ちだった。
勇んだ足取りで外に出ようとすると、チリンチリンという音が聞こえた。

どうやら僕がお神酒を飲んでうたた寝をしてしまっている間につけられていたようだ。
身体のあちこちに鈴のついた輪がはめられている。

動く分には問題ないが、少し揺らしただけで音がするのには慣れそうになかった。
外には大勢の村人が待機していた。しかも僕の近くにいるのは若い女性ばかりだ。

僕の姿を見ると、声をあげたりまじまじと観察したりと様々な態度で反応をしていた。
沙希さんがこれから始まることについての説明を始めた。

最初に太鼓を叩いたら、まず僕が逃げる。
次に数分間したら叩かれる太鼓で、女性たちが出発する。

僕が捕まったらその時点で終わりらしい。捕まえた女性と一緒にこの神社に戻ってくればいい。
多少の足の速さと、最初の数分間のリードがあるから、僕はそこそこ逃げれるだろう。

だが村の地理を知り尽くした大勢の女性に追われるのだから、長い時間は無理に決まっている。
やれるだけやる、そう思った。

『鬼ごっこ』の開始が迫ったとき、どこかから水桶が運ばれてきた。

「清めのためです。温かいですし、わずかに掛けるだけですから、いいですよね?」

沙希さんに聞かれた僕は、すぐに了解した。
僕の頭と手足に少量の液体がかけられる。何かの香料を使っているのか、花のような匂いがした。

すぐにタオルを受け取って拭いたので、別に寒くない。むしろ気持ちが引き締まった。
いよいよ開始のようだ。太鼓をかかげた子供が前に進み出る。

ターン……。

「どうぞ、行ってください」

僕は神社から走り出した。足元に気をつけながら石段を駆け下りていく。


ドンッドンッドンッ……。

そして一番下までおりたところで、頭上から太鼓の音がまた聞こえてきた。

もう女性たちも出発したようだ。ぐずぐずしている暇はない。
神社は山で囲まれた村の端っこにある。

ルールでは逃げる範囲が村の中に限定されている。だから最初に逃げる方向は決まっていた。
僕は民家が並んでいる方へ走る。

目の前に迫った分かれ道から、どの方向に逃げるかがポイントになりそうだった。
まっすぐ行けばバス停のある村の入り口、右方向には昨夜泊まった家があり、左方向はよくわからない。

そうなると行くのは、右方向にしよう。
昨日今日と一番通っている所だから、僕も大体の道がわかるからだ。

すでに背後には女性達らしき足音も聞こえてきていた。
迷っている時間はない。

僕は十字路の分かれ道を右に折れて走った。

リンリンリンリン……。

1歩1歩進むたびに、僕の身体につけられている鈴が鳴る。

数十メートルも近づかれたらすぐにバレてしまうだろう。
なるべく音を鳴らさないように、腰を一定の高さに保って動く。

それでも腕と足に結ばれた鈴からは乾いた音をたてるのだった。
分かれ道から進んでまもなくして、かなり近いところにまで女性たちが追跡しているのを察知した。

このまま村の端まで行くと、たちまち囲まれて捕まってしまいそうだ。
どこか物陰に隠れてやり過ごそうと思った僕は、道沿いの民家の塀に回りこむ。

そこで座り込んで息を潜めた。
外灯の光もなく、ちょっと見ただけではみつからないと思う。

身じろぎして鈴を鳴らさないように気をつけていると、数人の足音が聞こえてきた。
半分だけ身体を出し、耳を澄ます。


「こっちに逃げたと思う?」

「たぶん。さっき鈴の音が聞こえた気がする」

「急ごっか」


女性たちの会話の後に、遠ざかっていく足音。
どうやら見つからなかったようだ。そしてさっきの分かれ道で人数もばらけてしまったらしい。

逆に考えればどこに行っても見つかる恐れができたわけだけれども。
さて、これからどうするか。

このまま隠れていてもいいが、そもそもこの催しの意義からして、僕が捕まらないと終わらない。
沙希さんも、無理をせずにしばらくしたら捕まってもいい、と言っていた気がする。

