『男女対抗リレー』
新学期が始まり、クラスのみんなと顔合わせも終わった。
そして俺たちはいくつかの班に分かれて月末の運動会の準備を始めるように担任の先生から言い渡された。
うちの学園にとっては修学旅行と並んで大きなイベントと言えるだろう。
みんな楽しみにしている行事だし、スムースに準備が進んでいく。
約一週間後には運動会当日の役割など、大まかな準備はすべて整った。
そして当日。
午後の部が始まる前に、俺はクラスメイトの女子に呼び出された。
「次のリレーでわざと負けて欲しい?」
予期せぬ願い事に対して、あからさまに不機嫌な答えを返してしまった。
俺を校舎の影に呼びつけた女子生徒・仁見果歩(ひとみ かほ)が小さく頷く。
果歩はクラスの中でも女子の中心的存在で人気が高い。
勉強もそこそこいい成績だし、部活では好成績を残している。
所属は俺と同じ陸上部。俺は県大会の予選すら突破できないでいるが、果歩は関東大会で記録を残すほどの選手だった。
ある意味俺はこいつにコンプレックスを感じている。
しかし今はそんなことは関係ない。
不正を持ちかけられているのだ。到底受け入れられない。
「お前、自分が何を言っているのかわかっているのか。
みんなが見ている前でそんなことできるわけないだろう!」
「そうかしら? じゃあこっそりやればいいんじゃないの」
とぼけた顔で彼女は言う。
その拍子にサラサラの黒髪がふわりと風に揺れて、いい香りが漂ってくる。
「俺がいいたいのはこっそりとか、そういうことじゃない!
もういいだろう。この話は終わりだ」
「待って。まだ終わってないわ」
彼女の手が俺の腕を掴む。
めずらしく必死で俺を引き止めてくる。
(こいつ、黙ってれば可愛いのに……幻滅だぜ……)
果歩は長いまつげとクリクリした大きな瞳が印象的な美少女とも言える。肩より少し短いセミロングの髪は、今日は束ねられていない。
いつもはポニーテールなのだが、運動会ということで白いはちまきだけだった。
身長は俺より10センチくらい小さいが、果歩は非常にスタイルがいい。
脚の長さは俺とそれほど変わらないだろう。
ほっそりした脚は引き締まっていて、練習中でも時々見とれてしまうほどだった。
「いいかげんにしろ。
今の話は聞かなかったことにしてやるからお前も早く……うっ……」
ぐいっと彼女に引き寄せられる。
突然のことだったので回避できず、体がピッタリとくっついてしまう。
「少しくらい私の話を聞いてくれてもいいでしょ」
「なっ、離れ、ろ! ううっ、い、いい加減に……これはッ!?」
じっと俺を見つめたまま、果歩はジャージのポケットから1枚の写真を取り出した。
それは果歩がしゃがんで靴紐を結んでいる写真。
太ももがあらわになって、股間の食い込みが際立つ盗撮写真……何を隠そう、俺が密かに撮影したものだった。
なぜこいつがこれを持っているんだ!?
にわかにパニック状態になる俺。
「クラスの女子全員に勝ちに行くって言っちゃったの。
だから何が何でも条件を飲んでもらうわ?」
「いつの間にこんな写真を」
「出処がみんなにバレたら困るでしょ?
だからこれは見なかったことにしてあげる」
ビリビリッ!
果歩はその写真を俺の目の前で引き裂いてしまった。
先手を打たれた。
交換条件を持ちかけられている。
「そのかわり、いいよね?」
「し、しかし……ッ!!」
「もちろんただでとは言わないわ……クスッ♪」
うまく言い返せない俺に、彼女はさらに体を寄せてきた。
ふにゅ……んッ♪
ジャージ越しに感じる果歩の胸の膨らみは、想像以上に柔らかすぎた。
甘い刺激はすぐに俺の下半身に伝わり、悩ましくリフレインしてくる。
(こいつ、こんなところで……え、エロすぎる!!!)
