『遊びのつもりで』 お泊り会編
可愛らしいぬいぐるみの置かれた部屋のベッドの上、僕は尻餅をつくような体勢で斜め上を見上げている。
「おにーちゃん、このスカート可愛いでしょ?」
「ぅ、うん……そうだね」
ふわふわの髪を2つに束ねた美少女が目の前で僕に微笑みかけてくる。
その笑顔にこらえきれず視線を下げれば悩ましげな美脚。
目の前で揺れる赤いフレアスカートの裾には可愛らしく白いフリルがあしらってある。
そのスカートから伸びている細い脚はカラフルな模様が入った黒ニーソで包まれていて、露出している肌は眩しいくらいに白い。
どこを見ても目の毒だ……
どうしても良からぬ妄想を抱いてしまう。
(うふふふ、優美の脚に見とれてましたね……いいものが見れましたか?)
不意に耳朶をくすぐるように甘く囁いてきた声に思わず肩が震える。
「ゆ、優里さん……優美ちゃんの前でそんなことを言わなくても!」
ベッドの上で尻餅をついた僕の背中を抱きかかえて座っているのは、
僕の目の前でスカートを見せつけながら腰をひねる少女の母親、優里さんだった。
彼女は僕より少し年上だけど見た目は娘である優美ちゃんと瓜二つだった。
少女のような可憐さと大人の余裕を兼ね備えた女性は、背中から僕を羽交い締めするようにして先程からこの姿勢を強要させる。
「あら? 恥ずかしがるなんて可愛いです。でも少し悔しいかも」
「え、ちょ……っと、あっ!」
抗議しようとした僕の耳に軽く口付けるようにして優里さんが――!
フウウウウゥゥゥゥ……
「あ、あああぁぁっ~~~!!」
予想通りの展開。
耳の奥深くまで穏やかで熱い吐息が流し込まれた瞬間、足の先までけだるくなって脱力してしまう。
「まだ許せないです……もう一回、フウウウウゥゥゥ~~~」
「はぅあっ、あああぁぁ!!」
力の入らなくなった体でもがいてみても優里さんからは逃れられず、僕は小さく震えるだけだった。
「おにーちゃん、今日も感じやすいみたい。今から二人がかりでくすぐられちゃうんだよ? だいじょーぶかな」
「優美、慌てなくてもいいのよ? 時間はたっぷりあるんだから……」
「はーい」
優美ちゃんの気持ちを抑えるように振る舞う優里さんだが、脇の下から回した腕がぎゅっと僕を抱き寄せてきた。
(私達が時間をかけて狂わせてあげますからね……?)
再び甘くささやく彼女の言葉だけで、まるで僕は強力な媚薬を口移しで飲まされたのと同じくらい興奮してしまった。
これから僕はくすぐられる。
優美ちゃんだけでも壊されそうになったというのに、さらにくすぐり上手な優里さんまで……。
もう逃げられない。逃げようとしてもくすぐられた瞬間に足腰が立たなくなる。
何よりも彼女たちにくすぐられることを僕の体が求めてる……。
(素直にくすぐられる快感を受け止めてくださいね……)
本当に壊されてしまうかもしれない不安よりも快感への期待のほうがはるかに大きい。
「……」
僕は静かに優里さんに体重を預けるのだった。
◆
話は数日前に遡る。
僕のケータイに一通のメールが届いた。
「おにーちゃん、もしよかったら今度の土日遊びに来てくれませんか! お泊り会しよ? 優美より」
短い文章を読みながら背中に悪い汗がにじむのを感じた。
同時に心臓が高鳴り顔が熱くなってゆく感覚も。
優美ちゃんの家にお泊り会って……当然あのお母さんもいるわけだし!
再びケータイにメールが入る。
「ママも楽しみにしてるってさ! 優美より」
僕の不安や戸惑いを先回りして拭い去る文面。
というか外堀を埋められているような……。
数分間悩んだ挙句、僕はその招待を受け入れることにしたのだった。
◆
そして今の状況に至るわけだ。
「今日は素直なのですね」
僕の体の重みを感じた優里さんが優しく微笑みかける。
それと同時に脇の下から伸びてきた細い指先が左右の乳首をそっと押さえつけてきた。
「あうっ!!」
ツヤツヤした光沢を放つ爪の先がわずかに僕の体に食い込む。
(き、気持ちいいいぃぃ……)
たったそれだけの行為に呼吸が激しくなる。
優里さんの爪に薄く塗られているピンク色のマニキュアには媚薬でも染み込んでいるのではないかと疑ってしまう。
「まだ服の上からなのにそんなに悶えちゃうなんて……くすっ」
クニュッ
「くううぅぅっ!」
さらに食い込む彼女の指先。
それは僕の乳首を押し込みながらクリクリと弄んで、体の芯に隠れている性感帯をあぶりだす。
反射的にエビみたいにビクビクと震えだす僕を受け止めつつ、優里さんは両脚を腰に絡めてきた。
柔らかなバストを背中にしっかりと押し付け、さらに僕の体を引き延ばそうとしてくる。
(本気で優美から奪っちゃおうかしら)
「えっ!!」
確かにそう聞こえた。
耳元でつぶやく彼女の妖しい声を聞き間違えるわけがない。
乳首に円を描くような指先の愛撫は、がら空きの脇の下から肋骨へと移動していた。
「どうされましたか?」
「う、あぁぁ、い、今あぁぁ!」
「う~~~ん? どうしましたか」
それは僕の質問を遮るための意地悪な指使いだった。
大声で笑い出すほどでもなく、体の底にくすぐったさを貯めこませるようなテクニック。
両手の指をフル稼働させて、肋骨の上を優しくなぶりながら骨と骨の隙間も撫でてくる。
ブルっと震える体にピッタリと張り付いたまま、彼女の意のままに操られるような感覚。
「ほらぁ、こちょこちょこちょ………ふふ、かわいいお顔になってくださいな」
「あはっ、あ、あああぁぁ~~~!!」
ツツ……
左手の細い指先をまとめ、僕に魅せつけるようにしながら乳首の上で放射線状に開いてきた。
「やっぱり男の人でも感じちゃんですってね。ここも嬉しくなっちゃう?」
「え……」
優里さんは僕に絡みつかせた両足を締めながら、スリスリとかかとでペニスを刺激してきた。
「ひっ、ひいいぃぃ!!」
乳首と脇の下、それに洋服越しとはいえペニスへの愛撫……同時に何箇所も責められると情けない声を留める手段がなくなってしまう。
それどころかさっきよりも激しくビクビクと上半身が震えている。
彼女に拘束されたままでの逃れられないくすぐりのおかげで、早くもしっとりと汗ばみ始めている。
「次はどこをくすぐって欲しいの? 耳? それとも……」
優しい愛撫の手は緩めずに、優里さんは相変わらず余裕の表情で僕を見つめている……。