バトルファックコロシアム ~同年代対決 新人男子vs王者女子~



【登場人物紹介】

主人公 カズヤ 身長177センチ 65キロ
学園時代はアマチュアBF選手権銀メダルを獲得
半年前にプロ戦にデビューしてから負けなし
勝率100%で勢いに乗っている新人

対戦相手 アンナ 身長162センチ 50キロ
一年半前にプロデビューしてから経験と実績を積む
前女王の引退によってランキングが上がり首位になれた
勝率は6割程度だが秘めたる実力は相当なもの



 ここは某所にある地下闘技場。
 表向きは普通のサッカースタジアムであるが、試合が組まれていない日にも駐車場が満車になる時がある。
 紳士淑女がこっそりと入場していく姿を見かけることもあるようだが、地元住民にもその理由は詳しく知られていない。
 その実態は月に何回か不定期で開催される淫らな格闘技の会場だった。
 ここは聖地でありバトルファックコロシアムと呼ばれる秘密クラブである。
 成人済みの厳選された会員にしか届かない観戦券はマニア垂涎のプラチナチケットであり、転売不可能な独自のシステムもその人気に一役買っている。
 また秘密を公にした者には大きな力が働いて数日以内に社会的に抹殺されるとも言われている。

 この場所に関係する物騒な話はここでは横に置いて、本日は春の開幕戦である。
 マニア同士で囁かれている最近のトレンドは若手同士による対戦だった。
 それは熟達したプロ
 勝敗の行方が予測困難であることと、若手ならではの初々しさが人気の理由らしい。 だが今日の対戦カードは若手同士とは言え新人男子対女子王者という内容であった。

 新人男子である小多荷カズヤ(こたにかずや)はデビュー以来10戦全勝という好成績でこの場に立つ。決して大柄ではない彼のファイトスタイルは打撃で相手をひるませてからの羞恥プレイがメインだった。甘いマスクも相まって、新人としては多くの女性ファンを獲得していた。

 対する女子王者は見他中アンナ(みたなかあんな)という。この世界に入って2年目を超えたのでルーキーと言うには少々難があるがカズヤと同い年である。彼女は前王者が引退したあとの暫定王者であり、繰り上げ当選のような立場である。実際彼女の戦績は最近では芳しく無く、勝ちと負けを繰り返してこの場に立つことになった。苦労人であると周りからは言われていたが本人は全く気にする様子がない。

 最終的な掛け率は4:1で挑戦者が優勢。
 下馬評でも新人男子が勝つだろうという声が大きかった。
 女子は女王といえども暫定首位。目立って良い成績でもない。
 それほど勝利を期待されていないであろうことはオッズを見れば一目瞭然だ。

 しかし実際に試合が始まってみると……



「弱いなぁ……これじゃあたし、全然本気が出せないよ」

 リング内を大きく使って軽やかなフットワークを見せるアンナ。
 ポニーテールを揺らしながらカズヤとの距離を測り、自分の距離を保ち続ける。

 暫定女王のくせに自分の勝利を信じて疑わない生意気な声だ……と挑戦者のカズヤは苛立っていた。
 出鼻をくじかれたことは認めよう。
 オープニングヒットを与えたことも、僅かな油断があったことも認めよう。
 しかしそれもここまでだ。
 もう相手に付け入る隙を与えない、と彼は考えている。

 事前に仕入れた対戦相手の情報を思い出す。
 目の前にいるオレンジ色のリングコスチュームを着た女子は体も細く身軽な選手だが打撃に弱いという。逆にカズヤは打撃が主体のファイターだ。相性は悪くない。
 だが相手が万全のコンディションであるとは聞かされていたが、予想より少しだけ捉えにくい速さだ。

 カズヤはリングの中央にどっしり構えたままチャンスを伺っていた。
 相手の行く先を塞いでからのカウンター攻撃。それで流れを取り戻す。

(そこだっ!!)

 捉えたと思った。
 鋭く出した蹴りが彼女の右足に確実にヒットするであろうと。
 しかし狙いすましたはずのローキックは空を切り、カズヤが蹴り足を戻す前にアンナが身を寄せてくる。カズヤにとって二度目の困惑だった。
 実際のアンナの動きは前評判と全く異なっている。

「はい、またもーらい♪」

 軽くタックルをされて姿勢を崩す。
 そこへ伸びてきた白い腕。

「ぅくっ、またッ!」

 手のひらが優しく彼のトランクスに押し当てられ、いたずらを施していった。
 アンナの指先がカズヤのペニスの先端を捉えていた。
 そろりとなで上げられた股間にピリピリと快感が染み渡っていく。
 まるでこちらの動きを予測して、移動先に手のひらが置かれているような――、

(なんだよこいつ、動きのキレが半端ねえ!!)

 相手を跳ね除けるように手を突き出すが軽くいなされてしまい、さらに二人の隙間をかいくぐってアンナの指先が亀頭を指先がかすめていく。

「ふふっ、気持ちいいね?」

 カウンター気味に性的な快感を叩き込まれたおかげで続く蹴りが放てない。
 余裕の表情で女王が微笑んでいる。
 今までの攻防はたしかに軽い攻撃であるが、何度も重ねられると厳しい。
 積み重なっていく快感は体の芯を蝕み、彼を戦闘不能に追い込むのだ。

 悔しそうに自分を睨み返すカズヤを見ながらアンナが追撃を加える。
 すり抜けた細い腕がもう一度股間を撫でようとするのを見て、カズヤは咄嗟にガードを試みるが、間に合わなかった。

クニュッ……

「ぐううっ!」

 悔しそうに自分を睨み返すカズヤを見て、アンナはさらに追撃を加えた。

「やっ!」

 深く踏み込んでからの当て身。
 これは体勢を崩そうとする攻撃だ。
 カズヤは冷静にそれを回避する、が……踏ん張れない。
 そんな彼の動きを読んでいたようにアンナの手がぴったりと股間に張り付いていた。

「キミの攻撃はあたしに届かなくて」

シュル、クチュクチュ、クチュ!!