果歩がゆっくりジャージを脱ぎ去る。
それは部活と同じ、女子アスリートらしいスポーツブラとスパッツという格好だ。
「……あなたの熱い視線、ずっと前から気づいてたよ?」
「!!!」
黒いスポブラとスパッツ、そしてその隙間から見え隠れする果歩の腹筋を間近で見せつけられた俺は、興奮が抑えきれない。
(こいつの体、綺麗だ……)
ガチガチに鍛えたわけではなく、女性らしさを残して割れた腹筋は美しい。
普段は遠目で見るだけの彼女の肉体と触れ合っている事実だけで、俺は身動きができなくされていた。
「見とれてるんだ?」
「っ! ち、ちが……」
「少なからず、私のことは嫌いじゃないって捉えてもいいんだよね」
「くっ……」
ニマーっと口を開けて果歩が笑う。
さらに彼女は俺を壁際に追い込み、顔を寄せてきた。
「答えたくないの? 別にいいけど」
呼吸を感じ取れる距離でささやかれると、もはや俺にはどうすることもできない。
無言で両手の拳を握り、果歩の誘惑に耐えていると――、
くりゅんっ♪
「あああああああっ!!」
「きこえちゃうよ。いいの?」
果歩の手のひらが、俺の股間をそっと包み込む。もちろんハーフパンツの上からだ。
それでもすでにいきり立っていた肉棒は、雄弁に俺の心理状態を彼女に伝えてしまう。
「手のひらでされるの好き?」
スリスリスリスリ……
「好きなんだ? ふふふ、エッチ」
「ぐっ、あっ、あ、そんな!」
「このおちんちん硬すぎ……無口な情熱家さんね」
ほとんど手のひらを動かさずに彼女が俺を追い詰める。
体温と呼吸を感じながらの手コキは容易に俺の思考能力を奪い去る。
クニュクニュクニュ……ピンッ!
「やめ、その手……んうああっ!」
しごかれながら、時々指先で裏筋付近を弾かれると我慢できずに声が漏れた。
果歩の指先は、まるで俺の弱点を知り尽くしているかのように次々と快感を注ぎ込んでくる。
「ここがいいんだ? ふ~ん」
スッ……
そろりと忍び込んできた指先が直にペニスをしごき始める。
ヌチュ、クチュ、ニチュニチュニチュニチュ!
(くそっ、こんなの、感じちゃいけないのに……俺のアソコが、どんどん硬くなって!)
まとわりついた細い指先に翻弄される。
「わかりやすい子ね……うふふふふ♪」
腰が砕けてへたりこもうとすると、俺の両脚の付け根に果歩が自分の膝を割り込ませてきた。
さらに体を密着させ、俺を壁に釘付けにする彼女。
細い足で、形の良い膝で腰を撃ち抜かれたようで俺は身動きできない。
(見上げられてるのに、上から目線とか……くやしい、のにいいいい!)
パンツの中に忍び込ませた手を緩めずに、果歩はじっと俺を上目遣いで見つめていた。あまりの恥ずかしさに俺は目を背けようとするのだが、
「ここじゃ難しいけど、後でおちんちんむき出しにして擦ってあげようか」
「え」
「あなた、さっきも私のおへそとかじっと見てたよね」
大きな瞳に魅入られるようにして俺は息を呑む。
相変わらず果歩はニマーっと笑ったまま俺をいたぶり続けている。
「そ、それは……」
「女の子の肌が露出してるところに目が行くのは仕方ないことだと思うよ。私もたまに、他の女の子のおへそとか見てるし」
「そうなの、か……?」
なぜかホッとした。咎められていた心は彼女の言葉で許された気がしたからだ。
「くすっ、ひっかかった……」
「なっ! うあああああああああああああ!」
ヌチュヌチュヌチュヌチュ♪
そんな俺の変化を彼女は見逃さず、急に手首を返してペニスの先端をこすり始めた!
