『幕間』



(うっ……)

 気が付くと男は薄暗い部屋の中でソファに横たわっていた。
 間近に迫ったアイドルフェスの準備で疲労が蓄積されてはいる彼ではあるが、こんなところで寝ている場合ではない。
 男はアイドルのプロデユーサーという立場だった。


ギシッ!

 慌てて立ち上がろうとしたところで身動きがとれない事に気づく。
 両手は背中で組み合わされ、片足がソファの足に括りつけられているようだ。
 それだけじゃない、声も出せない。
 なにかタオルのようなもので猿ぐつわをされているようだ。 

(……)

 彼は冷静になってここに至る経緯を思い出そうとする。
 担当アイドルと打ち合わせをしていたところまでは覚えてる。

 問題はその後だ。

 急激に眠気が襲ってきて、頭の中がぼんやりして……


ガチャッ

 部屋のドアノブがゆっくり回転して、照明のスイッチが入れられる。
 彼は思わず目を瞑る。突然明るくなった世界がまぶしすぎる。

「うふふ、お目覚めですか」

 目を開くとそこには彼の担当アイドル・佐久間まゆが微笑んでいた。


「驚きましたか」

 穏やかな口調はいつもどおりだが、男を見下ろす彼女の視線にはどことなく光がなかった。

 元々はファッション誌の読者モデルだった彼女が突然アイドルへと転身したというニュースは今でも耳に新しい。
 しかし彼女はプロデューサーを今ソファで横たわっている彼に指定してきたのだ。


「昨日の夜、何をしてましたか」

 端正な顔立ちのまゆの口からポツリとこぼれた抑揚のない声。たった一言ではあるが、男はそれだけですべてを察した。

 彼女から視線をそらして再び目を瞑る。


「守りたいのは響子ちゃん……ですか?」

「!!!!!!」


「うふふ、知ってますよ、全部。だって見てましたから……」

 まゆは薄く微笑んだまま両手を彼の頬に添えた。
 やわらかな美少女の指の感触に思わず目を開くと、真正面から視線を絡めとられてしまった。


「少しだけなら他の子を見るくらいは許してあげます。でも……えっちは駄目です」

 相変わらず穏やかな口調だが、まゆの紡ぐ言葉が男を追い詰めてゆく。


「まゆ、乙女だから夢見ちゃう……だけじゃないんですよ」

ツゥ……

 頬に添えられた指が彼の耳の輪郭をなぞる。

ツプッ……コリコリコリ……

 人差し指が耳の穴にそっと差し込まれ、内部をくすぐってゆく。

 甘い刺激にビクンと跳ねる彼の体を抑えこむように、まゆは静かに腰を下ろした。


「響子ちゃんの気持ちを守りながら、まゆとの関係を保ちたいなんて都合良すぎると思いませんか?」

 まゆに誤解されてる。
 そう気づいた男は必死で首を横に振る。しかし伝わらない。

 昨夜、たしかに五十嵐響子というアイドルと話す機会はあった。まゆはそれをどこかで見ていたのだろう。
 響子は少し変わった娘で、対応に困る一面もあったのだが――、

「でも彼女のことは好きですから。大切なお友達ですし」


スルリ……

 弁解することも許されず、一方的な思い込みで話をすすめる彼女が静かにリボンをほどいた。


「まゆの泣いてる心だけ癒やして貰えたらそれで良いことにしちゃいます。協力してくださいね」






 少し胸元をはだけさせた状態で、まゆは静かに彼のシャツの隙間に手のひらを差し込む。
 ちょうど心臓の上あたりに指先が差し掛かった時、彼女は赤くなりながら花のように微笑んだ。

「あなたがいて……夢じゃない」

「~~~~~~~~~~ッ!!」

 美少女の手が遠慮なく男の胸元を這いまわる。

 特に細い指が乳首をこね回すように撫でていくたびに、彼のペニスはズボンの下でビクビクと震えてしまう。

 決して悟られてはいけないと思いつつ、上積みされてゆく快感に抗うことができない。


「縛るのと縛られるの、どちらがお好きでしょう」

「!!」

 いつの間にかズボンのベルトが外されていたことに気づいて男は狼狽した。
 さらに先ほど解いたリボンを見せつけるようにしながら、まゆは小さな口でその端をペロリと舐めてみせた。

「まゆは両方好き……」

 胸元をいじっていた指先がゆっくり降りてくる。

 そしてズボンのファスナーを下ろした後、まゆの指先が彼の男根に蛇のように絡みついた。


(うああああっ!!!)

