これは『女性恐怖症の格闘少年、奮闘する』の二次創作です

第79話 if (3/3)



 目の前で体をよじって抵抗する総太郎を見つめながら、冴華は無意識に笑みを浮かべた。
 冴華が本気を出せば、男は必ず快楽に溺れて情けない顔を見せる。

 総太郎も例外ではなかった。
 必死になって快感に耐えようとする相手を性技で魅了するのは冴華にとっては楽しみのひとつだった。

「ふふ、結局男なんてみんな同じね……」

 しかし、そう呟きながらも冴華は総太郎に感心していた。
 冴華との本番行為が初めてではないとはいえ、今回はよく健闘している。

 ほとんどの男性は冴華に挿入した時点で果ててしまう。
 冴華は神倉流に伝わる性技を使うために腟内を自在に操れるように訓練している。
 そのため、必然的に名器になる。わざわざ実際に奥義を使うまでもないのだ。

「くっ、くそおおぉぉぉ!」

 総太郎は快感から気をそらすために冴華の胸に手を伸ばそうとした。
 震える手が形の良いおっぱいを掴む直前に、突然膣内の締め付けが強くなる。

「駄目だよセンパイ」

 冴華は意図的に膣奥ではなく、総太郎のカリを締め付けた。
 そこが彼にとって弱点と知った上でのことだ。
 同時に腰を軽くグラインドする。

「うああっ、き、きもちい……やめっ、あ、あああああああああ!?」

 下半身から全身へ広がる快感のせいで、総太郎の手が止まる。
 そして彼の指先が冴華に触れることはなかった。
 ペニス全体を冴華の名器に甘噛みされたおかげで、腕からすっかり力が抜け落ちたのだ。

「もう少しでおっぱいにさわれたのに、残念だったね? あはっ、あははははっ!」

 自分への嘲笑を、総太郎は歯を食いしばって耐える。
 快感と屈辱を同時に刻み込まれ、心が濁っていくのが自分でもわかる……。

(俺はこいつの体に触れることすら、自由にできないのか……ッ!)

 今までも、強すぎる快感に堪えきれず、目の前で揺れる美乳に手を伸ばそうとする者はいた。
 だがその指先が冴華の胸を捉える前に、冴華は男の動きをさらなる快感によって封じてしまう。

 快感を求めて伸ばした指先が、別の刺激によって遮られることで相手はますます渇望し、焦り、悶え狂う。
 その様子を眺めるのが冴華は好きだった。
 男に対して圧倒的な優越感を持ったまま、僅かな抵抗すら甘く塗りつぶしていくのは愉快だった。

「今日のことは忘れられなくしてあげるよ、センパイ」
「それはどういう意味だ……」

 絶妙な締め付けによって一瞬で追い詰められた総太郎とは対称的に、冴華は微笑んだままだ。
 ざわめく膣内はそのままに、冴華はゆらゆらと左右に腰を捻り始める。

「あなたを目一杯辱めて、大切なことを心に刻みつけてあげるの」
「あっ、ああああ、それえええええ!!」

 カリ首周辺を刺激していた膣内のざわめきが回転することで、総太郎には新鮮な快感を与えられる。
 冴華はそのことを熟知していた。
 どんな男でもこの技を繰り返せば絶対に精を搾り取る自信があった。

「射精した瞬間、あなたは完全に負けちゃうんだよ。敵である女に責められて喜んじゃうマゾになるの」
「うあっ、ああ、くそっ、こんなことが……!」
「センパイ、絶対我慢できないよ。念入りに外側も内側も、抵抗できないように甘やかしてあげたんだから」

 さらに冴華は腰のひねりに上下のピストンを加えてきた。
 総太郎の背筋にゾワゾワとした快感が走り、全身へと広がる。

(こいつのマンコ、具合が良すぎる! なんだよこれええええぇぇ!)