快感の不意打ちに俺は身悶えしてしまう。
「仕方ないよね。あなたは男の子だもん」
「うあっ、ああ、や、やめっ!」
俺の懇願を彼女が聞き入れるはずもなく、快感が積み重ねられていく。
クニュクニュクニュクニュ……♪
「あああっ……」
「スポーツしてる女の子の体って、引き締まってて、それでいて柔らかいところもあって気持ちいいでしょ」
「うあっ、あああああ!!!!」
「図星ね。急に硬さを増したもの」
果歩はちらりと俺の肉棒に視線を落とし、見せつけるように唾液を垂らす。
トロォ……
(くっ、くそ……あんなの、やばい……絶対気持ちよくされちゃううううう!!)
温かい唾液がスローモーションのように祈祷に落ちて、予想以上の快感が俺自身を包み込む。
ヌチュウウウウッ……♪
「ふああああああああああああああ!!!」
恥ずかしげもなく俺は喘いだ。
唾液のローションはそのビジュアル以上に、甘すぎる快感を俺にもたらす。
果歩の唾液に包まれてる、支配されてるんだ……
「ねえ、私のこと好き?」
「くっ、それ、は……ああああああああああ!!」
くっちゅくっちゅくっちゅ♪
この状況で嫌いだなんて言えるはずがない。
それをわかっていて彼女は俺に何度も尋ねてくる。
俺はもはや弱々しく首を横に振ることしかできなくなっていた。
「ううう……」
息も絶え絶えの俺の耳に、彼女がそっと口元を寄せる。
(たっぷり吐き出していいよ。私の手のひらに)
しこしこしこしこ♪
甘い囁きと優しい手コキに俺は陥落寸前だ。
それはきっとペニスを掴んでいる彼女にも伝わっていたのだろう。
(この事は内緒にしててあげる……それに、私からのお願いも気にしなくていいから)
それは無慈悲な追い打ち、トドメとなる一言だった。
我慢する理由を消された。
射精しても咎められない、ただ気持ちいいだけ。
気持ちいいのは我慢できないよね? ほら、出して、すぐに出して……
心の中が果歩で埋め尽くされる。
「い、いあっ、やめろ……!」
シュシュシュシュシュ……
「許されて気が抜けた?
ふふっ、このままイっちゃえー!」
最後に抵抗しようとして顔を上げた俺に、
果歩がうっとりした表情で頬ずりした瞬間……、
ビュルルッ、ビュクンッ、ビュウウウ!!
我慢が全て溶け落ちた。
普段は見せない色っぽい表情が引き金となって、俺は彼女に負けた。
小さくすぼめられた果歩の手のひらに、断続的に精液を搾り取られてしまう。
ビュルッ……
「また出た。いい子ね」
すっかり彼女に絆された肉棒は、丁寧に時間をかけて全ての精液を吐き出してしまうのだった。
「く、は、あぁぁ……どうして……」
「うん?」
その数分後、後始末を終えた果歩を見上げながら俺は尋ねる。
最初のお願いである「わざと負けて欲しい」を、無かったことにしていいと言われた理由がわからない。
「ああ、そのことね。
だってわざと負けてもらわなくても構わなくなったから」
「なんだと……」
納得行かない様子の俺を見て、果歩は腰に手を当てながら笑ってみせた。
「私にたっぷり吐き出して疲れ切ったその体で、いつもどおりに走れると思う?」
「……あっ!」
たしかに全身の脱力感がひどい。
これでは好タイムは期待できない。
だからこいつは、ゆっくり時間をかけて俺を快楽地獄に連れて行ったのか!
「そういうこと。このあとのリレーは正々堂々戦いましょ。じゃあね♪」
ジャージを羽織り、ほほえみながら彼女は立ち去る。
振り返った果歩の後ろ姿はいつも以上に美しかった。
ある意味、憧れの美少女にたっぷり搾り尽くされたのだ。
思い出しただけでまた股間が熱くなる。
だんだん小さくなっていく背中に見とれていた俺の耳に、午後の部の開始を告げるチャイムが大きく鳴り響いた。
(了)