画像協力:朝月あおい様
『しぐれ ゆうだち あまやどり』
遠征を終えて宿舎へ戻った時雨を迎えてくれたのは夕立だった。
「時雨、なんだか濡れてるっぽい」
「ち、違ッ」
反射的に否定する時雨。
しかし夕立は首を横に振る。
「ううん、絶対濡れてるし」
「それはボクのせいじゃ……って、えええっ!」
夕立の細い指先が時雨の左耳に触れる。
「や、やめ……」
ドキドキしながらその指をつかもうとするが、それを阻むように夕立の指先が妖しくうごめく。
(そ、そこはボクの弱いところなのに……!)
まるでくすぐるような指使い。
そっと髪を撫でられると、時雨は抵抗することができなくなった。
続いて流れるような動きで、耳の裏をなでられると全く手足に力が入らなくなる。
時雨はそのまま腰が抜けたようにベッドに座ってしまう。
「ゆ、ゆう……」
夕立の名を呼ぶことすらままならぬ恍惚感。
抗議をしようにも耳と髪を何度も撫でられ、既に頭がボンヤリとし始めていた。
「ほら、髪の毛がすごく濡れてるっぽい」
「ふぇ……?」
夕立は不意に立ち上がって戸棚からタオルを取り出し、しっとりと濡れた時雨の髪を優しく拭いてやった。
キョトンとした表情で夕立に身を任せる時雨。
(ボ、ボクの勘違いじゃないか! 夕立はこんなにいい子なのにボクってやつは)
彼女は一瞬でも淫らな感情を抱いた自分を責めた。
しかし――
「くんくん、なんだか……すごくエッチな匂いっぽい」
「えっ、ちょ……!」
ペロッ…
「ふああああああああああああぁぁ!!」
脱力していたところへの、突然の甘い刺激だった。
夕立の舌先が時雨の左耳にねじこまれた。
ピチュッ、レロ……
「んあっ、ふあ、ぅああ、やめて……汚いからッ」
弱々しく手を伸ばして制止しようとする時雨を抱きしめるように夕立は振る舞う。
耳元で囁くような緩慢な愛撫が止むことはなかった。
夕立の真っ赤な舌先がクルクルと耳の輪郭をなぞり、しっとりと濡れた黒髪をかき分けて耳の裏を念入りに舐めあげる。
(ボク、こ、声……出ちゃうよおぉぉ……!!)
時雨はギュッと目をつむり、全身を固くしてその刺激に声を出さぬように努めた。
しかしチョロチョロと、とろ火で煮詰めたような甘い舌先の誘惑に逆らうことは難しい。
しばらくして夕立は、時雨の上気した両頬を挟みこむようにしながら、ほんの少しだけ姉の顔をクイッと上に向けた。
「あ……」
「もう、我慢……できないっぽい」
時雨の瞳に映る夕立の姿が大きくなって――
チュル、ピチュッ♪
チュッチュッ、プチュッ、チュ……
「うっ、あ! んッ! んん~~~~~!!」
時雨の震える唇に、夕立は柔らかくキスをした。
二人が重なりあうたびに時雨は全身に心地よい電流がほとばしるのを感じていた。
「んっ、んっ♪ だんだん、いい反応、っぽい♪」
ピチュ、チュルル、チュウウ♪
それは呼吸を奪うような激しさではなく、何度も唇を重ねて相手を蕩けさせるように、じっくりと時間をかけたものだった。
夕立は下唇をついばむように、時には舌先を差し込みながらいたずらな口づけを繰り返す。
(あああぁぁ……!)
時雨は自分の舌先が夕立になぶられていることを自覚して、ますます興奮してしまう。
優しくも意地悪な妹の唇に挟まれ、先程までよりも身を固くして甘露を味わう。
ジュ、チュルッ……ちゅぽっ……ん……
長いキスの後で、ようやく時雨が解放された時にはすっかりと体中が骨抜きにされた後だった。
「かわいい♪ 時雨のこと、もっともっと困らせたいっぽい!」
「だ、だめ……ぇ……これ以上はもう…」
「あー、まだ素直じゃないっぽい♪」
夕立が空いている手を静かに時雨のスカートの中へと滑りこませる。
太ももの内側を軽くなでつつ、ショーツの上から既に蜜が溢れ出している場所をグリグリと弄んだ。
クチュ、ニチュ、クプッ、クチュクチュッ!
