『リニューアルオープン』
久しぶりにこの店に来た。
というよりは、早朝サービス以外で訪れるのは初めてである。
時計の針は午後二時を回っていた。
ここは俺のお気に入りである店舗型ヘルス。
個室も広く衛生的な作りだ。
かつて登録していたメアドに、リニューアルオープンの知らせが届いたので立ち寄ってみた。
今週は偶然こちら方面で仕事があったので好都合だった。
そんな事を考えているうちに到着した。
お店の中は変わってないのに店名だけが変わってる。
はたしてこれをリニューアルと呼んでよいかどうかは疑問だが。
出されたドリンクを飲みながら嬢を選ぶ。
多少の割引目当てでお任せ(フリー指名)などという真似はしない。
風俗は大切な金と時間をかけた本気の遊びなのだ。
自分の気に入った嬢に体を任せたい。
最も、この店なら大体ハズレはないとわかっているのだが……
「えっ!」
とあるページで手が止まる。
新人と書かれている嬢の写真をまじまじと眺める。
(かわいい……)
見るからに柔らかそうな茶色の髪をふわりとふたつに結んでいるせいで、幼く見えるが二十代前半だろう。
体の線は細く、肌は白く美しい。
目の大きさは普通だが、目元が少し下がっているので優しい顔立ちに見える。
ビジュアルだけならぶっちぎりで可愛いというか、俺の好みだ。
この店は教育が行き届いているだろうから、性格が極度に悪いということもありえないだろう。
つまり、パネマジを差し引いても極上ということだ。
「この娘、空いてるの?」
黒服に尋ねると、首を縦に振った。
この時間、俺の他に客は居ない。
迷う必要など無く、俺はこの娘を指名した。
そして約十分後、俺は通された部屋で嬢と向かい合っていた。
彼女の源氏名は「エリ」らしい。
胸元のネームプレートを見つめる時間の百倍くらい、俺は彼女の顔を見つめていた。
パネマジどころか実物のほうが、どこか影のある表情で美しかった。
年齢の見立ては予想通りだったが、写真以上に全体的な体のバランスが良い。
思わず見惚れてしまうほどエリちゃんは可愛らしかった。
「あ、あの……?」
「ハッ! ごめんなさい」
俺が慌てて答えると、彼女は三つ指をついてお辞儀をした。
「指名していただきありがとうございます……」
「ずいぶんと元気がないみたいだね」
「あっ、すみません。駄目だな私……」
可愛らしい表情が少しだけ曇る。
「悲しい顔をしたらもったいないよ。せっかく整った顔立ちをしてるのに」
「っ!!」
俺の言葉を聞いて、彼女の体がピクッと震える。それに驚いた表情をしているようだ。
「あれ、なんか変なこと言ったかな」
「う、ううぅぅ……っ!」
「ちょ、ちょっと!?」
次の瞬間には彼女は薄っすらと涙を浮かべていた。変化が激しすぎて対応が間に合わない。
とりあえず目の前の細い体を抱きしめてみる。
「あっ……!」
「ほら、大丈夫……こわくないよ」
子どもに言い含めるように背中をポンポンとなでながらささやくと、少しずつ彼女は落ち着きを取り戻していった。
「すみません、ひっく、ひっく……」
「ああ、まずいな。どうしたものか」
「あ、大丈夫です、私のことなんて黒服さんは気にも留めてないですし」
抱きしめた腕の中で、彼女が俺の方を見上げる。
その瞳がまるで小動物のようで、さっき感じたものとは別の可愛らしさが溢れていた。
もう一度彼女を強く抱き寄せる。なにか事情があるようだった。
それからもう少しだけ待つと、彼女は指先で涙を拭ってから微笑んだ。
「優しくしてくれてありがとう。じつは、私このお店を辞めようと思っていたんです」
「どうして?」
「それは……自分にはあまり向いてないかなーって……」
「向き不向きはあるかもしれないけど、そんなことないと思うよ!」
「だって、おっぱい小さいんです!!」
「え?」
そう言いながら、エリちゃんは俺の左手を握って、自分の胸に押し当ててきた。
(これは……っ!)
