ガシャン……



 出入り口のドアと小さめの窓しかない部屋に、一人の女子校生が吊るされていた。

 しかも完全に宙吊りではなかった。

 両足の親指がギリギリで床につく程度の吊り方……
 そして両手首を皮の手錠で拘束され、手錠を結ぶ鎖には白いロープが絡み付いている。

 およそ1tの負荷をかけられても切れるの事のない丈夫なものである。
 そのロープは、部屋の天井に打ち込まれたアンカーと滑車によって長さが調節されているのだ。

「ううっ、なんでこんなことに…………!」

 女子校生の嗚咽が狭い部屋にこだまする。
 紺色のブレザーとチェックのスカート、そして短めの白い靴下……名門・白鳥女子高等学校の制服である。

――ガチャッ

「もう言い逃れできないわね?」

「あっ……」

 その時、出入り口のドアが開いた。
 現れたのは白いブラウスと紺色のタイトスカートを履いた美しい女性だった。
 年のころは20代前半、銀色のメガネをかけている。
 長い黒髪を束ねて、後頭部でダンゴにしている。
 彼女の名前は美咲優子。便宜上、ここではこの名前のみで呼ぶことにする。

 美咲優子は、吊るされている女子校生の顎に指をかけ、無理やり自分の方へと向かせた。

「自分から進んで女装したいと言い出した上に、犯して欲しいなんて……ヘンタイ」

「そ、そんな……ボクはただ……んあああ!!」

「私は別にいいのよ? このまま帰っても」

 吊るされた女子校生……それは、男子生徒だった。
 しかし素人目には男子と判別ないほどの女性的な顔立ちと体型をしていた。

「どうする? 続けて欲しいならちゃんとお願いしなさい……」

「ええ、こんなの……こんなのって……!!」

 彼は激しく後悔していた。

――簡単なアルバイトしない? 3時間で6千円でどうかしら?

 仕事の中身はモデルの代打、ということだった。
 顔にはモザイクをかけるし、名前も公表しない。単なる洋服の宣伝だといわれたのだ。

 そんな美咲優子の甘い言葉に乗ってしまった自分を呪った。
 すでに何枚も女装した写真を撮られている。
 ここで逆らったら…………そう考えると、彼に残された選択肢は極めて少なかった。

「ボクを……犯してください。お、おねがいします……」

 悔しげな表情を浮かべ、自分に服従する美少年。
 これ以上可愛くて愛しくて、心躍る獲物がいるだろうか。
 美咲優子は満足げに彼の表情を眺めた。




「いいわ。してあげる……」

 愉悦の表情を浮かべながら、心を痛めている少年の前に立つ。
 そして彼女はおもむろに無防備な彼を抱きしめた。

「はぁぁぁぁっ!」

 両手をバンザイさせられたまま、優子は彼の背中に手を回した。

「抵抗しても無駄よ……頂くわね?」

 少年は突然の抱擁に驚き、身体を捻って逃れようとした。
 しかし、天井に吊るされた上に足にも力が入らない。
 手も足も出ない状態で美咲優子から逃げることなどできるはずもない。

「んっ♪」

 ぽってりとした優子の唇が、少年の呼吸を奪う。
 ピチャリという音を何度も立てて、舌先で彼の口の中を蹂躙する。

「んうっ、ん……んん…………ん……」

 吊るされた少年は必死でもがいた。
 はじめはキスから逃れようと抵抗していたものの、彼女の激しい口付けの前にやがて動けなくなった。

(あ~あ、もう堕ちちゃったかな?)

 一時的に口づけをやめ、彼を解放した優子は、目の前のうつろな瞳の中に自分の姿を確認した。

 抵抗する気力がなくなったわけではない。ただ、身体に力が入らないのだ。
 美咲優子の口付けは、数分も待たぬうちに少年の心と身体を快楽でねじ伏せた。


 呼吸が整わず、恍惚とした表情の少年のスカートの中に優子の手が伸びる。

「きゃううっ!?」

 吊るされたままで、彼の身体がビクビクと痙攣した。
 着衣のまま、屈辱的な女装をさせられたまま……優子の手がペニスをそっと包み込んだのだ。

「あら、お目覚め?」

「さ、さわっちゃダメえええぇぇぇ!!」

「そんな事いわれても困るわ? ほら……」

 滑らかな女性の手が、少年のペニスを容赦なく刺激する。
 まるで先ほどのキスと同じく、彼の都合など無視したままで進む一方的な愛撫。

「ああぁ、やめ……ふああぁぁ!」

「ふふ、もうコレ……取っちゃえば? いらないでしょう?」 

「ち、ちがう! ボクは男だから……」 

 少年は力なく首を横に振る。
 これが今の彼に許された最大の抵抗なのだ。
 しかし美咲優子はそれすら許さない。

「こんなに可愛い顔して、こんなに細い身体で、女子校生の制服着て感じまくっているあなたが男の筈ないでしょう? そんなこと考えられないように、念入りに心を壊してあげる」

