『風俗体験記 ~ひめはじめ~』
一年の計は元旦にあり……って、すでに一週間以上経ってるじゃないか。
そんなことを呟きながらいつもの通りを歩く。
都内有数の風俗街、ここはまだ新春ムードだ。
客引きの嬢や黒服が元気よく呼び込みをしてる。
だが俺はそれらに目もくれず、その中にある贔屓の店舗の自動ドアをくぐった。
「くじ引き……?」
「新春ですので」
入店後、ソファに腰掛けていると黒服が小ぶりな箱を持ってきた。
上面に開いている穴に手を入れて三角くじをひとつ掴む。
中を開けてみると「強制フェラ」と書かれていた。
今日のプレイ中に使えるオプションということらしい。早速あとで使うとしよう。
それから数分後、俺の名前が呼ばれた。準備が整ったらしい。
店内の廊下を曲がるとネグリジェ姿の嬢が笑顔で待ち構えていた。
彼女の源氏名は「ユキ」と言った。
裏を返すこと三回目、さすがにこちらの顔を覚えているようだ。
「またきてくれたんですね! うれしぃ~~~」
柔らかい体をこちらに押し付け、そのまま抱きついてキスをねだられる。
エレベーターに乗り込んで三階の部屋へと向かう。
「今日こそは絶対に負けないからな!」
「ふふっ、またそんなこと言ってるぅ~」
ユキはこの店ではトップクラスのテクニックを持つ嬢として人気者だ。
はじめてのときはフリーで入店して彼女に当たった。
二回目は入店前に思い出したように電話予約してから店に向かった。
だが今日は一週間前からネットで予約をとってからの登楼だ。
体調も万全なのだが、彼女の前に来るとどうしても心臓が高鳴ってしまう。
「うぅううぅぅ! だま、だまされないからなっ!」
「最後は絶対気持ちよくなってアヘアヘしちゃうんですから♪」
振り向いたユキの笑顔が可愛くて、視線を落とす。
するとピンク色のネグリジェの下にある大きめのバストが柔らかそうに揺れた。
(この間は、あのおっぱいに挟まれて何度もイかされたんだっけ……)
触れると吸い付くようなユキの肌を思い出して、股間が小さく跳ねる。
まだ脱がされてないのにこんなに興奮してしまうなんて。
ふにゅっ……
そう、この感触が忘れられなくて俺はここにき……うわあああああああああああ!!
「どーしたのかなーって?」
ユキは両手を俺の肩に置いたまま、まるで壁ドンをするように俺に密着していた。
グイグイと胸を押し付けられ、俺は脱力してしまう。
抱きついたままでユキは片足を俺の両足の間に割り込ませる。
太ももがじわりと股間を押しつぶし、また俺は小さく喘がされた。
「んぁ……んうううっ!」
「ほらね? くすくすっ」
声につられて下を向けば、彼女と目があってしまい、また俺は照れる。
ツヤツヤの黒い髪を撫でてやりたいのに指先に力が入らない。
肘から先が麻痺してしまったように、とにかくだるい……
「キスしてもいいですかぁ?」
甘く蕩けるような声でおねだり……反則だろ、これ……
微笑む彼女の体温を身近に感じて、また勃起してしまう。
しかもさらに花のような香りが漂ってきて……これは彼女の髪の匂いだ。
「くすっ♪」
そして波状攻撃を書けるように、甘くやさしいキスが俺の呼吸を奪った。
おそらく二分くらい、そのまま……ユキの唇を味わった。
「時間内無制限だからって、焦ることないじゃないですかぁ」
さわっ……
「うああああああああっ!!」
白い手のひらが俺のペニスを撫でる。
いつの間にか俺は真っ裸にされていた。
「回数よりも、あとで思い出しエッチしたくなっちゃうほど、魂に刻まれちゃう感覚をあげたいな~?」
たっぷり甘やかされたおかげで、ユキの声が素直に心に染み込んでくる。
そうだ、今までも彼女のことを思い出して何度も自分でしたんだっけ……
「えいっ」
「あはあああああああああああ!!」
手のひらがキュッとすぼまり、指先が棹や根本をさわさわと撫で回し始めた。
この手付きがたまらなくて俺は体を「く」の字に折り曲げてしまう。
「はぁ、はぁ……」
「ここ、弱かったんですよね?」
弱々しく首を横に振る。せめて強がりくらいはさせてくれ。
「ほんとにぃ~? ふふふ、うりうりうり♪」
だがユキは俺の気持ちを察したのか、さらに責めを強めてきた。
細い指先がカリを何度も弾き、我慢汁を先端にたっぷりまぶして再攻撃してくる。
そのたびに俺は顎を跳ね上げ、ユキの腕から逃げようとするのだが、愛撫を振り切ることはできない。
ねっとりと包み込まれた手のひらがゆるゆると上下するのを見つめてしまう。
体の芯が手コキだけで熱くされて、このあとまだパイズリも本番も控えているはずなのに、このまま昇天してしまいたくなる。
「かわい~~、もっとしてあげますね」
片手で俺を翻弄しながら、ユキは優しく添い寝するようにして体を押し倒してくる。
しっかりとペニスを掴まれたまま、俺はベッドで真横に彼女を感じることになった。
ちゅっ……
軽くキスされると、頭がボーッとしてしまう。
その様子を見ながらユキはまた笑いかけてくる。
「さて、そろそろ幸せ固めしちゃいますぅ?」
すると身動きの取れない俺の上で彼女が反転した。
シックスナインの体勢だ。
でもそれは俺の認識違いだった。
ぎゅ……
「えっ、あ、あの!」
ユキの太ももが俺の顔を挟み込んできたのだ。
同時に彼女は俺の上で、無防備なペニスを顔の前に捉えることになる。
「いっぱいカンジさせてあげます……」
れろぉ♪
「ふああああああっ!」
暖かなものが俺自身を舐めあげた瞬間、俺はあえいだ。
当然それがユキの舌先だと気づくわけで、しかもこの体勢では一方的になぶられてしまうわけで!