 あまりの快感に男の体が波を打つ。
 少女の手によって露出させられたペニスの先端はすでに生ぬるい粘液が溢れ出そうとしていた。


「運命の赤いリボンが絡みついてますね……縛られちゃう? もう縛られてますよ」

 ふわふわの赤いそれをペニスに優しく巻きつけると、まゆは一層悩ましい表情で彼を見つめた。

 顔を包み込むように両手でスリスリと撫でながら、男の耳にだけ届くような小声でささやく。


「ここ、見てみたいですか?」

 正直なところ、その表情だけで男は理性の限界まで追い込まれてしまった。
 さらに彼女は男の視線を誘うように、優雅にその細い足を開いた。

 ファッション誌でモデルをやっていただけに、まゆの体は柔らかい。
 魅惑的な顔立ちとバランスの取れたスタイルに視線が釘付けにされてしまう。


「まゆの中で縛ってあげる。初めてのまゆの膣内で……」

 すっかり膨れ上がったペニスの先端に腰の位置を合わせ、ほんの少しだけショーツを指先でめくって彼を迎え入れる。


「んっ……!」

 ヌルヌルになった彼自身と、自らの愛液をスカートで隠すようにしながらゆっくりと馴染ませてゆく。
 男にとってはそれだけで爆ぜてしまってもおかしくなほど心地よい感触。

「はぁんっ!」

リュプウウウゥゥゥッ!!!

 まゆは焦らす様子もなく、狙いを定めて一気に腰を落としてきた。
 突然彼女の内部に包み込まれた男は、体の芯を蕩けさせられたように身動きがとれない。

「熱くって美味しい……まゆのためにこんなに大きくしてくれたんですよね?」

グチュウウウ、ヌチュッ!

 とろとろに濡れた彼女の中で快感に悶えるペニス。
 暴れるように腰を振ることもできず、じっくりと襞で弄ばれた男は一秒ごとに射精が近づいてくるのを感じていた。

 まゆの膣内は求めていた愛情の標的を貪るように、何度も何度も熱を肉棒に伝えようとしてくる。
 激しい腰振りをされているわけではないのに、あっという間に精液が吹き出しそうになってしまう。

「うふっ、気持ちよさそう。やっぱり運命の人だったんですね」

キチュッ、クチュ……チュルルルル……

 それはまるで膣内でフェラをされているような感覚だった。
 男の感じやすい部分だけを選んで集中的に責めてくる快感の波状攻撃。

(いっ、イくううううううううう!!)


キュッ……!!

 男の腰が跳ねて、射精に備えた瞬間に膣内が収縮した。

(あああああああああっ、出ないッ!! なんで、まゆ、まゆううううううううううう!!)

 戒めるように彼を締めあげたまま、まゆはニッコリと微笑む。

「ねえ、まゆの中で出して……熱い口づけをまゆの一番奥に……してください」

 そして一度腰を浮かせてから、今度は思い切り体重をかけて彼自身を迎え入れる。

ジュップウウウウウウウウウ!!

「んっ、んんんんんん~~~~~~~~~~ゥ!!!!!!!!!」

 子宮口まで飲み込まれたペニスが、今までで一番激しく痙攣をし始める。

 その動きに合わせるようにゆらゆらと腰を動かし始めるまゆ。
 すでに我慢の限界まで達していた男にとって、トドメとなる腰使いだった。

「ほら、遠慮なさらずに♪」

 さらにもう一度、まゆは膣内で彼を抱きしめた。

ドピュッ、ビュルル、ビュルンッ!!


 彼女を乗せたまま男は何度も腰を大きく波打たせた。
 その凶暴な快楽が途切れぬよう、まゆも優しく腰を振り続ける。

 終わりのこない快感に包まれ、彼は一分も経たぬうちに続けて激しく射精してしまう……







 しばらくしてから、まゆは男を拘束していた全てを解いた。
 自分の下で脱力している彼に優しくキスをする。

 そしてゆらりと身を起こせば、彼女と彼の間に赤い糸のように一筋の破瓜の跡が――。


「運命の赤い糸、もうほどけないくらい絡まってる……嬉しい……」

 指先を伸ばしてそっと赤い糸を確かめる。
 軽い痛みを伴う行為こそが彼との絆。

「私だけのプロデューサーさん……今夜はまだまだ長いですよ」

 まゆはうっすらと涙を浮かべながら、再び男に体を預けるのだった。




(了)












【おまけ】 
・このお話は、ツイッターのつぶやきが発端でした
・私のつぶやきに反応してくれた声優さんが声を当ててくれました

「わかってます……まゆ、そんなに頭悪い娘じゃないんですから。誰かに言われて、そうしてるんでしょう。浮気。そんなのすぐに理解できます。でもね……それが悲しいんです。どうして一言相談してくれなかったの? ああ、悲しい……」 「こんなの我慢できないです。会えない時間どれほどまゆが辛いのか想像したことありますか? 会えた時に一瞬でそれがゼロになるけど、好きだからすぐに溜まってきちゃうの……離れるだけですぐに気持ちが胸の中で溢れちゃうんです。」

「だからすごく愛しいの。誰にも渡したくない、触れさせたくない、見つめて欲しい。おかしいですか私。浮気とか、そんな形だけの交わりなんて気にしないけど今すぐあなたを……したいほど熱くてたまらないの……もっと縛りたい。二人で一つになりましょう?」


(CV 月宮怜さん)
※データが残ってれば声が聴けるかも!











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