「もう充分に骨抜きみたいね? そろそろいいわ。二人とも影に戻りなさい」



右京と左京の連携技の前に陥落間近の俺を見て、沙織が二人の動きを止めた。



「沙織様、あとで私たちも楽しませてくださいね?」



おれを虜にした右京が名残惜しそうにつぶやく。



「もちろんよ。三人でたっぷりと楽しみましょう……ふふっ」



沙織が手をかざすと、右京と左京は元通りの影へと変化した。

しかし、先程よりも俺の体への締め付けが苦しくなっている!



空中で俺の腰が少し浮かされ、沙織のほうへと突き出されている格好だ。



「面白いことしてあげるね」



忍服の懐から取り出した小さな固形物。

まるで緑色の小石のような塊を口に含んで、何回か沙織は口を動かした。



「んうぅ……ふふっ」



それから俺の股間に向かって口をすぼめて優しく息を吹きかけてきた。

ふぅーーーーっ……

その息の中に、銀色に細く輝く線が見えた。



「い……糸……?」



まるで蜘蛛のように沙織は糸を吐き出している。

おそらく先ほど口に含んだものを細くほぐしてから出しているのだ。



その吐き出された糸がおれの肉棒にふわふわとまとわりついてくる。

ふんわりと全体を包み込んでいるその糸に今のところ感触は無い。



「そうよ。この細い糸だけであなたを完全に私の虜にしちゃうの」



俺の股間でうっすらと繭状になっている糸玉の中に、沙織はそっと指先を滑らせた。



「あああぁぁ……」



沙織の指先が一瞬だけ俺の亀頭や棹、玉袋を爪の先でじりじりと刺激する。



「くすっ、これだけでも感じちゃうのね?」



そして俺に見えるように自分の両手を開いてみせる。

彼女の指先からおれの股間に向かって細い銀色の糸が伸びている。



おれの股間と沙織の指が直結している状態だ……!!!



「うふふ……ほらっ」



 くいっ!

ふいに沙織が指先をすぼめて何かを包み込むような仕草をした。

すると不思議なことに俺の亀頭が包み込まれるような錯覚に陥った!



「……えっ!」



沙織は俺の眼前で綾取りをするかのように糸を絡ませたりほぐしたりしている。

じれったい快感がおれの股間を蝕む!



「ちょ、ちょっと……ああっ!」



そしてその動作は、空気中で見えない「なにか」を愛撫しているかのように妖しいものだった。

俺は食い入るように沙織の指先の動きを見つめた。



「そろそろ滑らかに動かしてあげる……ほらっ」



今度は彼女の指先が折り重なって……両方の人差し指で亀頭をこね回すかのように動く。

指先がなにかしらの動きを見せると、不思議なことに俺の肉棒も容赦なく快感にさらされるのだ。



「あっ!、先っぽが……ああああっ!!!」



沙織は両手の指を交差させ、ねっとりと絡みつくような動きを見せた。



「右京と左京にいじめられた今、私の指技に耐えられるかしら?」



沙織の指先が直接触れている以上に、俺の股間にもその感触が伝わる!



「……ぅあああっ」



堪えきれず思わず声を出してしまう俺を見て、ふふっと微笑む沙織

「女の子の綾取り遊び……教えてあげようか?」



沙織は両手の指先を一度ぴったりと合わせてから再び引き伸ばした。



「うぁぁ……」



とたんに優しく亀頭を挟み込まれた感触が沸きあがる。

彼女の手の中で粘度の増した銀色の糸が、沙織の両手の指先を橋渡ししている。



「ふふっ、おちんちんが縛られちゃうね?」



そして糸の間に俺自身を挟み込むように絡めてから、沙織は小指と親指をくねくねと動かしてきた。



「ん……はぁ」



銀色の糸が亀頭のくびれを巧みに弾き、沙織の手の中で俺は踊らされる。

たかが糸なのに! 



もどかしい刺激に思わず反応してしまう俺。



「これが『橋』、そして今度は『川』だよ……うふふっ」



沙織の手の中で銀色の糸がぬらぬらと光りながら、面白いようにその姿を変えてゆく。

銀色の糸は沙織の意のままに形を変える。



そのたびに、障害物であるおれ自身にねっとりと絡みつき、弾きながらじわじわと刺激を蓄積させる。



「必死ね。でももっといじめたいの……ごめんね」



沙織はそういうと、綾取りの形をさらに複雑に変化させた!

彼女の指……いや、両手が縦に俺を挟み込む。



もちろん直接触れているわけではない。

右手はまるで亀頭を摘み上げるかのように、左手は玉袋を包み込むように……

綾取りで言うところの『箒(ほうき)』の形だ。



「いい声で鳴かせてあげる……くすっ」



沙織はそのまま、両方の指先に力を入れてくすぐるような動きをして見せた。

その手の動きにあわせて糸も激しく揺れ動く。



「うあっ、ああぁん!!」



おれの亀頭の先が、糸の動きでいたぶられる!

玉袋は全体的にやわやわと弄ばれている!!



しかも本当の指先ではなく、あくまでも糸による刺激なのだ。

決定的な射精にいたるほどではなく、生殺しにされている状態。



「箒でお掃除してあげる……もっとしごいてもいい?」



指先で絡めた糸をさらに激しく弄ぶ沙織。

その指先の威力を高めるために、糸とつながる亀頭と玉袋への距離が縮まっていく。



(もう少しで……沙織の指が触れる……)



俺は無意識に期待していた。

沙織の指先の糸が亀頭の真上に円を描いたとき、俺は少しだけ腰を浮かせてしまった。

そして沙織の指先がほんのわずかに鈴口に触れたとき、



「っ!!」



おれは全身を硬直させて、その刺激を味わってしまった。

イきたい! 思わず俺の口からその言葉が出そうになったその時、



「だめよ」

すーっと離れていく沙織の指先。



そして残念そうな顔をしないように堪える俺の顔を覗き込んで、いたずらっぽく微笑む沙織。



「今、勝手に私に触ったでしょ? いけないんだぁ……うふふ」





「これが淫法・糸傀儡よ。

 あなたはおちんちんに触れられることも無く、私の指の動きに反応させられちゃうの」



滑らかに綾取りのような動きを繰り返す沙織の指先……



「そして最後には、体だけじゃなくて心まで全部私に操られることになるのよ。くすくすっ」



その言葉が嘘ではない証拠に、おれの股間には先ほどから快感がどんどん蓄積されていってる。



「あああぁっ、だめ! それだめえぇ!!!」



まるで快感神経に直接愛撫をされているかのように、俺は悶え始めた。



「だいぶ効いてきたでしょ?これで思いっきり吐き出させてあげる……秘技『天女の指構え』!!」



しつこく指先が絡みつくような刺激から一転して、今度は柔らかい布きれをかぶせられたまま撫で回されるような……

優しい刺激が俺を襲う!



「あああぁっ……気持ちいいよぉ……」



沙織の左手が棹を上下にしごきあげ、右手が亀頭を全体を包み込んで撫で回すような動作をした瞬間だった。



「ふふっ、ついに言わせちゃった」



あたかも天女が舞い降りてその羽衣で俺を包み、優しく何度も愛撫されているかのような甘美な感覚が俺の背筋を駆け抜けた。

限界まで我慢を重ねた俺自身から、沙織の指先が最後の力を奪い去っていく……



「もうあなたは耐えられないわ……  くのいちの技で、無様にイっちゃいなさい!」



沙織は右手を猫の手のような形にして、亀頭全体を撫で回す動きを見せた。



「で、でるっ!!! ぐああああああぁぁぁっ!!!!」



沙織の右手が何度か空中でひらめいた。





その指技の前に、おれはとうとう敗北の証を撒き散らしたのだった。

吐き出している最中も、沙織は愛撫の手を緩めない。



二度も三度も連続して腰が痙攣させられている……

通常の一度の射精などでは考えられないような長い時間、俺は沙織に抜き取られた。



「たくさん出しちゃったね。でもまだ十分の一くらいかしら……

 今度は私の指で直にしごいてあげる。そのあとは私の体を擦りあわせてもう一度……くすくすっ」



肩で息をする俺を見ながら、沙織は妖艶に微笑んだ。

そしてゆっくりと焦らすように忍服を脱ぎ始める。

女性としての魅力を保ったまま、見事に鍛え上げられた沙織の肢体が俺の目の前に……



「最初に言ったでしょう?奪ったものは返してもらうって。 私の中に入れるまでにあと何回か搾ってあげる。

 そのあと、あなたが機密情報を思い出せなくなるくらい壊してあげる……」









肩で息をする俺を見ながら、沙織は妖艶に微笑んだ。

俺は恍惚とした表情で彼女を見つめている。

ゆっくりと焦らすように忍服を脱ぎ始める。

女性としての魅力を保ったまま、見事に鍛え上げられた沙織の肢体が俺の目の前に……



「最初に言ったでしょう?奪ったものは返してもらうって。

 あなたが機密情報を思い出せなくなるくらい壊れちゃうまで搾り取ってあげる……」

俺の記憶はいったんそこで途切れ…………た……





俺はどうやら……敵を目の前にして一瞬意識を飛ばしてしまったようだ。

もうすでに勝ち誇った表情の沙織がここにいる。



「ふふっ、私の中で抱いてあげるまでにあと何回出しちゃうのかしら?」

おれは……おれはっ!沙織の指技に耐え切れず、達してしまった。

糸傀儡という技のせいで醜態をさらしてしまった!