「くぅううっ!」

 すり抜けた細い腕が股間を撫でる。
 ノーガードで弄ばれたカズヤの顎が跳ね上がった。
 短時間での三度目の接触に股間が甘く疼く。

「ね? 逆にあたしの手は確実にキミに届く!」

 カズヤの肉体が硬直したことを見抜き、万全の体制でもう一度手を伸ばして先程よりもしっかりと陰茎をしごきながら亀頭を指先でピンっと弾く。

「あうううっ!」

 痛みと快感が混じったカズヤの喘ぎをしっかりと間近で感じ取ってから、ゆっくりと両手で彼を突き放す。

「はぁ、はぁ、はぁ……」
「ふふふ、そろそろあたしの実力を認めたほうがいいかもよ?」
「ぐっ……!」

 フラフラにされた上に情けをかけられたカズヤは歯噛みする。
 大画面に映されたその表情は遠くの観客まで歯ぎしりの音が聞こえてきそうだった。

『おおおおーっと、これは予想外!
 アンナ選手に翻弄され、一方的な展開になりかけているカズヤ選手!
 がんばれ、ラウンドの終わりまであと2分近くあるぞー!!』

 場内アナウンスがカズヤ陣営を煽り、観客もヒートアップする。
 わずか開始1分で大番狂わせを匂わせる展開だから当然といえば当然であった。
 カズヤの奮闘を望む声とアンナが勝負を決めにいくことを望む声が交差する。

「失礼だなぁ。あたしにとっては予想外ってほどでもないんだけど」
「まるで自分のほうが圧倒的に強いとでもいいたげだな!」
「ううん、それは違うと思う。気を悪くしないでね。
 データ上では実績も実力もキミのほうが上なわけだし」
「ムカつく言い回しだぜ……」
「そう? データ上はキミが勝ってるよ。データ上は、ね?」

 カズヤの心をかき乱すようにアンナが不敵に笑い返す。
 彼女は19戦9勝5敗5引き分けという成績だった。
 本人は謙遜気味に言ったものの、見方を変えればその勝ち負けはそのまま経験の差であるとも言えた。

「だが俺にとっては予想外だぜ。アンタ強かったんだな」
「あえて言うなら事前に研究しているかどうかの違いじゃない?」

 カズヤの挑発はスルーして、アンナはそう返した。

「俺を研究し尽くしたと?」
「そうだよ。たとえばぁ――」

 ゆるりと前かがみの姿勢になり、左手の人差し指をスポブラに潜り込ませて少しだけ引っ張る。同時にアンナはパチンとウィンクしてみせる。弾けるようなバストが胸から少しこぼれ落ちて、大画面で彼女の顔と胸を見た男性客から声援が上がった。

「恥ずかしくないのかよ!? やめろっ! このっ」
「研究成果その1。キミはこういうのにめっぽう弱い」

 慌てたように突進してきたカズヤの手首を掴み、巻き込むように自分から倒れ込む。
 柔道でいうところの膝車のように相手の出足に合わせて誘い込む。

「ぐあっ!」
「研究成果その2。キミは慌てると勝負を急ぎすぎる傾向がある」

 ろくに受け身を取らずに背中からマットに転がされたカズヤに、アンナが自分の手足を絡ませてゆく。

「どけっ、は、はなれろ!!」
「いやだよ~。ふふっ、今度は寝技で勝負だね」

 目の前にアンナの整った顔立ちがある。
 それが少なからずカズヤの平常心を乱す。

「このっ、なんで……あああああっ!」
「関節決まっちゃうよ? クスクス♪」

 カズヤのほうがアンナよりも腕力は上だ。
 しかし密着してしまえば、相手が力を出しにくい状況にしてしまえばそれほど問題ではなかった。

「こいつ……うぷううっ!?」

 カズヤの呼吸を乱すためにアンナは積極的に体を擦り寄せている。
 柔らかいバストを顔面に押し当てられたカズヤがパニックになるが、立ち直るより先にアンナは彼の左手首を取っていた。

「研究成果その3。キミは立ち技でのKO率が異常に高い。これは逆を返せば――、」

ギュリリリリ!!

「ぐあああああっ!!」
「寝技に強くないってことじゃないかな? うふふふふ」

 相手の左腕をひねりながら背中で固定する。
 さらに首に腕を回して胸の谷間へと埋没させる。
 アンナの得意技のひとつ「ブレスト・ドリーム・バレー」だった。
 何度も同じように胸に顔を押し込まれると、大抵の男は夢中になってしまう。
 それどころか相手によっては射精まで導くことさえ可能だ。

「う、うううぅぅ……!」
「おっぱいが気持ちいいの? それとも……」

 すっかりメロメロになった彼の顔を覗きながら、アンナは彼の無防備な股間に太腿を乗せた。そのまま自転車を漕ぐようにペニスの真上に円を描きだす。

「ああああああああああああーーーーーっ!!」
「いっぱいこね回してあげるぅ」

 さらにアンナは有利な体勢をキープし続ける。
 快感で悶え始めたカズヤの太い右腕を添い寝状態になった自らの体で抑えこみ、左腕を彼の頭の後ろへ押し込んだ。その様子は大画面に映し出されていた。リングの天井に設置されているカメラが、アンナの鮮やかな技を記録し続けた。

「あっ!!!」
「こっちのほうがお好みのようだね」

 カズヤは自分の左脇にアリが這うような感覚を味わっていた。
 アンナの指先だった。
 バトルファックにおいて自由になっている手のひらを遊ばせておく理由はない。
 感度が高まっている獲物をさらに追い詰めるように、アンナは指先で脇のくぼみを侵略し、乳首を刺激してから腰骨をくすぐっていた。

「はな、れ……お、おふぅ!」

 くすぐったさと快感が入り混じって、カズヤは平常心を保てない。
 アンナは悶えまくる彼を制しながら唇を首筋へ寄せた。

「いい声もらっちゃいましたぁ~」

レロォ……

「んひいいいっ!?」

 動脈に沿ってゆっくりと舐め上げられた首筋に刻まれる快感の残滓。
 ビクビクと反応する彼をみつめながら、アンナは舌先を伸ばしてカズヤの耳の輪郭をそっと舐め上げた。

「ああああああーーーーーーーっ!」
「女の子みたい。かわいい♪」
「こんな、はずじゃ……くそっ、おかしいぞ……」
「ねえねえ、自分より弱そうに見える女子に翻弄されるのってどんな気持ち?」
「ッ!!」

