深い霧の中をふわふわと漂っているように、僕の意識はあいまいな世界の中でどこに向かうでもなく流されている。

しかし急に暗闇に光が差し込んで手足の感覚や頭の中がはっきりしてきて……


「んふぅ……んん!!!」

僕は息苦しさと共に意識を取り戻した。

でも初めに感じたのはとてもよい香りだった。

これは何の香りだっけ……思い出せないままゆっくり目を開く。




「ふふっ、リンくんやっとお目覚めだね?」

僕の目の前には髪を解いた麻衣さんが優しく微笑んでいた。

さっきまでの髪を結んだスタイルよりもお姉さんに見える。

しかもなぜか逆さ……!?

そのままゆっくり麻衣さんの顔が近づいてきて、


プチュッ♪


優しいバードキスの後にさっきのいい香りがした。


「キスってなんだかはずかしい……」

少し頬を赤く染める麻衣さん。仕事とはいえ、こういう女性の仕草は男心を満足させる。

どうやら膝枕をされながら顔を覗き込まれていたようだ。


「心配しちゃったわ。でもあんなに激しく感じてくれるなんて……私も嬉しいよ」

意識を失っていた僕を麻衣さんが優しく抱いていてくれたようだ。

しかも時折キスをまぶしながら。

まだまだ腰がふらつく僕を支えるように、麻衣さんが僕の上半身を引き起こす。


「どうかしら? このブラのデザイン可愛いと思わない?」

そしてその場でくるりと一回転。綺麗なお尻も見えた。

麻衣さんはチャイナドレス風の服からセクシーな下着姿に衣装を変えていた。

裸のままよりもエロティックに見えるその下着のセンスは、再び僕のペニスを充血させた。


「まだまだ元気みたいね……ふふっ」

その様子を見てコロコロと笑う麻衣さん。

節操のない下半身の反応に、僕は恥ずかしくて少しうつむいてしまった。


下を向いた僕の視界に麻衣さんの指先が入ってきて、そっと大きくなり始めたペニスをいたわり始めた。


(はぁ……っ)

