俺は世界中を旅している冒険家だ。
 今までいくつかのクエストをこなし、珍しい財宝を手に入れてきた。

 そしてここはランスロットの酒場。
 俺と同じような冒険家たちが集まる場所だ。
 くだらない嘘や噂が飛び交う騒がしい空間ではあるが、耳に入ってくる話の中には、時折聞き捨てならないネタが混じっているのだ。

「その話は本当か?」

 たまたま隣に座っていたひげ面の男に向って俺は尋ねる。

「へっへっへ……つまらん嘘をついても仕方あるまい? 他のやつにも聞いてみなよ」

 試しに反対側に座っていた男にも「噂」について尋ねてみる。
 俺の話を聞いてから、男は大きく頷いた。


――全ての色と欲(特に色)を満たす迷宮が、そこにはある。


 こんな魅力的な話を聞いて、飛びつかない冒険家はいないだろう。
 しかしまだその迷宮を攻略したものはいないという。

「よし……」

 俺は目の前の酒を飲み干して、席を立った。
 誰も攻略していないのなら、好都合だ。
 俺が最初にやってやる。

「あんたも好き者だな、へっへっへ……」

 溜息混じりにつぶやくひげ面の男に礼を言ってから、俺は酒場をあとにした。



――そして次の日。



「ここが入り口か」

 酒場で聞いたとおりの場所に、その迷宮は存在した。
 街からしばらく歩いた森の奥深くに、不自然に詰まれた石造りの門。
 中を覗きこむと、ひんやりとした空気を感じた。
 どうやらひげの男は嘘をついていなかったらしい。

 周囲を警戒しつつ、俺はゆっくりと内部に潜入した。


 街で整えた装備の中から、あかりとなるたいまつを取り出そうとして気づいた。
 洞窟の内部にはところどころにヒカリゴケが生えている。

「思ったより明るいんだな。これならたいまつは不要かな」

 書物が読めるほどの明るさではないが、歩くには支障がない。
 これよりも暗くなったらたいまつを使おう。俺は道具袋のヒモを締めた。



 暫くの間迷宮の中をさまよう。
 今のところモンスターなども出てこない。

 もっとも、たいていのモンスターになら負けない自信はある。
 腕に覚えがあるのかと聞かれれば、俺は首を縦に振るだろう。
 本物のドラゴンと対峙したことだってあるのだから。
 それに勝てないと思ったら逃げれば良い。


「ん?」

 そのとき、俺の左頬を何かが掠めた。
 ほんの少しの時間差で、そよ風が俺の頬をなでる。

「なんだ……」

 気のせいではなかった。
 今度は右の頬にそよ風を感じる。

(敵か……?)

 冷静に状況を把握する。
 敵だとしてもかなり小さい。そして……素早い!

 俺は無言で剣の柄を握った。
 そして虚空に向って全力で刀身を走らせた。

「破っ!!」

「きゃああああああああ!」

「!?」

 闇の中から声がする。
 しかも小さな……女の子の声?



「すとっぷ! おにーさんっ」

ぺちゃっ!

「うぷっ!!」

 俺の顔に何か柔らかいものが張り付いた。
 驚いて顔を左右に振ると、簡単にそれは離れた。


「え……?」

 これは妖精……ニンフ? フェアリー?
 呼び名は色々だが、今まで出会った中では一番邪悪な気配を感じさせない。

「あたしを斬りつけちゃいけないんだよぉ!」

 小さな羽根で目の前をパタパタ飛び回りながら、妖精は顔を真っ赤にして俺に抗議している。
 どうやら敵意は無さそうだ。俺は剣を鞘に納めた。

「そ、そうか……」

「あたし、ピノ! 妖精さんだよ? 風の精霊の使いなんだよ!」

 精霊の使い・ピノ……ね。
 しかし油断は禁物だ。俺は再び剣を握り締めた。


「だが断る!」

「きゃっ!」

 今度は真っ二つにするつもりで剣を振るった。
 しかしあっさりかわされてしまった。やはりこいつ、ただの妖精じゃない!