「触れられてもいないのにあんなになっちゃうなんて……かわいいね」

男としての誇りを、容赦なく踏みにじる沙織の言葉。



「うるさいっ! 黙ってきい……んああああぁぁぁっ!!!」

侮辱の言葉に反論しようとするおれの股間に手を伸ばし、敏感な亀頭をいたぶりながら沙織は俺の言葉を遮ってくる。



「まだ何か言いたいのかしら?」

腰を捻って逃げようとしても、快感をつむぎだす沙織の指先から逃れられないっ!

しかし、忍としても男としてもこんな状況を受け入れるわけにはいかない。

おれは拘束されて、なおかつ沙織は妖しい薬を使用しているのだ。

卑怯な敵の技に屈してしまったのは事実ではあるが恥ではない。

ここからは絶対に堪えてみせる。

そして男としての誇りを取り戻すと共に、こいつらの隙を見つけて必ずや逃げ切ってやるのだ。

俺は密かに反撃を決意した。

怒りで血管が切れる音が聞こえそうな視線で沙織をにらみつける。



「まあ、元気が良くていいわね。男はそうじゃないとね……」

沙織は指先についている糸を難なく外すと、俺の股間にも息を吹きかけて銀の糸玉を吹き飛ばした。



「じゃあ今度は私が直接しごいてあげるわ。さらにお漏らしさせてあげる」

俺の目の前で沙織が手の平を握ったり開いたりしている。

そして忍服の袖から、なにかねっとりとした液体を取り出して手の平になじませる。

うっすらと光沢を放つ沙織の指先。



「ごめんね、……あんまり手加減できないかも? あなたのさっきの声で、私も感じちゃってるから」

さっきはこの指先につながった糸だけでおれを射精させた沙織……

その魔性の指技が今度は直に俺自身を襲うのだ。

俺は気を引き締めなおした。

そして思い切った提案をしてみた。

「ずるいぞ沙織! 俺と……勝負しろ!!」



少し驚きの表情を見せる沙織。

しかし次の瞬間、余裕の笑顔を見せる。

「私と性技で対決できると思ってるの? あきれたわね……あれだけ無様に射精しちゃったのに」



「ええい、だまれっ! あれはお前に拘束されて、毒も盛られていたからだ。

 普段なら、性技といえども、おれはお前らに遅れを取ることは無いっ」



俺は力強く言い切った。

正直なところ、くのいちと性技比べで勝てる気はしない。

しかし今ならやつらの隙を見つければ、得意の土盾の術で身を隠して逃げ切れると考えている。



「あら……くのいちに対して、この上ない侮辱ね。 でもいいわ。その挑発に乗ってあげる」

沙織は面白いものを見るような目で俺を見つめている。



「あなたに選ばせてあげるわ……」




選択肢

1・体の自由を奪われたままでの耐久戦

2・体の拘束を解いての挿入で勝負














































選択肢1



俺は耐久力には元々自信があるので、こちらの勝負を選んだ。

「このままだと可愛そうだから手足を自由にしてあげようかしら……」

一瞬沙織の口元が淫らに歪んだ気がする。

「でも、こんな勝負を挑んでくるなんて……私の指技に耐えられるってことだよね。気が変わったわ。あなたは私の指技でいっぱい降参させちゃうよりも、体を擦り合わせてじっくり搾り取ってあげるほうが良さそうね。」

沙織は忍服の腰紐を緩め、薄い腰布一枚と胸元を隠すさらしを残して衣類を脱ぎ去った。
鍛え上げた筋肉をうっすらと脂肪で覆っただけの逞しい肉体、とでも言えばいいのだろうか。
彼女の体には無駄なところはなく、女性的な美しさとしなやかさを兼ね備えているのだ。
また、局部をさらしていないことで手足の美しさが際立って見える。
不覚にも沙織の裸体に俺の股間が熱くなる……
沙織は白く輝く体を見せつけながら俺に擦り寄ってきた。

「いきなり裸よりもこういう姿のほうが感じちゃうでしょ? それに悪いけどやっぱり手足は動けないままよ。」

このままか……思いっきり俺の当ては外れたが、まだ望みを捨てるわけには行かない。
俺は沙織を挑発し続けた。

「俺を拘束してないと勝てないのか……くのいちもたいしたこと無いんだなっ」

その言葉など特に意に介せずといった風に沙織はおれの首に腕を伸ばした。

「そんな減らず口が、しばらくすると聞けなくなると思うと寂しいわね……ふふっ」

沙織の小さな唇が俺の口をふさぎ、熱いと息を送り込んでくる。

(あああ……)

しばらくの間、俺はその甘い感触に酔わされた。

「気に入ってくれた?私の舌使い。こうやって唇を重ねながら、あなたの体中を撫で回してあげる……」

沙織は妖しい手つきで俺の背中や腰、くびれているところ全体を優しく愛撫していった。

「あああぁっ……」

その甘い手つきに思わず声が出てしまう俺。
沙織は俺の声に満足そうな表情をしている。
今度は軽く俺に抱きつきながら手の平全体で強めに筋肉を揉み解してくる。
触れられた場所が熱を帯びてくる……

「いい声ね。それに段々わかってきたわ……ふふ」

沙織の指先が不規則に蠢き、俺のくすぐったいところと感じるところを同時に責め始める!

「な、なにがだ……・あっ、ああ……そこっ」

しかも弱いところを探し出すと、確実にそこだけを集中責めしてくるのだ。

「これが秘技・淫蛇掌よ…… あなたの弱いところがどんどん浮き彫りになってきてる……うふふ」

蛇が獲物を嬲り殺すように、沙織の指先は俺の急所を確実にあぶりだして痛めつけてくる!
くそ……絶対に負けられない。

「くうぅ……こんなの、こらえてやる……・んんん!!!」

怪しく這い回る蛇の感触を振り払うように、俺は自分自身に喝を入れる。

「いい表情ね。じゃあ今度はしゃべれなくしてあげる……」

沙織の指が俺のあごを引き寄せ、強引に唇を奪う。
彼女の舌が俺の口内に侵入して、俺の舌を包み込む。
そして時折強く巻きついて引っ張られたり、舌の付け根をくすぐられたり・・いいように嬲られてしまう。
俺は応戦することも出来ず、ひたすら耐えることに集中した。
沙織の口付けはとても長く続いた。

「ん……あふっ、あぅ……な……な……!!」

口元が脱力した俺を一瞬だけ解放した沙織が、腰布とさらしを素早く脱ぎ去って今度は正面から抱きついてきた!

「これでしばらく口元に力が入らないわね。 つまり、うまく我慢できないってことよ」

沙織の美脚がすうっと開いて、屹立したおれ自身をふんわりと柔らかく包み込む。

「そろそろイかせてあげる。あなたの好きな太ももでね……」

沙織は体を密着させたまま、両足を微妙に前後させて俺自身を内腿で締め付ける。

(これはっ! さ、さっきの右京がやってた技……・!!!)

俺の脊髄に、忘れかけていた刺激が蘇る。
危険な快感に俺が体を硬直させたのを察知した沙織が笑う。

「そうよ。わたしだって出来るわよ。 元々は私が考えた技だし……こういう変化もつけられるわ」

沙織は少し背伸びをして、自分の膣口に俺の亀頭をぴったりとくっつけた!
決して挿入させるわけではなく、あくまでも亀頭だけを愛撫するために。
そしてそのまま棹の部分だけを太ももでじわじわと刺激する。
ぬるぬるとした膣口の怪しい感触と、素股の奥義である「羽衣締め」の合わせ技……
俺は腰を震えさせて必死で抵抗した。
しかし、彼女が動いている速度の数倍の速さで俺の体に桃色の誘惑が広がっていく!

「もう射精したくてたまらないでしょ……恥ずかしいねぇ?私の中に入れるまでもなくまたお漏らししちゃうなんて」

沙織はそういいながら、意地悪に膣口を亀頭の先端とくっつけたり離したりを繰り返す!
ふたりの股間からぬるぬるとした液体が淫らに糸を引いている。
しかしそれは俺自身が吐き出している快楽の証。

(ま、まるで本当に犯されているような……ああっ!!)

「ほら、もっと頑張らないと男の子失格だよ?」

沙織が少し腰を浮かして、今度は裏筋部分にちゅっ、ちゅっ……と膣口で接吻をする。

「もうだめなの?うふっ……えいっ」

沙織はおれに我慢する力が無いことを確かめると、とどめの一撃を放ってきた。

くちゅ、くちゅっ、くちゅううっ!!!

