今日は休日。土日勤務だった俺は、ぼんやりしながらテレビ番組を眺めている。
ただこうしてゴロゴロしていても、たった一日で疲れが回復するわけもない。
こういう時は開き直って街なかへ気晴らしに出かけることが多い。
正午を過ぎた頃、俺はアパートを出た。薄曇りの空の下のんびりと繁華街を歩く。
――そんな中、俺は彼女に出会った。
「あのっ、私の研究に付き合って下さい」
「!?」
どこから声がしたのかわからず、思わずキョロキョロしてしまう。
すると俺の視界の端にいた見知らぬ少女がペコリとお辞儀をしてみせた。
「このとおりです。お願いします」
声の主はこの少女で間違いないらしい。
ふんわりした髪と、真っ白な肌。少しつり目で身長150センチくらいの少女が目の前にいる。
年齢がわからず、問いただしてみると21歳……どうみても高校生以下にしか見えない。
「えっ……ちょっと恥ずかしくて言いづらいんですけど」
研究とは何かを尋ねると、少女は頬を赤く染めて小声になった。
「ここ、入りません? お金は私が出しますから」
彼女が指をさしたのは「サービスタイム18時までは延長無料」と書かれてるあの看板。
いわゆるラブホに俺を誘い込もうとしている。怪しい……。
「あっ、怖いお兄さんが背後にいるとか、変な駆け引きはないです。不審だったら途中で帰ってもいいですし、私を置き去りにしても構いませんから」
なかなか返事をしない俺を見て、彼女が慌てた様子を見せる。
しかしよくよく見るとなかなか可愛い。そして据え膳食わぬは男の恥……
俺は少し考えた素振りを見せてから、彼女の肩に手を置いた。
「私のこと、好きにしていいですから……」
部屋にはいると彼女は緊張した声でつぶやいた。
「いっしょにシャワー浴びますか? それとも……きゃああぁぁっ!」
ドンッ!
彼女の言葉を待つまでもなく、背中を押してベッドの上に転がす。
四つん這いにさせて優しく小さなお尻を撫で回す。
「このまましちゃうんですか? 私まだ靴も脱いでな……ひっ、ひゃああ!」
言葉を封じるように秘所の割れ目をパンティ越しになぞる。
指先の動きをほんの数回繰り返すと、しっとりと潤んできた。
「服を着たままなんて……地味にヘンタイですよ、お兄さん」
抗議に満ちた視線を俺に投げかけてくる少女。
だがそんなことはお構いなしに、俺は彼女を責め続ける。
「出会ってすぐにこんな格好にさせられちゃうなんて屈辱です……」
悔しそうに歯噛みをしてる。だが仕掛けてきたのはこの子からだ。
俺は服を着たままの状態で少女を一度イかせる気でいた。
そして言葉責めも忘れない。
着衣のまま恥ずかしげもなくおもらしなんてヘンタイだね、と優しくなじる。
「ち、違います! こんなヘンタイプレイが好きなわけ……な……はふぅっ!」
顔を真赤に染めた少女が反論した瞬間、人差し指を秘所に埋め込んでやった。
全く抵抗なくズプズプと指先が埋まる。この子はとても感度がいいみたいだ。
「やだ、気持ちいい……なんで……?」
戸惑いながら少女が呟く。
小さな体をわななかせながら、快感を受け入れていく様子を見て俺の支配欲が満たされてゆく。
「キスして下さい。やさしく、そっと…………お願い……」
ふいに彼女が俺を見つめながらリクエストしてきた。
すでに蕩けきった瞳は泣きだす寸前で、男にとってはたまらない表情をしている。
「んっ、んんん~~~!!!」
俺はキスの代わりに彼女の小さな口に二本指を突き刺してやった。
強制的に指フェラをさせると、うっすらと涙を浮かべながら拙い舌使いで熱心に奉仕してきた。
「ひどい、なんで言うこと聞いてくれないんですかぁ……でも、ああぁぁ、やだ……感じちゃう……」
そろそろいい頃合いだと感じた俺は、少女の口の中から指を引きぬき、とろとろの唾液はそのままにクリトリスをこねまわした。
程なくして少女は絶頂した。体を激しく痙攣させながら、不自由な体勢で俺を求める姿はなかなかのものだった。
「ハァ、ハァ、ハァ……おにいさんすごい……初めてなのに潮まで吹かされちゃうなんて……ホント、気持ちよすぎて溺れちゃいそうでした……」
満足そうに息を弾ませる彼女に一緒にシャワーを浴びようかと誘うと、意外なことに小さく首を横に振ってきた。
「はじめに言ったでしょう? 私の研究に付き合ってくださいって」
「?」
そういえば研究そのものについては聞いていなかった気がする。
「性行為における潜在欲求の投影」
「!?」
「簡単にいえば『セックスで自分にしてほしいことを相手に求めるかどうか』です。それを今から実証します。お兄さんの体を使って」
改めて問いただすと、少女は淀みなくスラスラと答えた。そして呼吸を整えてからすっと立ち上がった。
「お兄さんのテクニック、全部覚えましたよ……再現するのが大変そうですけど」
ドンッ!