「もうっ、どうしてもあたしと戦うっていうの!?」

 ピノは俺の行為にむっとして、睨み返してきた。羽根の音が変わる。
 先ほどまで柔らかくパタパタとしていた動きが、素早く研ぎ澄まされたように感じる。

「じゃあ本気で相手しちゃうもん!」

 目の前からフッと彼女が消えた。
 かすかな空気の動きを感じて振り返ると、ニヤニヤとした表情で俺を見つめていた。

(速いッ……!)

 まさかこの狭い空間で見失うなんて。

「おにーさん、『すばやさ』が足りないんじゃなぁい?」

 ペタリ、と小さな手で俺の額にタッチしてから、再びその姿が消えた。

「くっ! ちょこまかと……」

「へへ〜ん、ここまでおいで♪」

 姿を追うのに必死で、剣を振る動作まで繋がらない。
 そしてついに完全にピノを見失ったとき、俺の股間がジワリと甘く疼いた。




「きゃはっ……おっき〜い!」

「ああああっ!」

 視線を落とすと、さっきまで目の前にいたはずの彼女がペニスに張り付いていた。
 ピノは素早く飛び回りながら、衣類を切り裂き、俺の下半身をむき出しにしていたのだ。

「ぺたっ♪ ふふふふ〜」

ガシャン……

 恥ずかしさと驚きで握り締めていた剣を落としてしまった。

(早くこいつを……うああぁぁっ!?)

 剣を取り戻そうとしても、手元がおぼつかない。
 モゾモゾと股間を這い回る妖精のおかげで、俺は膝をついてしまった。

「こうなったらもうあたしの勝ちモードじゃないかな?」

「離れろ、くそっ……!」

 股間に張り付いたピノを手で追い払おうとしても、巧みにかわされてしまう。
 両手でその羽根を掴みにかかったところで、いったん彼女は宙に逃げた。

「足でツンツンツン……」

 小さな靴の先が俺の亀頭を優しく愛撫する。

(妖精の……足コキ!?)

 こんな小さな姿の敵に、辱めを受けてしまうなんて!

「さわさわさわ……」

 靴の先がゆっくりと円を描く。
 それがたまらなく心地良い……。

「あっ、ああぁぁ! くそっ!!」

「あれれ〜、どうしたのかな?」

 むくりと持ち上がったペニスを見て、ピノが大きな声を出す。


「もしかして気持ちよくなってきた……とか!」

「ちがうっ!」

「おにーさん、ちっちゃい子に触られて感じちゃうんだ?」

 彼女は俺の頬が赤く染まるのを見て、イタズラっぽい表情をした。
 その間にも柔らかい靴が俺自身を踏みつけてくる。

(力が入らない……)

 俺の身体が脱力しかけているのを感じて、ピノは再びペニスに抱きついてきた。

「お洋服、脱いじゃうおうネ……」

シュンッ!

「なっ」

 うまく聞き取れなかったが、彼女の口が何かをつぶやいた瞬間……俺達二人の衣類が床に落ちた!

「これでお互いに裸同士だね、おにーさん」

「おのれ……!」

「ねえ、ピノとエッチしたくなってきたんじゃなぁい?」

「……!」

 小さな目でジッと俺を見つめている妖精に、俺は何も言い返せない。


「そーゆー人のこと、ヘンタイっていうんでしょ?」

「くっ、もうやめろ! 誰がお前なんか……あっ、ああぁぁ!!」

クチュッ、クチュ……

 ピノはペニスに抱きついたまま、身体をヌルヌルとこすり付けてきた。
 しなやかな身体全体を使っての愛撫に俺は悶絶した。

「ほらぁ……んふふ、いっぱい溢れてくるよぉ〜♪」

「やめろ……ああぁ……!」

「きゃははっ、でも止めてあげないもーん♪」

 妖精の淫らなダンスのおかげで、俺の股間はすっかり我慢汁だらけになってしまった。
 亀頭から溢れる透明な粘液を、ピノは小さな口ですすり、手のひらで伸ばし、くすぐってくる。

