『風俗嬢に自分好みの衣装でプレイをお願いしたら着衣のまま盛大にイかされてしまったお話』




 四月も中旬に差し掛かり春らしく暖かさを増してきた。
 ここは都内某所にある「セドリック」という特殊浴場、いわゆるフーゾクである。
 嬢は顔出しNGではあるが全員美人でハズレが少ないという評判で、通好みの隠れた人気店のひとつである。
 この部屋を担当するサオリ(源氏名)はこの店の人気嬢の一人であり、リピーターを多く抱えている。
 そんな彼女がお客に向かって不思議そうにつぶやく。

「こんなのでいいんですか」
「ああ最高だよ……」
「ふぅん、だって私まだ脱いでませんけど?」

 決して不満そうな口調ではないが不思議でたまらない。
 お客の顔を遠慮がちにお尻で潰しながらサオリは思案する。

 通常は部屋にお客を迎えてから丁寧に服をたたみ、自分もバスタオル一枚になる。
 その姿のままで挨拶とキスをして、相手の素肌を手のひらでまんべんなく愛撫しながら手コキとフェラで一発目の発射という流れが定番である。

 しかし今日の客は彼女がバスタオル姿になる直前で脱ぐのをやめさせた。
 そして持参してきた衣装を手渡してきた。フィットネスウェアである。
 彼女に渡された袋の中身はショート丈のタンクトップと黒いショートスパッツ、そしてソックスだった。この時間が終わったあとは普段着として使って欲しいと言われた。汎用性の高い衣装なのでありがたく使わせてもらおうとサオリは考えている。

 じつはこれ、風俗店では時々ある光景である。
 ナース服とか学園制服とか好みの衣装でプレイしたいというお客の性癖は彼女も理解しているのだが、最終的にはお互いに全裸になる。
 何という無駄。はじめから全裸でもいいではないか。
 しかし無駄こそが最高の贅沢なのだ。

 そういう意味で今日のお客のリクエストは無駄の極みであった。
 着衣のまま自分の顔の上に座ってほしいというのだから。

「フェチズムって深いですね。私はこのほうが楽でいいですけど」
「言葉責めまでしてくれるとはますます最高だ」

 遠慮がちに膝立ちになった彼女の下で男が言った。
 責めたつもりはないがお客はそう感じてくれたようだ。彼の頭の中でどんな寸劇が繰り広げられているのか、妄想を覗いてみたいとサオリは思った。

 興奮しているせいなのか圧迫されて空気が入ってこないせいなのかは不明だがお客の呼吸が荒い。

「私のアソコに息が当たってくすぐったいです」
「ご、ごめん……」

 その言葉尻で彼女は敏感に感じ取った。

(感じている。間違いない。この反応……)

 じっと見つめていると、男の股間がビクンと大きく揺れた。
 弱々しく返してきた彼の言葉と真逆でペニスはビキビキに張り詰めている。

「ちゃんと謝って下さい」
「ッ!!」

 さわさわと乳首を撫でながら命令する。小さな声で男は謝罪した。

「もう一度やり直しです」

 今度は指先を亀頭に置いてからツツツ……と爪でなぞって下ろしてみる。
 ドパッと我慢汁が滲み出す。確実に感じさせている。

 サオリはまだ着衣で相手は全裸である。それでも相手はイく寸前だ。
 無意識にニヤリと唇の端を上げながらサオリは指先で裏筋をピンと弾いてみた。

「はああああああっ!!」
「ふふふふ……『ごめんなさい』は?」

 スパッツ越しに嬢のお尻で顔を潰されたままお客は歓喜に震えていた。
 そして震える声で告げる。

「ごめんなさい」

 それを聞いたサオリは自らの胸を両手で抱くようにしながら小さくブルッと震えた。
 相手を征服した愉悦が彼女を喜ばせていた。

「……ちゃんと言えるじゃないですか。ご褒美です」

 軽く腰を上げてからもう一度ペタンと腰を下ろす。もはや完全にフェイスシッティングだ。当然のように男は喜んだ。これ¥は彼が望んでいたプレイなのだ。
 サオリもそれに応える。尻を押し付けて左右にグニグニと腰をひねる。

「んぶっ、うううううーーーーーーーーーーっ!!」
「グリグリされて喜ぶなんてヘンタイですね」

 後ろ手で彼の脇腹をくすぐる。悶える相手にしっかりと体重をかけながら、今度は前後に腰を揺らす。お客の鼻先にクリトリスを擦り付けてみるとそれが絶妙な刺激になって自分に返ってきた。

「おちんちんすごいんですけど」
「うううっ、んううううううううっ!!」

 サオリ自身も腟内がじわりと熱くなったのを感じていた。
 確実に濡れている。
 感じ始めていることが男にも伝わっていることだろう。

 だが悪いことではない。
 軽い興奮は相手に伝わり、相手の興奮をさらに煽る。

 サオリは座ったままそーっと右足を伸ばす。

「このまま爪先でクニュクニュしちゃいます?」

 ソックスの先でペニスを弄ぶ。相手はいい反応しか示さない。
 お尻の下で首を縦に振っているのがわかった。

「くすっ♪」

 小さく笑ってからサオリは股間へ伸ばした足でペニスを前後に擦り始める。

シュッシュッシュッシュ……

 何も言わずとも自分の意を汲み取ってくれた嬢に感謝するように男が悶え始める。フェイスシッティング足コキをしてくれる風俗嬢は少ない。まして今回みたいに軽度のSMプレイのような、男の機微を理解する嬢などこの界隈でも一握りであろう。

