『淫転の魔窟』
選択肢2・相手はサキュバスだ。絶対触らないぞ。
この部屋から脱出、もしくは先へ進むためには奥の扉を開く必要がある。
その鍵となるのはオレの隣りにいるサキュバス・ノエルだ。
相変わらず襲いかかってくる様子はない。
(ただ、先程の言葉が気になる……だけど淫魔相手に心を許せるはずなど……)
無意識に髪を撫でようとした手が止まる。
魅了されかけていたのだろうか。
先程ほんの一瞬だけ頭に浮かび上がった選択肢「髪を撫でる」を振り払う。
なに、慌てる必要はないのだ。
このノエルという淫魔を屈服させてから尋問、そして何か解決策を――
「むぅ、触ってくれないんですね!」
「えっ」
ノエルの不満げな声に気づいた時にはもう遅かった。
ちゅ……♪
「えへへ、隙あり♪」
「う、あぁ……!」
軽く重ねられただけの口付けに、俺の視界がピンク色に染まった。
チャームの魔法だが、これくらいなら……ッ!
「だいじょーぶですよ♪ 十秒くらいしか効果は続きません。でもぉ……」
ノエルは立ち上がらずに、オレに身を任せるようにして手のひらに魔力を込める。
「うふふ、ヴィトさんの身体をさわさわしちゃうのには充分な時間ですね♪」
「何をす……」
「すぐにわかりますから♪」
それは淫魔特有のピンク色ではなく、人間が用いる通常の琥珀色の魔力……彼女はそれを手のひらに集中させ、オレの肩や腰、肘や膝などに擦り付けてゆく。
「熱っ……うあ、な、何だこれ……あああああああああああ!」
「ふふふ♪」
触れられた場所に魔力が停滞している。手足が動かせず、重く感じる。
十秒程度が経った頃、彼女の予告どおりチャームの効果は消滅した。
「はぁ、はぁ、今、何をした……」
「そんなに痛くなかったでしょう? 大げさなんですね、ヴィトさんは♪」
微笑みながらノエルは再び両手に魔力を集中させ、震える俺の胸にそっと押し当てる。
今度はピンク色の魔力だ……まずい、回避できない!
「えいっ♪」
ずぷっ……どぷんっ!
驚いたことに、何の抵抗もなく彼女の手は俺の胸に沈んでいった。
鼻先まで近づいた彼女の顔が少し笑うのと同時に、胸に重い圧力がかかったような気がした。
そう、これはまるで心臓が握られたような……!
きゅっ……♪
「ぐ、あああぁっ!?」
「見えますか。これはヴィトさんの魂です♪」
「はぁ、はぁ、お、俺の?」
未だに淡いピンク色の魔力を放つ彼女の両手の上に、ほんのりと白く輝く球体が浮かんでいた。
彼女の顔より少し小さいくらいの球体……俺はノエルに、生きたまま魂を抜き取られたのだ。
「柔らかくて、暖かくて♪ ぎゅううぅってしたくなるような、大切なモノ♪」
ツツ……♪
輝く球体を大切そうに捧げ持ちながら、ノエルはそっと指先で表面をなぞる。
するとゾクゾクするような快感が俺の全身を駆け巡った。
「ひゃうううううぅっ!」
「こうやって、そっと触れてあげればなにも起こりませんけど、もしもこんな風にされたら……?」
俺の顔を見ながら、彼女は球体に少しだけ指先を食い込ませた。
そして爪の先で軽く擦るようにして――、
ズズッ……カシュッ!