思わずため息を漏らしてしまうほど優しい手触りだった。

じりじりと間合いを詰めた麻衣さんは僕の越に手を回しながら手コキで焦らしまくる。




「この後もっと徹底的に抜き取ってあげるから期待していいよ?」

僕をエスコートするように腕を引いて隣の部屋に向かう。

そこには水がサラサラと流れる音がこだましていた。


「いよいよマットだよ。ここからが私の本領発揮……」

僕はゴクリとつばを飲み込んだ。









麻衣さんに導かれて隣の部屋に着いた。

ピカピカに磨かれたピンク色の壁タイルと、金色の燭台の様な照明のおかげで明るいイメージの浴室だった。

真ん中にはゆったりとした浴槽があり、お湯が半分くらいまで張られていた。

すでに僕のペニスは先ほどの麻衣さんの微妙なタッチのせいで硬さを取り戻していた。


「ちょっと待っててね」

少し広めの浴室の中には銀色のマットが立てかけてあった。

麻衣さんはそれを床にセットして、シャワーのお湯をかける。

部屋はすでに暖かくなっており、シャワーの湯煙がもうもうと立ち上ることはなかった。


「リンくん、マットは初めて体験かな?」

[欲望の塔] の【2月14日の午後 ~マット編~】

僕は素直にコクン、と頷いた。

海やプールで使うマットよりもとても大きなそれは、両サイドに2つずつ取っ手が付いていた。

そして頭を置くであろう部分は微妙にくぼんでおり、これから自分がどんな体勢になるのかを容易に想像することが出来た。


「じゃあきっと病みつきになっちゃうわよぉ……」

麻衣さんはそういいながらマットの上に蜂蜜のようなものをトロトロとかけ始める。

満遍なくマットに振りかけながら、たまにシャワーでお湯を少しだけかける。

これがローションか……僕にとっては初めての光景。

そしていつか体験しようと思っていた憧れのマット……

僕は体を震わせていた。それは浴室が寒かったからではなく、いわゆる武者震いという奴だ。



麻衣さんはゆっくりとうつぶせになり、ヌルヌルになったマットの表面で体を躍らせた。

ネチョネチョピチョピチョといやらしい音が耳に響く。

四隅の取っ手を掴みながら麻衣さんは自分の胸やお腹を使ってローションをマットになじませた。


「これで準備完了よ……おいで? リンくん」

上半身を起こして僕をいざなう麻衣さん。

その笑顔に魅了されたように僕はマットに近づいて言われるがままに仰向けになった。

頭を乗せる部分にはバスタオルが敷かれていた。

ローションのベタベタが髪に付くことはないんだな……


「ここをしっかり掴んでいてね」

麻衣さんが僕の手を掴んで、隅にある取っ手を握らせた。

それでも僕の体はヌルヌルとしたローションのせいでマットの上をふわふわと動く。

これだけでもなんとなく心地よい。


ピチャッチャッ、ピチャッチャッチャッチャッ……

音のするほうを見ると、麻衣さんが両手を回すようにして洗面器の中で何かをあわ立てていた。

しばらくして僕の体の上に泡立てられたものを麻衣さんが乗せ始める。




「胸の辺りから綺麗にしましょう」

僕の股間を割って座り込み、上目遣いで僕を見る麻衣さん。

なるほど、こうすれば状態が安定する……感心する僕の体に石鹸を溶かしたような液体がまぶされていく。

泡まみれの麻衣さんの両手が僕の乳首をゆっくりと撫で回した。


コリコリコリ……クチュクチュクチュ……


「ああああっ……」

麻衣さんの指が乳首をなぞっただけなのに思わず声を上げてしまった!

今までより数段気持ちいいぞ……


「フフッ、今からリンくんをヌルヌル天国に連れてってあげるわ」










「あら、ごめんなさい」


急に麻衣さんが責め手を止めた。

そして僕を抱きかかえるようにして上体を引き起こす……ど、どうして?




「もうおしまい……なんてことはもちろんないわよ」


にっこりしながら僕と一緒に立ち上がる麻衣さん。

僕のペニスは中途半端な刺激を与えられたままなので、腰が引けたような状態だ。


「リンくんを早く気持ちよくしてあげたくて私、焦っちゃったみたい。ごめんなさい」


ペコリと頭を下げてから、マットを立てかけてあった場所のほうへいく麻衣さん。

なにやら大きなイスを取り出してシャワーの近くに置いた。これは……


「いわゆるスケベイスだよ♪ せっかくソープに来てくれたんだもん……これがないと、ね?」


シャシャシャーと手早くお湯をかけて僕を座らせると、麻衣さんが背後にピタリと張り付いた。



張りのあるバストが背中でつぶれて心地よい。

このイスの中央はちょうど手が入るように凹んでいる。

麻衣さんの手がこの間を往復して僕自身を愛撫してくれると考えただけで……


「ふふっ、リンくんっていい反応するのね!」


ペニスがビクンと跳ねたせいもあり、簡単に見透かされてしまった。

でも男なら誰でも考えることは同じだろう。特に相手は業界でも有名なセドリックの麻衣さん。

これから自分に施されるテクニックの数々を期待してしまう。興奮しない方がおかしい。


「マットの上でヌルヌルしちゃうまえに、一度骨抜きにしてあげる」

僕としてはもうすでに骨抜きに……僕を無視して麻衣さんは洗面器の泡を両手いっぱいに取った。


「さっきの続きしようね?」

「は、はい……」


すっかり従順になってしまった僕を見て麻衣さんがくすっと笑った。


「座ったままなのにヌルヌル……」


ニュルッ、ニュリュウウゥゥゥ、クチャクチャクチュ


背後から素早く乳首を刺激されて、さらに手のひら全体で泡を伸ばされる。

肩の辺りも丁寧に泡を塗りつけられる。

僕の胸をしたたる泡がジワジワと僕のお腹の辺りまで忍び寄る。


「感じてきたみたいね? もうビンビン……」


クチュリ……くきゅっ!!


「ひっ……」

油断していた股間の下から手を伸ばされ、ペニスの真ん中あたりを握られて、撫で上げられる。

すでに麻衣さんの指先は泡まみれになっており、強く握られたはずなのに痛みを感じない!


「真ん中が凹んでいるからおちんちんも苦しくないでしょう?」

今の不意打ちのせいで少し漏らしてしまった……

麻衣さんに気づかれてしまっただろうか。僕はドキドキしつつ赤面していた。


「このまま泡まみれの手で……タマタマと亀さんを揉んであげようか?」

指先を棹に絡みつかせたまま、麻衣さんの甘い囁き。

その言葉が僕の脳に伝わると、そのままペニスへの反応として跳ね返っていった。


「ふふっ、素直な人って好きよ」

僕自身がびくっと硬くなったのを確認した麻衣さんが再び責め手を強めてきた。

つ、包み込まれて……強めに搾られながらキュポキュポッってされてる!!

音もなく滑らかに蠢く指先と、上目遣いの痴女の視線の相乗効果。

僕をあっという間に射精体勢に導く。


「だめ。まだイかせないわ」


ぎゅううぅぅぅ!!!