 サオリはその一点においてライバルより秀でていた。
 今も組み敷いた客の要望に満点で応えている。

「どれくらい我慢できそうですか? 全然出来なさそうですけど」

 ゆっくり前後に足を動かしながら問いかけると、お客は左右に小さく顔を振った。

(まだ我慢できるっていいたいのかな。かわいい……♪)

 親指の先を軽く曲げ、裏筋を先端を集中的に刺激する。
 ときどき優しくカリをなぞったり、お尻をグリグリ動かしてやる。

(ふふっ、ぜんぜん我慢できてないよ。お・客・さ・ん)

 ぎゅっと亀頭を踏み潰すと男の呼吸は乱れ、ますます荒くなった。ペニスははちきれんばかりに膨らみ、その表面をサオリの美脚が羽のようになでる。ゆっくりその動作を繰り返しているうちにお客の背中が弓なりに反り始めてきた。限界が近いのだろう。

 サオリの推察どおりだった。男は確実に感じまくっているのだ。
 そして快感は我慢すればするほど増大する。

「イっちゃうんだ……お顔を踏み潰されたまま白いのだしちゃうんだ……」

 サオリはそっと左足も伸ばす。
 カチカチになったペニスを左右の土踏まずで包み込む。

「んううううううううっ!?」

 男の顔に完全に座り込んだ状態での両足コキ。
 サオリの両手は彼の肩を抑え込んでいる。
 安定感を出すためなのだが、お客にとってはそれは拘束であり快感を上乗せする材料のひとつだった。

「勝手に動くなんて生意気ですよ」

 えいっという掛け声とともにサオリは腰を浮かせ、お客の顔の上でお尻を数回バウンドさせた。ペニスから我慢汁が勢いよく吹き出す。触ってもいないのに。

(痛くないかな? でもこれでいいんだよね……)

 サオリはもう一回同じ動作を繰り返した。
 お客からの抵抗はない。

 組み敷かれている男は口下手な常連だった。今回の願望はジム通いの女性に犯されたいといったものだろうとサオリは考えていた。
 事実、彼にとってはそのとおりだった。
 それが期待以上の形になって実現しているのだ。文句などありえない。

「この体勢じゃこれ以上抵抗できませんね」

 形の良いサオリのお尻の下で男は恍惚感いっぱいの表情で悶えていた。
 彼は余裕たっぷりな口調で女性に囁かれるとますます感じてしまう性癖だった。

 そんな彼にとってサオリは最高の相手だ。
 イメクラ嬢よりも数段上手な言葉責めと自分好みの容姿を持つ彼女にリピートしてしまうのは当然と言えよう。

「さあ追い詰めてあげます」

 いったん腰を上げて、サオリは彼の脚の間に座り直す。
 やっと解放された男は呼吸を整えようとするが興奮のせいで元通りにならない。
 すっかり蕩けた彼の瞳を覗き込みながらサオリはもう一度ペニスを足で挟み込む。

 ニチュニチュ、という音がゆっくりと繰り返されて男を追い込んでいく。
 視界に入る嬢は自分が望んだフィットネスウェア姿なのだからたまらない。
 フェラでも手コキでなく、最初の射精を足コキで迎えようとしている。

「私の足でシコられて幸せですね」

 サオリが優しく微笑みかけると男の口から喘ぎ声がこぼれだした。
 可愛らしい女性に確実に追い詰められているという実感。
 そしてその卓越したテクニックに悶えるしかなかった。

 彼がちらりと彼女の方をみると目が合った。

「うああ、ああああああああっ!」
「ふふふふふ……もう限界ですか。だらしないですね。じゃあ」

 サオリは左足の先で睾丸を持ち上げ、右足で亀頭をグニグニと踏みにじる。
 2箇所同時に責められたお客は顎を跳ね上げて快感に抗う。
 だが脚の間に座り込んだサオリのせいで脚も閉じられない。

「くすっ♪ これでトドメです」

クニッ……

 亀頭を支配した右足で円を描く。
 爪先で踏み潰されながら裏筋をすりおろされていく。

「~~~~~~~~~~~ッ!!!!!」

ビュクビュクビュクビュクッ!!

 声にならない叫びとともに男は果てた。
 小さな足の指を真っ白に染めるような盛大な射精。

 ガクガク震えたまま何度も波を打つ男の腰を眺めながらサオリは満足そうに笑う。

「まずは一発目……いっぱい出しましたね。
 でもここからが本番です。覚悟してくださいね」

 男の呼吸が整い始めた頃合いを見てサオリは立ち上がる。
 そして見せつけるようにゆっくりとスパッツを脱ぎ始めた。

 男がゴクリとつばを飲む。
 つやつやした彼女の体に見惚れながらこの先に起こる行為を夢想する。

 本番というのはもちろん挿入……
 時計を見れば残り時間はまだたっぷりある。

 今日は何回抜き取られてしまうのだろう。想像できない。

 足コキ以上に心地よいサオリの膣内が自分を待っているのだから。





(続く)










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