 人間同士では味わえない繊細な動きが俺の判断を狂わせる。

「ねえ、もっと気持ちよくしてあげよっか?」

「誰がそんな手に……」

 甘く囁かれた誘惑に、俺は意識を取り戻す。
 こんな小さなモンスターに翻弄されている場合じゃない。
 俺はこの迷宮に隠された財宝を奪いに来たんだ。

「亀さんシコシコ〜♪」

「ぐああああぁぁっ!」

 しかし、次の瞬間その理性が崩壊した。
 俺のペニスを弄ぶ妖精が、左右の手で裏筋をめくりあげながら刺激してきたからだ。

「おつゆがピュッピュ……シコシコぴゅっぴゅ〜♪」

「うあああぁ、ああああ〜〜!!」

 もはや猶予はない。
 俺は両手で再び妖精の身体を捕まえようとした。

 しかし、俺の手がペニスを握り締めたと同時にピノが顔の前に現れた。

「自分で触っちゃうんだ?」

 目を半分瞑りながら、妖精は意地悪な笑みを浮かべる。
 確かに今の俺は自分でペニスをいじっているようにしか見えない。

「くっ……!」

「おにーさん、すごく気持ち良さそうだよぉ〜〜」

 目で追えないのだから捕まえられる筈などないのだ。
 俺は両手をだらんと垂らしてしまった。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

「ねえ、さっきよりも息が荒くなってなぁい?」

 俺に抵抗の意思がなくなったのを感じ取ったピノは、ゆっくりと股間に舞い戻った。

「それに剣も手放しちゃって……うふふふ〜」

ピチュッ、チュッチュ♪

「ふああぁっ!」

 ピノは宙に浮いたまま、亀頭の先に何度もキスをした。
 小さな針で快感を突き刺されているような……そんな愛撫だった。

「目を瞑ってもムダムダ〜♪」



ちゅっちゅっちゅっちゅ

ちゅちゅちゅちゅっちゅ♪


「あひいぃっ!」

 容赦なくまぶされるキスの嵐に、俺は悶絶した。
 ピノの唇が亀頭に触れるたびに力が吸い取られていくようだ……。

「ちゃんとおねだりして? そしたら、いっぱい気持ちよくしてあげるよぉ……おにーさん可愛いから」

「えっ……!」

「うふふ〜、隙ありぃ♪」

 可愛いといわれ、思わず目を開けた瞬間だった。

「えいっ☆」

 俺を正面から見つめたピノが、軽くウインクしてきた。
 そして俺の意識がピンク色に染まっていく…………。




 突然なにか暖かいものに包まれた俺は、身体の自由を失った。

「あが……」

「はい、おにーさんはあたしに魅了されちゃいました〜」

 ピノが何かを口にしたけれど、うまく聞き取れない。
 それよりも早く触って欲しい……もっと気持ちよくして欲しいという気持ちが膨らんでくる。

 心臓は早鐘を打ち、股間はビクビクと切なく震えている。
 それなのにまだピノはペニスに触れてくれない。

「本当はこの魔法、弱い人にしか効かないはずなんだけど……」

 俺の顔の前でゆらゆらと浮かびながら、彼女は両手を広げた。
 そしてゆっくりとその可愛らしい顔が近づいてきた。

「レベルチェックの……チュッ♪」

「んぐっ!?」

 小さな唇が俺の身体から何かを吸いだした。
 だがそれすら快感にすりかえられてしまう。

 もっとキスして欲しい……!