「んあぁっ……」


「……もったいないでしょう?」

強烈な絞込みの後に、やわやわと揉まれる玉袋。

ジンジンとした一瞬の痛みが射精感をリセットしてくれた。しかしそれは次なる快感への序曲。


「今度はここを触りながらもう一度……」


カリカリ……クニュクニュ


麻衣さんは指先でひっかくようにアナルに触れてきた。

それと平行して棹の部分を強めにしごいてくる複合技。

彼女は決して泡でヌルヌルしている指先を中に入れることはなかった。

しかし、美しい女性が菊座に指を突き立てて僕を犯そうとしている。


「あああっ、ひいいいぃいぃ!!」

麻衣さんに抱きしめられながら淫らな妄想を強いられる。

その瞬間に僕の体がビクビク震えてしまう。




「あぁ、ゾクゾクしちゃう……あなたの声」

背後にいる麻衣さんの表情を伺えなかったが、おそらく彼女も興奮しているのだろう。

断続的に僕の耳に触れる麻衣さんの吐息が熱い。


「ねえ、もう一度聴かせて」

背中に張り付いた麻衣さんの腕が、さっきの動きをリピートする。

三度わきあがる快感に、僕は言われるがままに嬌声をあげさせられた……










「あふぅっ……うう……あっ……」

細いヌルヌルの体が僕にまとわり付くたびに、自然に僕の口から漏れる喘ぎ声。
麻衣さんは黙々と僕の背中に抱きついたまま官能的なマッサージを繰り返す。

クチュッ……キニュウウゥゥゥ…………

座らされたままの僕は、まるで全身がペニスになってしまったような錯覚に陥っていた。
背中を這い回る乳首に絶え間なくくすぐられ、脇の下からまわされた指先によってさらに快感がこねまわされる。
麻衣さんの指の動きに集中しようとすると突然耳に息を吹き込まれたり、バストをぐいぐいと押し付けて背中の感度を高められたり……
ベッドに縛られ、無防備にさらけ出されたペニスに巧妙な手コキをされているかのように、僕は麻衣さんの技を受け続けていた。

「そろそろ触って欲しいんでしょ?」

僕の体のこわばりを感じていた麻衣さんが囁いてくる。
黙ってコクコクと頷く僕をみて、ペニスの先端をほんの少しだけシュッとかすめるように刺激する。

「あ、ああぁ!!」

泡が触れたのか、麻衣さんの指が触れたのかわからない。
しかし僕のペニスには確実に快感の電流が流されていた。
無意識に前かがみになる僕の上半身を支えながら、麻衣さんが正面に回りこんできた。

「このまま挿入してみる? それとも我慢する??」

「い、入れて欲しい……です……」

僕は少し恥ずかしさを感じながら麻衣さんにお願いした。
AVとかだと普通こういうセリフは男優が女優に言わせることが多い。
それをまさか自分が言わされるとは……

「リンくん、まるで女の子みたいだね」

麻衣さんがニヤニヤしながら僕を覗き込む。
すでに彼女には精神的に優位に立たれている。
そんな屈辱にも似た思いがますます僕のカラダを熱くした。

「じゃあ入れてあげる……」

泡まみれのままの僕の肩をしっかりと掴み、片手でペニスをそっと秘所にあてがう麻衣さん。


ぷにっとした感触に亀頭が包まれる。
しかしその先は予想外に抵抗が強く、なかなか結合部から奥に進まなかった。

(えっ、ああぁっ、ヌルヌルのはずなのに!?)

気を抜くと奥に到達する前に漏らしてしまいそうなほどだった。
こすり付けられて揺らされているだけでも麻衣さんの膣口の刺激は大変なものだった。
ぐいっ、ぐいっ……といった表現が適切なほど、麻衣さんはわざと膣を締め上げていたのだ。

「もっとすんなり入ると思ったでしょう?」

キツキツの入り口にねじ込まれるペニス。
しかし痛みを伴うことはなかった。

「そんなに簡単に気持ちよくしてあげないもん」

キュプッ……ジュププッ……キュプウウ…………

(き、きもちイイっ……!!)

