たしかに沙雪には妖しげな魅力がある。
 しかし……どんな風にして欲しいと聞かれても返答に困る。
 目の前の少女はあくまでも少女であり……
 あらためて沙雪の顔を見る。



「やだ……あんまりみつめないで、おにいさん」


「むっ……」


 俺の視線にすぐに気づいた沙雪が顔を赤くする。
 しかし残念だが見惚れていたわけではなく、途方に暮れていただけなのだ。


「はぁ……」


 均整の取れた細くしなやかな身体。
 くノ一だけあって、顔立ちは整っている。
 このまま育てば沙織のような妖艶さを身に纏うかもしれない。
 しかし今はまだ……
 性技の特訓といわれたが、俺はこいつに対して性的な何かを感じることができるのだろうか。


「おにいさん、おにいさんっ!」

「うん?」


 沙雪は片目を瞑りながら、誘うように胸元を指差した。


「ちらっ?」


「…………」


 わずかに膨らみかけてはいるが……まだまだ未熟。
 沙織や右京のような深い谷間はない。


「ふむ……」


「あー! なんだか失礼なこと考えませんでした?」

「うっ……そんなことはないぞ!」


 慌てて弁解する俺を見て、沙雪は大変不満そうだ。


「ふ~ん……」

「まあ、いいんですけどね!」

 小生意気な顔立ちをしている沙雪だが、ちょっと口を尖らせて怒った顔はそれなりに可愛らしい。


「あのな、沙雪……」


「沙雪ちゃんでしょ! おにいさん?」


「お、おうっ」


 すっかり怒らせてしまったようだ……
 やはり俺が悪いのだろうか?


「とにかく! 沙雪に付き合ってもらいますよっ」


 怒ったような顔のまま、沙雪がいきなり忍服を脱ぎだした!


「お、おいっ!」




 何のためらいもなく一気に裸になりやがった……
 予想通り胸はまだ…………未熟だ。

 しかし、ほっそりした沙雪の身体にはどこか惹かれるものがある。
 沙雪の手足は長い。そして肌は雪のように白い。
 それが不思議な色気を放っている気がする……のだ。


「うっふ~ん、きれいでしょう?」


「……」


 たしかに……不覚にも見惚れてしまった

 まず目に留まったのは沙雪の肩だった。雪のように白い肌に僅かにかかる髪が美しい。
 無駄な肉がついていない少女の身体の線は……特に腰のくびれが綺麗だった。
 俺の目の前で少女は不敵な笑みを浮かべている。


「今からおにいさんと勝負です」


「なにっ……?」


 勝負といわれても俺はまだ満足に身体を動かせる状態ではない。

 お前の師匠たちが容赦なく俺から精を搾りとったおかげで、手枷なしでも逃げ出せないほどに。




「うくっ…………な、なにをする!」




 急に沙雪が俺に背を向けて、転がっている俺の顔に小さな尻を沈めてきた。





「この体勢に……なればわかりますよね?」



れろ……

「くああぁぁ!」


 肉棒にざらついた感触が刻まれる。
 沙雪は俺の股間に顔を沈め、いきなり舌を這わせてきた。


「ほらっ、おにいさんも……ね?」


 沙雪の細い足が俺の両腕を押さえつけている。
 目の前でゆらゆらと揺れる沙雪の尻を見ながら、この体勢の意味を悟った。


「反撃しないと先にイかされちゃいますよ?」



「んあああぁぁっ……!」



 突然の沙雪からの口淫愛撫に、肉棒が甘く痺れる。
 俺の目の前には、綺麗な肌色をした沙雪の秘所がある。
 ほんのりと熱を帯びて、刺激されることを待ちわびている。


「そういうことならっ……!」


 俺は必死に舌先を伸ばした。

ぴ…………ちゃっ!


「ひゃんっ! おにいさん!」


 沙雪が高い声で喘ぐ。
 ほんの少しだけ肌色の突起に舌が触れただけで、少女は嬉しそうに背筋を反らす。


「ふぅ……ん……気持ちいいよぉ……」



ぐりぐりぐり……!

「んああっ!」


 沙雪は腰を浮かせると、俺の顔に秘所をこすり付けてきた!