ぷちゅっ……レロレロレロ……チュルルッ、チュウウウ~~~
「あ、あっ、だめそれっ!」
太ももに挟まれ、叫んでみてもどうにもならない。
俺の手が触れられるのはユキの太ももとお尻だけで、秘所に指を差し込むことは難しい。
なんとか体を捻って逃れようとした瞬間、
「もう遅いですぅ~~。きゅんっ♪」
「ひぎゅうっ!」
すべすべの太ももが俺の呼吸を乱す。
その反動でペニスが敏感になり、抵抗を止めた俺をカンジたユキは再び優しく俺を包み込む……
ずりゅ、じゅりゅっ、じゅっじゅっじゅっじゅ……
「うああ、ああ、あ、きもちい、きもちいいよおおぉぉ!」
「逃げられませんねぇ~? はじめから逃がすつもりはないですけど」
勝手に腰が跳ね上がり、ユキに責められた俺の体が射精のサインを送る。
「イったらすぐに、またイかせてあげますぅ。あれ?」
ユキはベッドの上で何かを見つけ、つまみあげた。
それは強制フェラのチケット。
本来は男性有利な状況で切り出すためのチケット。
だが今は別の意味になってしまう。
まずい、この体勢であれをやられたら!
「このチケットを引き当てたんですね! じゃあこのまま優しく、ちゅううううううう~~~~~ッ♪」
「んひゃあっ、はうっ、ひゃめっ! あああああああああああああああ!!!」
この瞬間、強制的なフェラによる連続絶頂プレイが確定した……
ユキは大きく息を吸い込んでから、喉の奥深くへと俺を招待した。
そしてジュルジュルと音を立てながら何度も唇を動かし、咥え方が浅くなったときは舌先で先端を愛撫してきた。
(む、無理っ! こんなのぜったい、しゃ、射精すりゅううううう!!)
太ももに挟まれ、脱力したままで振る舞われた強烈なフェラに、俺はあっけなく白旗を上げてしまう。
ビュルルルッ、ビュルル~~~~~~~~、ビュクッ!!
「あがっ、あああああ、もうイってるからああああああああ!!」
「だめです~、まだまだ……んんぅ♪」
かぷっ♪
ピュルッ、トク、トクン……
「あ、ああ、ああああぁぁ!」
「もうすこしあるかな?」
ちゅ……
「ひぐっ! うあ、あ、で、るぅ……」
ドピュ……
断末魔の叫びのような射精をじっと見つめてから、ユキは舌先で優しく白い涙を拭った。
「ほらね? 最後の一滴が美味しいんですよ。うふふふふ♪」
その後も責めは続き、短時間で大量の精液を吸い出され、可愛らしい口の中へ断続的に吐き出した。
俺は声を上げながら、ベッドの上で何度もバウンドするようにして腰を叩きつけた
唇や喉の奥でしっかりと精液を受け止め、コクンと音を立てて飲み干した後でユキがこちらへ振り返った。
「ごちそうさま」
「はひっ、いいぃぃぃ……」
「可愛いお顔、大好きです。今年もいっぱい、はじゅかしい思い出を作ってあげますからね~? うふふふふ♪」
太ももから開放され、俺はベッドの上で死んだように天井を見上げた。
ユキと過ごす120分は、まだ始まったばかりだ……。
(了)