麻衣さんは膣の力を調節して、一度浅く飲み込んでから亀頭をはじき出すような動作を繰り返した。
彼女は僕のペニスに愛液を染み込ませながら快感で僕を縛り付けていたのだ。



「ほらもう少しよ……」

僕はイスに座ったまま麻衣さんをふっと見上げた。
体重を感じさせずに僕のペニスを支点にスクワットを繰り返す彼女の表情はとても艶かしかった。
僕を見下ろしながらかすかに笑みを浮かべる麻衣さんを見ているだけでイかされてしまいそうだ。

「くっ……」

僕は視線をそらした。

それから何度かキツキツの出し入れを繰り返された後、ようやく僕と麻衣さんは対面座位の上体で深く結合した。
麻衣さんの膣奥はクニクニと蠢いて、じっとしているだけでもかなりヤバい。
そのうち、クキュウウゥ……と麻衣さんが強めに僕を搾り上げる。

「あっ……いいっ……」



「気持ちいいでしょ? ふふっ」

僕の首に両腕を回して、少しだけ腰を浮かせる麻衣さん。
上半身はそのままに腰だけがダンスを踊るように円を描き始める。

「私の奥のほうで舐めまわしてあげる」

クッチュ、クッチュ、クッチュ……

クチュクチュチュチュ……

クッチュ、クッチュ、クッチュ……クッチュ、クッチュ、クッチュ……

クッチュ、クッチュ、クッチュ……


「ひいっ、ひ、あっ、ああああ!!!」

規則正しく描かれる円の動きに合わせて麻衣さんの形の良いバストも揺れる。
そのエロティックな光景もあいまって、僕のペニスは一気に射精しそうになってしまう!


「ほらもう……おちんちんがプクッてしてきたよ……」

僕は両手を伸ばして麻衣さんの細い腰を抑えようとした。
しかしヌルヌル感と激しい動きのせいで、僕の腕の力だけでは彼女を止められない!!

「だ、だめっ!……麻衣さん、動かないでええぇ!!」

必死に懇願する僕を見て、腰の動きを緩める麻衣さん。
やがて魅惑の円運動が納まり、僕のペニスも落ち着くはず……だった。
しかし腰のムズムズが全く止まらない……じっとしているようでも膣の中でモグモグされているかのようだった。

「くすっ、もう動いてないよ?」

「う、うそだ……動いてる……中が……ぁぁ」

たまらなくなった僕は麻衣さんの体に抱きついた。
股間が落ち着きを取り戻すまでは、魅力的な胸にはさまれながらもギュウっと抱きついて離さない……つもりだった。
しかし麻衣さんは難なく僕の拘束をはずした。

「もう一回、亀さんにキスしちゃう」

今度は腰を密着させたままで小刻みに腰を回転させてきた!
忘れようとしていた快感が再び僕の体から引き出されてしまう。
膣奥のヌメヌメした部分が僕の亀頭の先端を舐め上げると、あっけなく僕は降参した。

「ひいいぃっ……で、でるッ!……ああああぁぁん!!!」

ドピュドピュドピュドピュー!!!

僕は雄叫びと同時にまたもや射精させられてしまった。
全く我慢できない。ここまで僕は早漏だったのだろうか……
それにもう何度目だろう……麻衣さんの前でだらしなく体を弛緩させるのは。
いろんなことが射精直後の体の中を駆け巡った。



「ふふっ……」

麻衣さんは僕の体が快感で震えている間、ずっと僕を抱きしめていてくれた。
イかされたあとにしばらく膣の中でクニュクニュされていたせいで、ペニスは完全に萎えずに軽く復活させられていた。

「またお漏らししちゃったぁ……でも、まだまだ元気だよね、リンくん♪」

呼吸が少し整った頃を見計らって麻衣さんが微笑みかけてきた。
僕は座ったままの状態で、彼女のテクニックの前になす術もなく白旗を上げてしまった……
快感でよろめく僕を支えながら、麻衣さんは僕をマットの上にうつぶせにしたのだった。










マットに僕を横たえてから、麻衣さんはニッコリと微笑んで尋ねてきた。

「私の中、気持ちよかった?」

「き、きもちいいです……」

「ふふっ、ありがとう♪ リンくん」

僕は思ったままを答えた。
さっきの対面座位での一方的な麻衣さんの攻撃。
何も抵抗することも出来ないまま彼女の中にぶちまけてしまった……

「でもここからは簡単には入れてあげないわ」

「えっ……」

ちょうどもう一度マットの上で挿入してもらって、今度こそ麻衣さんに一矢報いたいと考えていたところだった。
それだけに残念な気持ちが一気に僕の中に広がる。

「さっき一度しっかり搾ったからね。ここからはマットで骨抜きにしてあげる」

そんな殺生な!という言葉が出掛かったが、麻衣さんの言うとおりしっかりと搾られつくしたペニスはそう簡単には大きくならないだろう。
回復するまでの間はマットで楽しませてもらうほうがいいかもしれない。

グチュ…………

麻衣さんは近くにおいてあった洗面器の中からひとすくい、ローションを手にとって体の表面にまぶした。
淫らなきらめきが彼女の体を包み込む。
僕を見下す余裕の表情とあいまって、すごくセクシーな光景だった。

「うつぶせの状態でしっかり耐えないと」

ヌルヌル感を増した麻衣さんが背中に覆いかぶさってくる。
ピチャリと肌が触れ合った瞬間、僕は追い詰められたウサギのようにビクンと体を震わせた!