「あひいいっ!」

 クチュクチュクチュ……っと、スカートの中でペニスが淫らな悲鳴を上げる。
 亀頭を指先で弾くようにして、優子は彼の我慢汁をさらに吐き出させる。

 そして溢れ出た透明な粘液は、彼女の指先をますます凶暴化させるのだ。

「こんなことされたって、ボク全然嬉しくない!」 

「本当に?」 

「はうっ……」 

「キミ、スカートを履いたままで、おちんちん撫でられてるよ……」 

 美咲優子の言葉責めが容赦なく少年の心を抉り取る。
 快楽を与えつつ屈辱も与える彼女のテクニックの前に、少年の心が崩されていく。

「あはあぁっっ!」 

「女の子はね、嘘ついちゃいけないのよ?」

「だからボクはおと……」

ピシッ 

「あぐううぅっ!」 

 突然、優子は人差し指の先で、スカートの中の怒張をしたたかに弾いた。

「黙りなさい」


 少年は思わず涙を浮かべた。
 それは激痛以外の何物でもなかった。

「うう、ひどいよ……こんなのって……」 

「ごめんね、痛かった? でもね、キミが悪いのよ」 

「……ボク、なにも悪いことしてない!」 

「あら、まだいじめて欲しいのかな?」 

「ひっ……」 

 目の前で優子が指先を見せつけながら空中を弾いた。
 その細い指先が鞭のようにしなり、自分のペニスに痛みを与えると思うと……彼は口を閉ざすしかなかった。

「私はね、可愛い女の子が好きなの。それなのにこんなモノをぶらさげてる……」 

ピシッ 

「ああんっ!」 

 容赦ない鞭打ちに、彼は再び悲鳴を上げた。

「いい声出せるようになってきたね、キミ……なかなか可愛いわ♪」

「痛いよ、お姉さん……」 

「ううん、私の方が痛いのよ」 

「!?」 

 驚いた少年が顔をあげる。訳がわからない。
 だが、目の前の美咲優子は切なげな表情をしていた。


「キミが……男であることが私の苦痛なの。だから、取っちゃお?」 

「い、いやです!!」 

「じゃあ心だけ殺してあげる……」

「えっ……」

 殺すという言葉に、少年は怯えた。
 美咲優子は唇を一度舐めてから言い直した。

「キミの中の『男』だけを、私の中に封印してあげるわ」 

「そ、そんな……ボクがボクでなくなっちゃう!」 

「そんなこと、別にいいじゃない。もっと幸せになれるわよ?」 

 少年の目の前で、彼女はタイトスカートの中に手を伸ばした。
 そして流れるような動作でパンティから片足を引き抜いた。

「えっ……?」

「童貞と処女、両方貰ってあげる」

 優子のパンティが軽い音を立てて床に落ちる。

「キミのここをね、私の膣内(なか)に入れちゃうの」

 さらに彼女は、少年のペニスを何度かしごいてみた。
 既に挿入可能な硬さであった。

「あああぁっ、足を!」

「ほら、こうすると……犯されてるみたいでしょう?」

 優子は少年の左足を持ち上げると、脇で抱え込んだ。
 無理やり片足立ちをさせられたまま立位での挿入。

「キミのほうでは抑えられないでしょ? ズプズプ入っちゃうんだよ?」

「や、やめ……!」

「まあ、実際にキミは犯されちゃうんだけどね」

「い、いやだ! 無理に入れないで……!!」

「うふふ、心も体もささげてもらうわ。抵抗しても無駄だって。もうこんなに硬いんだよ? それに……」

 優子は少年が見ている前で、自らの秘所を指先でかき混ぜて見せた。
 そして指についた愛液を、彼の頬にこすりつけた。

「ほら……ね? 私の方も準備オッケー。じゃあ挿入するわね」

「ひいいいっ……!」

 少年は怯えていた。
 目の前の女性は確かに魅力的だ。
 しかし、今から行われる行為によって自分の「性」を奪われてしまう気がした。

「忘れてた。ちゃんとお薬を塗らないとね?」

 優子は挿入する寸前にペニスを解放した。
 少年の表情に安堵の色が浮かぶ。

「これよ、これ……フフフ」

 そして部屋の片隅にあった木箱から茶色の小瓶を取り出してきた。
 優子の妖しげな笑いに、少年の表情が曇る。

「そんなに身構えなくてもいいわよ。とても気持ちよくなるお薬だから」

 彼女は小瓶の中にあった液体を手のひらに乗せると、少年に見せつけた。
 まるでゼリーのようにプルンプルンとした透明な薬が、じわじわと優子の手の熱で融けていく。

 そしてゆっくりと手のひらを下ろして、少年の睾丸に塗りつけた。

ピチャ……

「あふうっ!」

「ほら、どう?」

 ほんのりと人肌に暖められたゼリーが自分の身体に塗りつけられていく……
 羽のように優しい彼女の指使いに少年は悶絶した。

 睾丸から棹、棹からカリ首、そして亀頭に至るまで丁寧に薬が塗布されていく。