沙織の腰が軽く捻られる。
膣口による亀頭への刺激に回転が加えられて、おれはとうとう我慢することが出来なくなった。

「うあああああっ、うおおっ……・ああああぁん!」

どぷっ、ドピュ……ぷぴゅぴゅ……


強くしごかれたわけでもなく、搾られたわけでもない。
しかし俺は確実に沙織の技巧に敗北していた。
そしておれは生きてきた中で一番恥ずかしい声をあげさせられてしまった。
だが、俺の羞恥心を塗りつぶす程の快感が肉棒からとめどなくあふれ出してくる。

「いっぱい出た……くすくすっ」

沙織は射精後であるにもかかわらず、いつまでも震えている俺の肉棒を見ながら楽しそうに笑っている。
そして骨抜き状態となった俺を抱きしめると耳元で囁いてきた。

「このままじゃあ後で私の中に入れた瞬間イきまくりになっちゃうよ? だからもう一度絞ってあげる。 自分の出した白いよだれで、いっぱい感じちゃいなさい」

おれに抱きついたまま沙織の責めが再開される。
じんわりとあの太ももで肉棒を抱きしめての愛撫。
そんなに激しく動かれていないのに思いっきり感じてしまうのは、おれが射精直後だからなのか……

「うあああああっ、がああぁ!!ああっ、おかしくなっちゃうよ!!」

わめき散らす俺を見ながらの沙織の責めはさらに続いた。
沙織に抱きしめられて、股間を弄ばれながら俺は自分の誇りが少しずつ削られていくのを感じていた。
おれの肉棒は沙織の柔肌に挟まれ、歓喜の声をあげ続けている。
とめどなく精液を垂れ流し、下半身が言うことを聞かない。

「上のお口も、下のお口も素直になってきたみたいね。あなた、もう少しで堕ちちゃいそうよ?」

沙織は俺の顔を覗き込みながら、快楽に惚けつつある俺の意志を確認していた。俺の中で芽生えた、

「このまま快感に身を委ねたい」という気持ちが、脱出の意思を鈍らせる。

仮に今ここで解放されたとしても、ここまでたっぷり精力を削られた後では……
得意の忍術でやつらを欺くことは難しいかもしれない。
沙織の性技は確実に俺の任務遂行の道を閉ざし始めていた。

「ねえ、さっきの言葉……たっぷり後悔させてあげる。それと自分の無力さを思い知らせてあげる。」

沙織は指を鳴らして、おれの拘束を解いた。









沙織は指を鳴らして、おれの拘束を解いた。

「えっ……? ぐあっ!!」

急激な脱力状態に陥り、膝から崩れ落ちそうになる。
そんな情けないおれの両脇を影ふたりが支えた。
今まで影に隠れていた右京と左京が再び姿を現したのだ!

「あら……解放されたのですか?」

不思議そうな表情の右京と、やれやれといった表情の左京。

「なんだよ、沙織様! もう飽きたのかよ」

肩で息をしながら影たちに支えられている俺を見下しながら笑い出す沙織。

「違うわ。今から二人に面白いものを見せてあげようと思ってね」

女に抱き支えられている……
羞恥心が俺の理性を呼び戻す。
心の中に甦った小さな闘志を燃やして、おれは沙織をにらみつけた。
今に見ていろよ……おまえの思い通りにはさせない。

「俺の手足を簡単に解放していいのか?」

背後に二人の影がいるので簡単には逃げられない。
だが俺は沙織の余裕っぷりが気に入らなかった。

「体を自由に出来るほうが今のあなたなら感じちゃうとおもったの」

密かに手足の先に力を込めてみる。
まだ逃げるだけの体力は残されているようだ。

「見物客がいたほうが私も燃えるし、それに別に問題ないわ。私のほうがあなたより強いしね?」

「くうっ……! 貴様、おれと勝負するんじゃなかったのか!!」

「ここからが勝負よ。あなたが私の指技に持ちこたえたら、このまま逃がしてあげる」

歯軋りをして黙り込むおれに鼻を鳴らして笑いかける沙織。

「もしも勝負の途中で逃げようとしたら、その場で二人の影があなたを殺すわ」

これは賭けだ。
一方的な責めではあるが……俺は耐えるだけでいいのだ。

「でも……耐えられなかったらどうなっちゃうのかしらね?」

沙織の技に耐えながら隙を見つける……そして、結果的にイかされたとしても一瞬で逃げ出す。
おれは忍だ、任務遂行のためなら男の自尊心は捨てよう。

「じゃあいくわよ。天国を見せてあげる」

いよいよ俺自身に沙織の指先が触れようとしていた。

「ふぐうぅっ!!!!」

ぴちゃ……っと沙織の左手が俺の玉袋をすりあげる。
それだけで俺は声と精液を漏らしそうになった!
……な、なんだこれは……
沙織の指の感触は俺の予想をはるかに上回る凶器だった。
そっと触れた指先がまるで鋭利な刃物のように俺を切りつける。
その切り傷から甘い快感が溢れようとしてくる。
なんということだ……俺はその感触に慣れるところから作業を始めなければならなかった。

「いかが? 私の指先……あなたのために、特別な薬で研いでみたのよ」

特別な薬!?さっき沙織が手にかけていた粘り気のある液体か……
沙織の指先が俺全体を包んでから締め上げる。

「おああああぁぁっ……くはっ、んああぁぁ……」

身をよじって逃げようとするおれを押さえ込む影二人。
沙織の指が俺を揉み溶かしているっ……!?

「いい声ね。もっと隅々まで感じさせてあげる」

沙織は肉棒を優しく撫で上げつつ指先で輪を作って亀頭を締め付けたり側面を擦ったりしてくる。

「こっちのほうはどうかしら」

沙織の手がおれの玉袋の下にもぐると影二人がおれの両足を大きく開く。
俺の肛門が沙織に軽く触れられるだけで、情けないことに尻に力が入ってしまう。
しかし沙織の指先は巧みにうごめいて俺の肛門に粘液を擦り込む。
ち、力が……おれの忍びとしての誇りが沙織の細い指で崩されていく。

「拒んでも無駄みたいよ。あなたのお尻、喜んでるもん」

彼女の言うとおりだ。
俺の下半身は、沙織の指先の動きを渇望している……
それが破滅への旋律だとわかっていても、先ほどまで沙織に擦り込まれた刺激が脳裏をかすめるとまともな思考が一切出来ない。

「ううっ、あうっ!……んあああぁ!!!」

俺の腰が跳ね上がり、沙織を喜ばせる。
まるで幼子の頭を撫でるように優しく亀頭部分を五本指で弄ぶ。

「ほら、もうたまらないんじゃない?……ふふっ」

沙織の指先が俺の決意を快感で染め上げていく!

「沙織さまの指技、たまらないだろ?」

俺を支えている左京が囁いてくる。
しかし俺はそれどころではなかった。
亀頭を撫でられながら脱力させられた尻の穴が、あの指先を拒めそうも無いのだ。

なんという屈辱…………

「うわあああっ、はなせええぇ!!!……はっ、ひいいいいぃっ」

激しく首を跳ね上げて抵抗する俺の乳首を優しく口に含む沙織。
ちゅぷちゅぷと乳首を弄ばれると……その行為だけで、じわじわと快感が全身に拡がって抵抗力が分散される。

「大人しくなさい。きっちり負けさせてあげるから」

沙織の指先が、おれの尻の穴から少し手前……玉袋の付け根の辺りを指圧してくる。
通称「蟻の門渡り」とも呼ばれるこの場所は、力加減によっては快感と鈍痛の両方を与えることができる。
俺に与えられているのはもちろん前者だ。

「んうぅ……そこはっ!……何をしているんだ!?」

今されているのは激しい搾精ではない。
どちらかといえば甘く優しい刺激なのだ。
しかしその静けさに俺は言い知れぬ不安感を植えつけられた。
沙織のもう片方の手は怒張の先端に添えられている。
そしてゆっくりと指先をそろえて筒のような形に整えている。
親指以外の指先で亀頭が包まれているような感じ……

「不思議でしょう。体の底から何かが湧き上がってくるような感じ?」

そういいながら沙織は玉袋を優しく数回転がす。
ふわふわと玉袋の中で精液がゆすられたような気分だ。

「それでいてなんとなく不安になっちゃうでしょう?」

(ああぁ……)

思わず溜め息をつくような甘い痺れ。
おれは無意識に声を漏らしてしまう。
俺の反応を見た沙織は、玉袋から手を引いた。
肉棒を優しく握り締めている手の平の上にもう片方の手が重ねられる。
おれ自身を両手で挟むように包み込むと、沙織は小さく淫らな笑みを浮かべた。
沙織の左手全ての指が亀頭をやわやわと撫で回す。
そしてそのままゆっくり先端から根元へと移動してくる。

ちゅぷっ……ぬりゅっ……

「ほら、あなたの大事なところに私の指の味が染み込んでいくわよ」

軽い捻りを加えながら俺を握り締めているだけなのだが、この感触は……
おれはまるで膣の中に無理矢理挿入させられたような錯覚を覚えた。
歯を食いしばって嬌声を上げないように堪えている俺を覗き込む沙織。

ちゅぷっ……ぬりゅっ……ちゅぷっ……ぬりゅっ……

ちゅっぷううぅぅぅ!!!

