終業チャイムが鳴り響く校舎の中を、一人の女子校生がズンズン歩いている。
いつものように廊下を駆け抜け、階段を上り、音楽室のドアを開ける。

ガラッ

「う~~~~~~~~、ムギッ!!」

いつもとちがって明らかに不機嫌そうに音楽室に入ってきた彼女。

「あら、律さん♪」

「あたしに熱いお茶をくれっ!」

カチューシャがトレードマークの彼女は田井中律(たいなかりつ)……桜高軽音部の部長である。
先に部室にいた部員・ムギこと琴吹紬(ことぶきつむぎ)は部長の指令を嫌がることなく笑顔で受け止める。

「今いれますね~」

彼女が自宅から持参したティーセットを食器棚から取り出す。
軽音部名物の放課後ティータイムである。

「どうしたんだ、律?」

心配そうに律を見つめる黒髪の美少女。
いかにも生真面目そうな彼女は律の幼馴染、秋山澪(あきやまみお)である。

「悔しすぎる……くそぅ」

「お茶が入りましたよ~」

程なくして律の目の前に、ムギが入れた良い香りのする紅茶が置かれた。
部員は誰も気づいていないが、ムギのお茶を入れる腕前は洗練の極みだ。
もう少し感謝されてもよさそうなものだが。

「ありがとっ」

「なにか嫌なことでもあったのか?」

「うん、まあ……これ飲んでから話すよ」

律がそういいながらふた口目の紅茶をすすろうとした瞬間だった。
部室のドアが勢いよく開いた!

ガラッ

「あっ、りっちゃーん!澪ちゃんもムギちゃんもっ! あたしがビリ!?」

肩より少し短いくらいに切りそろえた髪を揺らしながら、やたら元気な声を発する彼女。
彼女がギターとボーカル担当の平沢唯(ひらさわゆい)である。

唯の顔を見た瞬間、少し落ち着きつつあった律が彼女に飛び掛った。

「唯、こんにゃろー!!」

「なになにっ、うきゃー!」

鮮やかに唯の背後を取り、チョークスリーパーを決める律。

バンバンバン!

目を白黒させながら律の腕をタップする唯。
それでも律の怒りは収まらない!?