ここは、女性たちの逆をついて神社に向かうか。
僕のこの行動を読んで待つ人もいるだろうし、途中で捕まっても問題ないだろう。

ずっと隠れていても、変に心配されるかもしれないし。

よし、そろそろ行くか。

周囲に誰も来ていないことを確認してから、ゆっくりと立ち上がる。

トクン……ドクン……。

と、そのとき、身体が妙に昂ぶっていることに気づいた。

変だな……走って座り込んだ後に、急に立ち上がったせいだろうか。

いや、これはそんな感じではない。

神事のときに本殿の中でお神酒を飲んだ直後に近いような状態かもしれない。

僕の髪や手足から漂う甘い匂いが、鼻の奥を進んで脳を刺激する。

このまま眠ってしまいそうな、逆に思いっきり走りたいような矛盾した衝動。
徐々に力の抜けていく身体の中で、唯一元気な箇所もある。

早く、行かないと。
周りの状況も頭に入れることなく、ただふらふらと僕は歩いている。

リンリン……リーンリーン……。

硬質な金属音が頭に響き渡る。遠くから僕を招き寄せるような振動だった。
その音に導かれるまま、僕は草の深い地面へと足を踏み入れていく。

こっちは神社とは逆方向だということがわかっているのに、自動的に身体が吸い寄せられる。
月明りしか手がかりもなく、周囲の気配は鈴でかき消されるのに、この方向に向かう理由は、匂い?

この匂いは女性だけがもつ香り。長い髪から、唇の中から、肌の表面から常に発せられるフェロモンだ。

普段なら意識することのない匂いに、敏感に反応する。興奮が加速度的に高まっていく。

目の前の茂みの向こうから、むんむんと女性の香りが漂ってきているのがわかる。

背の高い雑草をかきわけると、いくつもの人影が見えた。


「どうしたのですか? あなたは私たちから逃げるはずなのでしょう?」

「自分から無防備に現れてしまって、どうしちゃったのかな? くすくす……」

女性たちは僕を捕まえようとせずに、優雅に立っている。
その場にいる全員が薄い生地の服一枚で、しかもその服が濡れているから彼女たちの肌が透けていた。

こんもりと膨らんだ胸と乳首の輪郭、太ももにピッタリと張り付いて股間のスジや陰毛までもわかってしまう。
その姿を見た僕は、羽衣を来た天女やローブを羽織った女神を想像してしまった。