 あまりの恥ずかしさにカズヤは言葉を失った。
 答えられなかった。乳首をいじられ、脇の下を弄ばれ、耳を舐められたことに快感を覚えてしまった。
 その事実が、自分の弱さが許せない。
 自らが上げた情けない声は確実にアンナに自分の弱点を伝えてしまったのだから。

「離れろおおおおおおっ!」
「イヤ。あなたにとって残念なことに、あたしは寝技嫌いじゃないんだよね」

 カズヤに考える暇を与えないようにアンナが動き続ける。
 乳首に舌先を伸ばしてみせたり、カズヤの膝裏に自分の足を絡ませるなどをして自由を少しずつ奪っていく。

「ほらほら、だんだん動きが鈍くなってきてない?
 油断してるとチングリ返しちゃうよ」
「させるかああああっ!」

 カズヤは気合とともに奮起する。
 アマチュアですら絶対に避けなければならない敗北の定石。
 このリングにおいてチングリ返しにされた男は逆転不可能だ。

「筋肉からキミの焦りが伝わってくるよ」
「くそっ、俺は……」
「そんな雑な動きをしてるから隙が生まれちゃうんだよ」

 カズヤへの押さえ込みは微塵も揺らがない。
 それどころかアンナは真上から彼を組み敷くことに成功した。
 そこからわずかに体勢を変えながら、今度は逆の足でカズヤをいたぶり始める。

「もう両手が動かせないね」
「く、まだ……」
「だからね、こんなことだってできちゃう」

 体重をかけながら両脚をわり広げ、蛇のように腕を彼の首へ巻き付かせながらペニスを太腿の間で挟み込んだ。

「ひあっ、あああ、卑怯だぞおおおお!」
「ふふふふ、苦しそう」

 自分より体格で劣る相手に正面から抑え込まれ、余裕の笑みを向けられる。
 ギュッと抱きしめられながら暖かくて柔らかい女性の太腿に囚われたペニス。
 すっかりヒクついた男の弱点を揉み込むような足の動きに思わずカズヤの口から溜息がこぼれる。

「苦しい中に織り交ぜた快感って抗えないでしょ……もっと染み込ませてあげるよ」

 自分の技が確実に相手の性感を支配しつつあることに手応えを感じたアンナの目が妖しい輝きを増した。

 そこからラウンドの終わりまで、何度もカズヤは脱出を試みた。
 しかし快楽の肉檻は堅牢だった。
 彼が逃げようとする方向に合わせてアンナは力加減を調節し、彼が休もうとするのを感じとると股間を刺激してスタミナを奪い続ける。

 逃げる気力を霧散させる素股の効果は絶大だった。
 カズヤは押さえ込みによるフォール負けを恐れるあまり、がむしゃらに動き続けた。

 やがて苦悶の末、ゴングが鳴る音が彼の耳に聞こえた。
 すっと離れるアンナの体に名残惜しさを感じつつ、カズヤは立ち上がろうとした。
 そこへアンナが手を伸ばす。

「良かったね、負けるのが少し伸びて」

 気づいた時には彼女の手を握っていた。
 悔しさを感じる前に立ち上がらされていた。

「あ……」

 観客からパラパラと拍手が湧き上がる。
 アンナのフェア精神をたたえたものか、カズヤの奮闘を称えるものかはわからない。
 だがカズヤにとってはこの上なく屈辱的だった。

「このままじゃ恥ずかしいもんね?
 でも次のラウンドはもっと辱めてあげるから覚悟してね」

 悠然と背を向けて自分のコーナーへ戻っていくアンナを見送りながら、カズヤは歯ぎしりする。

「くそっ、なんだよあいつ……」

 このラウンドは誰の目から見てもアンナの勝ちだった。
 そのことを一番良く知っているのはカズヤだ。
 憮然とした表情で自分のコーナーへ戻った彼は、黙々とスタミナと平常心を取り戻す作業に専念するのだった。







 短い休憩時間が終わり、2ラウンド目が開始となる。
 疲労が抜けきらないカズヤに向かってアンナは無防備に近づいてきた。

 そして彼の目を覗き込むようにしながらこう告げた。

「選ばせてあげる。どっちがいい?」

 彼女は後ろに手を組んで、軽く胸を前に突き出すようにしながら目の前でニコニコしている。思わずごくりとつばを飲む。肌の美しさ、バストの大きさ、それに腰のくびれ、愛らしい顔立ち……たしか自分と同い年だったはずだ。

(こうしてみると、アンナって可愛らしい顔をしてるんだな。はっ、ちがう!)

 ぼんやりと見とれてしまった自分を戒めるように慌てて首を横に振る。
 カズヤは再び困惑する。
 相手の意図が読めないからだ。

「あと5秒。4,3,2……」

 突然始まるカウントダウンを聞いて、思わず手が伸びる。

「あんっ♪」

 弾むようなバストを両手で揉みしだく。そこで彼は気づいた。

(これは俺へのハンデのつもりか!? こいつ!!)

 急に怒りがこみ上げてくる。
 馬鹿にされていたのだ。
 こうなると次の取る手段はすぐに決まる。

「んちゅっ、うふふふ……」

 無防備な唇も犯す。胸を揉みながら相手の背中に手を伸ばし、強引に何度も口づけを交わす。

(お前に後悔させてやる! 俺を侮ったことをなッ!)

 闘志を燃やす彼の目を、アンナは薄く閉じた瞳で見守っていた。

 カズヤは胸を揉んでいた指先を下ろしてアンナの足の付け根へと向かわせる。
 短期決戦を覚悟した指の運びだった。

くちゅり……

「はぁんっ、んんんんっ!?」

 薄めの茂みをかき分けて、すでにヌルリとなっている場所を急襲する。
 クリトリスに爪の先が当たったとき、アンナの体がわずかに揺れた。

(感じる場所はそこか! よし、責めてやるッ!)