 その行為は少年に性的な興奮をもたらした。

「はぁ、ああぁぁ! ヌルヌルがまとわりついて……!!」

「気持ちいいよね?」

 優子に尋ねられ、少年はコクンと小さく頷いた。


「このお薬にはね、もう一つ素敵な効果があるの」

「!?」

「射精すればするほど、おちんちんが小さくなっていくのよ? だからキミは、イかされるたびに女の子に近づいていくわけ……」

 もちろんそんな薬は存在しない。美咲優子が咄嗟に考えた嘘である。
 しかしその嘘は、無垢な少年の魂を傷つけるには充分すぎる毒だった。

「そんなのイヤです! い、イヤだああああああああ!!」

 激しく抵抗する彼の脇で、優子は薬にまみれた手のひらをタオルできれいに拭った。
 そして……

「往生際が悪い子ね? えいっ」


グジュ……プウウゥゥッ!

 少年の返事を待たず、彼女はペニスを捕食した。

「あっ、ああああぁぁ~~~~!!!」

 悲鳴を上げたのは少年だった。
 窮屈な優子の膣壁に自分ではどうにもならない状況で囚われてしまったのだ。

「逃げてもいいよ~?」

「があぁっ、動けない! ああん、はぁぁんっ!」

 立ったままで松葉崩しのように、少年と優子は絡み合う。
 張り詰めたままのペニスは女陰の中で哀れなほど揉み解され、更なる興奮を刷り込まれていく。

「すごい悲鳴……じゃあ、そろそろ動こうかな……」
 
 彼がたっぷり悶えているのを確認してから、優子は脇に抱えていた足を解放した。
 膣内で、はじめは斜めに突き刺さっていたペニスが直立になる。

「ほらぁ、トントントン……♪」

 両手を彼の背中に回したまま、美咲優子がやわらかく腰を前後左右に揺らす。
 膣内に突き刺さったペニスの先端を、子宮口がキスするようにもてあそぶ。

「はああぁっ、くあああぁぁ~~~!!」

 宙吊りにされた少年を弄ぶ年上の女性……
 完全に立位の状態で、深く結合したまま自分の意のままに少年を嬲る美女。

 優子は軽いエクスタシーを感じつつも、彼を快楽の虜にするために断続的にペニスを締め付けた。

「女の格好で犯されて、このまま射精しちゃうとどうなるかな?」

「あ、ああ、そんなの……わからない!」

「キミはもう、普通のセックスではイけない身体になっちゃうの」

「そんなこと、あるわけ……ないいいいっ!」

「うふふ、本当にそう思う?」

 抱きしめている少年の身体が痙攣し始めた。
 絶頂は……近い。

「私ね、これでもう7人目よ。キミみたいな可愛い男の子を食べちゃうの」

 話を続けながら、優子は腰の動きを変化させる。
 自らが爪先立ちになり、上下にクネクネと腰を持ち上げることで、彼女の内部は小刻みに蠕動するのだ。

「あっ、うああっ! 中がうねって……!!」

「その私が言うんだから、間違いないわよ。キミはもう、男としては死んじゃうのよ?」

 膣内の動きが変化すると同時に、少年の身体が硬くなった。
 そんな彼を、優しく抱きしめながら軽くキスをしてやる。

「さっきのはそういう意味。だから、殺してあげる。キミが少しだけ持ってた男らしさとか、男のプライド? 全部奪ってあげる」

 優子から囁かれる恐ろしげな言葉に、少年の心は激しい抵抗を見せた。
 しかし腰周りを中心に、とろけるような快感がまとわりついて……彼の正常な思考はことごとく遮断されてしまう。

「私の膣内、気持ちいいでしょう?」

「き、気持ちいい…………こんなに、あ、あああぁ~~~!」

「ほら、もうピクピクよ? この中に吐き出した瞬間、キミはもう男としてはおしまい。生まれ変わるの」

 生まれ変わってもいい。殺されてもいい……
 少年の心が桃色に染まっていく……

「だからね、もう射精しちゃいなさい?」

 クスッと小さく微笑んでから、彼女は少年の首に両手を回した。
 そして自らの両足を持ち上げて、彼の腰に絡みつかせる。

 優子は彼の心と身体にトドメを刺すために、自ら「駅弁」の体位を取った。
 ただし、少年からの反撃は不可能だ。

「ひいいっ、す、すご……こんなに締め付けちゃダメええええ~~~!!」

「ほら、もう堕ちちゃえ~~~!」

 優子が彼の首筋に歯を立てた瞬間、少年の身体がビクビクと大きく跳ね上がった。



ドプッ、ドピュドピュドピュウウウ~~~!



 巣にかかった哀れな獲物を捕食する女郎蜘蛛のように、優子は射精に震える少年の身体をきつく抱きしめた。
 それは少年にとって、「男」として最初で最後の膣内射精だった。

「あはは、だらしない子ね! でもいいのよ……これからずっと、私のものなんだから…………」







(了)