熱くなった頭を冷やすための時間が欲しい。
そんな思いもあり、僕はできるだけ平静を装って彼女に問いかけた。
「質問に答えてくれ……」
「何かしら」
「お前がさっき口にした言葉だ。何故ここに誰も来ないと断言できるんだ」
純粋にファズがどんな手を使ったのかを知りたかった。
そして、自分の中に生まれた得体の知れない不安をかき消したい気持ちもある。
「貴方のお仲間がここに来れない理由ね。簡単よ……偽の情報を流してあるの」
「ま、まさか今朝のニュースで流れていた列車爆破予告やネット上での殺害予告はお前の仕業なのか」
「まあそんなところね。真面目な人達は大忙しだと思うわ。少なくともここへは人員を割けない程度には」
涼しげな顔でファズが答える。
派手に犯行予告をしたところで、それは単なるフェイク。
あくまで未遂でしかないのだからファズも良心が咎めないというわけか。
「あ、あともう一つ、僕は何故お前を捕まえたと錯覚させられたんだ」
「良い質問ね。錯覚したのではなく、させられた……その言葉通りよ」
最初の質問よりこちらのほうが気になる。
ファズを捕まえた後で椅子に縛り付けたのは間違いない。
しかし実際には、彼女は縛り上げられていなかったのだ。どんなトリックを使ったのか……。
「一週間前から、この部屋を消灯する前に仕掛けをしておいたの」
「し、仕掛けだと……?」
「そう、ほとんど毎日私はこの部屋を覗いていた。事前調査も兼ねてだけどね。そしてあるものを部屋に置いてきた」
美術館は閉館後、清掃や次の日の準備を行ってからセキュリティシステムを作動させる。
それから朝になるまでは完全に密室になる。
僕が悩みこんでいると、不意に彼女が髪をかき上げた。
「うっ……」
「私の髪の香り、すごくいいでしょう? これがヒント」
先程味わった甘い香りが再び撒き散らされる。
そしてまた僕は彼女を無意識に見惚れていた
「部屋の中には香水を。廊下にはお香をさりげなく漂わせる。ただそれだけなのに、効果覿面みたい」
「う、あぁ……」
ゆっくりとファズが近づいてきた。
美しい顔が、自信たっぷりの笑みを浮かべて僕を見つめている。
既の僕との距離はほんの数センチ程度になっており、髪の香りだけでなく体温すら感じ取れる。
「貴方の嗅覚から脳へ忍び込み、思考をぼんやりさせる特殊な香りを毎日嗅がされていたとしたら?」
「お、お前は、僕が……警備員ではなく、刑事であることまで見抜いていたのか!」
「あははは、そんなの当たり前じゃない! 一ヶ月近く交代無しで働き続けるなんて不自然だわ」
「な、なにを……!」
ファズの笑い声に、僕は明らかに動揺してしまった。
自分の失敗を気付かされ、嘲笑されている。
だが言われてみればその通りなのだ。
潜入捜査だと言うのに、考えが至らなかった僕の甘さを彼女に見透かされたのだ。
「それに貴方の身のこなしは訓練されたものだから、本当にわかりやすかった」
「くっ……!」
「ハッキリ言ってあげる。最初の駆け引きは貴方の負けよ」
冷ややかな声が室内に響き渡る。
美しい瞳に射抜かれた僕は、がっくりと肩を落とした。
そして視線を床に落とそうとした時、ファズの手のひらが僕の顎に添えられた。
「すっかり負け犬ね。情けない顔しちゃって。でも失敗は、今からの勝負で挽回すればいいんじゃないかしら?」
ちゅ、うッ……♪
「んっ!!」
突然のキスに頭の中がパニックになる。
ファズの唇はとても柔らかくて、しかも触れ合うだけでなく、ねっとりと舌先まで挿入されてしまったのだから。
(あ、あああぁぁ……何か、吸い取られていくみたいだ……気持ち、いい……)
いつの間にか後頭部に彼女の手が回されており、顔を引くこともできなくなっていた。
抵抗できない僕をリードするように、口の中でファズの舌が動きまくる。
ジュル、ジュッ、ジュプゥ!