 相手にハンデを与えるなど思い上がりも甚だしい行為だ。
 バトルファックにおいてチャンスを見逃すことはありえない。
 プロならなおさらだ。
 相手の弱点がわかったらそこだけ責めればいいのだから。

「あふっ、あ、あああ、なっ!」

 カズヤの指の動きにアンナは敏感に反応する。
 クリトリスを軽く引っかかれて小さく叫んだ。

「そんな、乱暴に……きゃふっ……はあああぁぁぁんっ」
「喚け、泣け、もっと喘げ!」

 さらに量を増した愛液を指先に感じながら、言葉でもアンナをいたぶる。
 強弱をつけながら感じやすい場所を攻略していく。

(ハンデなどふざけやがって、たっぷり悔やませてやる! それ以上にお前を徹底的に感じさせてやる!)

 茹でられた貝が口を開いていくように少しずつアンナの脚が開いてゆく。
 カズヤが挿入するタイミングを測り始めたその時だった。

「ふふ、ふふふふふ……」

 耳元で感じていたはずの喘ぎ声がきれいに無くなっていた。

「な、に……」

 カズヤの背中に冷たい汗が流れた。
 平然とした表情で彼女が自分を見つめていたのだから。

「あれはすべて演技だったというのか。嘘だろ」
「演技じゃないよ。でも刺激が弱すぎて……ね?」

 わずかに呼吸を見出しながら女王は笑う。その表情が大画面に映されると、醸し出される色気にあてられた観客の口からため息が漏れた。

「バカな……俺はたしかにお前を」

 カズヤの牙は確実に相手の急所を捉えていた。
 しかしあと一歩届いていなかった。
 ゆえに仕留めきれなかったのだ。
 カズヤでなくとも少なからず衝撃を覚えて当然である。

「気持ちよかったよカズヤくん♪ じゃあ今度はあたしから――」

 愕然とする彼の体に軽く触れ、ひっくり返す。
 女性上位、騎乗位で彼を犯そうとしていることは誰の目にも明らかだった。

(そんな、俺は……いや駄目だ、忘れろ! 目の前に集中して――)

 カズヤがメンタルを立て直すまでの僅か数秒間。
 その短い時間でアンナは完全に馬乗りになり、彼のトランクスとショーツをずらして亀頭の先を膣口で捉えていた。
 当事者のカズヤでさえ見とれてしまうような流れるような動作だった。

「あはっ、もう踏ん張れないよね」
「くっ……!」

 カズヤは身動きできない。
 自分の鼓動だけが大きく聞こえた。
 この状況はまずい。バトルファックにおいて避けるべき体勢。
 心臓の真上にナイフを、もしくは背中に銃口を突きつけられたようなものだった。

ヌチュ……

「ふあっ!!」
「うふ、あたしとキスしちゃったね?」

 わずか1センチ程度だが膣内にペニスが飲み込まれ、吐き出される。
 それを何度か繰り返されてカズヤは青ざめる。

(女王の膣内……やばい、このままじゃ俺はッ!)

 こうして先端が触れているだけで妖しい気持ちにさせられてしまう。
 亀頭にねっとりとまとわりつく女王の愛液は暖かく、ペニスは深く挿入されるときを待ちわびるかのように震えている。
 屈服したくなる気持ちを振り払いつつ彼は予感する。
 このマンコに包み込まれたら、今の自分では抵抗が難しいと。

「カズヤくん、嬉しいよ。こんなに興奮してくれて」

クプ……

 2センチ沈む。

「ああぁぁぁっ!」
「おちんちんの感度も良好。これならあたしも楽しめそうだね」

ずちゅ……

 さらに3センチ沈む。
 亀頭が完全に飲み込まれてしまった。

(うあああああっ! 駄目だ、感度が上がりすぎてて!)

 平常心を保てる状況ではなかった。
 女王の膣内は想像以上に優しく、彼に我慢を許さない。

ズプ、クプププ……

 さらに10センチほどアンナの腰が沈み、ペニスが見えなくなった。

(あ、熱いいいいいいっ、しかも奥が締め付けて――!!)

 奥歯を強く噛みつづけても全身から力が抜け落ちていく。
 それほど男にとって気持ちいいバトルファッカーならではの膣内だった。
 事前に覚悟していなければカズヤは挿入直後に射精していたことだろう。

 完全につながった……気を抜けばすぐに射精してしまう。もはやしっかりとアンナと繋がった彼には、歯を食いしばって現状を耐えきるという選択肢しか残されていない。

「あん、硬いよ……カズヤくん♪」

 余裕たっぷりに微笑みながらアンナが腰を揺らす。
 膣内で自分が快感を耐えやすい有利なポジションへペニスを導く。
 逆に男にとっては不利な場所へ男根を封じられてしまう。

 本来なら挿入直後に工房があって叱るべきなのだが、今回は先にアンナがカズヤの心を溶かしているので駆け引きにすらならなかった。

 笑顔を崩さないアンナと、快感を耐え忍ぶカズヤの表情が二分割で大画面に映し出されて観客が熱狂する。

『おおおおーっと、絶体絶命か!
 ここからアンナ選手の公開処刑がはじまるのかー!!!
 はたまたカズヤ選手に逆転の可能性は残されているのか!?』

 屈辱的なアナウンスの声も彼の耳には届いていなかった。

 アンナは静かに片方の手を彼の胸に置く。
 もう片方の手は彼と指を絡ませた。これでもう逃げられない。

 胸についた彼女の指先が折れ曲がり、彼の乳首を軽くひっかいた。
 カズヤの口元が微妙に歪む。

「ンフ、気持ちいいんだ? 可愛い声出してくれちゃって」

 乳首への攻撃が有効と知った彼女はそのまま指先を動かし続ける。
 表情を崩さなかったカズヤの様子が変わるまでそれほど時間はかからなかった。

「それそれそれ!」

 乳首をカリカリとひっかくたびに、彼女が握っている彼の手がビクビク反応する。
 そのリズムに合わせて少しずつ腰を前後に揺らし始めた。

「ま、まてっ、動くな! んあああああっ!」
「あーははは! ねえ、ここってばプロのリングだよ?
 誰も叫んでるキミを助けてくれないわ」

 グラインドは騎乗位の中でも基本技であり、男性にとっては比較的耐えやすいとカズヤは思っていた。しかしアンナの騎乗位は違った。

(これは、やばい! このままじゃこいつに、本気のピストンをされるまでもなく、このまま漏らしちまう!!)