き、きもちいい……麻衣さんの適度な暖かさで溶かされてしまいそうだった。

背中に彼女の乳首を感じ、柔らかいバストが押しつぶされるのを感じた僕は股間に血液が集中していくのを抑えることが出来ない!

「もうこんなに? リンくん、あお向けになった瞬間に発射しちゃうよ?」

「???」

「ふふっ、まあいいわ。体で教えてあげる」

僕が麻衣さんの言葉を理解することが出来ないまま、マットプレイがスタートしてしまった!
とにかくここは耐えるしかないんだ……だいじょうぶ、きっと長持ちする。
僕は自分に言い聞かせるように念じたのだが、


「くふぅっ!」

か、感じる……麻衣さんの顔は見えないのに、さっきよりもリアルに感じる!?

「背中ってあなたが思っている以上に感じるのよ……」

気がつくと彼女のささやきが耳元で聞こえた。
このローションみたいにネットリと絡みつく麻衣さんの美声。

「うつむいているあなたは一方的に私を感じるしかないの」

両肩に置かれた麻衣さんの手のひらが、じっとりと降りてきた。
片手は脇の下をなぞってから乳首をコリコリと責め立て、もう片方は僕の腰の辺りをさすってる。

「私の指先とか……」

腰の辺りを這い回る手が棹の部分をチョンチョンとつついた。
もっと触って欲しくて、自分から腰を振りそうになるのを堪える。
まだ……まだ堕ちるわけにはいかないんだ!


「ん……んんっ!!」

「私の声も……」

今度は僕の耳たぶを軽くかじりながら舌先で輪郭をなぞってくる。
時折耳のくぼみに下をねじ込んで、掃除するように舐め尽す麻衣さん。

耳を舐められると……力が抜けちゃう!!

「それに私のおっぱいの感触」

「ひっ……!」

麻衣さんが僕の脇の下からくぐらせた腕に力を入れて、バストを擦りつけてきた。
背中でくっきりと円を描いている。
まるで動かれるたびに背中の皮がゆっくりとむかれて、どんどん敏感にされてしまうような気分になってくる……

「気持ち良過ぎる……よ、麻衣さんん、んぁぁ!!」

グチュウウウウゥゥゥゥ!!!

「ローションと一緒に刷り込んであげる……」

遊んでいた麻衣さんの両手が僕のペニスを握り締めた。
しかもそれも一瞬だけ。

「うあっ!!」

まるで僕がどれくらい感じているのかを確かめるような手コキだった。
情けないことにそれだけでイキそうになってしまったのだが……
ブルブルと震える僕の体を優しく背後から撫で回す麻衣さん。

「お尻の表面から背中を撫でられると気持ちいい?」

「は、はいいぃっ」

「ふふっ、素直だね」

指先を大きく開いて下半身を撫でられる。
たまにそのイタズラな指先はペニスをかすめたり、膝のくぼみをコチョコチョしたり……
僕には予測不可能な動きを織り交ぜてくる。

「男の子はね、みんなこの手つきをされると弱くなっちゃうんだよ?」

気がつくと僕はまるで肘とひざの関節を取り除かれてしまったようにマットに身を崩していた。
大の字になりかけた僕の脚の間に、麻衣さんは正座をするようにして膝を滑り込ませた。

「こうやって……」

彼女の膝が僕の腰を持ち上げる。
ローションのおかげで何の抵抗もなく、ヌルリとした感触と共に四つんばいのような姿勢にさせられる。

(はっ、はずかしい!!!)

本能的にそう思わざるを得ない姿勢。
軽い屈辱感と、なぜかこの後のことを期待してしまう情けない自分。

僕の葛藤をよそに、麻衣さんの指先は腰の隙間から亀頭を確実に捕らえた!

「あふっ!!」

「いい声ね。ここをこうすると……」

力が全然入らない状態で麻衣さんの指技をもろに受けてるペニス。
八の字を描くように亀頭を指先がすべり、鈴口もクリクリ弄ばれる。
あっという間にローション以上の粘り気を持つ液体が表面に滲み出す!