「とうとう犯されちゃったね?」

沙織の左手が先端から根元に到達する直前に、もう片方の手の平が亀頭を包み込む。
そして先ほどと同じように軽く捻りを加えながら……先端から根元へと降下してくる。
滑らかにつながるその動きは、まさに俺を犯しているというにふさわしいものだった。

ちゅぷっ……ぬりゅっ……ちゅぷっ……ぬりゅっ……

ちゅぷっ……ぬりゅっ……

ちゅぷっ……ちゅぷっ……ぬりゅっ……ぬりゅっ……

規則正しく繰り返される動きは、俺に次なる快感を期待させる。


「うぐああぁっ!! こ、この……あああぁぁ!!!」

柔らかく筒状に形作られた沙織の指が俺に回避不可能な快感を与え続けてくる。
沙織の手の平は俺に痛みを感じさせることなく同じ動作を繰り返す。

「これが淫法・無限回廊よ」

途切れなく先端から根元まで絞られ続けているので、沙織の膣の中をひたすら入れているような感覚……
通常ならありえない刺激なのだ。

「私の中はもっと気持ちいいでしょうけど、手の平だけでも充分みたいね……ふふっ」

おれは何度か体を折り曲げてこの淫技を回避しようとしたが、そのたびに背後にいる右京と左京が俺の腰を前に押し出す。

「逃がさないぜ? 」

くそっ、影二人は直接刺激してこないものの……やはり多勢に無勢か!

現状を打破する策を練ろうとしても快感で押しつぶされてしまう。

「この刺激、ずっと続くわよ……それこそ無限に……」

突然沙織の手の平が止まる。

「そろそろいい時間ね。いっぱい出しちゃおうか? 」

ちゅぷ ちゅぷ ちゅぷ っ!!

沙織の手の動きが一変する!
今度は根元から先端へと向かって指先が這い回る。
先ほどまでより少し速めで、切れ目なく搾られていく。
沙織の指技によって体の奥底に押し込められていた精液が、一気に引きずり出されそうになっている。

ちゅぷっ……

ちゅぷ ちゅぷ ちゅぷ ちゅぷ ちゅぷ

ちゅぷ ちゅぷ ちゅぷ ……

ぐちゅぷ ちゅぷ ちゅぷ くちゅ くちゅ ちゅぷちゅぷ ぐちゅぷっ !!!


「えっ……ああっ、あっ! あああああぁん!!」


この攻撃にはさすがに俺も声を出さずに入られなかった。
ついさっきまで膣の中に奥深く引きずり込まれていた俺自身が、今度はひたすら抜かれていく感覚に変わったのだ。

「……射精しちゃいなさい?」

沙織の声に導かれるように、俺の抵抗力が一気に奪い取られる!

「うううぅっ、イく……イく〜〜!!!」

上半身を幾度も痙攣させながら、またしてもおれは沙織にイかされてしまった。
俺の体の震えが止まるまで沙織は俺の肉棒を優しく搾り続けた。



「うふっ、いっぱい出たね。この技、気に入ってくれた?」

もはや俺は沙織の顔をまともに見ることはできなかった。
男としての、忍びとしての誇りが粉々に崩されてしまった。

「もっと楽しみましょう?」

くノ一の性技で脱力する俺を優しく横たえる影二人。
俺はまだ手足に力が入らない状態だった……が、俺を見下ろす左京と右京が忍服を脱ぎ始めた。

「いい声だったよ……」

左京のほっそりとした手足が闇の中に見えた。










しゅるるっ……ばさっ……

暗闇に響く衣擦れの音。


「沙織様、ここから先は無礼講ということでいいよな?」

未だ息を切らせている俺の脇で沙織の影たちが着物を全て脱ぎ去っていた。

予想通りに美しい形を主張する右京の胸元と、予想以上に美しい線を描く左京の腰や美脚に見とれてしまう。



「ふふっ、そんなに見つめられると照れますわ」

俺の視線を感じた右京の言葉を聞いて、咄嗟に目をそらす俺。

目の前の敵に見とれてしまうなんて屈辱的だ。


その右京より先に、長い手足を俺の体に巻きつけるように左京が擦り寄ってきた。

そして沙織の声……


「いいわよ、左京……彼を可愛がってあげて」

完全に俺を見下したような沙織の口ぶり。

しかし俺は初めの頃のように沙織に対して軽口を叩くことも出来ない。

体力の消耗以上に、性技によって打ちのめされた劣等感が俺の胸の中で渦巻いていた。


(こ、こいつら……おれを慰め物にする気か……)

ぎりぎりと歯軋りをしながら、俺は女に劣る自分の力の無さを責めた。


「ははっ、お許しが出たよ」

嬉しそうに笑う左京の声……相変わらず俺はさっきまでの余韻のせいで体が自由に動かない。

その様子を見てさらに俺を精神的に追い詰めてくる左京の嘲笑。


「逃げることも出来なくなったか。それとも逃げたくなくなるほど快感に犯されてきたのか……」

悔しさで真っ赤に染まったであろう顔を下に向ける俺だったが、もはや左京たちのいう通りなのかもしれない。

俺にもわからないのだ。

このままここから逃げ切ることを優先するべきか、こいつらに付き従った振りをしていつか逃げ出す方が得策なのか。

今までの流れからして前者の選択は不可能だ。

それよりも後者の選択の方が現実的なのだが、くノ一の里にでも連れて行かれたら今以上の責め苦が待ち構えているかもしれない。

そうなれば俺はきっと快感漬けの生活から抜け出せない気がするのだ。


「この後、沙織様に挿入するまでの間は私がお前を可愛がってやる」

沙織に挿入、といったところで不覚にも股間が反応してしまった。

もちろん俺と体を合わせている左京にもそれはすぐさま伝わる。


「くくっ、それまでに最低あと5回くらいは搾ってやるよ」

「な、なんだとっ……」

左京に5回も射精させられる?

俺の下半身はすでに白旗を挙げている……これ以上射精したら腎虚になってしまう!


「そうでないと瞬殺だろうからな……なにせ、沙織様の膣内の刺激に耐えきった男はいないんだから」

一体どれだけの快感を沙織は男に与えることが出来るのだろう。

それ以前に今度は左京が本気で俺を責めたてようとしている……そういえば左京の本当の実力を俺はまだ知らない。


「じゃあくノ一の膣内に慣れる意味で私の中で揉んでやるよ。でもその前に……」

そっと俺の股間に忍び寄る左京の手のひら。

薄い唇から桃色の舌先が伸びてきて、チロチロと先端を這い回る。


ゆっくりと先端を包み込んでから、その硬さを確かめるように上下に扱いてきた。


(あっ……や、優しい……なんだこれ)

じわじわとした優しい刺激。左京の口調からは予想できないじれったい快感。


「お前の腰のものを少し鍛えておかないとな」

ゆるゆると上下させる手つきから、少しずつ速度を上げたり緩めたりという複雑な動きに変わる。

(この手つきはまずい……このまま射精させる気か!?)

一時は治まりかけていた快感の波が先ほどまでよりも大きくなって復活してきた!


「まだまだ……ほら、もっと硬く張り詰めさせてやるよ」

さらに舌先が蠢いて、ぺろりと敏感な部分が舐め上げられる!


左京の魔手から腰をよじらせて逃げようとしても力が入らない!

俺の体中の毛穴からどっと汗が噴出してきた。


「ああっ、くそっ……ぅぐ!!」

そのせいか喉がやたら乾くのだが、嬌声をあげようとするたびに背後の右京に接吻をされて口をふさがれてしまう。


「んちゅっ……駄目ですわ。もっと素直にならないと」

右京の優しい口づけのせいでさらに力が入らなくなってきた……

しかし手足の脱力とは無関係に膨張を続ける俺の肉棒。

ひくひくと切ない震えを伴って、左京の指の間で涙を流している。


「もうそろそろ限界だな……そらっ!」


ずぶ、ずぶぷぷぷっ……


「っんんんんー!!!!」

添い寝の状態で右京に口をふさがれたまま、突然下半身に広がる快感!!

素早く俺の上にまたがると、左京は一気に腰を沈めてきた。


(あ、あついっ!! うああああ!!!)

俺は左京に犯されてしまった。

巧みな指技によって最大限まで膨れ上がった肉棒をあっさりと飲み込む左京の膣。

その内部は先ほどまでの指技と同じで、荒っぽい左京の口調からかけ離れた快楽の園だった。

優しく包み込んで、俺を動けなくする……そしてゆるゆると絡み付いて時折強烈に締め付ける。

(き、気持ちいい……膣が中で動いて……!!!)

ぎゅぷぷぷぷぷぅぅぅうぅ……

今度は膣内を絡みつかせたまま、ゆっくりと出し入れをしてきた!

ちょうど一往復半のところで、俺は限界を迎えた。

無意識に腰が跳ね上がり……敗北の証を左京の内部に注いでしまった!!



