『召喚1 フリルの誘惑』
サキュバスを召喚してしまった。
難解な魔法陣も怪しげな薬品も必要とせず、こんなにもあっさりと……
しかも僕のイメージに合わせてカスタマイズされたような容姿で。
サラサラした黒髪に純白のリボン。
二つに括った髪の先はとても柔らかそうで、触ってみたくなる。
「ご主人様?」
「あっ、うん……」
慌てて返事をする。
思わず数秒間ほど見とれてしまった。
そして鈴のような声で、不思議そうに首を傾げる様子もかわいい。
しかも身長が僕よりも頭一つ分小さい。
この、なんていうか……つむじが見えるくらいが好きなのだ。
「あのさ」
「はい?」
「ええと、キミと僕って……立場上、僕のほうが上ということだよね?」
「その通りですご主人様」
メイド服姿のサキュバスがペコリとお辞儀する。
控えめに言って超絶かわいい。
結婚したい。今すぐに。
だがこういうことは最初が肝心だ。
キッチリしつけておかないと、召喚主の僕のほうが危うくなる。
魅了されてあっという間にミイラにされてしまうかもしれない。
どんなに可愛くても悪魔に隙を見せてはいけないのだ。
そう、どんなに可愛くても……
「あの、ご主人様? まずは契約を――」
「えっ」
顔の距離近くない?
サキュバスの小さな手が僕の両肩に触れる。
体を寄せてきたと同時に甘い香りに包まれる。
「んっ」
背伸びをして少しだけ苦しそうな彼女を抱き寄せる。
体、すごく細い……それにさっきとはまた違う、いい匂いがしてる。
チュッ♪
小鳥がエサをついばむような軽いキス。
でもダメなんだ。
悪魔に、隙を見せたら…
チュチュッ♪ ピチュ……
見せ……
チュルルッ♪
「んっ、んんんん!?」
軽く唇を、いや口から何かを吸いだされたような……
静かに目を閉じたままの彼女を見れば、ほんのりと頬を桃色に染めている。
その表情に見とれてるだけで力が抜けて、膝がカクンと折れそうになる。
ああ、可愛い……
彼女本当はサキュバスじゃなくて、天使なのでは?
「くすっ、ご主人様ぁ♪ 仮契約は完了しました」
「!?」
いつの間にか僕はベッドに腰を掛けていた。
背が低いはずの彼女の声が頭の上から聞こえた。
目の前にはメイド服、白いブラウスに包まれたまま柔らかそうに揺れる彼女のバストがあった。
上品な白いボタンを外して、中に指を忍び込ませたい。
小柄だから胸が大きくないと思っていたけど、そんなことも無さそうだ。
腰回りが細い分カップが大きく感じる……というかこれ、Fカップより大きくないか。
「おっぱい……好きなのですね」
嬉しそうな甘い声。
ゆっくりと彼女に抱きしめられる。
「っ!!」
服越しに感じる柔らかさと温もり、そして清潔な香り。
両腕を首に回されて顔を抱きしめられただけなのに、僕の股間は痛いほど張り詰めてしまった。
(ああぁぁ……このままシコりたい。柔らかさを感じたまましごいたら数秒で……いや、彼女にしごいて欲しい。あの胸に抱かれて、挟まれたい!)