「ぐ、がああっ!」
「ちょっと痛いですよね? 苦しくなっちゃうよね? だから、ノエルはこういう事はしたくなかったのに……」
ノエルが指先を離すと、淡く光る球体の色が少しだけ陰りを見せたが、すぐに元通りになった。
そして俺が感じた痛みは、ちょっとどころではなかった。
俺に目立った外傷はない。だが生命の危機を感じる。
ノエルの手の中にあるのが間違いなく自分に繋がっていると思わせるのに充分なデモンストレーションだった。
「まさか、さっき俺がお前の髪を撫でていなかったから……?」
「はい♪ ノエルはもっと、ヴィトさんと繋がりたかっただけなの……」
物憂げな表情で少女は言う。
だが俺は今すぐあの魂を取り戻して、ここから脱出しなければならないと考えていた。
それなのに、手足がだるすぎて動かせない……!
「くそ……」
「ふふ、魔法の効果はまだ続いてるはず♪ うまく動けないでしょ、ヴィトさん♪」
ノエルは少しだけ俺から離れ、輝く球体に向かってゆっくりと顔を近づけていった。
「その魔法が切れる前に、もっといいものを重ねがけしてア・ゲ・ル♪」
「ま、待て! 何をするつもりだ」
「決まってるじゃないですかぁ……ちゅっ♪ ヴィトさん、私の手の中で可愛がってあげます♪」
ドクンッ!
「あ、あぁ……!」
瞬間、俺の体がビクンと跳ね上がった。
ほんの少し唇が触れただけのキス。
ただし、直接魂に口付けられたのだ。
サキュバスの淫気を含んだ危険な唇で……。
「それからぁ、ペロ~ン♪ んふ、レロ、プチュ♪ チュルルル……そしてもう一度、ちゅっ♪」
「あ、あああっ! ま、待って、んひぃ、ふああああああ!」
手のひらで球体を抱きしめながら、ノエルは何度もキスをした。
しかも今度は舌を這わせたり、唾液を絡めながら舌先で突き刺したり……それら全ては俺の心と体に甘い刺激をもたらす。
いや、甘すぎて悶えるほどの、苦しみに近い快楽。
「はぁっ、はぁっ!」
「えへへ、魂が熱くなってきた? ほらぁ、色でわかっちゃうんですよぉ?」
ノエルに促され球体を見ると、ほんのり桃色に染まりかけていた。
それが徐々に元の色へと戻り始める。
同時に俺の呼吸も整ってくるのだが、依然としてノエルが圧倒的に優位だ。
「ヴィトさんはもう嘘をつけません♪ うふっ、今度は優しく、なでなで♪ なでなで……♪」
「うあっ、や、やめ……あ、あああぁぁ!」
ノエルの左手が球体……俺の魂を下から支え、右手は何度も同じ場所を撫で続ける。
まるで子供の頭を優しく撫でる母親のように、慈愛に満ちた表情で。
(ダメだ、これ、たまらない、絶対に耐えられない! ああ、ノエル、ノエル、それ、もっと……!)
魂を直接手のひらで撫でられる……しかもサキュバスによって。
既に俺の体は快感でしびれ、抵抗力を失っていた。
愛撫を続けるノエルの動作に澱みはなく、むしろ愛情すら感じる。
「気持ちいい? でもまだまだですよぉ♪ もっともっと優しく包んで、ぎゅぅっ♪」
「ふあああああああっ!」
「ノエルに抱きしめられてるの、わかるよね♪」
わかる、わかる、わかる!