 カズヤを悩ませていたのは視覚効果だった。
 アンナは巨乳というよりは美乳であり、腰のクビレが美しい選手だ。
 膣内でペニスがこね回されるたびにカズヤは喘いだ。
 先端が、側面が、裏筋が蹂躙されている。
 この美しい女王に全身を包まれて屈服しようとしている。
 前後だけでなく左右の動きも加わってますます快感が跳ね上がる。
 そのことをアンナも自覚しており、使える武器は有効に使うことを信条にしていた。

「おちんちん苦しそうだね。あたしの中でビクビクしてるよ」
「うあっ、あ、はぁ、そんな、ことは――」
「大丈夫、あたしが助けてあげる。カズヤくん、すぐに楽にしてあげるからね?」

「やめろ、やめてくれれえええ!」
「うんいいよ。カズヤくんそろそろアンナに負けちゃお?」

 相手をいたわるような言葉を選びつつ、最後のダメ押しとばかりに女王が激しく腰を振る。発射寸前のペニスを崩壊させるために膣内の柔肉で念入りに彼を料理していく。

ヌチュヌチュヌチュヌチュッ!

「あ、あっ、あああっ、あああーーーーーッ!」
「我慢強い人……オマンコのなかでいいこいいこしてあげる」

 もう相手からの抵抗はない。
 頃合いと見たのか、アンナは腰の動きを小さくしてゆく。
 くねくねと腰を回す厄介な動きが止まり、わずかにカズヤの思考力が戻ってくる。

「そうは、いくかっ!」

 反射的にカズヤが手を伸ばす。アンナの表情に驚きの色が浮かび上がる。
 どこにそんな力を隠していたのか。

(そろそろだと思ったぜ! とどめを刺しに来るんだろう? させないぞ)

 これはカズヤの読みどおりだった。
 アンナはすでに彼の抵抗力を根こそぎ奪ったつもりでいた。

「んっ、気持ちいい、かも……」

 アンナは彼を拘束していた手を後ろにまわして胸を突き出すような姿勢になった。
 そしてうっとりした表情でアンナは彼に身を任せている。

(少しでも喘いだらそこから俺のターンだ!)

 指先に意識を集中させてカズヤは懸命にバストを愛撫する。
 こういった窮地を想定して反撃するために鍛え上げた技のひとつだった。

 あとはタイミングを合わせて腰を突き上げるだけだ。
 それで逆転できる。

 しかし――、

(まだか……!)

 なかなか望んでいる反応が降りてこない。
 指先からは手応えを感じているのに。

 バストに熱がこもり、確実にダメージを与えているはずだ。

(まだなのか、こいつ! 早く感じて喘……)

 アンナは指の先を自分の唇に当てて眉根を潜めて目をつぶっている。
 喘ぎ声が口から出ないようにしているような雰囲気が漂っている。
 絶対効いているはずだ。
 自分を信じろ、今は我慢だ……
 懸命に愛撫を重ねる彼が焦り始めたときだった。

「あんっ、おっぱい好きなのね♪」

 甘ったるい声でアンナはつぶやき、まぶたを開けて彼を見下ろした。
 同時に彼の両手をそっと握りしめた。

「き、効いてないのか……」
「そんなことないよ。さっきもいったけど、気持ちいいよカズヤくん♪」

 手のひらに包んだ彼の指先を揉みほぐす。
 まるで自分をいたわるような手付きにカズヤは抵抗を忘れてしまった。

「カズヤくぅん……」

 熱い視線で彼を見つめたまま唇を近づけてゆく。
 それは甘すぎる誘惑だった。
 普通の男子ならここで射精してしまっても責められないだろう。

(キスしたい、したいよ……でも、されたらやばい……意識が飛ぶッ)

 気づけば両手はしっかり握られており、彼女の顔がだんだん近づいてくる。
 腟内がキュンキュンとペニスを締め上げてくる。
 心地よさに気を奪われることを避けるために顔をそらす。
 するとアンナがフッと笑った。

「またあたしにお返しされたくなっちゃったんだね。わかった。キスはいったんやめて抱きしめてあげる」
「えっ……」

 握られていた両手が解放された刹那、脇の下から彼女の腕が回されていた。
 しっかりと彼の両肩を指先で掴むアンナ。

「な、なにを――」

 続いてペニスを包み込んでいた感覚が変わった。
 先端だけが圧迫されている、膣内から抜けかけているような状態。
 しかし彼が戸惑うひまもなくそれは再来する。

「いくよぉ~~~……えいっ!」

ぱちゅんっ!

 天空から飛来した女王の名器に一瞬で包まれる。
 そしてまた抜け落ちるギリギリまで腰を持ち上げ、腰を打ち付けた。

「それそれっ!」

ぱちゅッ!

 腰を打ち付けると同時に彼に思い切り抱きついた。
 女の子の髪の匂いに惑わされ、カズヤは無意識に彼女を抱きしめようと背中に手を回してしまう。

「嬉しいな。じゃあもう一度いくよ?」

 そしてまたアンナの腰が浮いてペニスの根本が空気にさらされる。

「うあっ、ああああ、またくるううううっ!!」
「えいっ!」

ぱちゅんっ!!

「あっ、あああああああああああーーーー!!」
「前の女王が得意技だったドリームパラシュート……キミなら何回耐えられる?」

 それからもアンナは勢いをつけて彼のペニスへのピストンを繰り返す。
 抜ける直前にペニスを思い切り締め付けていくので、男の方としてはたまらない。

「な、なんてマンコだ……やめろっ、やめてくれええええ!」
「ダメェ~」

 抱きついたまま彼の耳元で告げる。
 ビクッと体を揺らすカズヤ。
 甘い声で精神をかき乱され、我慢することもままならない。
 すでにペニスは射精し始めているといって良い状態だった。

「そろそろだね」
「うあ、あ、ああぁぁッ!」
「興奮しきった弱いおちんちん、アンナの膣内で犯しまくってあげるんだから!」

 ぱちゅっ……

 アンナは腰を思い切り落として深く彼自身をくわえ込んだ。
 断続的だった膣内の感触が今度はじわじわとカズヤを包み込む。
 彼にとってそれはまるで永遠に与え続けられる快楽。
 先程までと違うのは、カズヤはすっかり心の奥までアンナに犯され尽くしているところだ。