手のひらに感じたのは、弾力ではなく柔らかさだった。
たしかに絶対的なボリュームはないかもしれない。それでもCカップよりは大きい。
巨乳の嬢にありがちな手応えはないが、そんな事はどうでもいい。
ふにふにとした柔らかな触り心地は男にとってはたまらない感触の一つだと思う。
そのまま俺はキャミソールの中へ手のひらを滑り込ませてみた。
「ひゃあぁっ!」
直接触れてみると、その触り心地はますます良いものだとわかる。
もしもこんなものをペニスに押し付けられたら、そのまま射精してしまってもおかしくない。
「あのさ、すごくきれいだよ」
「え?」
「確かに巨乳ではないけど、美乳っていうの? すごく形が良くて、柔らかくて、それに慎ましい感じが好きだな」
「ほんと、ですか?」
「お店で嘘ついても仕方ないでしょ」
「はい、ありがとうございます。すごく嬉しいです……」
ペコリとお辞儀をしてから、エリちゃんは恥ずかしそうに服を脱ぎ始める。
後ろを向いたときに見えた首筋から背中、腰のラインは素晴らしかった。
それに初めて見せてくれた彼女の笑顔はとびきり可愛らしかった。
こうして、ようやくプレイが始まった。
エリちゃんは、まるで恋人同士のように俺に抱きついてきた。
「えへへ、私がんばりますね……」
「いつもどおりでいいよ」
腕の中で彼女は微笑みながら俺を見上げ、そっと両手を下ろした。
ヌチュ、という音が遠くに聞こえた。
同時に俺のペニスは彼女の両手にしっかりと包み込まれていた。
「きもちいい、ですか?」
「うん、いいね……」
「ふふふっ♪」
ここで俺は気づく。この手コキは、気持ちよすぎる……腰が勝手に引けるほどに。
しかし彼女は片方の手を俺の背中に回し、そのまま下へ滑らせて腰を密着してきた。
「くうぅぅっ!」
「逃げちゃ駄目です♪」
手のひらにはたっぷりとローションがまぶされているようで、この上なく心地よい滑りが俺を絶頂へと誘う。
右手だけで角度を変えて、逆手で握りながら小刻みにしごかれ続ける。
時々、順手に戻し優しく根本から裏筋までを手のひらが往復する。
「こ、今度はこっちから、触ってもいい?」
「どうぞ」
このままだとあと数分も持たないと感じた俺は、気を紛らわせるためにエリちゃんの背中をなでた。
「どうされると感じちゃうのかな」
「ふあ、ああぁぁ……」
「敏感みたいだね。かわいいな」
エリちゃんは俺の目を見つめながらうっとりと見上げてくる。
それは演技には見えなかった。
「もっと、ほめてください……すごく嬉しくて、感じちゃうから……」
しかし極上の手コキが止まることはなく、さらに俺を追い詰めにかかってくる。
「うあ、ああぁぁ!」
「気持ちいいですか? うふふふ♪」
ペニスをしごきながら、その先端を自分の肌に押し当ててくる。
挟み込まれたペニスは快感を逃がすことも出来ず、さりとてこの素晴らしい密着感から離れる気も起きず……じわじわと射精欲求が高められていく。
「嬉しいです……エリをこんなに幸せにしてくれるお客さん初めて」
「じゃあ、こっちも幸せにしてくれる? 舐めてほしいな」
「はい、喜んで」
すっと彼女の手の動きが止まる。正直、あのままだとやばかった。
しかし俺はこのあと、さらに彼女の技巧によって追い詰められることになる。
「うっ……」
小さな口が中途半端に開き、ゆっくりと亀頭を飲み込んでいく。
ぷるぷるした唇の感触だけで我慢汁がさらに溢れ出すのがわかったのも束の間、咥えこまれた瞬間に俺は叫びそうになった。
(上手、すぎるううう!)