「うぷっ……!」



 急に甘酸っぱい少女の香りを押し付けられて、軽く混乱してしまう。



「おにいさん、お願い……さっきと同じところを舐めてぇ……」


 沙雪が感じている……これはもしかして好機なのか?



 沙雪に言われたとおり、舌をやわらかくして突起を舐めてやった。
 切なく震えるこの場所を舐められたから、沙雪はおそらく本気で感じてしまったのだろう。

 れろ…………




「ああぁぁん! おにいさん!!」


 予想通りびくんと身体を跳ね上げ、沙雪が嬌声を上げた。
 ほおずきのように膨らんだ少女のつぼみから、淫らなとろみを含んだ汁が滲み出す。



「もっと……もっとぉ!」


 沙雪が本格的に乱れ始めた。
 こいつはもしかして、自分が責められる事には不慣れなのかもしれない。



「おにいさん、沙雪を気持ちよくして!」


 俺は迷わず沙雪の秘所に舌を差し込んだ。


「はあああぁぁんっ! おにいさん!!」


 沙雪はもう果てる寸前だ。
 小さな身体を快感に震わせ、俺に懇願してきたのだ。
 望んでいるとおりにしてやるのが、せめてもの情け。



「沙雪、おにいさんのこと好きになっちゃいそう!」


 震える身体を抑えるように、沙雪は喘いでいる。
 強気そうに見えた少女の顔が快感で歪む様子は、なかなか興奮を覚える。



「おちんちんを入れるところの周りを舐めて……」


「こうか?」



 言われたとおりの場所に舌を這わせる。
 少女特有の香りのせいか、舌先がひりりと焼けるようだ。


「ひゃ、ああぁん! 上手だよ、おにいさん」


 沙雪が可愛くおねだりする声に釣られて、俺はますます激しく舌を動かす。
 こんなに熱心に女陰を舐めたことなどないが、悪くない気分だった。



「もっと舐めて……」


「はっ、むぅ……!?」



 …………。

 何かがおか……しい。

 俺は自分の意思に関係なく、沙雪の秘所を舐め続けていた。
 まるで何かに操られるように…………


「うふっ、ふふふふ……」


「くっ、ふうぅ!」




 頭がぼんやりしてきた。
 これはまさか…………毒を盛られたか!?



「おにいさん、まんまと罠に嵌ってくれましたね?」


「ひゃ…………ひぃ?」


「これは『逆さ椋鳥(さかさむくどり)』の術ですよ?」



 急に口元がだるくなり、俺は沙雪への責めを止めた。
 舌先が痺れて、うまくしゃべれない。







「沙雪が本気で感じていると思ったのでしょう?」



「き……さ…………ま…………ぁ!」


 言葉だけでなく、動きも緩慢になる。
 だがそれ以上に、鼓動が早くなっている……
 これも沙雪の盛った毒の効用なのか!?



「全てはこのため……男殺しの媚薬を舐めさせるためだったんですよ?」


「くうっ!」


 しかもこの香り、覚えがある。
 おそらくこれは沙織や右京たちが身に纏っていた淫邪香(いんじゃこう)だ……

 沙雪はへとへとになった俺をいたわるように、亀頭を優しくなでた。


くちゅううっ!


「はうっ!」



「きゃはっ、もうこんなにしてる!」


 石のように硬くなった肉棒をしごきながら、沙雪は気持ちよさそうに笑った。



「くううううぅっ!」


 さらに亀頭をしゃぶり、舌先で念入りに弄び、俺の腰を快感で無理やり跳ね上げさせる。


「もう出ちゃいそうですね?」


「くそっ……」


 卑怯な手段を平気で使う沙雪を俺はにらみつけた。
 しかし沙雪は全く意に介さず、楽しげに俺を見つめている。



「かわいそうなおにいさんに解毒剤をあげます」



きゅぷっ……

 自ら二本の指で秘所を広げる沙雪。
 広げた指先にとろりとした液体がこびりついて、淫らな音を立てた。



「さっき舐めたところの近くに、男の人が元気になる薬を仕込んであるんです」


 自信たっぷりの沙雪の口調…………
 これも罠のような気がする。
 だが俺の視線は少女の秘所の奥に釘付けになっていた。




(この中に肉棒を入れたら…………)