ノエルは大切なものを抱きしめるように、豊かな胸の谷間に俺自身を挟み込んでいる。
その柔らかな快感と拘束に、俺はもう言葉を満足に吐き出すことも出来ない。
「わからなくても感じてね♪ 今からもっと、凄いことされちゃうんだから♪」
谷間に挟み込んだ俺の魂を左手で撫でながら、ノエルは何か複雑な呪文を詠唱した。
ぼんやりと夢見心地のまま俺は眺めていることしか出来なかった。
「じゃ~ん! これなんだと思う~?」
笑顔のノエルが俺に向かって右手を開いてみせる。
白い彼女の手のひらの上には、先端が尖った小さめの杭が乗せられていた。
それぞれ赤、黄、緑、青、紫……これが何だというのだろうか。
「この赤いのは、魅了の契(ちぎり)っていうんだよ♪」
「なんだそれは……」
「あー、知らないよね。今はもう一部のサキュバスしか使わなくなっちゃったから……」
ノエルは少しだけ申し訳無さそうな表情をしてから言葉を続けた。
「お手軽なのはチャームの魔法とか、相手に触れて脱力させちゃうとかなんだけど、それだと体の外から染み込ませるカンジだからぁ、効果が強くないの♪」
チャームならさきほどかけられた。
ほんの十秒程度だったが全く身動きが取れなくなった。
ノエルの言葉は続く。
「でもね、今からヴィトさんがノエルにされちゃう方法なら効果が永続するの。だって、魂の色を変えられちゃうんだもん♪」
「な、なんだと……!」
「ヴィトさんの魂、今はすごくきれい。濁ってないでしょ。そこに、これを埋め込まれたらどうなるかな……ふふふ♪」
ノエルはいたずらっぽく微笑み、俺の魂を胸の谷間から解放した。
中に浮かび上がったそれを見ながら、右手にあった赤い杭を左手でつまみ、魂の表面に突き刺した!
ツプッ……ゥ……!
「んああああっ!」
刺された瞬間にわかった。さっきよりも自分が、ノエルに縛られたことを。
体ではなく心が、ノエルを見ているだけで求めてしまうのだ。
「ほら、見える? 奥の方に、ズプズプ入っていっちゃうね~? 早く取り除かないと、ノエルに魅了されちゃうよ……ヴィトさん♪」
クスクス笑いながら彼女は言う。
だが俺は手足の動きを魔法で封じられている。
それ以上に今打ち込まれた赤い杭、魅了の契の効果が凄まじくて身動きがとれないのだ!
そうしている間に、魅了魔術の結晶とも言える赤い杭は……中心部に到達してしまった。
「ふふっ、弾けちゃえ♪」
ドクンッ!
「あああああああああああっ!」
何かが砕け散った音が頭に響く。そして俺は叫んだ。声を出さなきゃ気が狂いそうだった。
目の前が真っ赤に染まる。
魂の中心で、魅了魔術が解放されたのだ……勝手にノエルのことが頭に浮かんでくる。
そして消えるたびに寂しくなって、また彼女を思い浮かべてホッとする。
「ノエルぅ……ああぁぁ!」
「ほんのり赤くなった……かわいい~♪ 次はこれね、初恋の契。ふふふ♪」
「はつ、こい……?」
「初めて好きになった女の人、覚えてるよね? それを上書きしてあげる……今からノエルが、ヴィトさんの初恋相手だよ♪」
完全に身動きが封じられた俺に、ノエルは再び契の杭を突き刺す。黄色、可愛らしいパステルイエローの契が魂に――、
ツプッ!
「くはああああっ、あああ!」
「小指でそ~~~っと、推してあげるね♪」
ズプ、プププ……
「や、やめ……ふああっ!」
「もう奥まで入ったよ♪ ヴィトさんの初恋、甘~く……弾けちゃえ♪」
ノエルの指が離れた瞬間、何かが砕け散る音がして、意識が飛びかけた。
だって、目の前に突然初恋の相手がいたのだから!
「ん、はああぁ……ノエル、ああ、好き、もっと好きになる!」
「かーわい♪ チュッ♪ ふふ、ふふふ♪」
軽いキスをされて悶える。
魔法の効果がさらに強くなってしまうのに!
初恋の相手からのキス、甘すぎて気が狂いそう……甘い声を抑えきれない。
普段なら恥ずかしさで黙り込んでしまうはずなのに制御が効かない。
これが恍惚の契の効果……ノエルのことを考えるだけでさっきよりも幸せに感じる。
バッドステータスが少しずつ上積みされてゆく。
「赤いのが少し薄まって、ピンク色になってきたね♪ じゃあ次は三つ同時に契を刺して、奥で弾けさせてあげる♪」
すでに薄い桃色に染められた俺の魂に、ノエルは頬ずりをした。
すりすり♪ すり……♪
「あ、ああっ、ああああ! ノエル、それ、ふあああ~~!」
多幸感に身を捩りながら、俺は彼女の名を叫ぶ。
それを満足気に眺めながら、ノエルは残りの契を全て口に含んで、キスに混ぜて魂へと注入してきた!