「キミはもう発射寸前の大砲みたいなものだからね。
 あとは優しく撫で続けているだけで……」

 正面から抱き合い、彼に頬ずりするアンナ。
 胸をぴったりと合わせたまま彼の手を握る。
 膣内を強く締め付けることなく、ただ肌の密着感だけが増してゆく。

「な、なんだ、これ……」
「きもちいいでしょ?
 射精寸前は敏感になるから、全身を手のひらでこうしてあげれば……」

 片方の手をほどいて彼の脇腹や二の腕を撫でてやる。

(き、きもちいい……なんで、これだけのことで……)

 次に与えてくれるアンナの刺激が待ち遠しくて仕方なかった。
 手のひらで撫で回されるだけで服従してしまいたくなるほどの心地よさ。

「天国だよね?
 好きになっちゃうよね、アンナのこと」

 にわかにカズヤの目に闘志が戻る。
 対戦相手に特別な感情を抱くことは敗北を意味する。
 それどころか今後彼女に勝てなくなってしまう恐れもあるのだ。

「うっ、うっ、ぐ、ああっ!!」
「いまごろ抵抗しても全然無駄だってば。このまま気持ちよくイっちゃお? 楽しいのはそれからだよ」

 密やかにそうつぶやきながら、アンナはゆっくりと膣内を締めてゆく。
 心のどこかで待ちわびていた直接的な刺激は、容易にカズヤの闘志を覆い尽くして封殺してしまう。

「ほら、おちんちんも喜んでる。あたしのオマンコの中でピクピクピク」

 言い聞かせるように囁きながら魅惑の手のひらも動かし続けている。
 少し顔を離した状態で首筋や胸元を優しくこすってやる。

「キミのお肌も同じだよ。私の手のひらでスリスリされて震えてる……」

 ぐっと堪えている彼の顔を女王を愛おしく思う。
 相当な刺激なのだろう。膣内のペニスがヒクヒク震えているのを感じながら、刺激の量を調節してゆく。

「お漏らししよっか? トクトクトクンって……」
「あ、やば、あっ、だめだ、こんな!」

 軽い言葉責めに彼がうめき出す。
 アンナは心のなかで笑う。メンタルは完全に崩壊している。
 あとは対戦相手の耳に快感を想起させるようなキーワードをいくつか放り込んでやればよいだけだった。

「もうイクの? イっちゃうんだね。ふふふふふ……」

 甘い囁きにチョロチョロと溶け出した我慢の壁が一気に崩壊する瞬間を見るのが彼女は好きだった。そして目の前の相手は彼女の好みにピッタリの獲物。

「ほら、イ・け♪」

 ささやくのと同時に耳たぶを舐め上げた瞬間、

「うっ、うわあああああああああああああああああああ!!!」

ビュクウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!!

 主人の許しを得た奴隷のようにカズヤは盛大に射精してしまう。
 あらん限りの力で脚を突っ張り、ブリッジするように彼女を跳ね上げようとする。

 膣内に濁流を感じつつアンナは小さく笑う。
 新人が女王に屈した瞬間だった。

 観客の目にも挑戦者の敗北は明らかだった。
 これでアンナがレフェリーにカウントを申請すればすべてが終わる。
 おそらくカズヤは立ち上がれないだろう。

 しかし、

「まずは一発。さあ、ここからが本番だよ~」

 やがて快感の奔流が収まりかけた頃、アンナはカズヤそう告げた。
 膣内では処刑されたようにペニスが虚しく空打ちしている。

「あが……なんでカウント申請しないんだ……」
「だって、射精確認はあとでできるし。それより今は追撃の時間だよね」
「なっ!?」

 カズヤには理解できなかった。勝負はもうついた。
 そう思っていたからだ。
 しかし女王はまだ追い打ちをかけるという。

(追撃? なんのために……ああああっ!)

 アンナは上体を彼に預けたまま、長い脚を外側から回して彼の動きを完全に封じた。
 同時に膣内もキュッキュと締め付けてきた。硬さと感度を確かめるためだろう。

「うごけ、ない……!」
「ここにいるのはアマチュアじゃないんだよ、カズヤくん♪」

 ペニスをしっかり噛んで、膣奥を締めながら軽く腰を揺らされる。
 両手と両足にアンナに縛られているようだった。
 まるで身動きができないまま、膣内の動きだけで屈服させられてしまう。
 もう彼には喘ぐことしか許されていなかった。

「お姉さんが教えてあげる。
 バトルファックに強~い女の子がどうやって男の子を味わうのかを」

 カズヤの顔がカーっと赤く染まる。
 同い年もしくは年下の女子にお姉さん呼ばわりを強要された気持ちだった。

(まさか、こいつは俺を嫐るつもりなのか!?)

 同時に甘ったるい言葉に隠された猛毒を感じ取ってカズヤは戦慄する。
 このまま責められたらすぐに射精してしまう。
 しかもドライ絶頂になる可能性が高い。
 そうなると無限ループだ。

きゅ、うううぅぅ……

「しまっ、あ、あああああっ!」
「ほらおちんちんまだ硬いよね。
 だから今のうちに埋め込んであげるの」
 このオマンコにこの先も勝てないように、あたししか押せない快感のスイッチをいくつも植え付けちゃうんだよ~」

 ペニスを圧迫されて抵抗力が霧散する。
 そんな彼に向かってアンナが囁く。

「ブレイクしたかったら動いていいよ。ロープまでこの姿勢のまま動けるならね!」

 カズヤが視線を上げればコーナーポストが見えた。
 しかしいずれも遠い。
 自分はおそらくリングの中央にいるのだ。

「くそっ! こんなことが……」
「きゃははっ、絶望しちゃった? じゃあ、たっぷり遊んであげる」

 その言葉通りアンナはラウンドが終わる十秒前まで彼を弄んだ。 

 全身を快楽漬けにするように手足の感触を刷り込んでみたり、
 膣内に閉じ込めたペニスを軽くあしらってみたり、
 もうやめてくれと叫びそうになった彼の口をキスで封じてみたり。