 湧き上がる淫らな妄想の原因は、盛られた毒のせいなのか……それはわからない。
 だが、頭の中がどんどん沙雪一色に染まっていく!
 少女とひとつに繋がりたい……そんな真っ黒な欲望が心に満ちていく。


「ほら、おにいさん……」


「く…………」


 沙雪に導かれ、そっと顔を沈める。

 このまま舐めたい……

 沙雪を……沙雪の味を、舐めたい……



「この奥に舌を入れると治りますよぉ?」


「うっ……」


 言われるがままに舌を伸ばす。



 本当にこれでいいのか?
 自分でもわからない……



「あはっ…………さあ、舐めてください」



 わずかだが、今ならまだ身体の自由が利く。




 もう何がなんだかわからない……
 俺は言われるがままに舌先を伸ばした。


「あっ、あん!」


 粘り気のある音と共に舌先が沙雪の中に突き刺さると、嬉しそうに少女の腰がうねった。
 そして俺の口の中に甘い味が広がる……



「あ、あぁ…………」


「はい、よくできました」


 沙雪がこちらを見つめながら笑った。

「ちゃんとお薬の味がしたでしょう?」


「こ、これ……は……?」


 これは本当に薬なのか?
 すぐに効かないにしても、逆になんだか……


「もっとも、おにいさんが感じちゃうお薬ですけどね!」


 やはりそうか…………
 さっきよりも身体が熱くなってきたのだ。
 特に下半身が苦しい。


「素直なのはいいことですけど、もう少し疑ったら? おにいさん」


 勝ち誇ったような顔をする沙雪を見て、怒りがこみ上げてきた。
 俺に毒を盛った上で嬲ろうとするとは……
 敵わぬまでもせめて必死に抵抗してやる。



「やだ、おにいさん…………!」



(こいつ……このままイかせてやる!)





 俺は必死に舌を出し入れする。
 その小さな動きに合わせて、沙雪も身体を震わせる。

 しかしこの状態は、長く続かなかった。



「はあああぁぁんっ! おにいさん!!」


きゅうっ!


「んぐっ!?」


 差し込んだ舌先が、沙雪の中で締め付けられた!
 そして沙雪は素早く俺の顔から腰を上げた。






「おにいさん、認めてあげます……」


 沙雪は俺から逃れるために、ゆっくりと立ち上がった。
 細い腰や膝が切なく震えている。



「ここからはおにいさんだけ感じてくださいね?」


 沙雪はふらつきながら、俺の足の間にしゃがみこんだ。


「卑怯者! ずるいぞ」


 だが全く聞く耳を持たずに、沙雪は肉棒に顔を寄せた。
 これでは俺の反撃ができない……


「おにいさんがしてくれたように、亀さんを可愛がってあげる」


「やめろ…………」


 だめだ、すでにも亀頭からは透明な我慢汁が滲んでいる。
 そこへ一方的な愛撫などを受けたら、もう果てるしかない。

 沙雪は淫らに微笑むと、自分の胸を手で寄せて俺自身を包み込んだ。



「うああぁぁ……」


「おっぱいに挟みながら、お口で愛してあげます……」



 絶対的な大きさは足りないものの、沙雪の胸は柔らかかった。
 このまま擦られたら抵抗できない。
 無様に果ててしまう!


「いきますよぉ……」



 沙雪は亀頭の先端に唾をたらした。
 そしてゆっくりと動き始める。

「とろとろにしちゃう……」



 くちゅくちゅくちゅくちゅ…………


「やめろおおおおおおお!!」


 亀頭の捏ね回しは、想像以上に優しい刺激だった。
 そしてそれは、今の俺には到底耐えられない危険な愛撫。


「うふっ、もう限界かな?」



「あああぁ、も、もうっ!」


 言葉が出なくなるほど気持ちいい……


 沙雪に見つめられて、敏感な部分を嬲られて……
 止めを刺すように、沙雪が小さくつぶやく。



「おにいさんの熱いお汁、沙雪に飲ませてください」


「だ、だめっ!…………そんなこといわれたら、本当に……」



「沙雪が咥えたら出していいよ? おにいさん」





くぷ……


 そして沙雪はゆっくりと亀頭をくわえ込んだ。




(あっ…………)


