『専属カメラマン ~SNSで知り合った自称コスプレイヤーさんと出会ってみたら~』
連休の最終日、僕は指定された場所で相手を待ちわびていた。
話は数日前に遡る――。
「いつものカメラマンさんに急に予定をキャンセルされちゃった!
誰か優しいフォロワーの人、いたら助けて~~!!」
フォローしているコスプレイヤーさんが泣き顔の絵文字を交えてツイートしている。
彼女の名前は「みうる」という。
もちろんハンドルネームであり本名ではないだろう。
僕にとって彼女はあまりにも可愛らしい人なのでとても気に入っていた。
つやつやした茶色い髪やクリクリした黒目、細くて華奢な手足、セーラー服やブレザーをメインとした衣装構成。
おそらく身長もコンパクトなサイズで僕より少し年下なんだろうな……というふうに妄想が捗る僕だけのアイドル。
さいわい未だフォロワー数も四桁になったばかりで、これからきっと人気が出るのは間違いない。早い段階でフォローできてるのは微妙に誇らしいのだ。
自分がこの人を育てた、みたいなオタクにありがちなキモい妄想も口に出さなければなんだって自由だ。
さて、この時点では僕と彼女は相互フォロワーではなかった。
僕は窓越しに彼女という存在を眺める観客でしかなかった。
そんな理由もあって、特に深い考えもなくリプを飛ばしてみる。
どうせ相手にされないだろうと思いつつ。
ピローン♪
すると突然の通知音。
彼女にフォローバックされた! その直後にダイレクトメッセージ。
「ありがとう! 本当に困ってるんです。よかったらドタキャンしてきたカメラマンさんの代わりにシャッターを押してもらえませんか?」
いつも見ている彼女とはちがって、絵文字もなくて緊迫感のある文章だった。
さらに感謝のメッセージは続き、トントン拍子に話が進んでいく。
憧れのアイドルと会うチャンスだ。
僕に断る理由はない。
(でも、まじか……これは乗っていい話なのか? もしかして僕を誘い出してお金を巻き上げようとかそういう悪い話なんじゃないか!?)
急に僕は怪しいと感じて警戒してみたのだが、彼女はこちらの思惑に気づくこともなく日時や場所の指定をしてきた。
そして当日を迎えた。
待ち合わせの場所は繁華街にしてもらった。
とある書店の一階入り口だ。
これならヤバくなっても逃げ出せるし助けも呼べるだろう。
指定時刻前に現地に到着することはできたけど彼女の姿は見当たらない。
きっとどこかで僕を監視しているのかも……考えすぎだろうか。
さらに数分間が経過して、ドキドキしながら予定時刻を迎えた瞬間だった。
「あの……」
蚊の鳴くような声が、僕の左耳の後ろで聞こえた気がした。
弾かれるように振り返ってみると、僕より少し背の高い女の子が立っていた。
見覚えのあるというか、見慣れた顔が目の前にある。
画面上ではコンパクトに見えていた彼女は僕よりも背の高い美少女だった。
「メッセージした、代理の、カメラマンさん、ですよね……?」
「えっ、あ、あっ! そうです!!! みうるさん、ですか」
おどおどした様子でこちらをチラチラと見つめてくる女性に言葉を返すと、小さく頷いてくれた。間違いなくこの人が僕のアイドル……
(うわぁ……)
ため息しか出ない。
まだコスプレはしていないものの、その容姿は周りの人たちの目を引くのに十分なものだった。
つやつやの髪はストレートのままに、白と黒のボーダーのTシャツに白いデニムのミニスカート、そしてスニーカーという軽装だけど、手足が長すぎる!
むしろそのシンプルな美しさが周りの女の子たちとのレベルの違いを際立てていた。
「あの、なにか……変ですか、私……」
「えっ? なにがです??」
「さっきからあんまり、おしゃべりしてくれないから……やっぱり大きい女の子っていうだけで嫌われちゃったのかなって」
「な、なな、何言ってるんですか! そんなことないですよ、嫌いじゃないですむしろ好きッ」
大声かつ早口で返してしまった。
ううう、はずかしいぞこれは……
しかし彼女は逆に表情をぱっと輝かせた。
そして僕にギュッとしがみついてきた。
(やべぇ、いい匂いしかしない……それに体が柔らかいし!!)