「うふふ、わかっちゃったよぉ……おにーさん、まだレベル2なんだ! よっわ〜い」

 何か屈辱的な事を言われたようだが、むしろペニスがズキンと震えた。

「だいぶ効いちゃってるねぇ……チャームの魔法♪」

 目の前でくすくす笑いながら、ピノがようやく股間に降りてきた。
 そして宙に浮いたまま、細い脚を大きく開いて見せた。

「じゃあこんなことでも感じちゃうかな? ふとももで、キュウッ♪」

クニュッ、チュク……ヌリュ、ネチュ……

「あ、あああぁぁ〜〜〜!!」

 柔らかい太ももが俺を抱きしめる。
 ピノは微笑みながら太ももを前後に優しく揺らす。
 そして下半身だけで亀頭全体を優しく締め付けてきた。

「くはああぁぁっ!」

「きゃはっ、ビクビクしてる〜〜」

 待ち焦がれていたペニスへの刺激に、俺は全身で喜びを返した。
 我慢汁が一気にほとばしり、彼女の羽根をぬらした。

「じゃあこのまま羽でサワサワ……サワサワ♪」

「ああ、ああぁぁ!」

「んふふ〜、じれったいよねぇ?」

 ブンブンと首を横に振る俺を見ながら、彼女はくるりと身体を翻した。
 そして根元にしっかりと足を絡ませ、両手で亀頭を抱きしめながら俺に尋ねてきた。

「じゃあどうして欲しいか言って?」

「ピ、ピノ…………!」

 俺は彼女に自分の欲望を全てさらけ出した。






「うんうん、恥ずかしいね……おにーさん。でも素直な男の人って、好きだヨ」

 俺が全てを伝えた後、ピノは淫らな表情でこちらを見つめてきた。

「じゃあたっぷり吸い取ってあげる」

ニチャ……

 彼女は片手で俺の吐き出した我慢汁をすくいとって、小さな舌で舐めまわした。
 その様子がとても卑猥で、俺の胸がドクンと高鳴る。

「弱くてヘンタイなおにーさん……」

クチュッ……!

「うああぁ!」

「ふとももでキュッキュしながら、あたしの手でいーこいーこしてあげる」

 その言葉通り、彼女は俺にトドメを刺しに来た。
 散々溜め込まれた精液が、俺の身体の奥でギュルギュルと渦巻いてる。

クチュクチュクチュ……

「あっ、あっ、あっ……!」

「妖精さんのちっちゃな手で、おにーさんはイかされちゃうんだよぉ? 細か〜く、コチョコチョされて、悶えて喘いで……ピクピクだよぉ……」

 彼女の言葉に導かれるように、ペニスの震えが激しくなる。
 身体中に快感が広がって、俺の視界がピンク色から、さらに白く変化していく。

「じゃあそろそろラクにしてあげる。あたしの手で抱きしめちゃう!」

「ああ、はやく! もう我慢できないッ!!」

 恥を捨てて俺は小さな妖精におねだりをした。
 そしてピノは軽く亀頭に一度だけキスをしてから、思い切り俺を抱きしめてきた!

「ほら、ぎゅうう〜〜〜♪」



「ああああぁぁぁ〜〜〜! イくううううう!!」

ドプッ、ドピュウウウウゥゥゥ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!


「あんっ、すっご〜い! ドクドクドクて、出てるよぉ!!」

「も、もっと……もっとぉ……!」

「ちゅっちゅっちゅ……ふふ、くすぐったい? もっと良くなるように呪縛をかけてあげるからね〜」

 ピノは深く息を吸い込んでから、亀頭を強く抱きしめた。

「うああぁっ」

 そして小さな声で何かを唱えると、こちらをチラリと見つめてきた。

「えへへ、これでもう一度イけるよ?」

 彼女の身体がうっすらと光って見えた。
 同時に、俺の身体から何かが抜け落ちていくような感覚が……。

「ほら、今度はふとももで……きゅうううぅぅん♪」

「あああぁぁっ、気持ちいい! ピノッ、あああぁ〜〜〜〜!!」

「きゃはは♪ おにーさん、ウットリしてる〜〜〜」

 わずかに感じ取った違和感さえも快感に塗りつぶされる。
 俺はピノの愛撫で、それから何回も抜き取られてしまった……。








「お、おいアンタ! 大丈夫かい?」

 聞き慣れない男の声で俺は気を取り戻した。
 目を開けると、俺を心配そうな顔で見つめる老人の姿があった。

「うぐ……あ、ああ……すまない」

「そんな装備でこの迷宮に挑むなんて、命知らずにも程があるわい」

「みっともない姿を晒しちまったな……」

 指先に力が入る事を確かめてから、俺はゆっくりと立ち上がった。

「まあ、無事で何よりじゃよ。わしはこれで失礼するぞ」

 その様子を見て老人を立ち去っていった。

 俺は確か妖精に惑わされて、たっぷり辱めを受けたはずだが……。

 見たところ、身体の様子に変化はない。
 しかも装備品を剥ぎ取られた様子もない。

 だが、確実に俺の精神には変化があった。

(また妖精に……ピノに会いたい……)

 小さなイタズラ娘に魅了された効果が、魂に刻まれてしまった。
 恐らく俺は装備を整え、またあの迷宮に挑むだろう。

 しかし先に進めるだろうか?

 あの妖精の、甘い誘惑を遮ることができるだろうか。

 一抹の不安を感じながら、俺は道具袋の中を確認し始めるのだった。




 つづく


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