肉欲が身体の内側から湧き上がってきて抑えられない。

僕はふらふらと女性たちに向かって歩み寄る。

手を伸ばそうとしたら、ふいっと避けられてしまった。

「なんで触ろうとするのかな? 捕まったらおしまいなんだよ?」

飛びつこうとしても動きが鈍くなっている僕では触れることができなかった。

「こっちよ。少しでも触れたら止まってあげる」

僕は次々と目標の女性を変えて追いかけた。

彼女たちは笑ったまま一定の距離を保っている。
だけど偶然に女性たちがぶつかりそうになったところで、ぼくは1人を捕まえることができた。


「あんっ。終わっちゃったね。だけどこれからが本番かもしれないよ」

彼女たちの声に構っていられなかった。

濡れた薄い布の上から胸を握りしめ、こねるようにして感触を楽しむ。

首筋から鎖骨にかけてを舐め、冷たくてスベスベとした素肌を堪能した。


「もう夢中のようね。もっと我を忘れさせましょう」

目の前の女性に抱きついている僕の左右と背後に、3人の女性が身体を密着させてきた。

乳首に吸い付いている僕の頭部に、さらに6つの乳房が押し付けられる。

柔らかいのに頭の行き場がなくなって押し潰されそうな圧迫感。

胸の谷間からは彼女たちの濃い匂いが充満していた。


「ねえ君、わかるかな〜? お姉さんたちの乳首が、どんどん膨らんできているの」

「口の中で確かめてみて」

ぷっくりと飛び出るように膨らんだ乳首が僕の頬や耳の穴を突っつく。
その乳首を1つ1つ、味の細かな違いを確認するように口の中で転がし、味わった。

おっぱいを頬張り、上あごに擦りつけるように吸い込むと心地よかった。


「次は、唇を味わってもらいましょうよ」

離れていく乳房をなごりおしく口から抜きとると、僕は地面に寝かされる。
頭と足先にそれぞれ3人ずつの女性が立っていた。

彼女たちも横たわると、僕の顔とペニスに分かれて唇をつける。
当然、もうペニスは痛いほどに勃起していた。

ペニスを舐める女性たちは、亀頭、竿、袋に分かれて舌を這わせていく。
温かさも粘り気も異なる3つの舌で敏感なすべての部分を責められては、ひとたまりもなかった。

我慢汁をじわじわと出しても舐めとられ、咥えられてさらに多量の唾液でヌルヌルになる。


「んん……んふ、ねえ……イイよね……」

「おいしい……はぁ、んむっ……」

顔に群がっている女性たちも容赦がなかった。

唇は常に誰かが口をつけて唾液を垂らしたり、舌を侵入させて僕の口内を蹂躙する。

頬やうなじ、耳も舐められ咥えられてさらに敏感になっていく。
ときには2人、3人と一斉に口元に吸い付き、


「はぁん……れろっ」

「ちゅっ……ぅぅ……ふ〜」

多様な喘ぎ声を間近で漏らしながら僕の唇を唾液まみれにしてくる。
もうすっかり一方的に与えられる快感の虜になっていた。

あごを上げ、足をそらして腰をつきあげる。
最大限に膨張したペニスがいまかいまかと射精を心待ちにしていた。


「んふ……いい匂い、もう出そう……ちゅむ……」

「はぁ……ん……もっと、舌を絡めてみて……れろっ」

彼女たちの責めがさらに激しく、強くなる。

じわじわと頂点近くまで高めていた快感がふちをこえてしまった。

びゅるっ……どく、どくどく。


「んーー!」


叫んでも呻きにしかならなかった。
射精しているあいだも彼女たちの舌の蠢きは激しさをおとさずにペニスを刺激し続けている。

唾液が喉の奥でつまりそうだった。
やがて射精が終わると、ペニスの周りの精液も舐めとられて彼女たちはお互いにキスをして精液を分け合った。

1回目の射精を終えたぐらいでは、僕の性欲もおさまらず、ペニスもまだまだ元気だった。

「もちろん、まだまだこれからよ。あなたも、私たちも満足しきらないとね」

まだ序幕にすぎないことは彼女たちにとっても同感で、さらに次の行為にうつりはじめた。

薄い服を脱いで全裸になった3人が僕を跨いできた。

1人はそのままペニスの上に座る。残った2人は僕の顔を半分にわけて中腰に座ってきた。


「どうですかぁ? あたしのおま○こ、よぉく見えますかぁ? くふふぅ、しっかりと目に焼き付けてくださいねぇ」

視界は女性の陰唇だけになる。目と鼻の先に濡れたピンク色の秘部がひくひくと震えていた。

左右に割り広げられると、膣から愛液が垂れて会陰部を通り、お尻の穴へと垂れていく。
たまらなく卑猥な視界だった。


「ぁん、すごくイイわ……この人の鼻が高くて……クリトリス、気持ちイイよっ」

あごから口元、鼻先の上に股間を乗せている女性は、すでに僕の顔をオナニーの道具としていた。

僕の唇を彼女の陰唇と擦り合わせ、鼻先にクリトリスをぐりぐりと引っ掛ける。

分泌する愛液も僕の鼻下に滴れて、唇から吸い込むとズズーという音をさせながら飲み込んでしまう。
ペニスの上に乗った女性はまだ挿入していなかった。

割れ目に挟むようにペニスを反らせて擦らせている。
積極的にクリトリスに擦りつける素股だった。

柔らかい小陰唇にはさまれているのに、焦らされて挿入が叶わない。
ペニスが直立して勃起しようとしても、女性自身の体重によってつぶされるもどかしさ。

だがそれでも射精感は近づいてくる。


「あっ、もう出そうになってるのね。それじゃあ、私の膣に入れさせてあげる」

ペニスの上にいる女性が腰をあげ、ついに念願の挿入を果たしてくれた。