「うああ、あああっ! ボク、おかしくなっちゃうよおぉぉぉ!!」
「全然問題ないっぽい……んちゅッ」
夕立はそっと姉の首筋に唇を押し当て、ゆっくりと衣類を剥ぎ取る。
時々手首を返して、下から抉るようにクリトリスを責めながら姉の抵抗力を奪い取る。
弱々しく首を横に振っている時雨を、快感で縛りつつ生まれたままの姿へと変えてゆく……。
「はぁ、はぁ、はぁ……ボ、ボク…」
「そろそろ欲しいっぽい?」
軽く首を傾げながら、夕立は時雨のスカートを完全に脱がせてしまった。
チュプッ……
「ひああああっ!」
そして秘所を探っていた指先が、すっかり熱くなった膣内に侵入した。
親指でクリクリとクリトリスの皮をめくりながら、ゆっくりと中指を埋めてゆく夕立。
「でも、ここは喜んでるっぽい♪」
クチュクチュクチュッ、ヌチュ、ピチュッ……
「うあああっ、そんなに、こね回したら壊れちゃう! ふあ、あっ、ダメエエエェェ~~!!」
背筋を何度もビクビクと震えさせ、薄っすらと涙を浮かべて懇願する姉の顔を見ながら、夕立はさらに指先を激しくかき混ぜる。
「ッ~~~~~~~~!!!!」
妹が容赦なく奏でる刺激に耐えられず細い背中がさらに跳ね上がる。
膣内の奥深くまで挿入した指先を這わせつつ、クリトリスを責める親指で優しく円を描く。
体の中と外の両方を同時に責められ、時雨はガクガクと腰を震わせながら夕立にすがりつくしかなかった。
「あ、ああぁ、ああ……!」
「ふふ、その顔はとっても素敵……夕立、もっと頑張れるっぽい!」
健気に声を押し殺している時雨の唇に、夕立は再びキスをした。
たっぷりと唾液を絡ませながら淫らな水音が二人の間に響き渡る……
ドサッ……
度重なる愛撫にすっかり溺れた姉の体を優しく横たえる妹。
衣擦れの音とともに白く輝く体が、時雨の前に現れた。
「ゆう……だち……」
「そろそろひとつになれるっぽい?」
快感に蕩けきった姉の体を抱き寄せ、お互いの胸と胸を合わせる。
「あ……んっ…」
乳首と乳首が触れ合うと、二人同時に声を上げてしまった。
さらに夕立は左足を時雨の足の間に差し込みゆっくりと自転車をこぐようにしながら太ももで秘所を愛撫した。
「もうヌルヌル……すぐにイっちゃうっぽい?」
「うああぁぁ、ご、ごめんね……ん、チュッ……んううぅぅ」
手足に力が入らなくなっている姉に添い寝しながら、夕立は何度も体中を撫で回す。
指先が背中に触れると時雨の喘ぎが更に大きくなる。
夕立も感じやすい場所を集中的に責め続けた。
そして――、
「も、もうボク……あ、ああああ~~~~~~~~!!!」
数分後、ついに時雨は夕立の腕の中で果てた。
サワサワと優しく手のひらで愛撫されている最中に達してしまった。
細い体のどこに夕立の手が触れても感じまくってしまうほど敏感にされていたというのに、さらに抱きしめられていた。
念入りな愛撫によって、体の隅々に快感が染み渡り、もはや小さく痙攣しながら静かに気を失うしかなかったのだ。
「クスッ、おやすみなさい……っぽい♪」
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
薄っすらと明るくなりかけている空を見ながら夕立が背伸びをした。
「早く寝ないと提督さんに怒られちゃう……もうすぐ夜明けっぽい!」
そしてまた自分のベッドへ戻ろうとして窓に背を向ける。
すると、寝息を立てていたはずの時雨は目をさましていた。いつもどおりの穏やかな笑みを浮かべている。
「ありがとう夕立……」
時雨に気づいた夕立は、何も言わずに姉の布団に体を滑り込ませる。
黙ってベッドの中で抱き合いながらお互いの存在を確かめ合う。
ただそれだけなのに何かが満たされてゆく。
そしてまた強く抱きしめあう。
次の作戦で離れ離れになってもこの温もりを忘れないように……。
「たとえどこにいても、ボクたちはいつも一緒だからね」
時雨のその言葉に夕立は小さく微笑むのだった。
(了)
画像協力:朝月あおい様