 気づけば完全に騎乗位の体勢だった。
 総太郎は手足の力を奪われ、踏ん張れなくされていた。

 奥へ行けば行くほど膣内の締め付けは強くなると冴華は言っていた。
 その言葉通りの感触だとわかっていても堪えきれそうにない。

 だからといって、膣の浅い部分の締め付けが緩いわけでもない。
 むしろ柔らかな刺激が程よく織り込まれていることが、総太郎を一層悩ませていた。

 余裕たっぷりに腰を動かしながら、冴華が総太郎に顔を寄せてきた。

「ねえ、私の膣内に出したい?」
「……くっ!」
「素直に言ってくれれば、言うことを聞いてあげてもいいんだけどな」

 その言葉をつぶやいてから、冴華は顔を上げて再び腰を振り始める。
 両手を総太郎の胸においたまま、ペニスが抜ける直前まで腰を引く。
 その体勢から、今度は一気に膣内の一番奥へとペニスを飲み込んでゆく。

ずにゅうううぅぅぅ……パンッ!

 腰を打ち付けられると、総太郎の下半身で新たな快感が弾けた。

「ぐあああああああああっ!」
「これ、気持ちいいよね? あたしもちょっと感じちゃうんだよ♪」

ずちゅううぅぅ……っ!

 甘ったるい声を耳元で聞かされ、総太郎はますますパニックになる。
 そしてまたペニスが抜ける直前まで体を伸ばし、一気に膣奥へと引き込む動作を冴華は繰り返した。

「あがっ、あ、ひい……ひいっ!」
「うふふふ……もう一回しよ? センパイ♪ もっとあたしを気持ちよくして?」

 冴華の性技以上に、誘惑が厄介だった。
 抗いがたい言葉の数々によって、心が溶かされていく。
 わかっていてもどんどん我慢できなくされていく。

 それがわかっているのか、冴華は同じ動きを繰り返す。
 総太郎に快感を刻みつけるように。

 そして数分後……

「くすっ、さんざん強がってたけど、そろそろ限界みたいね」

 すっかり射精直前にされてしまったペニスを膣内でやんわりと締め付けながら冴華が言う。
 総太郎からの反撃は、もはや警戒しなくていいと判断したのだろう。
 冴華は総太郎に優しくささやきかける。

「いいよ、このまま出して」
「え……」
「もう膣内に出したいよね。全部受け止めるから」

 甘い言葉を真に受けた総太郎は、目の前にある冴華の顔に見惚れてしまう。
 整った顔立ちも、美しいポニーテールも、柔らかなおっぱいも、美脚も、そして名器も……全てが総太郎を虜にしていた。
 これ以上逆らうことなどできそうにない。
 膣内で甘やかされたペニスにこれ以上我慢させる必要などないだろう。
 そう感じさせるのに十分なほど、魅力的な笑顔だった。

(私のおまんこで、あなたの全てを溶かしてあげる)

 優しさ裏に隠された冴華の真意に、今の総太郎が気づけるはずもない。
 ついに総太郎の心を守っていた最後の砦が崩れ落ちた瞬間だった。

「ほら、センパイ♪」

 冴華は膣内を調節して、先端から根本までをできるだけ柔らかく抱きしめた。
 慈愛を込めた抱擁を与えるように、じわじわと蕩けるようにペニスを刺激する。
 その数秒後、総太郎の下半身が激しく震え始める。

「あああああああああああ、出るうううううぅぅぅ!!」

 わけもわからぬまま総太郎は強く腰を跳ね上げ、叫ぶ。

ずちゅずちゅずちゅっ!