「あひいいいぃぃっ!?」

僕はもう喘ぎ声以外のものが口から出せなくなってる。
それでも容赦なく麻衣さんの指は動き続ける。

「どう?感じる?」

「あ、あああ、ああ……」

「もっと良くしてあげる」

さらにもう片方の手を滑り込ませる麻衣さん。
浮き上がった腰を抱きかかえるようにされると、僕は完全に身動きできなくなった。

「おなかのほうから手をもぐりこませてるんだよ?」

言われなくてもわかってるけど、麻衣さんに言われると何だか余計に……

「はずかしい?クスクスッ」

このイタズラっぽい声を聞くと、体がムダに熱くなってしまうんだ!
しかも増えた指先のおかげで、今度は亀頭だけじゃなく棹もコチョコチョされて、お尻に密着した麻衣さんのおっぱいが妖しくうごめいて!!

「ま、麻衣さん!麻衣さんっ!!」

「指先でカリのところ、引っかいてあげる」

感じ続ける僕を見ながら、麻衣さんはネットリと人差し指だけで僕を責め始める。
たくさんの指ではなく……たった一本で責めることで僕に屈辱感を与え続ける気だ!

「くそっ……まだ負けない……いいあぁぁ!!」

「なぁに? 腰がよじれてるよ?リンくん」

だめだ!
体が彼女の指に犯されきってる!?
あまりにもじれったくて、このままじゃ狂っちゃうううぅぅ

「このままイっちゃいたい?」

僕は息を切らせながらもその言葉に対してしっかりと頷いた。

「ほら、もうすぐイっちゃう?」

はやく、おねがい!早くイかせてください……
そういいたいのに言葉が出てこない。

シコシコシコシコ♪

麻衣さんの指がトドメを刺そうとしてる!
僕の位置からは見えないけど、確実に僕を追い詰める指の動きだ。

「あ、ああっ、もう出っ、ますっ!!」

腰が震え始める。
それも自分では制御できないほどに!

でも彼女はあっさりと僕の体を解放した。

「じゃあ止めちゃおう」

「そ、そんなっ……」

麻衣さんは体を起こすと、イク直前まで高められた僕の背中に指を這わせた。

「はあああぁぁぁ……」

ペニスをなぞられてるのと同じように僕は喘いだ。
でもこれじゃイけない!!

トロトロになりながらも、恨めしそうに自分を見上げる僕を見た麻衣さんが微笑む。

「君は今からもっとすごいことされちゃうのよ?」









ほんの数分……いや、もっと短い時間だったのかもしれない。
麻衣さんのマット技に翻弄され、僕の手足に踏ん張りが利かなくなってきた。

(こんなにヌルヌルで不安定なのに、なぜ彼女は平気で動けるんだ?)

マットの上はローションの効果でヌルヌルになっているというのに……
自分のペースを崩さずに客である僕を責め続ける麻衣さんは、やはりプロ中のプロなのだ。

「今までは直接的な刺激……」

じゅるん……

「くうぅうっ!」

麻衣さんは正座を崩してひざ立ちになった。

彼女に持ち上げられていた腰が解放され、ドサッと両足が投げ出される。

すでに腰砕けになった僕は両膝をマットにつけていることができず、崩れ落ちてしまった。


にゅるっ・・・!

(はっ! うぐぅ……)

マットの表面に亀頭が触れたとき、一瞬だけ腰が浮かび上がってしまった。
このまま擦りつけて射精したい。


くちゅ……

ためしに少しだけ腰を揺らそうとしたが、思うように力が入らない。
もどかしい……自分の体重だけではイくために必要な刺激が得られない。


「あら、どうしたのかしら? 腰をモジモジさせて」

「えっ……!」

背中で麻衣さんの声が聞こえた。

(まさか! 今の僕を観察していたのか……)

とたんに顔中が熱くなる。

耳たぶが熱い……きっと僕は思い切り赤面しているだろう。

彼女にオナニー現場を押さえられたみたいで恥ずかしい!


「悪い子ね」

軽く笑いながら、背中に麻衣さんが覆いかぶさってきた。
ツンととがった乳首が皮膚をなぞったかと思うと、張りのあるバストがのしかかってきた。

「はああぁぁっ!」

両脇から彼女の腕がぬるりと滑り込んで、僕の背中を抱きしめる。
下を向いたまま羽交い絞めにされたような格好だ。
そのときに首筋から耳たぶまでをペロペロと愛撫された。

「あああぁぁ~!」

「うふふ……」

ゾクゾクする快感に背筋が震え、吐息さえも麻衣さん飲み込まれる。
耳元を軽くキスされた後、美脚が腰に絡み付いてきた。

「ひゃああぁぁっ!」

情けない声が僕の口から自然にこぼれる。

「静かになさい……」

ニュプ……

麻衣さんの細い指が僕の口に差し込まれる。

(あああぁ、そんなあっ!……僕が麻衣さんの指を!?)