「ふふふ、気持ちよかっただろ? やっぱり瞬殺だったな」

得意げな左京の表情……ほとんど精液は出ていないはずなのに、俺の様子をずっと眺めていたので察したのだろう。

俺は黙って頷くしかなかった。敗北を認めるしかなかった。

予想以上の快感を送り込まれた俺の肉棒は、一瞬で左京に屈してしまったのだから。

しかし彼女はさらに恐ろしい技を繰り出してきたのだ。


「このままもう一度射精させてやるよ!」

ふりふりと腰を軽く振って、俺を再び感じさせようとする左京。

抜かずに連続なんて……そんな屈辱的な連敗を受け入れられるわけがない!

しかし情けないほど俺の下半身は左京に従順だった。

熱く締め付ける彼女の膣内の変化を敏感に感じて、左京に捧げるかのように再び腰が痙攣してきた!



「あっ・・ああああ!!!また出ちゃう!!!」

恥ずかしげも無く連続射精に導かれる俺の体を、左京は楽しそうに見つめていた。


とくとくとくっ……精子の製造も追いつかないままのほんの少しだけの射精。

それでも確実に俺は再び左京に絶頂させられてしまった。


「あははっ、また出たよ。男を弄ぶなんて、くノ一にはたやすいことさ」

俺を狂わせる腰の動きをゆっくりと止める左京。

助かった……という思いが俺の心に沸いてくる。

それほどまでに左京の膣内は心地よかった。

彼女さえ本気ならこのままもう一度搾られてもおかしくないほどに……


「でも私ばかり楽しんでも悪いからな。ここから先は右京がお前を可愛がってくれるみたいだぜ?」

ちらりと俺の背後に目をやる左京。

連続射精の快感で意識が再び飛びかけていた俺にはわからなかったが、俺の背後で右京が嬉しそうに微笑んでいた。











「今日は優しいのですね? 左京」

俺の背後でうれしそうな右京の声がした。
彼女は基本的に沙織の補佐に徹している印象が強い。
しかしくノ一として男を骨抜きにする手腕は決して沙織や左京に劣っているわけではない。

先ほど俺を射精寸前まで追い込んだ「羽衣締め」にしてもそうだ。
性技自体も強力だが、そこに右京独特の柔らかな雰囲気が追加されると
どうしようもなく淫らな気分にさせられてしまう。


「ではお言葉に甘えて……彼を三連射させて見せますわ」

左京と入れ替わり俺にまたがった右京が唇を重ねてくる。
忍服を脱いで開放された豊かな胸が俺の胸板で形を変える。
偶然だろうが、右京の乳首が俺の乳首をくりくりと弄んだ。
甘い痺れとともに頭がぼんやりしてくる。

(なんでこんなに……右京に引き込まれるんだろう…………)

ちゅっ、ちゅと音を立てながら何度も繰り返されるそれは、奪われる口付けというよりも相手に捧げる口付けだった。
右京の小さな唇が俺の口元を緩め、舌先をずるりと自分の口内に吸い寄せながら愛撫してくる。
俺の思考力を奪うためにあえて優しい口付けを重ねる右京の技は精妙を極めていた。

「……さっきよりも感じてくださいね」

天女のような微笑を浮かべながら、右京の指先が復活した俺の肉棒を捉えた!

にゅく、くにゅくにゅっ……

くっちゅ、くっちゅくっちゅ……しこしこしこしこ


「ひゃっ、あっ、あっ、ああっ……!!!」

悶える俺の体を背後からがっちりと固定する左京。
く、くそっ……手足がまったく動かせない!!

ほほを赤く染める右京から目をそらすこともできず、些細な抵抗すら許されない。
右京は俺を見つめながら指先だけで巧みに亀頭を弄ぶ。
とんでもない快感とともになぜか羞恥心が湧き上がってくるのに気づいた。

(そ、そうか……きっとそうだ! う、右京は……ああっ、いい!)

俺の頭の中に生まれた疑念。
それは右京は処女……生娘なのではないかということだ。

彼女に見つめられるとなぜか恥ずかしくなる。
くノ一らしく性技にも長けているのだが……どこか初々しい。
それが男の本能をくすぐり、性感を高めさせてしまうのではないだろうか。

よ、よし……それならば…………
俺は少し考えをまとめてから右京の瞳をじっと見つめた。
程なくして右京も俺の視線を感じ取る。

「あら、おねだりですか? うふふっ」

「な、中に……右京の中に挿入してほしい……」

俺は甘えるような声で右京にささやいた。
このまま嬲りものにされるくらいならせめて一矢報いたい。
挿入してしまえば生娘相手なら負けることはないだろう、
そして、予想が正しければ右京はこの提案を拒むはずだ。
そのときは罵声を浴びせてやろう……と考えていたのだが

「いいですよ」

予想外に右京は俺の申し出を受け入れた。

「ん……はぁっ」

すでに十分に硬くなった俺自身を優しく掴み、亀頭と膣口をすり合わせてくる。
闇夜に響く淫らな音色……ぷっくりと膨らんだ右京の淫核から粘っこい液体が流れ出して肉棒を包み込む。

(あうぁ! お、俺のほうが感じ始めてきた……)

腰をひくひくさせながらその刺激に耐える。

……本当にこのまま挿入させていいのか?
先ほど閃いた「右京処女説」について自信が揺らいできた。
彼女の動きには何のためらいもない。
このまま俺を秘所へと迎え入れるつもりだ。

「もうこんなに濡れちゃいましたね……」

軽く息を弾ませているような口調。
右京はひときわ優しく微笑んだ。
間違いなく彼女の頬は紅潮しており快感の色が見える。
このまま挿入すれば俺も感じてしまうだろうが
右京にも打撃を与えることができる……

「でもまだ駄目。ここからは私の胸で……」

透明な糸を引きながら、すぅっと離れる右京の膣口。
やはりそのまま挿入してはこなかった!

ふにゅううぅうぅぅぅ……

「あっ、ああああああああああぁぁぁぁ!!」

肉棒が柔らかな乳房に挟み込まれる。
まるで湯の中に放り込まれた海老のように激しく腰を跳ね上げる俺。

「ほらほら、じっとしてなよ」

しかしその動きは左京によって封じ込まれている……
右京は胸の谷間からはみ出した俺の亀頭をツツーっと爪の先で軽くひっかいた!

「があぁっ!」

待ち望んでいた強めの刺激に、不覚にも我慢汁がほとばしってしまう。
すぐにでもイきたい……でもこれだけではイけない…………

「ふっ……」

先ほどまでじわじわと指先で弄ばれていた特の数倍の快感。
既に互いの愛液で滑りが良くなっている上に、軽く汗ばんだ右京の胸の谷間は殺人的な快楽を俺に流し込んでくる。

俺を生殺し状態にする絶妙な刺激を、右京は自らの胸の谷間で作り出していた。


れろ……

ゆらゆらと舌先を伸ばし、今度は爪の先ではなく舌先で亀頭を愛撫してくる。
ちゅぷちゅぷと小さな音が耳に響いてくると、柔らかく甘い刺激が俺を悶えさせる。

「私は殿方が喜ぶ姿を見るのが大好きなんですの」

しっかりと俺の腰に手を回し、自分が動きやすいように位置取りをする右京。
余計な刺激を与えないように規則正しく俺の肉棒は彼女の谷間を往復する。
弛緩と硬直を繰り返す俺を見ながら右京は楽しそうにささやく。

「ですから、射精する直前まで焦らして焦らして……高まったところで」

柔らかな乳房で肉棒を包み、時折唾液を亀頭にたらしながらしごきあげる。
たったそれだけのことなのに……俺の下半身は右京に逆らえない。

「まだ大丈夫ですよね?」

つんつんと指先で軽く亀頭を弾いてくる。

「んあぁっ!」

情けないことに俺はその都度反応してしまう。
右京にしてみればもちろんその刺激では射精できないことは計算済みなのだろう。

「…………ふふっ」

しばらく俺自身を胸で弄んだ右京が不意に立ち上がった。
再び俺にまたがり、俺の両膝に手をつくような格好になる。

「そろそろ頂きますね」


右京は器用に腰の位置を合わせてきた!
彼女の膣も十分に潤っている。
今度は躊躇なく一気に腰を沈めてきた!!

「ここで……このように挿入すると…………」

ジュブププゥゥゥゥ……

「えっ……ちょ、ちょっとま……」

ほとんど抵抗もなく迎え入れられる俺。
亀頭が飲み込まれ、硬直した肉棒の半分が膣内に没するまでには勝敗は決していた。

「その表情、最高です。ふふふっ」



きゅきゅぅぅ……

右京は特に腰を動かす風でもなく、膣に収まった肉棒を軽く締め付けた。
言葉を出すより早く俺は射精してしまった。

「あっ……はぁっ……」

もはや我慢することができなかった。
焦らされて敏感になっていたところへ待ち焦がれていた快感がやってきたのだ。
防戦一方だった俺の下半身に止めを刺したのは右京の不意打ちだった。

膣に入れられた瞬間に爆発させられてしまった……
この上ない屈辱を感じながら、俺は自分の見通しの甘さを呪った。
右京が生娘だなんてありえなかったのだ!