きゅう~~~~

「ギ……ブゥ」

「あたしのトキメキを返せっ」


「律、チョーク入ってるっ!離せ、ワーン、ツー……」

慌てて二人の中に割って入った澪が律に告げる。
3カウント前に解放された唯が前のめりにソファーに倒れこむ。

「ぶはっ!」

グッタリした唯を放置したまま律は澪に問いかける。
さらにカチューシャを外して前髪を手で分ける。

「なあ、アタシと唯ってそんなに似てるか?」

「んー、大ざっぱでテキトーで部活の練習しないところとか似てるかもなっ」

「見た目の話だー!!」

今にも澪に噛み付きそうな勢いの律を見ながら、ムギは上品にクスクスと微笑んでいる。

「そうですね。たしかに似てますわ」

「ムギもそう思うか……」

「うふっ、でもカチューシャしてれば見間違えることはありませんわ」

「そこだけかいっ!」

前髪が少し長い律だが、髪の色も雰囲気も確かに似ている。
ムギの優しい言葉も今の律にとっては火に油を注ぐだけだ。


「いったい何があったんだ?律」

「簡単に言うと、アタシを唯に見間違えた男がいてだな……告白してきやがった」

チッと舌打ちをしながら語り始める律。


「まあっ!」

「ほええっ、それでそれで!」

興味津々と言った様子のムギと唯。
澪は顔を真っ赤にして律のことをじっと見つめている。

「アタシがたまたまカチューシャをセットし直そうとしてたら後ろから声かけられて」

「うんうんっ」

「手紙渡されながら『好きです』って……」

「きゃーん!」

興奮のあまりムギに抱きつく唯。
首を絞められた痛みもどこかへ吹き飛んだようだ。

「でもその後に、あなたのギターと歌声に惚れました!っていうから慌ててカチューシャつけてやったのさ!」

「かわいそう……その男子」

「ほんとですわね……ご愁傷様」


即座に男性の不憫を察する澪とムギ。


「アタシに同情しろー!!」

「でもそれでさすがに気づいたんだろ?人違いだって」

「ああ、そうだろうね。でもな……その男子は最後にアタシにこういったんだ……『すみません、その手紙を唯さんに渡してください』って」

ふーっとため息混じりに語り終える律の言葉に、部室全体の空気が凍りつく。
さすがにこれでは……律の傷心が手に取るようにわかる。
澪もムギも顔を見合わせたまま動かなくなってしまった。

「あー、また思い出したらイライラしてきた……」

律の怒りが再沸騰することを恐れた唯は、誰にも気づかれないように部室の出口に向かっていたのだが……。


「唯、もいちどチョークスリーパーさせろ!!」

「ぶぎゃー!!」

暴れるニワトリを抑えつけるように唯の背後に飛び掛る律。
今度はムギと澪も彼女を止めなかった。















「ふぅ……少し暴れてすっきりしたかな」

首をコキコキならしながら部室の外へ出る律。
今頃部室内ではムギと澪が唯を介抱していることだろう。

「でもアタシってそんなに魅力ないかなぁ……」

すっきりした反面、さっきの出来事を冷静に分析しはじめてしまう。

「別に彼氏なんてほしくないけど、なんか悔しいよね」

それは唯に対する対抗心からではなく、ドラム一筋で女らしさに欠けるという反省。
自分でもわかっている。澪みたいに長い髪は似合わないし、ムギみたいに上品でもない。
唯みたいに可愛い系でもないし、アタシっていったい―――


「あの……」

「ん?」

深い考え事をしている律の前に一人の男子が現れた。
身長はそれほど高くなく、体育会系というカンジではない。

(おとなしそうでけっこう好みのタイプかも!)

直感的にそう思った。
だがその男子は律に向かって一通の手紙を差し出した。

「この手紙を」


「またかよー!アタシのドキドキを返せっ!」

「えっ?」

一瞬でも気を緩めた自分を律は許せなかった。
そういえばカチューシャは外したままだ。
この男子もさっきと同じで……


「アタシは今機嫌悪いんだ!ちょっと八つ当たりさせてもらう!!」

「えっ、ええっ!?」

右手で彼の手首を掴み、左手に持っていたカチューシャをセットしながら律は誰もいない教室のドアを開けた。













「あ、あのっ……気分を悪くさせたならあやまりま……」

「うっさーい!!」

怯える男子を椅子に座らせる。
それだけで律は背筋にゾクゾクとする何かを感じたが……

「こうすればしゃべれないよねっ」

「んぐっ!?」

椅子に座った彼に馬乗りになる。
そして自分の胸に彼の顔を……埋めた。

(柔らかいっしょー!けっこう自信あったりして)

律は自分のバストを気に入っていた。
大きさではなく、その柔らかさで男を虜にする自信があった。

しばらくジタバタしていた男子だったが、次第にその抵抗が弱まってきた。

「はぁ、はぁ……あの……」

「またどうせ唯と間違えたとか、唯にラブレター渡せとか……」

男子はまだ呼吸が整わない。
何かを律に伝えようとしているのだが、先ほどのバスト攻めが効いてしまっている。

「カチューシャとってあげるわよ。これで唯に見える?」

おでこの上で止まっていた律の前髪がパサッと降りてきた。
その一部が男子のまぶたに当たって、彼をくすぐったくさせた。

「知ってる?あの子、エッチは激しいんだよ~」

スルスルとリボンを外してブラウスを脱ぎだす律。
左肩だけ肌を露出させるような格好のまま、右腕を男子の首に絡ませるようにして抱きついた!