目線の高さが少しだけ上の彼女に抱きつかれて僕は緊張する。
「あああああ、よかったです~~~~!!」
そんな僕にはお構い無しで、彼女は泣き出しそうな声で安心していた。
「はは……じゃあ行きましょうか、撮影」
「ハイ! 私も準備オッケーです~~」
僕の言葉に答えるように、彼女は手持ちのバッグをポンと叩いてみせた。
打ち合わせしていた撮影スタジオへと向かうと、そこは閉まっていた。
シャッターには無情にも臨時休業の貼り紙がされていた。
「やっぱり、私のせいですかね……ドタキャンされただけのも、スタジオがお休みになっちゃったのも……ふええええぇぇぇ」
彼女は悲しげに肩を落とし、小刻みに震えだす。
すぐに励まさないとこのまま膝から崩れ落ちそうに見えた。
「いやいやいや! そんな事ないと思いますよ!?」
「う、ううぅぅ、でも……」
「それに撮影なら他の場所だってできるじゃないですか! 公園とか、街の何処かでも」「私、着替えられないです~~」
「みうるさんは、そのままでも充分きれいですから!!」
僕のその一言で、彼女の震えが止まった。
「え……」
「えっ?」
お互いに顔を見合わせる。
やばい、僕がまずいことを言っちゃったんだろうな……みうるさんの表情が微妙に固まっている。
「あの、今、きれいって……」
「へ?」
「綺麗なんて、言われたことないんです」
その言葉に僕は愕然とした。
「いつもカメラマンさんには、でかいなお前!とか……もっと小さく見せろ、とかそんなことしか言われて無くて」
「まさか、嘘でしょう?」
「ホントなんです~~」
「ありえない……なんでそんな、みうるさんを傷つけるようなことを言う必要が」
僕は憤りを隠せずにいた。
隣りにいるのは憧れの女性だ。
それを見ず知らずのカメラマンに台無しにされたような、嫌な気持ちだった。
大好きなものを傷つけられて平気でいられる人間なんていない。
こうなったらそのカメラマン以上に僕がみうるさんを美しく撮って……
ふにゅっ……
「っ!?」
その時、僕の背中に柔らかい何かが押し当てられた。
さらに細い腕が後ろから僕を抱きしめて、ぎゅっと締め付けてくる。
背中に当たるものが彼女のバストであることに気づくまでに数秒間を要した。
「うれしい……みうるのこと、認めてくれるんですよね?」
「認めるも何も、大好きですから……」
すると、さらに僕を抱きしめる腕の力が強くなった。
「スタジオの場所指定、変更してもいいですか~?」
言葉の意味がわからず僕が黙り込んでいると、みうるさんは右手をすっと伸ばして少し先にある建物を指差した。
「あそこで、みうるのことを綺麗に撮影してくれますか?」
「えっ……でもあの建物って!!」
「もしも、いやじゃなければの話ですけど……どうですか」
美しい指が導く場所は、いわゆるラブホテル。
今ならサービスタイム中。
たしかにスタジオ代よりも遥かに安く済むだろう。
「い、いきましょう……」
「やったぁ~♪」
僕の背中を抱きしめていた彼女が小さく笑った。
◆
撮影は順調に進んでいった。
今日の衣装は学園制服からの脱衣で競泳水着……もちろんヌードはない。それでも彼女の細い手足を見ているだけでドキドキしてしまう。
ラブホテルの中は意外と撮影に向いていて、間接照明や広いベッドなどはモデルさんとしての彼女の魅力を高めているように思える。
「今日はいつもより気持ちよく進んでます~」
「そうですか」
「ハイ! カメラマンさんの代理を引き受けてくださったおかげだと思います~!」
みうるさんはそう言ってくれるけど、僕は本当に特別なことはしていない。
彼女に指示されたとおりのタイミングでシャッターを押し、角度を変えて何枚も撮る。ただそれだけだが、出来上がったものを確認してみると、いつも僕が画面上で見ているものと遜色ない彼女が微笑んでいた。
「わぁ、きれいに写してくれてありがとうございます」
「いやそんな……僕は何もしてないっていうか」
「そんなことないですよ~。とても可愛く撮れてますよね?」
「はい、とても可愛いです。あっ」
「えへへへへ、ありがと……♪」
ニッコリと微笑む彼女をみて、なんとなくうまくはめられた気がする。
誘導尋問されたみたいで恥ずかしいけど憎めない。
すると彼女は、ベッドの上でちょこんと体育座りをしてから膝を崩した。
「これからの時間は、私からのお返しタイムです~」
制服を着用して微笑む彼女は本当に天使のように見える。
間接照明が照らす白い肌を見つめていると、ゆっくりと脚が開き始めた。
「なにを……!」
「ふふふ、そのままじっとしててくれればいいですよ……」
見つめている脚の付け根部分が見え隠れしている。もちろん競泳水着を着ていることは知っているけど、それでも興奮を抑えきれない。
「それと、できればみうるのことをいっぱい褒めてくださぁい」
白く長い脚が僕を誘惑するように開き、恥じらいながらM字の形になる。
僕は無意識にカメラを手にとっていた。
「ほらぁ……きて……」
「い、いいの?」
「もっと近くで写してみたくないですかぁ?」
みうるさんの形の良い膝同志が一度くっついてから、ゆっくりと離れてゆく。
ピタリとくっついていたはずの膝が離れると太ももの内側がさらによく見えるようになる。
やがて彼女が両手を後ろについて、大きく膝を開いた頃には僕の顔は彼女の脚の間に吸い寄せられていた。
(いいニオイがする……女の子の、エッチな匂い……)
意識がふわふわしてくる。
カメラを構えることも忘れて間近で彼女の体温を感じていると、急に両サイドから顔が圧迫された!
