『猛暑の子』
毎年この時期になると、僕は自宅から遠く離れたこの場所で一か月近く滞在する。
親戚が所有している別荘の管理人としてここへ訪れるわけだが、別荘内と庭周辺の清掃を委託されている。
所有者から僕への業務委託費用がバイト代となり、バイト代がそのまま滞在費用に消えていくという完全なる消費サイクルだ。
それでも日本有数の秘所地で一か月近くホテル住まいすることに比べたら圧倒的に安いわけで、気前のいい親戚から無料貸し出しの口実を与えてもらっているだけに過ぎない。
「今年も暑いなぁ」
汗をぬぐいながら室内清掃とエアコンのフィルターを最初に行う。
特にエアコンは最重要部分だ。念入りにほこりを払う。
そして数時間後、一仕事終えた僕は窓の外を眺める。
「まだ来てないって言ってたなぁ……」
窓の外を眺めると、ちょっとした林があって、その向こう側に青い屋根が見える。
別荘のお向かいさんだ。まだすべての窓が締まっているようだ。
「会いたいな……」
「誰と?」
溜息と同時につぶやいた独り言に、あるはずのない返答が被せられた。
びっくりして振り返るとそこには一人の少女が立っていた。
「ヒナちゃん!?」
驚いたままの僕を見つめながら彼女はにっこり微笑む。
キラキラ輝く茶色い髪と白い肌。
惜しげなく素肌を見せつけるタンクトップ姿とデニムのハーフパンツ。
素足にスニーカーという飾りっ気のなさが健全さをアピールしてる。
目の前にいるのは、まだ来ていないと思っていた青い屋根のお向かいさんの一人娘。
奥野日奈(おくのひな)。
それが彼女の名前だった。
「えへへ、聞いちゃった♪」
両手を背中の後ろに回したまま、日奈ちゃんは少し右側に体を傾けて僕の顔を覗き込んだ。その表情に思わず胸が疼く。彼女、一年前よりかわいくなってる。
体の線が少し細くなったのに、その、バストがふっくらしてるし……洋服のセンスも少し良くなってる気がした。年齢的には僕より三つ年下のはずなのに、もはや女子大生といって差し支えない容姿だ。
「こっそり部屋に忍び込んで盗み聞きなんて悪趣味だよ」
「別にいいじゃん、あたしが許す!」
偉そうにふんぞり返ると、サラサラしたセミロングの髪が揺れた。
日奈ちゃんは拳で自分の胸をドンッと叩いて見せてから、ケホケホと軽くむせている。
そして僕のほうへ向き直り、唇の端をニイッと吊り上げる。
「ねえ、うれしい?」
「何が」
「ふっふ~ん」
少し不貞腐れたように返すと、日奈ちゃんはそれっきり黙って、妖しげに僕を見つめ続ける。
こうして向き合ってるだけで伝わってくる。
それが幻想だとしても、彼女が目の前にいるというだけで正直、何かを期待してしまう。
一分も経ないうちに、たまらくなった僕は彼女の視線に降伏した。
「嬉しいよ。会えてうれしい。さっきからずっとドキドキしてる」
「へぇ! 一年前よりストレートなに言えるようになってるじゃん!!」
「ヒナちゃんはどうなのよ」
「へっ、あ、あた、あたしですかぁ!?」
今度は彼女のほうが目を丸くして黙り込んだ。
眉毛の角度も微妙だし、口元だってゆがんだままで頬も赤い。
「あー、うん、え、こ、こうやってお話しするの今年で何回目だっけ?」
僕からの質問を必死ではぐらかそうとしてる。
その仕草が可愛かったのでしばらく眺めてから答える。
「三年目かな……って、ちょっ!?」
「ふふふ、密着~ぅ!」
日奈ちゃんが僕に体を預けるようにして、一歩踏み込んできた。
見事なタックルだ。
完全にこちらの言葉がつぶされた。
「……じゃあ、しよっか?」
「え」
「一年間、ため続けてくれたんでしょ。あたしに会いたい気持ち」
「うん」
「ふふっ、やっぱりあたしのこ――ッ!!?」
ちゅ……っ……
今度は僕のほうから彼女に一歩踏み出した。
「……ずるいよ、先にキスしてくるなんて」
「これはさっきのお返しだから」
「それでも、ずるい!」
不満そうに見上げてくる彼女をもう一度強く抱きしめる。
すぐに肩の力が抜け落ちる。
そのまま僕は彼女の手を引いてベッドルームへと向かう。
すでにエアコンをかけておいて正解だった。
シーツや布団もきれいにしてある。
「なんか、体が熱い……」