「んうっ、あっ、ん、うううぅぅ、んんんんん!?」
上顎を丁寧に舐め上げられた時に思わず情けない吐息を漏らしてしまった。
唾液をたっぷりと絡めた情熱的なキスから解放されたのは、それから一分以上後のことだった。
「ぷは、ぁ、な、なんで……」
視線のやり場に困りつつ僕は抗議する。
じっとこちらを見つめるファズの大きな瞳を見ていると勝手に恥ずかしくなる。
視線をそらせば今度は彼女の唇が目に入る。
それは魅力的で、視界に入るだけで今のキスを思い出してドキドキしてしまう。
「いい感じで先制できたみたいね。すっかり顔も赤くなって……それに下のほうも、クスッ♪」
言葉を続けながらファズは器用に僕のズボンのファスナーを下げ、指先でペニスを軽く弾いてみせた。
「ご褒美よ。ほらぁ、ナデナデ……」
「ひあああああああっ!」
「やだ、こんなに硬くして。期待しすぎじゃない?」
人差し指でピンと弾いた直後、今度は手のひらを逆手にして被せるようにペニスを包み込んできた。
その刺激のギャップに、僕の背筋が震える。
「ひっ、あ、なん、ぅあ、ぼ、僕をどうするつもりだ」
「さあね。むしろ貴方の望んでいることを聞きたいわ?」
「えっ……あ、あああああぁぁ!」
好奇心たっぷりといった様子で彼女は尋ね返してきた。
その間も股間に押し当てられた手のひらによる愛撫が続き、ペニスがますます硬くされてしまった。
「どうかしら?」
「うあああ、き、、気持ちいい……」
「そう。じゃあ私のことも気持ちよくして。」
「お、お前を!?」
「私がどうすれば感じるのか、感じた時にどんな顔をするのか想像してみて……」
ピッタリと体を寄せて、僕を見上げながら彼女は言う。
とびきり美形で、強気な表情のファズに性的な戦いを挑まれているのだ。
(よし、感じさせてやる、ファズを……でも、どうすれば……そうだ……もう一度キスを!)
彼女の挑発、いや誘惑に耐えきれず、密着した細い体を思い切り抱きしめてしまった。
そして今度は自分からあの危険な唇を求めてしまう。
チュウ、ピチュ……
「あんっ、んふ……エッチなキスね……」
「んっ! だ、黙れ」
「いいわ……はぁ、あっ、んっ、うう、はぁ、はぁ……ジュルル!」
淫らな音を立てて彼女の唇を奪う。
だがその代償として、心のどこかがジワジワと崩されていく。
「はぁ、はぁ、くそっ……」
「ねえ、私からのお返しだよ……ん、チュッ、レロ……♪」
「うあ、あっ、ん、う、うううう!!」
「あはっ、素敵……♪」
責めていたはずのキスが、いつの間にか逆転されかけていた。
流し込まれる唾液と、熱い吐息、そして唇の感触に酔わされてしまう。
ファズの左手は相変わらず僕の股間に張り付き、妖しげに蠢き続けている。
さらに、遊んでいた片方の手で彼女は僕の左手を掴み、自分の胸元へと誘導した。
僕の手が何か柔らかいものに囚われた。
ふにゅんっ
(こ、これ……はッ!)
「ふふふ、手が遊んでるよ。いっぱい触って♪」
僕に抱きついた姿勢で彼女が言う。
手のひらに感じる柔らかさは極上で、何の抵抗もなく指先が肉に沈み込んでいくようだった。
キスを一旦やめて左手の行方を見る。捲りあげたタンクトップの隙間から、窮屈そうに美乳がはみ出している。
(なんだこれは……エロすぎる! こんなおっぱい、我慢できない!!)
震える右手でタンクトップの端をつかみ、グイッとめくり上げる。
すると、ぷるんっと勢いよく美乳が跳ね上がり、タンクトップが完全に役に立たなくなった。
「乱暴にしないで、お願い……」
「あ、ああ……」
泣き出しそうな声でファズに乞われ、僕は優しくタンクトップを脱がせた。
そして胸を揉み上げる。下から上に、円を描くようにゆっくりと何度も。
(なんて柔らかで、淫らな揺れ方をするんだ……!)
僕の手の動きに追従する美乳に目を奪われながら、同時に容赦なく目で犯し、乳首を弄ぶ。
「あ、ぁんっ、エッチな触り方……ねちっこくて、女を狂わせようとしてる……ぅ……」
顔を左右に振り乱しながらファズが喘ぐ。
本当に乳首が弱いようだ……少し強めに捻り上げてみる。
きゅいっ!
「あはあああぁっ!」
背中を反らせ、今まで出さなかった女の子らしい声が口から飛び出す。
近くにあった革張りのベンチに彼女を横たえると、あの怪盗が僕を見つめながら呼吸を乱し、バンザイしながら左右の肘を曲げて体をくねらせてきた。
「ここがお前の弱点なのか」
「し、知らないっ!」
低い声で問いかけると恥ずかしそうにファズが横を向く。
そして熱心にバストを責め続けていると、細い指が僕の顔や髪を撫でてきた。
「はぁ、あ、う、うん……指で乳首、転がされると……ヘンな、声が出ちゃ、う……」
喘ぎ声の最後が微妙に掠れて、さっきよりも色っぽく感じる。
もちろん演技も多少混じっているのかも知れない。
気づけば僕は目の前で踊る彼女の体に夢中になっていた。
(私を責めながら貴方も感じてるみたいね?)