チュプッ、チュププ!
「ひあっ、あああ、あああああ!」
「はい、これで全部だよ♪ えっとぉ、緑と青と紫の契……これは脱力、敏感、恍惚の効果があるんだよ~……って、ちゃんと聞こえてるかな? あはっ♪ ヴィトさん、すっかりフニャフニャになってるぅ♪」
ノエルの舌先で押し出され、キスにまぶされた契は、あっという間に俺の魂を別の色に染め上げた。
赤と黄色、それに青と緑と紫が入り混じった球体が目の前に浮かんでいる。
汚れなく、淡く輝いていた俺の魂は、サキュバスの手によってこんな淫らな感情が渦巻くものに成り果ててしまった。
これが今の俺の魂の色なんだ……
「じゃあ最後にとっておきのやつ、してあげる……♪♪」
恍惚とした様子で絶望した俺と、球体を見つめながら、ノエルは桃色の魔力を集めた右手を自分の胸に突き刺した。
悩ましげな声とともに、毒々しいピンク色をした球体が現れた。
「うぅん、あはぁ♪ これはね、私の魂……あのね、魂と魂はぁ、お互いの温度次第ではくっついちゃうんだよ?」
「あ、あああぁぁ……!」
「でも今はまだ色も温度も違いすぎるから、ヴィトさんを染めてあげる♪ 心の底からノエルのことが好きだって思えるようにしてあげるぅ♪」
ノエルはそう言いながら、自らの魂の表面を指でなぞる。
トロリとしたピンク色の液体が彼女の指先に付着した。
「見てくださぁい……ノエルの魂、表面のところが少し溶けてませんかぁ?」
彼女の指が俺の鼻先に突きつけられる。
それはどこか淫らで、甘い香りを放っていた……。
「はい、あ~ん♪」
「えっ、う、んうううう!?」
口を開けた途端、指先を放り込まれる。
「ゴックンして~♪」
クプッ、クニュ、グプ……
さらに彼女の指は俺の口の中をかき混ぜ、先程の怪しげな液体が引き伸ばされた。
ノエルの魂の表面に浮かぶ、とびきり甘い液体が口の中で広がってゆく。
これは……悔しいが、やみつきになる味わいだ。
「う、うううぅ……!」
「どう? 甘いでしょ……今からヴィトさんの魂は、このノエルの魂にコーティングされちゃうんだよ♪」
「えええっ!?」
「甘~く味付けされた、トロトロになってるノエルの魂が、ヴィトさんを包み込むの♪ そうすると、二人は深~く結びついちゃって、離れられなくなるの♪ ふふふ、素敵♪♪」
俺は戦慄した。
ノエルに先程、魂を軽く弄ばれていた時の快感は凄まじかった。
だがそれは目に見えていたものだから、ある程度は耐えられた。正気を保っていられる程度には。
だが今度は違う。ヤバい、あれは絶対に……人間が味わって良い快楽の限度を超えている!