よくアダルトビデオで男優が女優に指を咥えさせるように……麻衣さんは僕に指をしゃぶらせた。
本当なら女の子がする行為なのに……恥ずかしくて、屈辱的で、頭がおかしくなりそうだった。

「おいしいでしょ?」

「はい……」

悔しいのに、こんな言葉が自然に出てきてしまう。
心まで麻衣さんに堕ちていく……!

「こっちがお留守だよ?」


ずりゅっ……

マットと僕の身体の隙間に、麻衣さんの脚が滑り込んできた。
麻衣さんのかかとやふくらはぎが僕の太ももをかすめる。

「あああぁぁっ! 駄目だよ、麻衣さああ、あああ!」

もともとすべすべの麻衣さんの肌がローションを吸い込んだおかげで、とてつもなく気持ちいい。
今みたいに肌を合わせるだけでも、充分イきそうになる刺激なのだ。




「えいっ」

麻衣さんの掛け声と共に僕の下半身が少しだけ浮き上がる。

「うあああっ!?」

差し込んだ脚に力を入れた麻衣さんは、僕の膝に足首をフックさせた。
そのまま僕の太ももの裏へとかかとを滑らせ、ひざを曲げさせた。
マットの表面は充分ヌルついている。

その結果、ずるずるとひざが曲がって再び四つんばいの姿勢にされてしまったのだ。

(また麻衣さんにコントロールされちゃう……!)

しかし抵抗できない!
マットとローションの特性を充分に理解している風俗嬢ならではのテクニックだ。

「ああぁ……」

完全に脚が折れ曲がり、再び屈辱的な姿勢となる。
しかも今度は背中から女性に支配され、強制的に足を広げさせられたのだ。

「この体勢になったら、男の子はもうおしまいよ」

「えっ」

「君はもうおしまい……」

耳元で麻衣さんが囁く。
そして脇の下から通した腕が肩から離れ、乳首を愛撫し始めた!

「あ、ああぁ、あふっ!」

ゆっくりと指先で確かめるように、麻衣さんの指先がうつぶせの僕を犯す。
マットにしがみつくようにして僕は声をできるだけ殺した。

「さっき、自分でイこうとしたでしょう?」

「ひっ……」

麻衣さんの声は心なしか低かった。

おそらく麻衣さんは怒っている。

勝手に刺激を求めた僕を怒っている。

そして……許さないと考えている!


背中をバストで犯し、指先で胸を愛撫しながらの問いかけは、まるで催眠術みたいだった。
快感がどんどん染み込んでくる。

「答えなくてもいいわ」

乳首中心だった指先の責めが少し下がっておなか周りに集中する。
麻衣さんが指先を大きく開いて身体を撫で回すと、その動きと同じように僕は身体を揺らした。

「本当に敏感だねぇ……」

「ああっ……ま、麻衣さん! もうっ!」

――触って欲しい!

その手つきでペニスをしごいて僕に止めをさして欲しいのに……

麻衣さんの手はいたずらで……そして意地悪だった。

ペニスが震える。

たまに彼女に手に亀頭がかする、それなのにおへそから下に触れる素振りすら見せないのだから。


「はぁ、ああぁぁ! 麻衣さん!!」

終わりを待ち望んでいる下半身にも力が入る。

だがそれも絡みついた彼女の美脚の前では無駄な抵抗に過ぎなかった。
身体を伸ばそうとしても彼女の足首が少し動くだけで強制的に四つんばいにされてしまう。

「ねえ、気づいてる?」

「な、なにをですか……?」

「あなたはもう自分でマットにおちんちんを擦れない」

勝ち誇ったように麻衣さんがつぶやく。

(そんなはずは……!)

絡みついた美脚を振り切って、ペニスをマットの表面に擦りつけようとした。
だめだ……彼女の言うとおりだった。
もがく僕の身体を麻衣さんの足首と、かかとが邪魔をする。

「くっ! ああぁぁあっ、離して……」

「だめよ。このままイかせるわ」

麻衣さんの指が僕の左右の乳首をつまんだ。

「あうっ!!」

少し痛みを感じるほど強くひねられ、声が上がる。
だが次の瞬間、痛みは快感に変わる。

「乳首だけでイかされたことなんてないでしょう?」

喘ぐ僕を押さえ込みながら、麻衣さんは左右の乳首を交互に愛撫する。
時には爪を立て、痛みを与えながら優しく撫で回してくる。
痛いのに気持ちいいなんておかしい……
まさか本当にこのまま乳首だけで!?

「い、い……やだ!」

気づけばもう下半身に感覚がない。
快感が充分に行き渡ったせいで、麻衣さんを押し返せない!
意識のすべてが乳首と、背中と……彼女の指の動きに集中させられている。

「まだ頑張れるんだ? すごいね」

「い、いやだ……こんなのおおぉぉ!!」

麻衣さんの指でしごかれたい!