 それはリング中央で行われた凄惨な処刑であり、ここへやって来た観客が待ち望んでいたものでもあった。

 カズヤにとっては永遠とも呼べる時間が流れ、やがて……

「カウントをお願いします」

 アンナに促されてレフェリーが駆け寄る。
 規定通りの秒数でカウントが進む。

 アンナの技に蹂躙しつくされた彼は立ち上がれなかったがカウントが終わる前にゴングが鳴り響き、強制的にカズヤはコーナーへ戻された。

「あっ、ゴング鳴っちゃった。まあいいか。
 次のラウンドで最後にしてあげる。せいぜい回復してね」

 悠々と自分のコーナーへ戻ってゆくアンナの背中をカズヤは見て気がつく。
 彼はわざと見逃されたのだ。普段の彼なら怒り狂う場面だ。
 しかしたっぷりと屈辱的な快楽を、甘い猛毒を味わったあとでは心と体がちぐはぐになってしまうだけだった。


 そして運命の第3ラウンドが始まる。

「はぁっ、はぁ、はぁっ、くそ……さんざん痛めつけてくれやがったな」
「あれだけやられて立ち上がれるなんてすごいね。ふふふふふ」

 ヨロヨロと足を進めてくるカズヤを見てアンナが笑う。
 満身創痍でスタミナ切れを起こしているはずなのにずいぶん健気なことだと思う。

「じゃ、続きやろうか? ここからはバトル重視で」

 ファイティングポーズすらままならない相手の死角へ回り込んで、アンナが左フックをお見舞いした。

ズムッ……

「がはっ、くそ……負けねえぞ!」

 深く食い込む拳を払い除け、カズヤが吠える。

 そこから先は一方的な展開だった。
 カズヤの攻撃は空振りさせられ、アンナの手加減したパンチが全弾ヒットする。

「もう動きにキレがなくなっちゃったね。
 1ラウンド目は苦労したけど今ならこんなふうに――」

 アンナはすばやく身を沈めて足払いでカズヤを転がし、そのまま腕ひしぎへ。

ギュリリリッ

「あがあああああああっ!」
「関節技も気持ちよく入っちゃうね。うふふ、痛い?」

 十秒ほど彼を痛めつけてからアンナは自分から技を解く。
 次にどんな技をカズヤに試そうかと思案しているようだった。

 だが、ここまで劣勢であっても彼は諦めていなかった。

(一発逆転を狙うしかねえ……打撃で転がしてから正常位で短期決戦だ)

 痛めつけられた部分を擦りながら冷静に相手を見据える。
 自分のことを侮っている相手の隙を付く。
 勝ち負けに拘らなくなったらバトルファックじゃない、と彼は考えていた。

「うおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 アンナが自分に向かって足を踏み出した瞬間を狙う。
 その脚をタックルで刈り、そのまま挿入へ持ち込むのだ。
 騎乗位が得意な相手は総じて正常位に弱い。
 今はそう思い込むしかなかった。

 だが、組み付こうとした相手の姿が目の前から一瞬で消えた。

「なっ!?」
「だからぁ、遅いって。えいっ」

 鮮やかなサイドステップだった。アンナはこうなることを予測していたのだ。
 そして逆に前のめりになった彼の背中に覆いかぶさりグラウンドへと持ち込む。

「おちんちん、おかえりなさいしよっか?」

 あっという間にカズヤの視界いっぱいに天井のライトが広がり、続いてアンナの笑顔が目に入ってきた。

 女王の両手が自分の両方を抑えているのを感じる。
 まるで全身がリングに釘で刺されているようだった。
 全く身動きができなかった。

ずっちゅううううううううううう!!

「ああああああああああああああああああああああーーーーっ!!」

 そんな無防備な状態でペニスが飲み込まれた。
 女王の膣内に。
 さんざん自分を犯し尽くした名器が容赦なく彼を包み込んでいく!

「おかえり♪ 待ちわびてたよ。キミの硬いおちんちん、完全にノックアウトしてあげたくてキュンキュンしてたんだからね」

 一気に奥まで飲み込まれたあと、カズヤは無重力を味わっていた。
 ペニスだけでなく全身を包まれているような。
 アンナに見つめられ、身も心も抱きしめられているような錯覚。

「反撃できると思ってたよね?
 一発逆転がバトルファックの醍醐味だもんね」

 そんなのは無理だ、と彼は言おうとしたが口が動かない。
 生殺与奪が彼女の手にあるような気がしていたのだ。

 実際にそのとおりなのだ。このリング状では、すでに。

「でもキミに逆転はないの。このまま蹂躙されるだけだよ」

 にっこり微笑む彼女を見ながら、腟内がじわりじわりと自分を締め上げていくのを明確に感じていた。
 先程のラウンドで泣き叫ぶほど味わい尽くした名器の感触が脳裏に蘇る。
 そしてカズヤにはわかる。
 まだ彼女は全然本気を出していない。

(勝機!)

 カズヤが全身の細胞に語りかけるように自身を奮いたたせる。

「俺はまだ負けてねえ……必ずお前を倒すんだ!」
「かっこいいー! そういうの好きだよ」

 カズヤの虚勢を見たアンナは嬉しそうに笑った。

「じゃあ、今から20秒我慢できたら反撃させてあげる」
「え……」
「それともゆっくり搾り尽くされたい? 選んでいいよ」

 そんな好条件があるのか?
 一瞬疑ってしまう。
 しかし深く考えるまでもなかった。
 これは願ってもいない申し出だ。

「耐えきってやる! かかってこい!!」
「そうこなくっちゃね。じゃあ――」

 アンナが妖しく微笑みながらゆらゆらと腰を振り始めた。

 明らかに手加減したグラインドだ。
 どこまでも舐め腐ってるんだ。

(でもこれなら、これなら……き、きもちいい……でも、うああああっ!!)