必死で歯を食いしばる。手コキで高められたせいもあって、肉棒全体が敏感になっているのだ。
そこへこのフェラは凶悪すぎる……!
ねっとりと舌先を先端からカリ首まで伝わせて、一気に吸い上げる。
じゅるるるという音が断続的に響き、一瞬遅れて快感が背筋を駆け上がってくる。
「このフェラすごい……吸い付いてくるし、あ、あああぁ、全部が、か、絡め取られてるうう!」
腰を引こうとしても先程と同じく、細腕が絡みついているから逃げられない。
ベッドに腰を掛けたまま、シーツの端を強く握りしめるのが精一杯だった。
「んふふ♪ さっきより大きくなってますよ?」
ぷはぁ、と息を吸い込みながら彼女が笑う。
ほんの一秒にも満たないインターバルを経て、再び亀頭がくわえ込まれる。
「んっ……♪」
「ひいいいっ!」
ひんやりとした空気のせいで性感がリセットされ、新たな快感を刻まれていく。
それを何度か繰り返された時、俺は完全に腰砕け状態になっていた。
「え、エリちゃ……やばい、出ちゃう……」
「じゃあ、ストップ……」
もはや射精という段階で、彼女が顔を上げた。
「えっ、どうして?」
「だって……もったいないから、こっちに入れてください」
いつの間にかショーツを脱ぎ捨てていた彼女が、ゆらりと立ち上がった。
そして片足をベッドに乗せて、右手の人差指と中指で膣口をクニっと開いてみせた。
「い、いいの?」
「本当は駄目なんですけど……私が黙っていればいいだけですから」
恥ずかしそうに頷くエリちゃんの顔と、アソコを順番に見比べる。
奥までは見えないものの、ピンク色の肉襞が俺を誘惑してくる。
(これ、絶対に気持ちいいやつだ……入れたら確実にイっちゃうやつだ……)
無意識にゴクリとつばを飲み込む。
「それとも、本番は苦手ですか? さっきの、お口のほうがいいですか?」
「いや……」
「じゃあ、お願いします。優しい男の人を、エリのここで……抱いてあげたい」
頬を赤く染めながら彼女は言う。
抱いてあげたいという言葉が気になるが、俺の気持ちが挿入を望んでいることは確かだ。
「じゃ、じゃあ入れてくれる……?」
俺の言葉に彼女が微笑む。
両手を俺の肩に置いて、正面から抱きついてきた。
「私が動いて、調節しちゃいますね……」
左手を俺の首に回したまま、右手がそっとペニスの根本を掴む。
その数秒後、淫らな音と同時に俺は彼女に飲み込まれた。
対面座位のままペニスが根本まで彼女の中に埋まる。
何度か腰を浮き沈みさせながら膣内を突き進んでゆく。
「うっ」
少し押し出されるような感触に戸惑うが、すぐに奥深くまで完全に飲み込まれたことがわかった。
すでに彼女の両手は俺の顔を抱きしめるようにして回されており、上半身は完全に密着している。
「あ、あああぁぁ!」
「んっ、んっ♪ あんっ、うふふふ……どうですかぁ?」
彼女に抱かれながら、左耳にささやきかけられる。
膣内はすでに俺の感じるポイントを完璧に把握しているように、内部で裏筋やカリ首、根本までもが不規則に咀嚼され続けている。
「え、エリちゃん! これ、すごいいいぃぃ!」
「もうっ、おちんちん暴れてるぅ♪ じっと我慢してなきゃだめでしょ? えいっ」
「ふああああああああああああああ!!!!」
体を抑え込まれたまま俺はその甘い刺激に喘ぐ。
小さなお尻がフリフリと揺らされるたびに新たな快感が腰を包み込む。
エリちゃんの内部は俺を徹底的に弄ぶように蠢き、射精を強制してくる。
放って置いてもあと数十秒も持たないだろう……特に奥の締め付けがすごい!