「くすくすっ…………本当は胸で果てたかったのでしょう?」

俺の顔を覗き込む右京は上機嫌だった。

だんだん目の前が暗くなってゆく。
度重なる強制的な射精のせいで頭が痛い。
あまりの疲労感に指先すら動かせない。


俺の意識はそこで途切れた。










眼が覚めても、まだそこは悪夢の途中だった……






俺を正面から抱きしめる右京と、背後を固める左京。
その淫らな連携攻撃を見守る沙織。

「がぁ……」

もはやまともに声を出すことも出来ない。
俺は何度も何度も魔性のくノ一たちに精を捧げていた。


「んっ、あ……ぐあぁぁ!」 

「さあ、お出しなさい」 

右京の甘い言葉と太ももの誘(いざな)いに何度も枯れ果てる。
己の意思に関係なく白旗を揚げさせられる屈辱。 
快感と引き換えに忍耐力を削り取るくノ一の淫技に抵抗することが出来ない。 

「で……るぅ!」 

「他愛ないわね……もっと激しくしてあげなさい? 右京」 

「はい、沙織様」 

背中に張り付いた右京が囁いたのと同時に、身体の芯が焼け付くのを感じた。 

ドピュウゥゥッ 

「かはっ!」 

目の前が白く染まる。
短期間での複数回の射精に股間が痺れ、疼きだす。 





右京と左京が入れ替わる。

「まだまだイけるよな?」 

「少し休ませて……」

快感よりも痛みを感じようとする俺の身体を、左京は巧みな指技で封じ込める。

「優しくしてあげるよ」

荒っぽい口調が特徴の左京だが、男の股間を弄ぶ手つきは三人の中で一番優しい。
その落差に悩まされる。余計に感じさせられてしまう!

このまま俺は自害することすら許されず、彼女たちのされるがままに快楽漬けにされてしまうのか…… 







―― それは困るな ―― 




突然、俺の心に響く声。 
それはくノ一たちに抱きしめられ、だらしなく身体を緩ませる俺の意識を少し目覚めさせる。 

(幻聴か?) 

しかしこんなところに助けなど来るはずもない。

いよいよ俺も終わりか…… 






「誰っ!?」 

くノ一たちが愛撫の手を止めた。
そして周囲を警戒し始める。 

どうやら幻聴ではなかったらしい。 


―― 仮にも「さすけ」を名乗るものがこの有様では ―― 





「左京! 右京! 二人とも気をつけて……来るよッ!!」 

先ほどまでの妖艶な雰囲気を捨てた沙織が、気合と共に左京と右京に向かって叫ぶ。 

左京も俺の身体を地面に横たえる。

ほんの一瞬だけ、隙が出来る……が、自力では逃げ切れないほど俺は消耗している。





ふいに俺のそばにいた左京が何かに突き飛ばされて仰け反る。 

「うわあああぁぁ!!」 

左京が悲鳴を上げながら後方に吹き飛ぶ。
まるで突風に吹き飛ばされたように!

「……」

俺の前に突然現れた人影は目にも止まらぬ速さで左京を投げ飛ばした勢いで、右京に迫る。
静かな闇の中を流れる風のように、無駄のない動きだった。


「きゃあぁ」 

それを合図に右京に襲い掛かる影。
右京の小さな身体が弾かれ、俺から遠ざかる。 

影の動きが速すぎて俺の目でも正確に捉えることが出来ない! 


「破っ!」 

「!!」 

沙織は素早く手元で印を結ぶと、虚空に向かって拳を突き出した。 
その直後、左京と右京を襲ったであろう影が吹っ飛んだ。 

「逃がさないッ」 

「……」 

月の光を反射する刃と共に、追い討ちをかける沙織。
鋭い攻撃を避けつつ沙織をいなす影。 

二つの影が、風ひとつない月夜の闇に舞い踊る。 

(こいつら、速い……!) 

くノ一沙織の動きは俺を軽く超えていた。
そのしなやかな動きに思わず見惚れてしまうほどに。 




(今のうちに退くぞ?)

まったく気配を感じなかった。
俺の真横に誰かがいる!?

「なっ……」 

急に耳元で低い声がしたかと思うと、俺の身体がふわりと浮き上がった。 





「沙織様っ」 

こちらの異変に気づいた左京が叫ぶ。 

沙織の意識がそちらに向いた瞬間、
激しく切り結んでいたはずの影が消え去った。 





















狐につままれたように呆然とする沙織のそばに寄り添う右京。 

「あれは幻術……まんまと逃げられたわね」 

「沙織様、彼の仲間でしょうか?」 

「きっと違うわ。それにこの感じ……」 

「お心当たりがあるのですか?」 

「……ううん。なんでもないわ、右京」 

沙織は不安そうな表情をする右京の頭を軽く撫でた。
そしてまだ立ち上がれない左京の体を起こし、肩を貸して立ち上がらせた。

「彼はきっと私たちの元に現れる。私たちに対する復讐心が……男としての意地がある限りはね」 

左京と右京はその言葉にうなずいた。
三人のくノ一たちは忍の里へと帰っていった。






くノ一の奪い方 第一部 完













































選択肢2




「おまえを挿入勝負で感じさせてやる!……覚悟しろよ、沙織」

忍耐力には自信があるのでこちらの勝負を選んだ。
しかも相手の姦計にかかったとはいえ一度吐き出させられている。
そう簡単に連続で射精することはない。

「じゃあそろそろ手足を自由にしてあげようかしら……」

そう言ったあとに沙織の口元が淫らに歪んだ気がする。
沙織は忍服の腰紐を緩め、薄い腰布一枚と胸元を隠すさらしを残して衣類を脱ぎ去った。
鍛え上げた筋肉をうっすらと脂肪で覆っただけの逞しい肉体、とでも言えばいいのだろうか。
彼女の体には無駄なところはなく、女性的な美しさとしなやかさを兼ね備えているのだ。
また、局部をさらしていないことで手足の美しさが際立って見える。

「いきなり裸よりもこういう姿のほうが感じちゃうでしょ?」

不覚にも沙織の裸体と言葉に俺の股間が熱くなる……
沙織は白く輝く体を見せつけながら俺に擦り寄ってきた。
おれはまだ手足が動かせない。

「俺を拘束してないと勝てないのか……くのいちもたいしたこと無いんだなっ」

俺の言葉など特に意に介せずといった風に沙織はおれの首に腕を伸ばした。

「そんな減らず口が、しばらくすると聞けなくなると思うと寂しいわね……」

沙織の小さな唇が俺の口をふさぎ、熱いと息を送り込んでくる。

(あああ……)

しばらくの間、俺はその甘い感触に酔わされた。

「気に入ってくれた? 私の舌使い。こうやって唇を重ねながら、あなたの体中を撫で回してあげる……」

沙織は妖しい手つきで俺の背中や腰、くびれているところ全体を優しく愛撫していった。

「あああぁっ……」

その甘い手つきに思わず声が出てしまう俺。
沙織は俺の声に満足そうな表情をしている。
今度は軽く俺に抱きつきながら手の平全体で強めに筋肉を揉み解してくる。
触れられた場所が熱を帯びてくる……


「もう手足の拘束は外してあげてるんだよ? 私のことを触ってもいいのに……」

沙織の言うとおり俺の手足の拘束はすでに解かれていた。
しかし沙織の甘い性技を受け続けていた俺はそのことに気づかなかった。

「気づかなかったのかしら。それとも、もう……フフッ」

沙織に反撃しようにも指先の回復が間に合わない。
うまく力が入らないのだ……。

「ほらほら、反撃しないと前技だけでイかせちゃうぞ?……」

(くそっ、完全に見下しやがって……!)
俺は右手に力を込めて、沙織を強く引き寄せた!

「はァん! 強引ね」

力の加減がうまく出来ずに一気に密着してしまった。
形の良い沙織の乳房が俺の胸板で押しつぶされる。
それと同時に沙織の腹に、そそり立った俺の肉棒が……

(……こんなの、こらえてやる……ん……あああぁぁ!!!)

俺に抱き寄せられた沙織が腰を左右に振りながら微妙な振動を俺に伝えてくる。
それがまた何ともいえない快感を引き起こしてくる。

「自分で引き寄せておいて勝手に感じちゃって……恥ずかしいね」

沙織の指が俺のあごを引き寄せ、強引に唇を奪う。
彼女の舌が俺の口内に侵入して、俺の舌を包み込む。
そして時折強く巻きついて引っ張られたり、舌の付け根をくすぐられたり……奴の好きなように嬲られてしまう。
俺は応戦することも出来ず、ひたすら耐えることに集中した。
沙織の口付けはとても長く続いた。

「ん……あふっ、あぅ……な……な……!!」

口元が脱力した俺を一瞬だけ解放した沙織が、腰布とさらしを素早く脱ぎ去って今度は正面から抱きついてきた!

「これでしばらく口元に力が入らないわね。 つまり、うまく我慢できないってことよ」

沙織の美脚がすうっと開いて、屹立したおれ自身をふんわりと柔らかく包み込む。

「そろそろイかせてあげる。その前に……」

沙織は体を密着させたまま、両足を微妙に前後させて俺自身を内腿で締め付ける。

(これはっ! さ、さっきの右京がやってた技……!!)