時々僕を見つめてくる切れ長の瞳が、ファズの潤んだ目がこんな風に語りかけてくるように思える。
しかしそんな疑念もすぐに消え去ってゆく。
肌に小さな汗を浮かべた彼女の体は扇情的で、その上を自在に愛撫できるという優越感が僕を高揚させる。
(もっと深く交わりましょう? ほら……)
そっと両脚が開かれた。
眼の前にある長い脚は美乳と同じくらい白く、桃色に上気していた。
人差し指で太ももの内側をなぞれば、嬉しそうに反応を返してくる。
無意識に僕はその美脚に体を割り込ませていた。
「お前はこうやって僕を、男を誘惑してるんだな……」
「ふふふ、どうかしらね」
「悔しいが、誘い込まれてる。お前のことが綺麗で、可愛くて、愛しく思えてきた」
すべすべした長い脚に触れているうちに僕は嘘をつけなくなっていた。
口先で何を言っても無駄だという気持ちが、彼女に魅了されかけていることを隠せない自分に素直な言葉を喋らせる。
僕の戸惑いに気付いたのか、ファズは妖しく微笑みながらそっと手のひらを握りしめてきた。
「嬉しいわ。でも貴方は疑っている。私が何を企んでいるのかよりも、自分自身の気持ちの変化を」
左手が彼女の右手に包まれ、指と指が絡み合う。
ただそれだけなのにとてつもなく心地良い。思わず僕の方から握り返してしまうほどに。
「あああぁ……」
「ほら、わかるでしょう。貴方はどうすることもできない……このままもっと深いところへ連れて行ってあげる」
そのままゆっくりと引き寄せられ、僕とファズは何度目かのキスをした。
慣れることのない甘みが、まるで毒のように僕に染み込んでくる。
蕩けるような感覚の中、ゆっくりと肌を擦り合わせながら唇を重ねる。
そんなキスが続き、いつの間にか僕とファズは体勢が入れ替わっていた。
ふるんっ♪
「あっ……!」
「ほら、貴方がいっぱい触ってくれたおっぱいだよ♪」
真上から僕を見つめ、彼女が語りかけてくる。
軽く肩を揺らせば重力に従って美乳が妖しく揺れる。
「ここに、挿入してみたくない?」
「っ! い、入れたい……」
「うふふふ、おっぱい好きなんだ……男の子はみんな素直だね」
彼女は顔を寄せ、軽く唇をついばむようにキスをしてから僕の脇に手を通してきた。
そして抱きかかえるようにしながら僕の体を起こし、足を割り拡げた。
「最高に気持ちいいパイズリ、してあげようか」
「う、うん……」
「じゃあ、これに我慢できたらね?」
ニヤリと笑ってから、彼女は左手をペニスの付け根に添えた。
「何を、あっ、あ、うああああっ!」
「はむッ……チュッ♪」
さっきまで僕を魅了していた唇が亀頭に被せられた。
(きっ、気持ちいいいいいいぃぃ~~~~~~~~~~!)
ヌルヌルした唾液が暖かくまとわりつきながら、何度も竿と亀頭を往復する。
心を蕩けさせた口付けが無防備なペニスへ振る舞われ、僕は悶絶した。
「ふふ、もうカチカチになってる……イっちゃいそうね」
「だ、誰が……あああああっ!」
今度は先端を口の中に含んだままでの吸引。
裏筋をチロチロと舐め上げながら、ファズは誘惑するように舌先を僕へ何度も突き刺してくる。
「ジュプ、ジュル、チュッチュッチュ……私のフェラ、エッチでしょ」
じゅるるるるるる……
裏筋を這い回る舌先は、僕を快感に慣れさせないように小刻みに振動している。
カリ首を何度もキスされてから裏筋にも熱く口付けをされると、全身の力が吸い取られていくように感じた。
「くそっ、こんなの、ズル……うひいいっ、吸うなああああ!」
「続けたらこのまま出しちゃう? フフフフ」「」
もう僕の頭の中はパイズリどころではなかった。
イきたい、このまま出したいという気持ちが彼女に言われるまでもなく膨らんでくる。
たっぷり焦らすようなフェラが容易に僕の忍耐力を削り取ってゆく。
「はぁ、はぁ、は、あ、ぐ、あぁ……」
「だいぶ美味しそうになってきたね」
それから二分くらい経ってから、彼女が立ち上がった。
そして自ら指先を秘所に沈めてグチュグチュとかき混ぜ始める。
「食べてあげる」
「えっ、ま、まさか……」
「そう、ここでね♪」
ファズは片足をすっと上げてから、僕をまたぐようにして屹立した肉棒の真上に腰を下ろした。
ずちゅううううううううううう!!