「あむっ……じゅるっ、ぷちゅうぅぅ~~」


 その瞬間、俺の手足から力が抜け落ちた。
 沙雪のつやつやの唇に包まれたとたんに、身体中に安堵が広がった。


ちゅぽっ


「出して、おにいさん」



 沙雪は一瞬だけこちらを向いて微笑んだ。

 再び亀頭が唇に包まれた時、俺は敗北を悟った。



(も、もう無理だ…………耐え切れない!)


 甘い沙雪の愛撫と微笑み。


 それが合図となり、腰が砕けたように言うことを聞かなくなってしまった。



「あ、あ、ああぁぁ~~~!!」


どぴゅどぴゅどぴゅどぴゅどぴゅ!






「うふっ、ふふふふ……」


 沙雪の口の中で、俺は何度も白旗をあげてしまった……。









「きゃはっ、イっちゃった!」


 精を吐き出した俺に対して、沙雪は満面の笑みを浮かべながら追撃を加える。


ちゅううぅぅぅ~~~


「ひいいっ! うあああぁぁ!」



 敏感な部分に何度も重ねられる口づけ。


 細い指で根元をしごきながら亀頭に口を寄せ、吸い付き、何度も甘噛みされる。


 男を甘く痺れさせる沙雪の技に、不覚にも再び精を遡らせてしまう。




「はぁっ、はぁっ……」


 息を切らせながら沙雪を見つめると、お互いに眼が合った。
 俺を先にイかせたことで修行前よりも自信に満ち溢れている。


「おにいさん、沙雪のしるし付けてあげるよ……」


「なっ……」


 沙雪がそっと顔を寄せてきた。
 精を抜き取られたせいもあり、なぜか気恥ずかしい。
 こんな小娘に…………
 眼を伏せた俺を見て、沙雪がくすっと笑う。


「あご、上げてくれる?」


 下を向く俺の顔を、沙雪が無理やり跳ね上げた。
 大きな瞳に見つめられる……


「おにいさん……♪」


「うっ……」


 まっすぐ見つめられ、鼓動が早くなる。
 沙雪は俺の顔を抱きしめ、頬ずりしてから耳を軽く噛んだ。

かぷっ……


「ひゃうっ!」


「うふふふ……」


 少女の髪と甘酸っぱい香りに包まれ、恍惚となる。
 そして首筋に唇を押し当て、強く吸い始める!



きゅうぅぅぅぅ~~~


「うああぁっ……!」


 いきなりやってきた軽い痛みに声を上げてしまう。
 沙雪の小さな唇が首筋に食い込んで……熱い。


「なにを…………んあっ!」


ちゅぱぁぁっ


 問いかけに答えるように沙雪が俺を開放した。
 しかし俺は動けない。
 精を抜き取られただけでなく、沙雪に軽く魅了されてしまったようだ……。


「これが三つになれば、おにいさんは沙雪のものだよ?」


 沙雪の指が俺の首筋をなぞる。


「くうっ……」


 沙雪がなぞった場所……
 さっき顔を沈めたその場所の痛みが取れない。
 痺れたまま熱くうずいている。


「ちゃんとお口にもしてあげる」


ちゅぅ♪


 首筋と同じように沙雪が俺に口づけをしてきた。


(ああぁぁ……)


 力が抜けていく……
 少女は何度も俺の唇に吸い付き、淫らな音を立てまくる。



「かわいいなぁ、おにいさん」


 俺の両肩に手を置いたまま、沙雪は優しく俺を見つめていた。
 沙雪の口付けのせいで手足に力が入らない。


「くうぅぅ……」


「沙雪に負けちゃいましたね?」




「くっ……」




 悔しいが俺は沙雪に魅了されてしまった。
 こんな年下の小娘に翻弄されてしまうとは考えていなかった。


「起きたらまた沙雪と遊ぼうね?」


 沙雪が俺に背を向ける。
 小さなくノ一に魅了されたまま、俺の意識は闇に溶けていった。


『逆さ椋鳥』の術 編 (了)