そして俺が最初にしたように、今度は彼女が俺をベッドの上に転がしてきた。
「いっぱい気持ちよくなってください。私にしてくれたこと、全部お返ししてあげますから……」
カチャリ……
俺の背中で小さな金属音がした。
「親指と親指、鎖で繋いじゃいました。指錠っていうんですかね……」
「!!」
油断した俺を待ち受けていたのは少女の拘束だった。こんなちっぽけな道具のせいで両手の自由が奪われてしまった。
「ゆっくり支配してあげます……お兄さんが私にしてくれたようにね」
少女の顔を見て俺は戦慄した。このあと何をされるのか俺には事前にわかっている。
「私の研究が正しければ、お兄さんはこれからされることに一切耐えることなど出来ません」
細い指先が俺の下腹部を弄ぶ。
すでに少女の痴態を見たことで高められているペニスは、指先が触れただけでも極上の快感を生み出してくれる。
「手順も完璧に再現してあげますから……解説は不要ですよね?」
その言葉通り、彼女はゆっくりと俺を撫で回す。
じんわりとした快感がまとわりつき、我慢もできずに声を上げてしまう。
次にやってくる快感を無意識に予測してしまい、体も心も彼女の責めを回避することが出来ない。
「もうこんなにしてるじゃないですか……ヘンタイですね……」
小鳥のように可憐な少女の声が、俺の心を揺らす。ほのかに生まれた感情が少しの時間差でペニスに伝わる。
クチュッ…………♪
マシュマロを包み込むような手つきで、少女の手のひらがペニスを優しく揉みしだく。
「さっきの行為の途中、私が探るような目でお兄さんを見ていたのに全然気づいてくれないんですもの」
指先が蜘蛛の子のように這いまわり、悶える俺に追撃を加えてくる。
両手の自由を奪われていることがさらなる羞恥を生み出し、下半身が彼女の紡ぎだす快楽に支配されてゆく。
「やっぱり男の人って、自分のことに夢中になっちゃうんですね。それともロリコン?」
必死で首を横に振ろうとしても力が入らない。
それどころか彼女の整った顔が俺を覗きこんでくるたびに、確実に心が奪われてゆくようだった。
「図星ですか。楽しめそうですね」
責めの手を緩めずに少女が微笑む。
自分ならこうする、こうされたいという願望を彼女は忠実に再現してくれる。
それはまるで思いやりにも似た無慈悲な快楽責めだった。
こんな責めは今まで受けたこともない初めての体験だった。
もがいてみても決して逃げられそうにない。
「いい顔になって来ましたね。私のこと、本気で好きになっても構いませんよ……いっぱい可愛がってあげます。研究の対象として」
うっすらと笑みを浮かべる少女に見惚れながら、俺はどこまでも堕ちていく感覚を味わっていた……
(了)