 悶えながら耐え忍ぶ。何度味わってもなれない快感。
 気を抜いたら屈服してしまいそうな呪詛に近い魔性の膣内。

 アンナがその顔を興味深そうに眺めていることにも気づけないほど、カズヤは20秒間の快楽拷問に集中していた。

 そして時間は経過して、

「た、耐えたぞ……約束通り」
「うふっ、いいよ。ひっくり返してあげる」

 カズヤの言葉が切れる前に、アンナは自分から体を横に倒す。
 騎乗位から側位へ、側位から正常位へと体位変換を行った。

「これでどうかしら」

 カズヤに組み敷かれたような体勢だ。
 それでもアンナは変わらぬ表情で彼を見つめている。

「舐めるなよ! 終わりにしてやる!!」

 カズヤは瞬時に状況を理解して体の奥底に眠っていた力を引き出す。
 背中の筋肉が膨れ上がる。
 アンナが逃げ出せないように両手も封じた。
 自然に笑みが溢れる。

 賭けに勝った。ここからは自分のターンだ。
 もう逆転は許さない。
 そう信じて疑わない彼の心に連動してスムースに膣内へのピストンが行われていく。

「あんっ、あぁんっ! すご、いのおお!」

 アンナの喘ぎ声が彼に勇気を与えている。
 肉体はすでに限界を迎えているはずなのに力が湧き出てくるようだった。

「硬い、キミのおちんちん素敵、もっと、もっとして!」

 頬を赤く染めておねだりをする女王を見つめながら、より一層激しく責め立てる。
 一方的な陵辱を求めていた観客はカズヤの逆転劇に声援を飛ばした。

 観客からの後押しもあって彼は頑張った。
 本当によく頑張ったのだが、気づいてしまった。

 自分に組み敷かれ、恥ずかしそうに腕で顔を隠しているアンナの口元が僅かに笑みを浮かべて歪んでいることを。

(効いていない――)

 注意していればわかることだらけだった。
 彼がピストンするとき、わずかに女王は腰を引く。
 ヒットポイントをずらしているのだ。

 反対にアンナは膣内で彼を迎え、引き抜くときだけ締め付けている。
 これはカズヤ自身も気づいていないことだったが、彼は引き抜くときのほうが快感を大きく感じるタイプなのだ。

 それから数往復して、ついに力尽きたようにカズヤの腰が止まってしまう。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……なんだよ、こんなのって……」

 フルマラソンを全力疾走したような虚脱感だった。
 やっとの思いで相手を組み伏せているが、これもおそらく長く保たないだろう。

 しかしいつでもひっくり返せる状況でありながら、アンナは余裕たっぷりに彼を見上げていた。見れば呼吸は全く乱れていないようだ。
 自分が彼女の手の上で踊らされていたと知って、カズヤは愕然とした。
 そして視線が交わったとき、アンナがクスッと小さく笑った。

「理解しちゃった? キミはもう満足に反撃すら出来ない状態なの。念入りにあたしの膣内で可愛がられて、弱点もいっぱい植え付けられて、攻撃パターンも解析されちゃってるんだからね」

 その言葉を聞きながらカズヤは今度こそ絶望する。

 バトルファッカーとしては致命的な「烙印押し」だった。
 それは勝利が確定したあとに自分の奴隷を生み出すために行われる儀式。

 男性が女性にする場合は自分のペニスでしか絶頂できないようなトラウマを植え付けるために行うものとされているが、まさかカズヤ自身が女性にやられるとは思っていなかったのだ。連戦連勝の彼ゆえに怒った悲劇でもある。

 アンナはゆっくりと彼を抱き寄せ、抱きしめる。

「最後ぐらい気持ちよく奪ってあげる。もう抵抗できないよね」
「く、そ……」
「わかってる? これ正常位だよ。ふふふ……
 男の子が有利な体勢のまま恥ずかしい声で泣かせてあげる!!」

 カズヤはそこでさらに気づいてしまう。
 自分はアンナの奴隷ではなく、もう一歩先にある虜にされてしまったのだと。

(きもち、いい、こんなのってありえない! あ、アンナ! アンナあああああ!)

 恥ずかしげもなく彼女の名を呼ぶと快感が跳ね上がった。

「んふ、かわい……♪」

 カズヤを抱きしめているアンナも彼が自分の魅力に堕ちたことに気づいた。
 今までおとなしくしていた魔性の膣内がうねり始める。

 石のように硬くなったペニスを自分の膣内でアメのように溶かしていく。
 いきりたった男の象徴がアンナの名器に揉まみれてどんどん柔らかくされていく。

「イった瞬間にあたしの名前を呼んでね。カズヤくん」
「うんっ、うんっ、うあ、あああああ!」

 不運なことに彼はそれ以上の我慢はできなかった。
 囁かれた拍子に吐息を耳の穴に流し込まれたのがトドメになった。

「イくっ、イっちまう、うあああああああああああああ! イッ……んぷ、ううううううぅぅ、うーーーっ!!」

ビュクビュクビュクウウウウッ!!

 これが一度目の射精といってもおかしくないほど大量の白濁が女王の膣内に注ぎ込まれる。
 アンナは正常位でじっと彼の顔を見つめている。
 自らの魅力に屈して虜に成り果てた対戦相手のことを。

 あまりにも長い射精。
 カズヤは何度も背中を痙攣させながらアンナに精を捧げ続けた。
 しかしカズヤが大声で叫ぶことはなかった。

ちゅっちゅっちゅっちゅ♪

 すっかり脱力した虜を抱き寄せてアンナは何度もキスを振る舞う。
 そのたびに彼の心は砕け、ますます深いところで彼女を認識してしまう。

「恥ずかしい声もあたしが飲み込んであげるぅ」

 たっぷりキスをされて心も体も溶かされてしまったようにカズヤは倒れ込む。
 気絶しながら柔らかな体にすがりつき、アンナを求め続けている。

 やがて完全に気を失った彼の体を優しく押しのけて、何事もなかったように立ち上がるアンナ。
 もはや暫定一位ではない。その風格は女王と呼ぶにふさわしいものだった。


 そして試合終了のゴングが高らかに鳴り響いた。

「みんなありがとー! 彼の連勝記録は止まっちゃったけど、これからは連敗記録が続くと思うからしっかり応援してあげてくださいねー!!」

 白熱した若手同士のバトルに観客は万雷の拍手を送る。
 今夜もバトルファックスタジアムは熱狂のうちに幕を閉じるのだった。




(了)












※このサイトに登場するキャラクター、設定等は全て架空の存在です
【無断転載禁止】

Copyright(C) 2007 欲望の塔 All Rights Reserved.