薄いカーテンを閉めた窓の先で木々が揺れてる。
隙間から突き抜けてきた強めの日差しを受けて、彼女の体のラインが浮かび上がる。
確実に大きくなった胸と、キュッとくびれたウエストの対比が素晴らしくて、その美しさに息をのむ。
「ヒナちゃんってこんなにエッチだったっけ?」
「違うもん!」
僕の言葉を聞いて、とっさに彼女は自分の唇を指先で抑える。
そして僕に正面から抱きついてきた。
(やわらかいのに、しっかりしてる……)
抜群に抱き心地が良い。
その感動はすぐに下半身に伝わって、
「自分だって、何よこれ。期待しすぎじゃないの」
「あ……」
秒で彼女に感知される。
男の本能とはいえ、さすがにちょっとあさましい。
しかし彼女は気にした様子もなく、そっと体を離してから手のひらを僕の股間へと滑らせてきた。
「鎮めてあげる♪」
「あっ、ま、まって」
「だめ~~」
そしてスナップをきかせてペニスをしごきながら、ふっくらしたバストへと導いてきた。
「大きくなったんだよ、あたしの胸」
そんなことは見ればわかる、と言いたいのに何もしゃべれなかった。
明らかに興奮しすぎている自分の体を鎮めなければこの先が持たないと感じたからだ。
ちらりと胸元へ視線を落としてる。予想以上に深い谷間のスジがエロすぎる!
あんなところに挟み込まれたら、それだけで本当に射精してしまうかもしれない。
「なぁに見とれてるの? くすくすっ」
「だ、だって……」
ペニスから手を放して、両手で自分のバストを軽く持ち上げて僕に見せつけてる。
少なく見積もってもFカップ以上だ。
しかも持ち主がこの美少女。
猛暑すら忘れさせるほどの熱を持っている日奈ちゃんに僕の思考が溶けかかっている。
「ありがと、見つめてくれて。ちゃんと気持ちよくしてあげるね」
くにゅっ……
そして僕は、彼女に包み込まれた。
(ああああああっ!!!!!!!!)
必死で歯を食いしばり、彼女の名を心の中で呼びまくる。
おっぱいに挟まれたそれだけで、僕は彼女と一つになった気がした。
彼女の胸に、清らかで柔らかいバストにとらわれて身動きできない。
「あ、熱っ! なにこれ?」
驚きながらも彼女はぎこちなく手を動かして、じわじわとした快感を送り込んでくる。
しっとり汗ばんだ乳白色の谷間が僕を逃がさない。
サクランボみたいな乳首が時々ペニスに押し当てられる。
その刺激に自然と口元が緩んで溜息がこぼれてしまう。
「挟んだだけでビクビクして、なんかトロトロのがにじんできたよぉ……」
「実況されると恥ずかしいから言わないで」
思考を冷静に保とうとしながら彼女に言葉をかけると、ペニスを包み込む胸がギュッと強く締め付けられた。
「あああああああああああああっ、ひひ、ヒナちゃ――」
「却下。もっと恥ずかしくしてあげる」
「そんなっ!!」
ぺろりと舌を出したまま、誇らしげに彼女は自分の胸を見せつけてくる。
すでにたっぷり搾り出された我慢汁が谷間でヌラヌラと光っている。
無垢な彼女の体を汚す欲望がそこにある。
ベッドの上で向き合いながらゆっくりと長い脚が開かれる。
その奥にある茂みと、我慢汁で濡れた胸元と同じように光る膣口を見つめてしまう。
(もしかしてヒナちゃんも感じてるのかな)
ペニスはすでに限界まで反り返っており、痛みを感じるほどだ。
その痛みすら忘れるほど彼女の秘所は魅惑的で――、
「ほら、見て……きれいなままでしょ?」
「うん……」
「一年前の約束、果たしてあげる」
僕を見つめながら彼女が片膝をつく。
そしていきり立つ肉棒をそっと握りしめる。
「き、きもちい、いい……」
「そうなんだ? ふふふふふ」
それからクニクニと弄ぶようにして、先端を膣口に何度か押し当ててから少しだけ腰を沈めた。
クプゥ……
「問題なく入っちゃうかな?」
「あああああぁぁ!!!」
先っぽを包まれただけで甘い声を上げてしまう。
日奈ちゃんの膣内の熱がそのまま伝わってくる。
先っぽだけなのに明確に、僕を溶かそうとしてくるこれはきっと、愛情……なのだろう。
ズッチュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!