俺の脊髄に、忘れかけていた刺激が蘇る。
危険な快感に俺が体を硬直させたのを察知した沙織が笑う。

「あなたの感じるところを最高に硬くさせてあげる」

沙織は少し背伸びをして、自分の膣口に俺の亀頭をぴったりとくっつけた!
決して挿入させるわけではなく、あくまでも亀頭だけを愛撫するために。
そしてそのまま棹の部分だけを太ももでじわじわと刺激する。
ぬるぬるとした膣口の怪しい感触と、素股の奥義である「羽衣締め」の合わせ技……
俺は腰を震えさせて必死で抵抗した。
しかし、彼女が動いている速度の数倍の速さで俺の体に桃色の誘惑が広がっていく!

「もう射精したくてたまらないでしょ……恥ずかしいねぇ? 私の中に入れるまで我慢できる?」

沙織はそういいながら、意地悪に膣口を亀頭の先端とくっつけたり離したりを繰り返す!
ふたりの股間からぬるぬるとした液体が淫らに糸を引いている。
しかしそれは俺自身が吐き出している快楽の証。

(ま、まだ入れてないのに……うああっ!!)

「ほら、もっと頑張らないと男の子失格だよ?」

沙織が少し腰を浮かして、今度は裏筋部分にちゅっ、ちゅっ……と膣口で接吻をする。

「お、おのれっ……望みどおり挿入してやるよっ!!!」

沙織の挑発に逆上した俺は、一気に沙織を刺し貫く。

ぐぷっ、くちゅううっ!!!

「ああああああああっ!!!」

挿入の瞬間、沙織の腰が軽く捻られる。
悲鳴を上げたのは俺のほうだった。

「ふふっ、やっと入れてくれたね……いっぱい感じさせてよね?」

余裕たっぷりで微笑む沙織。
反対に俺はというと、想像以上の沙織の膣内の感触のよさに戸惑いを隠せなかった。

(こ、ここまで気持ち……いいと……)

いつまでも入れていたい感覚……沙織の内部について一言で言うとそれだ。
無数の襞のようなものが俺の感じる部分に擦りあわされ、自分から激しく動くことも出来ない。
沙織は挿入直後であるにもかかわらず、細かく震えている俺の肉棒を感じながら楽しそうに笑っている。
軽い骨抜き状態となった俺を抱きしめると耳元で囁いてきた。

「しばらくの間、私のことを好きにせめていいよ。右京、砂時計を用意して!」

おれに抱きついたまま沙織の責めが中断される。
そして闇の中から右京の姿が……

「……ご用意いたします、沙織様」

影である右京は、沙織に言われるまま大きな砂時計をどこからか持ってきた。
そして俺に見えやすいところに置いた。
砂が全て下に落ちるまでにはかなりの時間が必要だと思われる…………

「舐めやがって……今に見ていろ!」

おれは沙織への敵意をむき出しにして快感に抗うことにした。しかし体のほうは……なかなか言うことを聞かない。
しばらくの間、おれはゆっくりと沙織の膣に挿入を繰り返した。
沙織を責めているのは俺のはず……なのに俺は自分の誇りが少しずつ削られていくのを感じていた。
おれの肉棒は沙織の柔肉に揉まれ、挟まれ、歓喜の声をあげている。
とめどなく精液を垂れ流し、下半身が言うことを聞かなくなるまで搾られることをどこかで望んでいるような……

「ねえ、なんだか腰の動きが鈍くなってきてるよ? 右京、左京……ちょっと手伝ってあげなさい」

にやにやと笑いながら沙織が影二人を呼び出す。
右京と左京は薄笑いを浮かべたまま俺の背後に張り付き、無理やり沙織の膣内に肉棒を押し込む!

「え、ちょ……ま、まてっ!……あああああぁぁぁ!!!」

突然俺に襲い掛かる魔性の快感。一気に肉棒に絡みつく感触が増大する。
沙織の膣内への挿入をこんな速さで行えば、俺自身に全ての快感が降りかかってしまう!!

「もっと沙織様を感じさせてあげてくださいね?」

右京は俺の腰の動きを手伝いながら、玉袋をくにゅくにゅと揉みしだいている。
そのせいでますます俺は高められてしまう。

「ははっ、どうしたんだい? 腰が震えてるぞ? 沙織様はぜんぜん動いていないのにだらしない奴だなぁ……」

左京の言葉のとおりだ。
沙織は実際に全く動いていない。俺が一方的に……責めているはずなのに……

「もうすぐ砂が全部下に落ちてしまいそうよ?」

余裕の表情の沙織。
うっすらと頬を桃色に染めているが、明らかに俺の顔色のほうが沙織よりも快感の色に染まっているだろう。
沙織の言葉に驚いて、俺は砂時計を見る。
彼女の言うとおりだった……砂が落ちきってしまえば、沙織の反撃がやってくる。
沙織は俺の顔を覗き込みながら、快楽に惚けつつある俺の意志を確認していた。
俺の中で芽生えた、「このまま快感に身を委ねたい」……という気持ちが、脱出の意思を鈍らせる。
仮に今ここで解放されたとしても、ここまでたっぷり精力を削られた後では……
だんだん目の前が暗くなってゆく。
度重なる強制的な射精のせいで頭が痛い。
あまりの疲労感に指先すら動かせない。








さらさら………さら…

「時計の砂が全部落ちちゃったね」

無邪気な子供のように微笑む沙織とは対照的に、俺は絶望感でいっぱいだった。

「じゃあそろそろ……私も動くわよ」

相手からもらったせっかくの好機をふいにした…
沙織を全く感じさせることもないまま終わってしまった。
いや、少しは感じさせたかもしれないが…イかせることなどできなかった。
むしろ自分のほうがイく直前なのだ。
男としてこれほどの屈辱はない。

「ここからは私だけで充分よ。左京と右京は影に戻りなさい…」

沙織がそう言ったあと、右京と左京は闇に溶け込んでいった。
残された俺は肩で息をしながら沙織のほうを見据える。

「これでわかったでしょう。あなたの腰のものでは、くノ一は倒せない」

沙織はそういいながら俺の体にまたがり、腰を沈め始めた。
先ほどまでの快感で小さく震える俺の肉棒をゆっくりと咀嚼する沙織の膣口。
そして俺と目を合わせたまま、冷ややかな笑みとともに俺自身を全て飲み込んだ。

(め、目が…そらせない……)

俺は彼女の瞳に魅入られていた。
根元が完全に飲み込まれたところで沙織は淫らにこう言い放った。

「今から腰を動かさないままで…いじめてあげる」

俺の胸に優しく手を置くと、沙織は下腹部に力を込め始める。
今までにない振動…いや、股間にもやもやとした感覚が俺を襲った。

(うあっ、きゅ…急にざわめきが……!!)

快感を逃がそうと腰を跳ね上げる俺を見て、ふふっと鼻を鳴らす沙織。
そのことを予測していたかのように重心をずらして俺の動きを封じてくる。
まるで亀頭の部分だけを集中的に急激にくすぐられながら、やわらかい針で刺されているような感覚。

「あなたとくノ一との実力の差を教えてあげるわ」

さらに沙織の膣内が変貌を遂げる。
入り口部分というか…おれの根元の部分が、巾着のように締め付けてられる。

「んああぁ!!」

根元を襲う窮屈さと、先端をなぶってくる柔らかさに俺の体が過敏に反応する。

「まだ私何もしてないのに…もしかしてお漏らししちゃうの?」

(い、言わせておけば……う、あっ、ああぁっ?)

今度は先端と根元の刺激に加え、心なしか肉棒の中央辺りに刺激を感じる。
肉棒の根元はしっかりと捕らえられ、先端はいいように舐りまわされ…
竿の部分はきゅうきゅうと締め付けたり緩めたり……
俺は本気でおかしくなりそうだった。
沙織の膣がもたらす快感のせいで、自分の体が制御できない。

実際に沙織の膣は、男をよがり狂わせる名器となるべくして徹底的に鍛えこまれていた。
入り口はきつく狭く、最深部はねっとりと絡みつくようにやさしくまとわりつく。
沙織にとって腰を振らずに男を感じさせることなど朝飯前なのだ。

(はっ、ぐあああ…体中がおかしくなりそうだ……)

沙織が膣内を蠢かすだけで、俺は快感の沼に沈められてしまうのか。

「あなたの根本が締まってるのがわかる? 今度は反対にしてあげる」

沙織は少しだけ腰を浮かせる。
そして仕切りなおしとでも言うように、もう一度腰を沈める。

(うっ……)

沙織の言葉どおりだった。
先ほどまでとは逆に、俺の亀頭がきつく締め付けられる!
まるでこのまま潰されてしまいそうだった。

「ひぃっ…あっ、あああ!!! 腰が…っ」

そして根本から棹にかけては優しく、ねっとりと絡み付いてくる。
これもまたたまらない快感だった。
沙織の魔性の膣は、彼女の意思によっていかようにも変化を付けられるのだろう…

……………

…………

………

……




しばらくの時間が過ぎた。俺の呼吸は沙織の中に飲み込まれる前よりも荒々しくなっていた。
俺は沙織の魔膣の虜になりかけていた。
ぼんやりとした目で沙織を見つめる…。

「ふふっ、気に入ってくれたみたいね。

今度はゆっくりと腰を使いながらあなたを感じさせてあげる…」
俺が全く動けずに、快感に耐えるのが精一杯なのを見計らって沙織は次の攻撃に移っていた。

くちゃり……

「ほとんどの男の人が感じまくっちゃう技よ。今からあなたに使ってあげる」

沙織の腰がゆったり八の字を描きながら揺らめく。
粘液が混じりあう音があたりに響く…

「ひいいっ……あっ!!」

膣の感触に加えて腰のひねり……俺は思わず声を上げる。

「まずはあなたのその大きな筆で『ぬ』の字を書いてあげる」

沙織は俺の声に満足そうな表情をしている。
そしてゆっくりと…淫らに動く沙織の腰つきに俺は全力で耐えようとする。

(くううっ、今までよりも……!)