「んはあああああああああああっ!!」
何の予告もなしで僕は彼女に飲み込まれる。
ペニスの硬さを一瞬で包み込んで溶かすような熱い膣内は、ファズの性格を繁栄しているように激しかった。
ニュルニュルとした膣肉が肉棒に吸い付き、すすり、抱きしめてくる。
腰はわずかに上下に揺らされていて、膣内の感触を隈無く僕に刻みつけてくる。
「イッちゃ駄目よ? おっぱいの中で射精したいんでしょ」
「うあっ、ああっ!」
「もう返事もできないの? フフフフフ♪」
さらに上下の動きに左右の変化も加わり、肉棒がますます彼女と深く交わることになる。
無意識に腰を突き上げればそれに応じて細い腰がさらに僕を喜ばせにかかってくるのだ。
そして眼の前では魅惑の美乳が揺れまくる。イくならここでイきたい!
(で、でも! こんなの、むむ、無理だあああああああぁぁ!)
ゆっくりと腰を振りながら彼女は笑っているが、時々膣口が締め付けられる度に我慢汁がジュワ~っと膣内に漏れていくのがわかる。
歯を食いしばっても気持ちよすぎて力が抜けてしまう。
さっきのフェラが前戯に過ぎないと言えるほど心地よいファズの膣内に、今すぐにでも射精してしまいたかった。
「えいっ」
両手を僕の肩に置いたまま、小さく彼女がかけ声を出す。
ニュ、チュ、ニュチュウウウゥ……
「うあ、ああ、な、なんだこれ……」
「フフフ、気付いちゃった? これも気持ちいいでしょ」
ほんのりと顔を赤くしながらファズは腰を前後にしゃくりあげるような動きを繰り返していた。
細い腰が揺らめく度に、彼女の中でカリ首が舐められているような感覚が――!
ニチュ、チュクッ、ニチュ、チュルル、グチュウウ!
「うああああああああああ!」
「こんなに硬く、美味しく味付けされちゃったら、私の中では一分も我慢出来ないかもね」
僕が喘ぐとファズは嬉しそうに抱きついてきた。
妖しい腰の動きと膣内の淫らな吸引が一つとなって、ペニスを追い詰めていく。
「そろそろ気持ちよく抜いてあげる」
「えっ、ま、待って!」
「だめ~♪」
肩に置いた手が僕の首に回され、ギュッと僕を抱きしめる。
そのまま彼女が激しく腰を振りはじめると、膣内も同時にざわめきが強くなった。
「ふあああああああああ!」
「もう出しちゃお? ファズの膣内におちんちんのジュース、全部捧げちゃおうよ」
「そんなの、い、いやだああああああっ!」
「強情なおちんちん、奪ってあ・げ・る♪」
クチュウウッ!
柔らかな肉襞が一気に収縮した。
(で、出ちゃう、奪われちゃう……僕の精液が、ファズに、このオマンコにいぃ~~!)
次の瞬間、ファズが僕の耳を甘噛みしてきた。
同時に僕の全身から力が完全に抜け落ちて――、
ビュルルル、ビュクンッ! ドピュウウウウウウウウ~~~!!