「ふふっ、捕まえた~」
「ッ!!」
突然のことに手に持っていたカメラを手放してしまう。
みうるさんの太ももに顔が挟まれて軽いパニック状態になる。
「ついでに両手もぎゅうう~~~~~~~」
彼女は僕の顔を太ももで挟んだまま上体を引き寄せ、右手を僕の左手に重ね、反対側も同じようにした。
(て、手を握られて! それに太もも、スゲー柔らかい、なんだよこれ……!!!)
その間にも芳しい香りは強くなっていく。
両手をニギニギされながらの太もも攻撃に、どんどん力が吸い取られていく。
「んぶっ、ううううう~~~~~~~!!!」
「あれ? もしかして私のほうが力が強いですか?」
必死でもがいているのに軽々とあしらわれてしまう。
「ふふふふ……男の人なのにダメダメですね~」
ぎゅうう~~~~~~~!
「!!!!!!!!!」
「もしかして抵抗してるの? 全然力が入ってないですよ~」
ふとももが更に強く僕を締め付ける。軽くめまいがするほど彼女の体を味わってしまったせいで、全身がふわふわしている……。
「えいっ♪」
みうるさんはいったん手をほどいてから僕をベッドに押し倒した。
正座した姿勢のまま後ろに倒されたので、僕の足の付根から膝までが僅かに痺れる。
さらに彼女は体の位置をくるりと入れ替え、今度は太ももで僕の首を絞めあげてきた。
「これで本当に動けなくされちゃいましたね?」
変形シックスナインのままで、みうるさんがお尻を軽く左右に振ってみせた。
目の前で競泳水着に包まれた形の良いお尻が揺らめいている。
「興奮しちゃダメですよ? えいっ」
ぎゅうううう!!
「うっ、あああああ!!」
「あはっ、おちんちんはガッチガチです~」
ちょんちょんっ♪
「んうううううううっ!!」
身動きを封じられたまま、みうるさんの指先で亀頭を数回突かれた。
くすぐられるのに等しいもどかしさに身悶えするが、動けない!!
「うわぁ、エッチです~~」
「み、な、いで……!」
「こんなに期待してくれたんだね。チュッ♪」
「!!!!!」
いつの間にか下半身がスースーしていることに気づいた瞬間、生暖かいものにペニスが包み込まれる。
(こ、これってまさか!!!)
見えない状況がさらに僕を興奮させる。
さらにピチャピチャと妖しげな音が響き、少し遅れて下半身全体がじわりと溶け出すような心地よさに包まれた。
(間違いない、これ、フェラされてるんだああああああ!!)
理解した瞬間、快感が倍増した。
小鳥が木の実を啄むような音が何度も聞こえてくる。
「ちゅっちゅっちゅっちゅ♪ あはっ、もうお汁ドロドロ……いけないんだ~」
「んあああっ、くそっ! こんなの、違う、違うんですうううう」
「クスクスクスッ、不思議ですね~、動けないですね~?」
体を振って抵抗しようとした。
顔を横に降って否定しようとした。
でも全てが無駄だった。
「女の子が上になったシックスナインって、全然平等じゃないんですよ」
みうるさんの柔らかいふとももの肉に挟まれ、官能的な香りに思考を阻まれて僕は苦しげに悶える。
「これって男の子が一方的に責められちゃう危険な体位なのに」
じゅるるるるるるる……
正座したままで折り畳まれた僕の脚を押さえつけながら、彼女は全身を前後に揺らしながらフェラを続ける。
(きもちい、きもちいいいっ! なんだよこれ、うごけないのに、あ、ああああ!)