「んああああああああああああああっ!!!!!」
次の瞬間、彼女は何のためらいもなく腰を落としてきた。
ねっとりした感触に全身が包まれたような気分だった。
挿入させられた快感だけで、思わず脳がイってしまうほどに。
「はぁん♪ 全部入っちゃったね」
クプッ、クニュ、クチュウウウ!
腰をひねって楕円を描く。
日奈ちゃんは心地よさそうにその動作を何度も繰り返す。
「う、うごかないで!」
「それも却下。情けない声ばかりで今年も可愛いなぁ、おにいちゃん♪」
先端がコリコリした膣内に当たるたびに僕は喘ぐ。
何も言い返せない、この快楽を与えてくれる天使の前では全てがいい訳になるから。
「んふ、妹のあたしが可愛がってあげるよ」
そう、去年から僕たちは兄妹同盟を結んだ。
世界一仲良しで、熱い二人になるために。
背徳感すらスパイスにして、二人の夏を味わうために。
(でも、こ、これきもちいいいい! 気持ち良すぎるうううううう!!!)
妹の膣内に招かれ、しごかれ、蹂躙される。
愛情たっぷりに体を重ねてお互いを求めあうこの時間が何よりも幸せで、危険な夏の始まりを感じさせる。
日奈ちゃんも十分それをわかっていて、去年は毎日のように自分の別荘を抜け出してここに入り浸っていたのだ。
「おにいちゃんって、お金持ちの人なんでしょ?」
「そんなことないよっ」
「嘘。だって毎年一人でこんな大きなおうちにいるじゃん!」
「だからってお金持ちとは限らないだろ!?」
「なんでもいいよ、大好きなおにいちゃんなら」
チュウ、ウウウ……ッ!
そして飛び切り熱いキスで僕の唇をふさいできた。
口の中を舌でかき混ぜられ、意識まですべて日奈ちゃんに持っていかれる。
数分間続いたキスの後、僕はうっとりと彼女を見つめる事しかできなかった。
「う、あ、あ……ひな、ちゃ……」
「その声、ずっと独占してあげる。この一か月、ずっとずっと毎日」
そしてもう一度キスをされると同時に、膣内に閉じ込められたペニスがギュウウウウウウウウウっと締め上げられる。
「で、ああああ、出る! うああああっ、いい、い、イくううううう!!」
ビュルルルルルルルル、ビュクウウウウ!!!!
大量の精液がさかのぼる瞬間、僕は歓喜の声を上げてしまう。
一時的に解放された唇がヒクヒク震える様子を見届けてから、日奈ちゃんが再びキスをしてくれた。
チュ……ッ♪
その甘すぎる口づけに、残っていた精液がまた飛び出してしまう。
ビュルッ!
「あんっ、すごい……全部受け止めてあげる」
僕に押さえつけるように覆いかぶさったまま、日奈ちゃんはねっとりと腰を揺らし始める。
その巧みな腰使いに、ペニスが硬さを取り戻すのにそれほど時間はかからなかった。
それから二時間後。
「さっきあたしのことエッチだと思ったでしょ」
「そんなことないけど」
少し自嘲気味に切り出した彼女を慰めるように僕は言う。
「エッチは好きだけど、嫌い」
「どうして?」
「だって、また一年ためなきゃいけないから……」
彼女の言いたいことがわからず、しばらく呆然としていた。
だがすぐにひらめいた。
「何を……って、ああそうか!
僕がヒナちゃんに会いたいっていう気持ちをためるのに
一年間も時間がかかるっていう事?」
「ち、違うよ! あたしの気持ちを、おにいちゃんの為にためるの♪」
それっきり彼女は下を向いて黙り込む。
一年前の彼女が口にしなかった、素直な気持ちなのだろう。
僕はちょっとだけ素直になった可愛くて生意気な妹の頭をできるだけ優しくなでてやるのだった。
(了)