俺の体を容赦なく蝕む沙織の性技。

「腰が動いてるよ? 次は『の』の字だね……ふふっ」

くいっ、くいっ……


沙織は楽しそうに腰をひねる。
奴が言うように、沙織の腰はまるで毛筆のように淫らな字を描いていく。
そのたびに不規則に膣内がゆがみ…俺自身に快感がまぶされていく。

「うああっ!! や、やばい…出るっ……くそっ」

全ては無駄な抵抗だと言わんばかりに、沙織の腰の動きが俺の我慢を奪い去っていく。

「最後は『ふ』の字ね。……これを耐え切った男の人はいないわ」

くにくにくにくにっ!!

何度も捻られる腰つきに、亀頭周りが膣内で小刻みに揺すられる。

「うああぁっ!」

沙織の腰が『ふ』の字を描ききる寸前に、俺に限界が訪れた。
俺は全身をこわばらせて最後の抵抗を試みるが…

「で、出るっ……あひぃっ! わああああぁぁぁ!!!!!!」

激しい痙攣……人生で一番情けない声…
俺の肉棒は歓喜の白旗を揚げて沙織に屈服した。
とろとろと止めどなく溢れる精液を見ながら、俺は沙織に敗北したことを実感した。

「体術でも忍術でも、そして性技でも負けちゃったね」

何も考えられず、快感の余韻に身を沈める俺を覗き込む沙織。
もはや自害するしかない…
おれは左手の小指の爪の間に隠していた薬を口に含もうとした。

「ふふっ、無駄よ」

薬がない!!
いつの間に抜き取られたんだろうか。

「もうあなたの命は私の物よ。勝手に自害することなんて許さないわ」

厳しい目で俺を睨む沙織。
もはや俺はこいつに逆らえない。
この場から逃げ出すことは体力的に不可能だし、奴が言うとおり体術も相手が上手だ。

「おれをどうする気だ…」

小さい声で沙織に問いかけると、奴は待ってましたとばかりに答えた。

「いったでしょう? 奪ったものは返してもらうって。それと、あなた自身への調教はまだまだこれからよ…」

沙織は再び俺にまたがると、搾り取られたばかりで萎えている俺の肉棒をつかむ。
そして…

「まずはあなたの気力を搾り取ってあげる」

萎えていた肉棒が沙織の膣口に触れると、一気に射精感がこみ上げてきた!
再び硬くさせられた俺の肉棒を難なく飲み込む沙織。


「うあああっ! また吸い込まれ…」

川の水が上流から下流へ向かうように滑らかに挿入させられてしまう。
少しの時間差で襲い掛かってくる快感に、全身を弓なりに硬直させる俺…

「驚いた?これもくのいちの性技だよ…『筒戻し』の術」

沙織の技巧の前には、何をやっても無駄…沙織にはどうやっても対抗できない…
そう気づいた瞬間、俺の心の中に奇妙な感覚が芽生えてきた。

「あなたの体は私の与える快感を知ってしまったから…ふふふっ」

悔しいのに気持ちいい…勝てないのに快感…くそっ……

「…私に挿入勝負を挑んだ無謀なあなたを徹底的に感じさせてあげる」

そして再び始まる沙織の腰使いに、俺は数秒も待たずに発射させられてしまう…
度重なる射精の疲労よりも、沙織に何をやっても勝てないという敗北感が俺の心に満ち溢れていた。

「ふふっ、早いね…」




俺の意識はそこで途切れた。










眼が覚めても、まだそこは悪夢の途中だった……






俺を正面から抱きしめる右京と、背後を固める左京。
その淫らな連携攻撃を見守る沙織。

「がぁ……」

もはやまともに声を出すことも出来ない。
俺は何度も何度も魔性のくノ一たちに精を捧げていた。


「んっ、あ……ぐあぁぁ!」 

「さあ、お出しなさい」 

右京の甘い言葉と太ももの誘(いざな)いに何度も枯れ果てる。
己の意思に関係なく白旗を揚げさせられる屈辱。 
快感と引き換えに忍耐力を削り取るくノ一の淫技に抵抗することが出来ない。 

「で……るぅ!」 

「他愛ないわね……もっと激しくしてあげなさい? 右京」 

「はい、沙織様」 

背中に張り付いた右京が囁いたのと同時に、身体の芯が焼け付くのを感じた。 

ドピュウゥゥッ 

「かはっ!」 

目の前が白く染まる。
短期間での複数回の射精に股間が痺れ、疼きだす。 





右京と左京が入れ替わる。

「まだまだイけるよな?」 

「少し休ませて……」

快感よりも痛みを感じようとする俺の身体を、左京は巧みな指技で封じ込める。

「優しくしてあげるよ」

荒っぽい口調が特徴の左京だが、男の股間を弄ぶ手つきは三人の中で一番優しい。
その落差に悩まされる。余計に感じさせられてしまう!

このまま俺は自害することすら許されず、彼女たちのされるがままに快楽漬けにされてしまうのか…… 







―― それは困るな ―― 




突然、俺の心に響く声。 
それはくノ一たちに抱きしめられ、だらしなく身体を緩ませる俺の意識を少し目覚めさせる。 

(幻聴か?) 

しかしこんなところに助けなど来るはずもない。

いよいよ俺も終わりか…… 






「誰っ!?」 

くノ一たちが愛撫の手を止めた。
そして周囲を警戒し始める。 

どうやら幻聴ではなかったらしい。 


―― 仮にも「さすけ」を名乗るものがこの有様では ―― 





「左京! 右京! 二人とも気をつけて……来るよッ!!」 

先ほどまでの妖艶な雰囲気を捨てた沙織が、気合と共に左京と右京に向かって叫ぶ。 

左京も俺の身体を地面に横たえる。

ほんの一瞬だけ、隙が出来る……が、自力では逃げ切れないほど俺は消耗している。





ふいに俺のそばにいた左京が何かに突き飛ばされて仰け反る。 

「うわあああぁぁ!!」 

左京が悲鳴を上げながら後方に吹き飛ぶ。
まるで突風に吹き飛ばされたように!

「……」

俺の前に突然現れた人影は目にも止まらぬ速さで左京を投げ飛ばした勢いで、右京に迫る。
静かな闇の中を流れる風のように、無駄のない動きだった。


「きゃあぁ」 

それを合図に右京に襲い掛かる影。
右京の小さな身体が弾かれ、俺から遠ざかる。 

影の動きが速すぎて俺の目でも正確に捉えることが出来ない! 


「破っ!」 

「!!」 

沙織は素早く手元で印を結ぶと、虚空に向かって拳を突き出した。 
その直後、左京と右京を襲ったであろう影が吹っ飛んだ。 

「逃がさないッ」 

「……」 

月の光を反射する刃と共に、追い討ちをかける沙織。
鋭い攻撃を避けつつ沙織をいなす影。 

二つの影が、風ひとつない月夜の闇に舞い踊る。 

(こいつら、速い……!) 

くノ一沙織の動きは俺を軽く超えていた。
そのしなやかな動きに思わず見惚れてしまうほどに。 




(今のうちに退くぞ?)

まったく気配を感じなかった。
俺の真横に誰かがいる!?

「なっ……」 

急に耳元で低い声がしたかと思うと、俺の身体がふわりと浮き上がった。 





「沙織様っ」 

こちらの異変に気づいた左京が叫ぶ。 

沙織の意識がそちらに向いた瞬間、
激しく切り結んでいたはずの影が消え去った。 





















狐につままれたように呆然とする沙織のそばに寄り添う右京。 

「あれは幻術……まんまと逃げられたわね」 

「沙織様、彼の仲間でしょうか?」 

「きっと違うわ。それにこの感じ……」 

「お心当たりがあるのですか?」 

「……ううん。なんでもないわ、右京」 

沙織は不安そうな表情をする右京の頭を軽く撫でた。
そしてまだ立ち上がれない左京の体を起こし、肩を貸して立ち上がらせた。

「彼はきっと私たちの元に現れる。私たちに対する復讐心が……男としての意地がある限りはね」 

左京と右京はその言葉にうなずいた。
三人のくノ一たちは忍の里へと帰っていった。







くノ一の奪い方 第一部 完