彼女の両手が僕の膝と膝を割り広げ、その間でそそり立つペニスの先を何度も甘噛みしてくるのだ。
「全然抵抗しないんですね? ふふふふ……これ、そんなに好き?」
「んうっ、す、すきいいい」
「クスッ、かわいい……もっと言って~」
みうるさんのリクエスト通り、何度も好きと言わされる。
そのたびに彼女は顔を上下させたり、軽く左右に振ったりして亀頭だけを刺激する。
「ンチュ、レロレロレロ……んふふ、もっと、ジュルルル……」
「んあっ、すきっ、すきっ、すきいいいい!!」
「認めれば認めるほど、気持ちよくされちゃうんですよ~」
脊髄反射のように好きと言い続ける。
もちろんそこには性行為だけでなく、彼女自身への好意も含まれているのだ。
「すきっ、すきです、みうるさん、すきいいいい!」
「いい子です~……きゅって上がり始めたタマタマも、優しくしてあげますね」
顔の動きがいったん止まり、彼女は両手の指先を足の付根に移動させた。
「あっ、あっ、あっ、ああああっ!!」
「なでなでなでなで……ほぉら、もう力が入らない……」
なんとももどかしい、さっきとはまた違う刺激が僕を乱れさせる。
睾丸をヤワヤワと刺激され弄ばれているという感覚が脳裏に刻まれる。
「いっ、ひい、あ、ああ、なんで……」
「負けちゃう男の子認定されたいんですかぁ? うふふふふ」
この刺激はやばい、何故かそう感じる……体の奥からありったけの精液を汲み上げられているような、彼女の指先に完全に支配されているような危険な感覚。
しばらくその刺激を続けてから、彼女がポツリと呟いた。
「いっぱい搾り取って、病みつきにしてあげましょう」
「っ!?」
首を締め付けていた太ももの力が緩み、僕の顔をまたぐようにして彼女が膝立ちになる。
「そうしたらこれからも会えますね~」
「え……」
顔面騎乗のまま見下され、目と目が合った。
いつもの可愛らしさに加えて淫らな美しさを含んだ彼女に見つめられて胸がドキドキする。
「ふふふ、調教済みの可愛い専属カメラマンくんとなら、私も安心して待ち合わせできますから」
さらにゆっくりと体の向きを変えて、みうるさんは正面から僕を見下ろしてきた。
ちょうどお腹の上に彼女のお尻が乗っているので、しっかりとその感触を味わえる。
「ま、まさか……」
「そうですよ? 最初からそのつもりだったの……」
「スタジオの休業も、はじめから仕組まれてい……んうううっ!」
ちゅうう、うううぅぅぅ♪
不意に彼女の顔が近づいてきて、唇を奪われた。
ベッドの上に押し倒されたままの僕に上体を預けるようにしての抱きつきとキスに、頭が混乱する。
クチュクチュとうごめく舌先に心をかき乱され、憧れの女性に口づけを与えられた幸福に酔いしれる。
一分近くキスをされてから僕は解放された。
ゆらりと身を起こした彼女は、左手を僕の胸についたまま右手を背中に回す。
「みうるの専属カメラマン兼性欲処理係に任命しちゃいます~」
さらに逆手でいきりたったペニスの先端を掴み、ひねりこむように刺激してきた!
ヌリュウウウウウウウウ~~~~……
「あああ、ああああああああ、イくううううううううっ!!!!」
ビュクビュクビュク!
「はぁはぁはぁ……」
「んふふ、まだ出ますよねぇ~?」
ビュクウウウウウ!
「あがあああああああっ!!」
「ほら、もう一回♪」
ビュルゥッ!!
妖しげな手つきでペニスを蹂躙する彼女の右手に抗えず、僕は全身を弾ませるようにして何度も射精する。
さらに数回搾り取ってから、みうるさんは備え付けのタオルで手を綺麗にしながら添い寝をしてきた。
「気持ちよかったですか~?」
もはや言葉を紡ぐことも難しい状況。
全身のけだるさに逆らいながら、僕は小さくうなずいた。
「じゃあ……来週も打ち合わせしましょうね」
「まじ……です……」
「ふふっ、本気ですよ? 当たり前じゃないですか~」
みうるさんはそういいながら僕に微笑みかけてくれた。
思わずドキドキしてしまう。
僕は彼女のこの顔がとても好きだった。
「こんな可愛い専属カメラマンくん、手放すつもりはありません」
ニコニコしながら彼女は言う。
素敵な笑顔に見とれていると、今までで一番優しいキスをしてくれた。
チュ……
「でも浮気しちゃダメですよ~?」
彼女は不安そうな表情でそう言ったけど、浮気なんてするわけがない。
目の前にいるのは理想を超えた最高の女性なのだから。
こうして僕は、憧れのアイドルの専属カメラマン役を喜んで引き受けるのだった。
(了)