「うあああああああああああああああああああっ! あっ、あああああ~~~~!」
気が狂いそうなほどの快感に飲み込まれたまま、僕は彼女の体に抱きついた。
全身の毛穴から汗が吹き出し、喉が渇くようだった。
身動きが取れずに痙攣する僕の体を抱きしめながら、ファズが囁いてくる。
「はい、貴方の負けよ」
「そん、なぁ……くっ、は、ああぁぁ……」
「ここからは好きにさせてもらうわね」
脱力した僕から離れるファズ。
膣内で盛大に爆ぜたはずのペニスが空気に晒される。
「まだ元気いっぱいだね……お待たせ♪ おっぱいの中に閉じ込めてあげるわ」
「えっ、な……あ、ああああああああああああああああ!!」
ふにゅんっ
「どう? 気持ちいいでしょ」
「あ、が……ぁ……」
僕はまともに声が出せない。
暖かくて、優しくて甘い感触に全身を包まれたみたいで。
そそり立ったままのペニスは、ファズの美乳にすっぽりと覆い尽くされてしまった。
「ずっと我慢させちゃったもんね。たっぷり時間をかけて、空っぽになるまで搾り尽くしてあげる♪」
くちゅ、くちゅ、くちゅ、くちゅっ……
美乳を左右から手のひらで押しつぶすようにして、待望のパイズリが始まった。
規則正しくペニスが胸の中でもみくちゃにされる度に、僕の我慢が砕け散っていく。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
ビュクッ、ビュルル……
「ほらぁ、まだ五回目だよ?」
胸の谷間からはみ出たペニスの先端が苦しげに喘いでいる。
わずかに滲み出た精液が彼女の肌をますます白く染めていく。
「大好きなおっぱいでなら何度でもイけちゃうんでしょ。それそれっ!」
「や、やめっ、あ、ああああぁ~~~!」
ビュ、クッ……ン……
「はぁい、六回目♪ どんどん記録伸ばそうね」
「ハァ、ハァ、ハァ……」
無理やり搾り取られたのは僅かな量の精液だった。
だが五回目の射精の余韻が冷めないうちに僕は確実にイかされてしまった。
それでも肉棒の硬さに衰えが見えない。
これが自分の意志ではなく、彼女の性技によるものだと僕は気づけない。
「今度は先っぽだけ重点的に犯すわ。おっぱいの中で泳がせてあげる」
「っ!!」
その言葉通りの責めだった。
正面から胸の間に突き刺さったペニスに対して、ファズは両脇を締めて圧迫を強めてくる。
(あああああ、き、気持ちいいけど、これじゃあイけないよおおぉぉぉ!)
カリ首から先だけの挿乳に、僕は焦燥感を募らせる。
もっと深く、もう少しだけ深く突き刺せば快感を得られるのに……っ!
「じれったい? もうすぐ七回目がきちゃうかな? フフッ、フフフフフ♪」
「あああっ、イかせて! イかせてくれぇぇ!」
たまらず僕が懇願すると、不意に彼女がペニスを解放した。
そして膝立ちになって真っ直ぐに僕を見つめてきた。
「可愛い♪ ねえ、キスしよ……完全に落としてあげるから」
チュ、ウウゥゥ……♪
それは奪うようなキスであり、それでいて慈しむような愛情を感じる行為だった。
口付けと同時にビクンと震えた肉棒を、ファズは両手で優しく握りしめた。
(あああぁ、ファズ、ファズの唇が……ぁ……)
唇を奪われ、両手に力も入らず、ペニスだけが刺激されていく。
カリにまとわりつくファズの右手と、竿をゆっくり上下に扱く左手の連携はキスとの相性も抜群で僕の心を溶かし尽くす。
チュク、クニュ、クニュッ、クニュン、シュルルルル……
膣内とパイズリで何度も骨抜きにされ、全身が弛緩しているところへの優しい口付け。
さらに巧みな両手での包み込むような手コキが加わり、僕は完全に魅了された。
それは今日一番の猛毒だった。
美しい怪盗の素顔に魅了されながら、僕の意識は時間をかけて闇に溶かされていった。
◆
僕が目を覚ましたのは病院の一室だった。
何度も射精させられまくって、あの部屋で気を失った僕を見つけてくれたのは美術館スタッフだという。
あとで御礼を言いに行かねばと思っているところに憮然とした様子で上役が見舞いにやってきた。
そして数日後、出勤してからすぐに呼び出され一時間ほどお説教をされたのだ。
「くそっ……」
やっと説教地獄から解放された僕は自分の席で新聞を広げる。
怪盗ファズの記事は載っていなかったが、気持ちが落ち着くまでは新聞の文字を目で追うと決めたのだ。
すると、机の上にお茶が入った湯呑が静かに置かれた。
「あ、どうも」
反射的に挨拶をして見上げると、メガネを掛けた事務員さんが微笑みを返してくれた。
「そんなに落ち込まなくても良いと思いますわ」
「は、はい。ありがとうございます……」
心を見透かされたようで思わずドキッとしたが、そんな僕には構わず事務員さんは次の席へ向かっていった。
見慣れない人だった。所属は総務部だろうか。近くにいた同僚に彼女のことを尋ねてみた。
「変なことを言うなよ。うちの所轄ではこの時期に中途採用なんて採らないよ」
「えっ、じゃあ今のは――!」
事務員さんが消えた方を慌てて振り向いてみたが、既にその姿は見当たらない。
そして廊下まで追いかけた時に僕は気づいてしまった。
どこか覚えがある、薄っすらとこの場所に漂う魅惑的な残り香に。
『怪盗ファズとの記録』 (了)