「しちゃっていいよね? すっごく気持ちいいんだから♪ 魂が交わるところを想像しただけで、ノエルなんてさっきから何度も何度もイっちゃって……だから魂が甘く蕩けちゃってるの♪」
体をくねらせながら彼女が迫ってくる。
そして俺の顔を両手ではさみこんで、軽く口付けてきた。
「……逃さないもん♪ でも、サキュバスでさえ我慢できない、魂の快楽をニンゲンが味わったら、どうなっちゃうんだろうね?」
「あああ、許してくれ……ノエル!」
「怯えないでいいのに。大丈夫だよ♪ どんなにヴィトさんが、はじゅかし~いお顔になってもノエルは愛し続けてあげる♪」
怯えではなく歓喜であり、恐怖など微塵もないはずなのに俺は彼女に対して素直に欲望を口にできずにいた。
それはきっと、人間としての最後のプライドなのかも知れない。
だがそんな小さすぎるこだわりなど、今の彼女と俺の前では何の役にも立たないのだ……。
「じゃあいくよ~……トロ~リ♪ とろとろ……うふふふふ♪」
「うあ、ああああ、熱いっ、ひあああああああああ!!」
「あんっ、ヴィトさんの魂、ノエルに包まれて、暴れてる♪ 僕を許して、閉じ込めないで~って言ってるみたい♪」
自らの魂を擦り付けるようにしながら、ノエルはゆっくりと俺を染めてゆく。
俺の魂が少しずつノエルの色に包まれていく。
「あああぁ、俺が……消える、だめなのに……こんなの受け入れちゃ、んああっ!」
「でもぉ、甘くて、暖かくて、抗えないよね♪ もがけばもがくほど気持ちよくなっちゃうんだからぁ……♪」
すでに半分くらい、俺の魂は彼女にコーティングされかけている。
熱したチョコレートを溜め込んだ容器にクッキーを浸すように、ノエルはまんべんなく俺を自分の色に塗り替えてゆく。
「エッチするよりも淫らで、興奮しちゃうのに醒めなくて、相手をひたすら求めちゃう感覚……魂を包まれるのって素敵でしょう♪」
「ノエル、ううっ、こんな、ふあああ! ノエル、好き、大好き……!」
時間をかけて魂の色を塗りつぶされ、完全に俺は彼女に溺れてしまった。
自分の中に、もうそれしか口にする言葉が見つけられないのだ。
「ヴィトさんの中に埋め込まれた五つの契も、魂がコーティングされちゃったら外に飛び出せないよね♪」
わかってる、俺の心の中ではさっきからずっと同じことがグルグル渦巻くばかりで、他のことが考えられないのだから。
ノエルと幸せになりたい、ノエルの顔が見たい、キスしたい、犯されたい、抱かれたい……
だがその全てを口にすることは出来ず、彼女の体にすがりつくしかなかった。
言葉にするのがもどかしい、とにかくノエルと触れ合いたい……。
「うんうん、可愛がってあげるよぉ♪ ヴィトさんの心と体は、この先ずっとノエルと一緒だよ♪」
迷宮の奥深くで、俺は幸せになった。
最愛の女性に抱かれたまま、深く深く……意識を蕩けさせていけるのだから。
◆
――数日後。魔窟の外周にある街のギルドにて。
「ヴィトのやつが?」
「はい、音信不通です。魔窟に囚われたとしか……」
「そうか……引き続き捜索は続けてくれ」
ギルド長はその報告に顔をしかめてから、机の引き出しに手をかけて一冊の本を取り出した。
その本を開くと、かけられた魔術によって特定の人物と対話ができるのだが……
「おい魔王、話が違うじゃねえか」
「ナンノコトダ?」
「冒険者には手を出さない、生かして戻すという契約だったはずだが」
「アノ人間ノコトカ……アレハ仕方ナイノダ。門番ノ機嫌ヲ損ネタ」
「ああぁっ!?」
本の先にいる人物、それは魔窟の支配者だった。
ギルドは冒険者を送り込み、魔窟は冒険者が来ることでニンゲンの精を補給する。
持ちつ持たれずの関係を維持するために、密かな協定が結ばれているのだ。
だが今回ばかりはどうしようもない。
魔王でも手がつけられない夢魔がヴィトを気に入ってしまったのだという。
彼はもうここへは戻ってこれないだろう。
翌日、ギルド長宛に何者からか謝罪の手紙と、大量の金貨が詰まった袋が届けられたという。
『淫転の魔窟 BADEND』(了)