麻衣さんにフェラされたい!

麻衣さんの名器で……



「もう一度、お口を犯してあげる」

「んぐっ、んうううぅぅ!!」

しかし僕の願いをねじ伏せるように、麻衣さんの指先が僕の口を犯した。
細い指先が一本だけ差し込まれ、ゆっくりとピストン運動してくる。
ローションまみれのその指を、僕は熱心にしゃぶった……




ちゅぽ……

何度も何度もピストンする指先をしゃぶらされてるうちに、僕は抵抗をやめた。
頭の中がボーっとする。
優しく見つめられながら口の中を指で犯されただけで、身体がさっきよりも麻衣さんに対して従順になってしまった。

「女の子に犯されてるよ……」

「は、はずかしいよぉ……麻衣さん……」

「そうね。君は恥ずかしい男の子よ」

泣きそうな顔の僕を容赦なく辱める麻衣さん。
突き放すような麻衣さんの言葉に身体の芯が熱くなる。
普段なら悔しいはずの言葉も、今の僕には快感に変換されてしまう。


「だからこのままイきなさい。しっかり押さえていてあげる」

麻衣さんは身体を強く押し付けてきた。
両脇に回した腕の力が強まった。
豊かなバストがさらに背中でつぶれて、下半身を押さえ込む力も強くなる。
これじゃあもう逃げられない。
麻衣さんから逃げられなくなってしまう……。

「乳首をなでられて、口の中を犯されて」

「あ、あっ、あっ……!」

「背中を包まれて、手足を縛られてる」

言わないで欲しいのに!
そんなことを言われたら、今の僕は……!!

「そして念入りに心も折ってあげたわ」

ふるふると身体がわななく。
屈辱的な言葉に身体が反応してる。

「もう我慢しなくていいよ?」

「麻衣さぁん……

「イきなさい」


そして、麻衣さんは僕に気づかない程度に下半身の戒めを解いた。

ほっそりした麻衣さんの脚が、柔らかなふくらはぎが……亀頭を一瞬だけ弾いた。

チュク……!


「あっ、あああぁっ! 出るううううううううぅぅぅぅぅ!!!」

たったそれだけの刺激なのに、さんざん焦らされた僕の身体は過剰な反応を示した。
ペニスの一転に与えられたわずかな快感。
それが電気のように身体中を走り、僕の思考を停止させた。

どぴゅどぴゅどぴゅうううううううううう~~~~~!!!

腰が粉々に砕かれたみたいに、身体が崩れ落ちる。
マットと麻衣さんの身体に挟まれたまま、何度も何度も腰を床へと押し付ける。

「全部出しなさい。見ていてあげるから」

暴れだす僕の身体に麻衣さんの手足がしっかりと絡みつく。
身体の力が入らないから簡単に押さえ込まれてしまう。

「ああぁっ、ひああ、あふあああぁぁ!!」

何度もやってくる快感の波に、その都度気絶しそうになる。
それでも収まらず、わけのわからない声を上げながら快感に悶絶する。
身体中が麻衣さんの色に染められて、もう何も考えられない。

「麻衣さん……」








その時、ベッドの脇にある時計のアラームが鳴った。
もう時間か……

(でも、もう満足した。これ以上は……)

本気で死ぬと思った。
麻衣さんに全てを捧げて、ここで死んでしまうと思う。

しばらく身動きできなくなった僕の身体を、麻衣さんが優しくタオルで拭いてくれた。
本番以上に気持ちよかった……心の隅々まで麻衣さんが犯してくれたから。

「これは効いたでしょう? 私の技のひとつで『女郎蜘蛛』っていうの」

じょろうぐも……

「女郎蜘蛛にとらわれた男の子は、みんな抵抗できなくなるの」

たしかにこれは抵抗できない。完全に骨抜きにされた気分だ。
この先、今日以上に気持ちのいい体験はできるのだろうか。
麻衣さんの愛撫を受けてしまった僕に、他の選択肢はあるのだろうか。


「きょうはシャワーを浴びずに帰ってね。私の香りに包まれたまま一人エッチしちゃだめだよ?」

なんとか着替え終わった僕に、麻衣さんが名刺を渡してくれた。
思い出しエッチしない自信は……まったくない。



「あ、あれっ? これは」

「ふふふっ」


名刺にはお店の名前はなかった。

その代わり、メールアドレスとケータイの番号が!


不思議そうにしている僕に、麻衣さんがそっと腕を絡ませた。

(私、リンくんのことが気に入っちゃった。今度は外でしようね? 時間制限無しで♪)

別れ際に小さな声で麻衣さんが囁いた。








(END)