「も、もうでちゃう、でちゃうでちゃうでちゃううううううう!!」
「いっぱい悶えてる……かわいいなぁ……んっ、少しだけ我慢して♪」
すると彼女の腟内が急激に根本を締め上げてきた。
その瞬間、俺の目の前が真っ白になった。
無意識に腰が跳ね上がり、大量の精液が膣内にほとばし……らない!?
しかし体が痙攣して、射精と同じように心臓がどくどく……してるのに、イけないいいぃぃぃ!!
「あ、あ、あっ! でないいいいぃぃ! んむっ、んんんん~~~~~~~~!?」
「大きな声出しちゃ駄目ですぅ~」
小さな手のひらが俺の口をふさぐ。
ニッコリと笑いながら、エリちゃんが俺の声を遮ったのだ。
しかもこれじゃまるでSMプレイをしているみたいで……あ、ああああぁぁ~~~~~!!
またイかされた……しかも射精禁止のままドライで、目の前が真っ白にされてしまう。
すでに背中は汗だくになっており、体中に力が入らない状態。
「はぁはぁはぁはぁ!」
「ばれないように、エッチしよ? ちゅっ♪」
キスをされた瞬間、膣内でペニスが跳ね回る。
ちゅるちゅると舌を吸い上げられる感覚と、具合の良すぎるおまんこでドライ絶頂させられる感覚はとても良く似ていて、俺の体は無条件で彼女の言いなりになってしまう。
「あはっ、膣内でヒクヒクしてるぅ! 頑張ってるから、ごほうび……ぎゅううっ♪」
「んあああああっ、締めちゃだめえええええええええ!!」
「ん~? また出ちゃいそうですね。クスクスッ……出させてあげませんけど!」
そして再び、小さな手のひらが俺の口をふさぐ。
「叫べないように……お口を塞いでてあげますね?」
その直後、エリちゃんは俺を押し倒して騎乗位になった。
「んっ……」
口をふさいだまま、ゆっくりと彼女は腰をふる。
「えへへ……どうなっちゃうんでしょうね?」
「んんぅっ……!?」
視線が釘付けになる。
腰から上は動いていないのに、クビレを境にして彼女の体がクネクネと蠢いて――、
「んっ! んんんんんーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!」
前後左右に肉棒がしゃぶられ、犯され、溶かされている!
騎乗位になってから一分も経たないうちに、俺は今日一番の快感を彼女に叩き込まれていた。
前後の動きでは裏筋がめくられ、カリ首が削られるように刺激される。
左右に円を描く腰使いでは体中がしゃぶられるような錯覚に陥り、上下のピストンで精液が汲み上げられる!
そして彼女は体を倒して、俺にささやきかけてきた。
「緩めてあげるから、出していいですよ……」
言葉を理解した直後、じわりとペニスが、全身が蕩けだした。
エリちゃんの腰の動きも緩やかになり、聖母のような表情で俺を見つめている。
「あ、うああっ、あーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
だが俺の体は痙攣したまま絶頂を迎えようとしていた。
体中が熱い。
そんな俺の顔を彼女は両手で挟み込み、そっと触れるだけの口づけをしてくれた。
「イけ♪」
ビュクビュクビュクッ、ビュルルルルルルルル!!!!!!!!
耳というよりも、直接脳にささやきかけられた命令によって俺は爆ぜた。
あまりの快感に声をだすことも出来ないまま、俺は押し寄せる快感に身を任せるしかなかった。
そして数分後。
「くすっ、少し気絶してたみたいですね?
いつもあんなに感じちゃう人なんですか。
最後は私の方が……興奮しちゃった。もっと犯してあげたくなっちゃいました」
まだ動けない俺の体を彼女はきれいに拭いてくれた。
それだけでなく、服まで着せて体を抱き起こしてくれた。
「……今日はたくさん褒めてくれてありがとぉ♪ また、ここへ遊びに来てくださいね」
甘い香りに抱きしめられながら、俺は彼女がいる間はこの店に通うと心に誓うのだった。
(了)