出会ってから数分も経たないというのに、頭の中はこの可愛らしいサキュバスのことでいっぱいになりつつあった。
すると、不意に抱きしめられていた力が緩んだ。
「あの、そろそろメイドの服を脱がせてくれませんか?」
恥ずかしそうにモジモジと体を左右に揺らしながら彼女は言う。
目の前に突き出されたバストをこのメイド服から解放してあげたい……
震えを抑えながらボタンをひとつずつ外していく。
三つ目を外したところで、片方の乳首がこぼれ落ちた。見事なピンク色。
「あわてないで下さいご主人様……」
視線が釘付けになっているのを感じたのか、彼女は体を寄せてきた。
そして赤ん坊に与えるように口元に乳首を近づけてからの圧迫。
ちゅっ……
「あんっ♪」
僕がその果実を口にすると、彼女も軽くうめいた。
「そろそろ本契約しましょうか?」
プチッ、シュル、シュルルルル……
目の前で衣擦れの音がする。
ブラウスやブラジャーが床に落ちたようだ。
僕は夢中で乳首を吸いながら彼女の上半身が露出していくのを感じていた。
「あっ……」
ふいに乳首の感触がなくなる。そして見上げると、彼女と目があった。
「失礼します」
さらにそう言いながら両方の手を握り、指を絡ませてきた。
彼女の右手に僕の左手が、彼女の左手に僕の右手がギュッと握られている。
「私にお任せ下さい」
僕の両手がクイッと引っ張られて、その勢いで顔がマシュマロのようなFカップバストに挟み込まれる。
吸い付くような感触を味わいながら、さっきよりも濃密になった甘い香りに頭の中が痺れていく。
ドサッ……
夢見心地のままベッドに押し倒される。
彼女と両手を繋いだまま体重をかけられたのだ。
「苦しくないですか?」
「……」
僕は小さく首を横に振った。
本当のことを言うなら、少しだけ息苦しいけど……それ以上に心地よい。
ずっとこのままでいたいという気持ちにさせられる。
「くすっ、では……」
真っ暗な状態のまま、突然股間に痺れが走った。
バストと同じくらい柔らかな何かに、ペニスが包み込まれてるような感じ。
そしてさらに包まれてすぐに微妙な振動が加えられた!
「~~~~~~~~ッ!!」
顔を横に振っても、両手を振り払おうとしても身動きができない。
その間もずっとペニスには妖しい刺激が加えられて――、
(動けないッ、だめだよこれええええ! 出ちゃう、出ちゃうよおおおおお!!)
強く拘束されていないのに、手足がしびれきって動かせない。
この時になって、ようやく僕は自分に絡みついている相手がサキュバスだということを思い出した。
「気持ちいいでしょう?」
クチュクチュクチュクチュ♪
「んうっ、んっ、んー!!」
「うふふふ、何に挟まれてるんでしょうね~?」
甘いささやきが耳から染みこんできてたまらない。
可愛らしいサキュバスに僕の脳まで犯されているようだった。
バストの圧迫が更に強くなる。
「もう我慢しても無駄ですよ……ねっ、一度出しちゃいましょ? ご主人様」
視界を奪われ、真っ暗闇の中なのに……はっきりと彼女を感じる。
裸になった彼女が僕を抱きしめる。
ゆっくりと伸ばした指先がペニスをふわりと包み込む。
まるで魂をそっと撫でられたような甘くて優しい刺激を受けた瞬間、
ビュルッ! ドピュウウウッ、ビュクンッ!!!
「っ!! あうっ、あ~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!!」
まともに声を出すこともできないまま、僕は何度も絶頂してしまう。
魅惑のバストで目隠しされたまま、僕の体がほんのりと光を放つ。
その淡い輝きを全て舐めとるように、サキュバスは全身を擦りつけてくる。
「綺麗な魂ですね、ご主人様」
彼女に褒められた。
嬉しい、それ以上に気持ちいい……
突然視界が明るくなる。
あの胸から解放され、両手も自由になったのに起き上がれない。
プチュッ……
変わらぬ優しい微笑みのまま、メイド姿のサキュバスはもう一度キスをしてきた。
何度も丁寧に、チュウチュウと唇を吸われて……その都度僕は幸せな気持ちになる。
どんどん彼女が好きになっていくと同時に、なにかとてつもない不安に駆られる。
「や、やめて……」
本能的な危険を感じた僕の口からこぼれた言葉。
しかしサキュバスは始めと同じように可愛らしく首を傾げるばかり。
「へんなご主人様。今度はマッサージしてあげますね」
真っ白な両手、すべすべした感触が僕の全身を撫で回してくる。
オイルを塗ってないのに滑らかな手の動きに酔いしれる。
「あああぁぁ……!」
優しく何度も同じ所を撫でられ、体中が震える。
人差し指がワイパーのように乳首を弾くように動いて僕を休ませてくれない。
僅かに生まれた不安もすぐに快感に塗りつぶされる。
生命力を吸い取られ、身の危険を感じながらも全く逆らえない。
「ご主人様のために尽くしますから。できるだけ苦しまない方向で♪」
ニッコリと微笑む彼女。
もしかして僕は最初から――
(了)