「冴華っ、さえ、冴華ーーーーーーーッ!!」
「あんっ、あんっ! そこ、いいよぉ!」

 冴華の喘ぎ声を聞かされて、総太郎はますます興奮してしまう。
 もはやそれが演技であるかどうかなど疑うこともしなかった。

 テクニックもなにもない、がむしゃらな腰振りだった。
 冴華に性的なダメージを与えることもないはずで、笑って受け流されてしまうのは当たり前だった。

(ふふっ、終わりね。このままひとりでイっちゃいなさい、センパイ♪)

 改定されたルールによって、総太郎が射精することで敗北が決定するわけではない。

 だがおそらく総太郎は自分から冴華への服従を口にしてしまうだろう。

 それは流派の再興を諦め、男として最低の道を歩むことと同じ意味を持つ。
 今までの総太郎ならありえない選択だ。

 冴華は、それでも総太郎は目の前の快楽を選ぶと信じていた。

 ここまでたっぷり時間をかけて、彼の選択肢を狭めてきた。
 おそらく総太郎は、冴華なしでは今後満足に射精することはできないだろう。

 そして事実、総太郎は冴華の膣内で人生最高の射精をすることしか考えられなくなっていた。

「イ、イく……このままイきたいよぉぉ……!」
「ふふっ♪ いいよ、センパイ!」

 冴華は喘ぎ声と同時に腰を軽くしゃくりあげる。
 小刻みな腰の動きが総太郎の最後の我慢を溶かしてゆく。

「やはあぁん! もう出して、出して! 出してえええ!」
「あああっ、冴華! 俺もイくっ、イく! あっ、あっ、ああああぁ……」
「くすくすっ、なんてね。バァ~カ♪」

 しかし、射精の直前、冴華はなんのためらいもなく腰を上げてしまう。

「はい、これでお・し・ま・い」

 膣内から肉棒が抜き取られる瞬間に、冴華は強くペニスを締め付けた。

「あああああああああっ、そ、そんな……」

 どぷっ、びゅる、びゅるるるるーーーーーーーーーッ!!

 結果的にその最後の一絞りが致命的となり、総太郎は射精してしまう。
 飛び散った精液は冴華の膝から太ももの間に付着して、一筋の模様を描いた。

「ごめんね、抜いちゃった♪ せっかくあたしの名前まで呼んでくれたのに」
「う、うう……どうしてなんだ、冴華……」
「あなたみたいに弱い男の精子なんて、膣外射精で十分だよセンパイ」

 悔しそうな表情をする総太郎を見ながら、冴華はおかしそうに笑った。
 そして近くにあったタオルで体についた精液を拭き取り、総太郎に向かって投げつけた。

「センパイの情けない顔、何度見ても飽きないよね」
「冴華……お前、よくも……!」
「でも最高に気持ちよかったでしょう? 今日のことを思い出してオナニーに励むといいわ」

 冴華は下着やジャージを身につけ、総太郎に背中を見せてから振り返る。

「その間、私は修行してもっと強くなるから」
「俺は、お前を許さない……絶対、リベンジしてやる!」

 勇ましい総太郎の言葉を聞いて、冴華は軽く鼻を鳴らす。

「まだそんな気迫を出せるんだね」
「うっ……」
「そうね。たまには犯してあげてもいいかな。ちんこだけは立派だもんね」

 冴華は無造作に総太郎に近づき、右足でそっと股間を撫でた。

「節操がないわね」
「なっ……やめ、あ、あっ!」
「こんなに罵られても反応しちゃうんだ。本当に救いようがない男ね」

 冴華はそのままペニスの先端をグリグリと弄んでから、数日前と同様に踏み抜いた。

「ほら、イっちゃえー!」
「ああああああああああああーーーーーーーーーーーっ!!」

びゅくん、びゅくうう!

 総太郎は抗うことも出来ず、再び射精してしまう。
 冴華は冷ややかな笑みを浮かべ、再び総太郎に背を向けた。

「じゃあね、斤木総太郎。犯されたくなったら、またあたしの名前を呼んでね」

 パタンと音を立ててドアが閉まる。
 その向こうに消える冴華の後ろ姿を、総太郎は快感に悶えながら見つめるのだった。







第79話 if 『方針変更 ~冴華~』  (了)

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