「……でもアタシも結構激しいかもね?」

少し汗ばんだ律の肌をグイグイと押し付けられ、否応なく高められる男子。


「あなたの体に刻んであげる。アタシのスティックさばき♪」

少しだけ腰を浮かせて、器用にズボンのベルトを外す。
律は身動きの取れない男子の股間にそっと手を伸ばした。

キュッ……

「んあああぁっ!」

「おおっ、なかなかいいものお持ちですねご主人様~」

トランクスに指先を滑り込ませて、硬さを確かめる。


「これは握りやすい太さ……くるくる回しちゃおうか?」

特に亀頭部分は念入りに指先でこね回す。
さらに指先で輪を作って、棹の部分を上下させると男子の腰が跳ね上がった。

「でも先っぽが滑りやすいみたい?」

律の巧みな指さばきに反応する男子のペニス。


「こんなにトロトロしたものを出しちゃって♪」

あっという間に潤滑液を搾り出され、律に顔をのぞかれたまま男子は喘ぐしかなかった。

唯に似ているかどうかは別として、律は美少女の部類に入る。
だが残念なことに彼女自身はそのことに気づいてはいない。


「ハンカチで包んじゃおうかな……あっ!」

ガマン汁でヌルヌルの指先をいったんトランクスから抜き取り、ポケットの中のハンカチを探す。


「もっといいことしてあげるよ♪」

何かを思いついた律はそっと腰を持ち上げた。
そして自分のスカートの中に手を伸ばし、ズリズリとパンティを脱いだ。


「ホカホカしてきもちいいよぉ~」

その脱ぎたてのパンティをペニスにかぶせると、男子がビクッと大きくのけぞった!


「フフッ、はっずかしい~~」

律が柔らかな生地に包まれた亀頭部分を優しく撫で回すと、嬉しそうにビクビクと震えた。


「さっきより大きくなってるじゃん!」

その言葉を聞いた男子は首を横にブンブンと振った。
それでも律の言葉責めは止まらない。

「女の子のパンツはかされて感じちゃうなんて信じられなーい」

男子の羞恥心をあおるような言葉を容赦なく浴びせる律。


「でも唯のパンツじゃなくて残念でしたー♪」

そしてついに律は両手で力強くペニスを握り締める。


「悔しかったら唯のために我慢しなさいよ?無理だと思うけど」

彼女の右手と左手が別々の動きを見せる。
片方は先端をこね回し、もう片方で棹を上下に擦る!

「こんなにカチカチならもう少し優しくしごいてあげるだけで……ふっふーん♪」

そして適当なタイミングで左右の手の動きを逆転させる。
決して慣れることのない刺激を受け続け、律に押さえ込まれた男子はあっというまに絶頂寸前に追いやられた!


「ほらほら、このままじゃイっちゃう?イっちゃいますね~」

もはや男子が射精するのは時間の問題だと気づいた律は、軽い寸止めプレイで男子を翻弄する。
少し強めに亀頭を揉み解したり、棹をゆっくり扱いたり……

「いつもならここから寸止めしちゃうんだけど、今日は速攻でイかせちゃう!」

律はペニスにかぶっていたパンティを取り払うと、ヌルヌルの亀頭を素手で包み込んだ。
そして彼の顔を見つめながら小刻みに手首を上下させる……

「あ、ああっ、ダメですっ……でちゃ……」

「ふっふーん♪」

男子がイく直前になったのを感じた律は、徐々にしごく速度を抑えていった。
彼の呼吸が激しくなるにつれてゆっくりとした動きに切り替えていく。

(このリズムでイかされると病みつきになっちゃうかもね?)

律の手コキは精妙を極めた。
もはやイくしかない男子を天国の一歩手前で縛り付けてしまうような技巧。

(気持ちいいのがずっと続いてるよぉ……!)