温かくヌメった膣壁がきゅうきゅうと締めながらペニスを歓迎している。

目に意識を戻せば、その膣の内部を広げて見せてくれる女性。

口に集中すれば、陰唇の味を堪能させてくれる女性。
ペニスに力を込めれば、膣の奥まで入れて締め付けている女性。

女性器を多くの感覚で同時に知覚している僕は、恍惚としていた。
だらんとなっている手が両方とも握られたかと思うと、温かい肉の間に指が入れられる。

これもまた陰唇の中だった。
僕を射精させるために存在している女性の器官としか思えなかった。


「さあ、あなたが感じているのはどこもかしこも私たちのおま○こですね。
 いつでも、すきなだけ精子を出してください」

脳に直接響いたその言葉は、素直に従ってしまう穏やかな響きをもっていた。
僕はおとずれた射精感をこらえることなく、挿入していた女性の膣奥に精液をほとばしる。


「んふ……出てるわ。その調子でここにいる女性みんなに出してくれるわよね」

膣出しされた女性がペニスを抜くと間をおかずに別の女性が挿入する。

今度は強い締め付けでゆっくりと動く人だった。

ほとんど連続して射精しているのに、ペニスは萎えることがない。

精子もまだまだ身体にたくさんある感じだった。

快感だけは天井知らずに高まり、射精するまでの時間がだんだんと短くなっていく。
膣がものすごい力でぎゅうと締めつけられ、ペニスが押し戻される。

だが亀頭だけを中に入れたままで締められると、僕はたまらず射精してしまった。
精液は漏れることなく女性のお腹に注ぎ込まれる。

また別の女性に交代してしまう。
反対側を向いてお尻の方から挿入されたようだった。

つるつるのお尻が下腹部に乗せられて、左右に振られる。
連動して挿入されているペニスも揺れて柔肉に押されるのだった。

様々な技巧をつくして僕は何度も何度も犯され、射精を続けていく。
自分がもうどこにいるのか、何のためにここに来たかもわからなくなっていく。

視界が白くなっていき、キモチイイという感覚以外、何も感じなくなっていった。
ペニスも顔も、全身が飲み込まれていく。

そして意識さえも……。



……。……。

 不意に目が覚めたとき、後頭部に柔らかいものが敷かれていた。

これは……人の膝の感触だろうか。起き上がろうとしても、金縛りになったように動かない。

全身がひどく疲れているようだった。精気をすべて放出したかのような脱力感がある。

このまま再び寝るしかなさそうだ。


「ありがとうございました……」

頭上から小さな声が聞こえてくる。

「あなたのくれた子種は、来年になって芽吹くでしょう。この村の新しい娘として」

仕事に疲れた夫を癒すような、遊びつかれた子供をあやすような、そんな声。

「もう、あとはただ安寧にお眠りください。私の膝の上で……」

優しく頭が撫でられる……性的な快感とはまったく異質な、心地よい感覚で満たされていく。

それに身を委ねると、自然にまどろんでしまったのだった……。




 強い日差しが瞼の隙間から網膜を刺激している。


「んっ……」

目を開くと、妙な気分だった。何事にも動じない平穏な心を手に入れたような。

僕はいつのまにか昨夜と同じ家の布団の中にいた。

記憶をさかのぼると、本殿の神事でお神酒を飲んだり、石段を駆け下りたところまでしか浮かんでこない。


「起きられましたか? 入りますよ」

襖をはさんで沙希さんの声が届いた。

「は、はい。どうぞ」

洋服を着た沙希さんが入ってくる。薄手のブラウスと淡い色のスカートがなんだか新鮮だった。

「昨夜は本当にお疲れ様でした。今回の件、重ねてお礼を申し上げます」

丁重な面持ちで頭を下げられる。

「そこまでおっしゃることはしていないでしょう。こちらも迷惑をかけたようですし」

「いいえ、迷惑なことなど1つもありませんでした。どうぞゆっくりしてから、お帰りになってください」

それを聞いた僕は、なぜかショックを受けてしまった。

帰る……そういえば当たり前のことだよな。今回はあくまで臨時の手伝いだったわけだし。


「どうされましたか? 何か、心残りがあるような顔をしていらっしゃいますが」

「あ、いや、えーと……なんだか沙希さんと会えなくなるのかと思うと、寂しくなりまして」

言ってしまってから、すぐに僕は後悔してしまった。

なんだかありきたりで安っぽいことを言ったように思えたからだ。

本心ではもっと切実に言葉を並べても足りないのだけれども。


「それは……私もです」

「え?」

疑問を口にするとまもなく、沙希さんが顔を寄せ、唇を合わせてきた。

舌を絡めずに数秒間、唇を合わせただけのキス。

「ですが、これで今生のお別れというわけではないと思います。
 来年でも、いつでも、またいらしてください。待っていますから」

呆然とする僕は、幾分顔を紅潮させた彼女が部屋を出て行くのを、ただ見つめていた。



 祭から2日後、僕は村の停留所で帰りのバスを待っていた。

地表が高いここから振り返って見れば、沙希さんと初めて会った神社や泊まった家が確認できる。

お祭りという非日常は去って僕の記憶の中にしかなくなっている。

だが僕はまたここでの非日常を体験するために戻ってくるのだと、心の中で強く決めていた。

できるなら、彼女が隣にいることが日常となりますようにとも。



  (おとおいの宴 了)