しかしそれもやがて終わりのときが来る。

「ああっ、イく~~~!!!」

ひときわ大きな声を上げて、男子は長い長い射精のときを迎えた。





「出た出た♪ でもここからもう一回」

自分の手の中でペニスが弾け、真っ白な液体が彼の腹部を濡らした直後だった。
再び律はペニスを元気良く扱き始めた。

「ひいっ!?」

「それアンコール♪アンコール♪」

敏感になったままの亀頭をこね回され、悶絶する男子をきっちり押さえ込む。
そしてまたさっきと同じくらいの硬さまで導く。

「また元気になってきたよ!」

律は再び大きくなったペニスを愛しげに撫でながら、彼に軽くキスをした。


「律……さん……」

「お客さんのリクエストには応えないとね~」

うっとりした表情の彼を見ていたら、律のほうも少し感じてしまったようだ。
軽く腰を浮かせて、彼とさらに密着する。
パンティを脱ぎ去って露出した繁みにそっとペニスを迎え入れる。

「すぐに出させてあげる」

すっかり熱くなった膣口に、カチカチになった男性自身をあてがう。

クチュ……

「ああっ!!」

声を上げたのは男子のほうだった。

「ほらほらほらほら~!」

律はそのままカチカチのペニスをクリトリスに擦り付けるようにしながら快楽を貪った。
男子のほうも一度きっちりと搾られたおかげで二度目の射精まではかなりの時間を要した。

しかし、自分の上で熱心に腰を振る律の痴態を見せ付けられてはたまらない。
体の底からあっという間に何かがせり上がってきた!

「あ、あたしも……気持ちいいかもっ」

息を弾ませる律を見ながら、男子もとうとう力尽きた。
さっきと同じように体を大きくそらせたまま、2度目の絶頂を迎えた……


「よしっ!思ったよりいっぱいでたから、この辺でカンベンしてやろー!!」

パンティをはき直して、制服もきちんと着なおした律は男子に向かっていった。
だが彼は律に激しく搾られたおかげで身動きひとつ取れない。

「これに懲りて唯と律っちゃんを間違えないよーにな!」

そういい残して、律は誰もいない教室をあとにした。














「あー、すっきりしたっ!」

再びさっきのように首をコキコキさせながら歩く律だったが、思い出したように制服のうちポケットに手を伸ばした。


「アタシばっかり楽しんじゃったから、せめてあの手紙を唯に届けてあげようかな!」

自らのテクニックで骨抜きにしてしまった男子への罪滅ぼしとして、律は彼が書いたラブレターをその宛先に届けてやろうと考えていた。
だが改めてポケットから取り出した手紙を見て、律は愕然とした!


「ちゃんと折れないようにしてあげたんだから……あ、あれっ」

目をごしごししてもう一度見直す……間違いではなかった。


「う、うそ……これアタシに宛てた手紙……だったの?」

顔色が一瞬で青ざめ、すぐに赤面する。
自分のやったことに今更ながら律は動揺した!


「やだっ、どうしよう!アタシひどいことっ……」

「なんだ、騒がしいな~~」

「あっ、澪! どうしよー……」

律の様子が心配になった澪がたまたまやってきた。
事情を澪に話すために、二人でさっきの誰もいない教室へと向かった。


「うわっ!ミイラ寸前だ……ひでーな、律」

「唯のファンだと思って思いっきり搾っちゃったんだ!」

「ああ、さっきの……」

「でも違うんだ!アタシのファンだったんだ、この人っ」

いつになく慌てている律を見ながら、澪はポツリとつぶやいた。


「いいんじゃない? まさか彼も告白当日で律にエッチしてもらえるとは思ってなかったはずだし」

「そ、そうかなぁ」

「うん、だって気持ちよさそうな顔してるもん。この人」

律はそーっと彼の顔を覗き込んだ。
たしかにそのようだ。
澪が言うように初回特典だと思ってもらうしかない。


「激しくしすぎちゃったけど……ま、いっか」

頭をポリポリかきながら、律と澪は部室へと戻っていった。










(了)